特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『翁長氏の逝去』と読書『昭和の怪物 七つの謎』、それに『0810再稼働反対!首相官邸前抗議』と『#810自民党本部前抗議』

立秋の声を聴いた途端 台風がやってきて、ひんやりした空気に包まれたのは驚きました。
被害に遭われた地方の人々は心配したり、実際に大変だったでしょうけど、クーラーなしで眠れる日が2日もあったのは身体には助かりました。今はまた戻ってきた酷暑と戦っています(笑)。


さて、沖縄の翁長知事が亡くなったのは残念なニュースでした。
今年の春、辺野古移設の是非を巡る県民投票を拒否する革新政党(アホか)と市民側との対立でオール沖縄共同会議から有力な地元経済人が抜けるなど、保革を超えた『オール』の色彩が薄まるのを心配していたところです。オール沖縄「崩壊の始まり」と指摘も 保革越えた象徴・呉屋氏辞任 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス


それでなくとも与党は知事選で『沖縄にカジノ誘致』とか言ってくるでしょう。ボクはカジノなんて、沖縄の社会だけでなく経済にとっても最悪の選択だとは思いますが、低賃金でも目先の雇用が生じることに魅力に思う人はいるかもしれません。
そんな中で、基地問題にしても性急な方針を決めれば、一部の無責任な人種からの拍手喝采は受けても、多数派にはなりえません。左から真ん中、場合によっては右までが集える旗を立てない限り、政治は実行できない


沖縄ヘイトを考える(上) 差別主義者のはけ口に | タイムス×クロス コラム | 沖縄タイムス+プラス


生前 翁長氏はこう言っていました。
保守でなければウイングを広げることはできない。革新の皆さんには純粋性と潔癖性と本当にすごい誇りがあるんだけど、包容力という意味では弱い。誰かがやらなければできない。だから、僕が真ん中へ行った
[沖縄を語る]翁長雄志氏 県外移設で再結集を 政府と戦えるのは沖縄だけ(再掲) | 沖縄タイムス+プラス プレミアム | 沖縄タイムス+プラス


稲嶺知事当時 翁長氏は辺野古移設を認めていました。15年という期限付きだったからです。状況は変わります。彼がいう様に『腹八分、腹六分』なんです。必ずしも全てが自分の意に添わなくても、現実には物事は一歩一歩進めていくしかありません。翁長氏は自民党の元幹部であり、最近の売国右翼とは大違いの、本当の保守だったから良かったんです。これからオール沖縄の人たちが現実的な路線を打ち出せるかどうか、また市民の側も現実を直視する知恵を持てるかどうか。沖縄だけでなく日本全体でも問われる問題です。
●ボクはこの意見に心から共感します。


今 さまざまな形で翁長氏の発言が再掲載されています。

[沖縄を語る]翁長雄志氏 県外移設で再結集を 政府と戦えるのは沖縄だけ(再掲) | 沖縄タイムス+プラス プレミアム | 沖縄タイムス+プラス
がん闘病中に死去…沖縄・翁長知事が命を賭して訴えた正論|日刊ゲンダイDIGITAL
翁長雄志沖縄県知事インタビュー:時事ドットコム
沖縄には現在も「魂の飢餓感」 翁長氏の言葉を振り返る - 沖縄:朝日新聞デジタル


那覇市長当時から知事時代、そして最後まで、彼が最も言いたかったのは『なぜ、これだけ言っても本土の人間は沖縄の言い分を聞こうとしないのか』だと思いました。辺野古移設の是非より、それが彼の発言の本質でしょう。
翁長氏は亡くなってしまいましたが、彼が遺した言葉を聞いてみることは今でもできます。我々には彼の言葉を聞く時間はあるのです。だから彼の思いに応えるのはこれからが本番、とボクは思うのです。



さてさて、読書の感想です。歴史家、保阪正康氏の『昭和の怪物 七つの謎』 (講談社現代新書)


外出するとき退屈しなくて良いように、ボクは必ず何か一冊本を持っています。この本はちょうどその時持っていた本を読み終えてしまい、次の映画までの時間つぶしに買ったのですが、存外面白かった。今朝の朝日朝刊に大きな広告が載っていましたが、実際 この本、売れているみたいです。
内容は東條英機石原莞爾犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三吉田茂について、著者が今迄調査してきた証言や資料からエピソードをまとめたものです。怪物というとおどろおどろしい気がしますが、怪物というようなスケールの大きい人はこの中にはいないですね。それに値するのは、せいぜい犬養毀か吉田茂くらいか。


知らなかったことが多かったのですが、特に東條英機の像は意外なものでした。保阪氏は東條の腹心、赤松貞夫秘書官に直接あたって膨大な証言を受けたそうです。その結果こんなことを言っています。
・東條の性格の特徴は『精神論が好き』、『妥協は敗北』、『事実誤認は当たり前』。安倍晋三そっくりだと思ったのですが、後段で保阪氏も東條の性格は安倍晋三そっくりと評していました。
・東條は戦争に勝つための具体的なプログラムを全く持っていないのに、強気一辺倒の戦争指導を繰り返した。それは自分に戦争の最終責任があると思っていなかったから。天皇を守るためには戦争に勝たなければならないと思っていたため、自分に戦争責任があるとは思っていなかった。


ところが当然のことながら、天皇は自分の家を守ることが最も大事であり、戦争はそのための手段でしかなかったわけです。敗北や国内の革命で自分の家の存続があやうくなるなら、天皇は戦争はさっさと止めたかった。だから東條は天皇の意図をそもそも誤解していた、と保阪氏は書いています。東條と言うと『視野は狭いし度量も極端に小さいが、頭は働く典型的な小役人』というイメージがあったのですが、想像以上にバカだった、それも安倍晋三なみというのは驚きでした。


あと 酷さに絶句したのが、中曾根のブレーンとして行革に関わった、伊藤忠の元会長で元大本営参謀の瀬島龍三大本営にいた瀬島龍三は『米空母を多数沈めたという台湾沖航空戦の大戦果は誤報、という前線からの報告を握りつぶした可能性が高い』のは有名な話です。それによって陸軍がレイテ島で決戦すると言い出し、戦艦武蔵が沈んだり、陸軍も数万人が死んでいます。それだけではありませんでした。
・瀬島は戦後 ソ連抑留時にソ連のスパイになった疑いが濃厚。実際に保阪氏が史料を調べるのを妨害したり、自己弁護のために虚偽証言や文書改竄を繰り返した。瀬島がソ連と密約して抑留日本兵を労働力として提供し帰国を遅らせたという説も昔からあるが、東京裁判でもソ連側と打ち合わせした虚偽証言を行っている。ちなみに80年代 東芝機械が原潜のスクリュー用の工作機器をソ連に売った東芝機械ココム違反事件では伊藤忠に居た瀬島龍三が関わっている疑いも濃厚。


保阪氏は安倍晋三に忖度して偽証を繰り返した官僚の姿は、台湾沖航空戦の戦果は誤報であったことを握りつぶしたり東京裁判で偽証をした瀬島の姿と重なる、と書いています。ともに歴史に汚名を残す存在ではないか、と。


一方 勉強になったのは吉田茂です。戦中 東條に反抗して入獄した経緯、戦後は吉田が如何に日本の独立を保とうとしたか、がこの本では書かれています。以下の話は全く知らなかったです。
アメリカとの講和条約を有利にするために、満州事変以降の責任者を日本側で裁く『戦争責任者裁判法』を検討していた
講和条約では、現在の日本に基地を置く代わりに独立を認めさせる案のほかに、日本と朝鮮を非武装にして北太平洋で戦争をさせない案も外務省に作成させ、ダレス国務長官に提案する準備をしていた。


どちらも実現しなかったのですが、日本側は単にGHQの命令に従っていたのではなく、自ら能動的に動いていたことが判ります。そんな吉田でしたから、日本国憲法GHQに押しつけられた存在であるなんて発想はとんでもない、と考えていたそうです。確かにGHOから方針を押し付けられた部分はあるにしろ、吉田らが苦心惨憺して草案を作って日本の議会を通した、という事実はあるわけです。吉田にしてみれば、憲法天皇を守るための防波堤であり、改憲の話が出ただけで激怒するほど自分たちが作った憲法であるという意識は濃厚だった、そうです。
保阪氏は、安倍晋三が安易に戦後レジームからの脱却と言っているのは、吉田たち先達の努力を無にするものである、と書いています。ホント、麻生太郎なんか死んだあと吉田茂に顔向けできるんでしょうか。

確かに吉田茂の話は、少なくとも以前の日本は単なるアメリカの属国ではなかった、ということを証明しています。この視点に立てば、例えば白井聡の永久敗戦論=『日本は安保体制を天皇の替りに戴くことで戦前からの体制(国体)を保持している』は浅薄な議論に見えてきました。日米安保条約アメリカ側はダレスなど政府の代表と議会代表が調印したのに対し、日本側は吉田茂が一人で調印し、議員には触れさせなかったそうです。戦中の議員の有様を見ていた吉田は議会を全く信用していなかったからでもありますが、自分ひとりで責任を負うつもりだったからだそうです。そこには安保条約を神聖視する向きなんか全くありません。吉田にとっては安保条約はツールでしかありませんでした。


他にこの本で取り上げられた渡辺和子ノートルダム清心学園理事長は最近のベストセラ―『置かれた場所で咲きなさい』の著者でもありますが、9歳の時、父親の渡辺錠太郎陸軍教育総監226事件で目の前で青年将校に殺されたそうです。父親の足がマシンガンで吹き飛ばされたのをその目で見た彼女は、青年将校の遺族とは戦後随分経ってようやく和解した。しかし『全てを赦しなさい』と言う宗教者の彼女が、226事件の影の首謀者でありながら何の責任も取らず自己弁護に終始した陸軍大将の荒木貞夫や真崎甚三郎は『赦しの対象外』と語っていた、というのが印象的でした。


この本は小さなエピソード、事実を積み重ねた新書ですけど、知らなかったことが次から次へと出てくる面白さだけでなく、物事を見る目が複眼的で非常に勉強になりました。東條英機瀬島龍三のような視野が狭い忖度役人の害悪は今も変わらないし、吉田がせっかく取り戻そうとした日本の独立は吉田の孫たちのせいで危うくなっている。断片的な事実を積み重ねた軽い歴史書でありながら現代的な視点を持っている良い本でした。面白かった。



ということで、今週も官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
午後6時の気温は29度。でも湿度がジメ〜ってしている。ポロシャツの下の腕が湿って気持ち悪い😄。空は秋空っぽくなって来たんですけどね。今日の参加者は550人。
●お盆前の抗議風景



今日 中国電力が建設中の島根原発3号機の安全審査を原子力規制委員会へ申請したそうです。

島根3号機きょう審査申請 中国電、建設中の原発で2例目 :日本経済新聞


島根原発は福島1Fと同じ形式、沸騰水型です。県庁所在地の松江まで、たった20キロ程度しかありません。事故が起こったって松江の人口は20万そこそこ、東京は関係ないからいい、ですけど、松江の人たちはどう考えているのでしょうか。


今週も もう一つ。#0810自民党本部前抗議

この抗議、特に主催もなくtwitterで自然発生的に呼びかけられているのに、当日になって気が付きました。差別発言をした杉田水脈も谷川とむも、自民党も謝罪も撤回もありません。ほとぼりが醒めるのを待っているのでしょう。反論すらない。とことん卑怯な奴らです。これじゃ抗議に行かない理由がありません。
●抗議風景2 差別が仕事の議員は辞めろ!




ボクは役立たずの社民党なんて、もはや要らないと思ってますが、福島みずほ議員はこういう抗議には必ず来てくれるのは素直に評価します。
福島みずほ参院議員「他人の生産性があるとかないとか、国が決めるな!」


一応 情報はマメにチェックしているつもりのボクですら、今日の夕方に知った急な抗議ですが、1000人弱くらいは集まりました。多様な人ばかりが参加しているのが嬉しい。だけど、この件はマジで怒ってます。ボクは抗議やデモでは基本的に怒鳴ったりしないのですが、思い切り怒声を浴びせました。


永田町に『恥を知れ!』コールが響きます。この国の政治がこれだけ下等になった、というのはそれこそ、東條英機以来じゃないでしょうか。
●恥を知れ!恥を知れ!恥を知れ!






●ヘビメタなんか嫌いですが、さすがBABYMETALと一緒に共演するだけのことはあります(笑)?。