特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『高プロの可決』と証言記録『暴走する原発に突入せよ』(NHK)と読書『地図から消される街』、それに『0629再稼働反対!首相官邸前抗議』

早くも6月も終わろうとしています。今年ももう、半分終わりです。は、はやい〜。
今朝は朝7時からカンカン照り、真夏の空が広がっていました。食べ物屋さんに聞くと、例年に比べて今年は季節の進み方が2週間くらい早いと言いますけど、そんな感じです。東京は梅雨明けか〜。
この春 壊れたパソコンを替えたとき『自分の人生であと何回パソコンを買い替えるのだろう?』と思ったんですが、そろそろ『自分があと何回、夏を迎えられるのか』も考えてしまいます。
●今朝はもう夏本番のように入道雲が出ていました。


今日「働き方」法案が参院で可決され、残業代なしで働かせ放題の高プロ制度が導入されることになりました。ドン・ファンだの、サッカーだの、ゴミニュースばかりで殆どマスコミが報じない状況にもかかわらず、高プロ世論調査では反対の方が多い。なのに国会ではまともな審議もしないまま、インチキデータを並べただけで可決されたのには憤りを禁じ得ません。国会が仕事してないってことじゃないですか。はぐらかしと嘘ばかりの答弁は税金泥棒ってことを国民はもっと認識すべきです。


●ちなみに今 現在 労基署の過労死ラインは月80時間です。

参院野党第一党の国民民主党の与党へのすり寄りが、今日の高プロ参院通過を可能にしました。


かって、韓国の全斗煥軍事政権が自分たちのクーデターや光州事件などから国民の目をそらせ政治に関心を持たせないようにするために、愚民化政策、いわゆる3S政策(スポーツ、スクリーン、セックス)を取ったことが知られていますが、今のテレビニュースを見ていると日本でも同じことが行われているとしか思えません。


だいたい高プロのような法案が無理やり採決されようとしているのに組合はデモ一つやらない。連合が言い訳のように街宣をちょこっとやってましたけど、ただそれだけ。そんなクズ組合なんかいらないでしょ!(怒)。法案が出てきた2月からデモや街宣をやってきたのはエキタスや一部の弁護士さん、それに一般の市民です。お前ら何やってるんだよ、ボケ
自分の労働条件を自分で守ろうとしないのだったら、そりゃあ、仕方ないです(笑)。過労死促進法案も、やっぱ、バカは●ななきゃ治らないってこと(笑)。

●愚民のバカ騒ぎをよそに経団連は、今度は裁量労働制を狙っています。


でも法案は通ったとしても、まだ終わりではありません法案成立後も高プロに対する世論が厳しければ、厚労省は対象拡大はやりにくい
それに一人一人がゲリラ戦をすることは出来ます。自分の会社・職場で高プロのようなバカな話が出てきたら潰すこと。ただでさえ、人手不足で尚且つ高付加価値化が必要な経済状況です。高プロのように人材を磨り潰すような時代錯誤な制度は企業にとっても長期的な視野に立てば損なのだから、戦うことはできる、とボクは思います。だいたい 長時間労働少子化をこれ以上促進して市場を縮小させて どうすんだよ、アホか😈




さて 6月24日の朝 NHKで放送された「明日へ つなげよう 証言記録『暴走する原発に突入せよ〜事故拡大防いだ下請け企業』は印象に残る番組でした。

これまでの放送 | 明日へ つなげよう - NHK


福島の原発事故の際 メルトダウンが進む原子炉の建物に突入した下請け企業の人の証言をまとめたものです。
正確には下請けではなく、いわき市の孫請け企業、信和工業です。従業員数20名。原子炉の水位計のメンテナンスを担当していました。当時はとにかく原発の格納容器内の燃料棒を水で冷やし続ける必要がありましたが、格納容器内の水位が不明確でした。水位計がいくつも設置されていましたが、どれが正常稼働していて、どれが故障していたのかわからない状態でした。
現場には東電や東電子会社や原子炉メーカーの社員、それに派遣された自衛隊や各地の消防局員などが居ましたが、被爆量の限度に近づき人が足りなくなった。協力会社に頼もうにも被爆に関する契約なんかない。番組では本店/1FとのTV会議の当時の音声が何度も使われるのですが、この期に及んで『契約はどうするんだ』という本店の声が印象的でした。


それでも水位計のことを一番よく知っているのは信和工業の人たちです。元請から声がかかった時 社長は『行きたくないけど、今まで30年 自分たちがやってきたことが意味が無くなってしまう』と仕事を受けることに同意します。社長はまず様子を見るために第一原発へ行くと、吉田所長が出てきて頭を下げる。東電の幹部が孫請けに逢いに来るなんて普段はありえないそうです。いよいよ断れません。


社長は疎開している社員に連絡します。呼ばれた社員も『赤紙が来た』ような気持ちです。家族もいる。『でも、しょうがないか』。全員が40歳以上の5名で、原子炉建屋に突入します。1号機に続いて3号機が水素爆発した直後です。残骸が地面には散乱し、横では消防車が注水している間を建屋に向かって防護服を着た社員たちが小走りで走っていく。致死量の高濃度汚染の中、被爆を少しでも減らすためです。そして、真っ暗な建屋の中で計器を大急ぎで点検する。被ばく限度量の関係で時間が限られています。その中で彼らは40個ある水位計の中から動いているものを特定したそうです。
まるっきり、特攻隊だと思った。こんなことは二度とあってはいけない」という専務の話は非常に印象的でした。今 彼は柏崎刈羽のメンテナンスの仕事をしています。


番組では取り上げられませんでしたが、当時は信和工業のほかにも下請け、孫請けの企業が作業に入っています。そういう人たちを含めて、事故の収束にあたった人たちには感謝しかないです。しかし被爆した彼ら数百人がどうなったのかは今も殆ど報じられていないことも含めて、生命の危険を冒して作業をせざるをえなかったような状況を作ってしまった責任者(東電幹部、政府、経産省自治体の幹部)は万死に値します。
実際に作業にあたった人たちの声を聴いたのはボクは初めてです。『放射能より、いつ爆発するかわからないのが怖かった。』、『終わったら、さっさと引き上げることしか考えなかった』、当時のことを語る彼らの表情はなんとも表現しがたい。穏やかだけど、それだけではない思いが顔に出ている。非常に心に残りました。


さてさて、福島に関する本の感想です。『地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」 』(講談社現代新書)

本の紹介文によると、福島の被災地に今も通い続ける唯一の大手新聞記者の手記というようなことが書いてあります。著者の青木美希氏は朝日新聞の記者です。
ボクは朝日新聞は大嫌いです。良くも悪くもストーリーに当てはめようとする意識が強すぎる。簡単に言うと独善・ゴーマンだと思います。森友の問題などたまにスクープを出す取材力は評価しますけど、普段の記事は突っ込みも甘いし体制迎合的なものも多くて基本的にロクなもんじゃない。正直 オピニオン欄以外は読む価値ないです。デモなど市民の活動に対しては案外冷ややかなのも、連中の権威主義の象徴じゃないでしょうか。ついでに甲子園を後援しているのもこいつらの偽善性の象徴。政府の宣伝機関になり下がった産経や読売よりはマシかもしれませんが、独善・偽善・権威主義の朝日も報道機関としてはかなり問題があると思います。


ところがこの本の前書きを読むと、著者自身の力が及ばなかったことや自戒の言葉がやたらと飛び込んできます。朝日の記者らしくない、と思ったら(笑)、著者は元北海道新聞の記者で、北海道警裏金事件の取材班に居たそうです。この事件は道警や道庁の妨害にもめげず、北海道新聞が報道を続けたことで警察の2億以上もの裏金の存在をあぶりだし、取材班は新聞協会賞を受賞しています。著者は2010年秋に北海道新聞から朝日新聞に移り、311に遭遇。それからずっと被災地の取材を続け、『プロメテウスの火』などの特集記事に関わり『手抜き除染』のスクープでは再び新聞協会賞を受賞しています。普通の朝日の記者とは違うようです(笑)。ちなみにネトウヨがこの人のことを一杯悪口書いてます。だったら信頼がおける(笑)。


この本は被災地の取材を基にしたものです。タイトルの『地図から消される街』というのは原発事故をなかったことにしようとする国・県の政策の結果、被害を受けた街も住民もなかったことにされつつあるのを指しています。
具体的な内容は『被災地の中の東電の現地採用』、『手抜き除染の実態』、『国や自治体は無理やり住民を被災地に返そうとしていること』、『事故の実態や責任をうやむやにしようとする官僚たち』、『子供たちの間での原発苛め』、『見捨てられた自主避難者の困窮』などが挙げられています。特に新聞協会賞を取った『手抜き除染』の項は記述が具体的かつ明確で、ネトウヨが言っているような「朝日のねつ造」とはとても思えません。実際 スクープ後はねつ造を政府も業者も認めているんですから。そもそも森林や田畑を含んだ広範囲の除染なんて物理的に出来るわけがないじゃないですか。そんなの小学生でも判る(笑)。


内容は実際に足で稼いだものですので非常にリアルだし、読んでいると文字通り気持ちがかきむしられます。普段から気を付けてチェックしている筈のボク自身 忘れていることも多かったです。この本に出てくる多くの人は生活が破壊されていたり、自殺していたり、何よりも許せないのは多くの子供が傷ついていること。自主避難者の人たちの困窮もそうだし、『避難者の子供が苛められていることを隠そうとする千代田区教育委員会』や『将来 集団訴訟が起き国が負けてから、避難者の救済策を考えればよい、とうそぶく中央の官僚』などは、こいつら許せん、という気持ちになります。そういうエピソードでも、著者は朝日の記者とは思えないくらい、冷静に取材し、公平な筆致で書いているようにボクは感じました。


更に著者は政界&原子力ムラのオフレコの話として日本が頑固に原発を続ける理由は『核抑止力の保持』という証言を取り上げています。これは匿名の証言なので迫力はないですけど、そうなんだろうな、と思わせるものがあります。『アメリカが日本にプルトニウムのことを言って来たら、日本政府が右翼化して信用できなくなっているからだ』という証言もありました。昨年秋ごろからアメリカが日本のプルトニウムを減らすことを要求するようになったのは、まさにそういうことだと思います。


この本の内容は良くも悪くもミクロの話ばかりだし、そういう話ばかりを取り上げているというのはあります。そこは冷静に読まなくてはなりません。しかし一面の真実を語っていることは間違いありませんし、ボク自身知らなかったこと、忘れていたことが沢山ありました。
報道の現場では『放射線量を書くと、帰還の邪魔になる』、『危険だという話を聞きたくないという人もいる』と上司から圧力をかけられて、福島の実情について書きたいことが書けない記者がいる、そうです。著者は、『私たちが忘れないこと』が最も必要、という言葉でこの本を締めくくっています。それはまさにその通りだと思います。内容は食い足りない部分もありますが、夢中になって読みました。おすすめの本です。



ということで、今週も官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
今日の気温は28度。日が長くなりました。参加者は650人。ボクはたぶん10年以上行ったことがありませんが、まさにビアガーデン日和です。代わりに帰宅してからスパークリング・ワインを飲むことにします(笑)。
●抗議風景





今週27日に福島県浪江町馬場町長が亡くなりました。胃がんだそうですけど、それは表面的な事象のように思えます。本当のところは南相馬前市長の桜井勝延氏が言うように『町長は原発に殺されたようなものだ』ではないでしょうか。


<浪江町長死去>「復興の支柱失った」道半ばでの他界に惜しむ声 | 河北新報オンラインニュース
この人は東電への賠償請求(ADR)と和解勧告を6度も拒否した東電に対する賠償訴訟の準備に力を注ぐと同時に、『町のこし(町残し)』の活動に懸命だったそうです。避難解除されても、事故前18000人の住人のうち、まだ700人しか帰ってこないのですから、それこそ将来 町が地図から消えてしまうこともあり得る。(うまく行くかどうかは別ですが)町に産業を誘致する等 村長は懸命にそれに抵抗していたようです。福島・浪江町長 馬場有さん死去 東電糾弾、和解仲介手続きけん引 | 河北新報オンラインニュース


他の町長候補や前述の「地図から消えた街」で書かれていたように、町外にコミュニティーを作る方が良いのかどうかはボクには判りません。が、『政府や官僚が目論んでいるように、事故がなかったことにしてはならない』のは確かなことです。我々一人一人は庶民に過ぎませんが、『事故をなかったことにしようとする圧力に抗すること』は出来るはず と思うんです。