特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』と『0330再稼働反対!首相官邸前抗議』

あっという間に3月も終わりそう、まさに春もたけなわ、です。急に暖かくなって強制衣替えをさせられた1週間でした。相変らずの花粉は辛いですが、夜 寒くて目が覚めることがない、というのは実に嬉しいです。
●桜の花びらが舞う中、関東で一番古いお寺の深大寺でお願い事をしてきました。



今年春の甲子園は珍しくボクの出身校が出場したんですが、『全く興味なし』って罵る前に敗退してしまいました(笑)。その学校の野球部は坊主刈りじゃないですが、あんな昔の日本兵みたいな丸坊主だらけのインチキ猿芝居を主催しているのが朝日と毎日、リベラルと呼ばれる新聞なのは、象徴的だと思います。甲子園って日本のリベラルのインチキさ、偽善性の象徴です。男女差別と精神主義、画一性、育ち盛りの高校生の身体酷使、あんなペテン・イベントがのさばっている限り、日本に民主主義は根付かないでしょう。あれを喜んで見てるバカ奴こそ、体質としてファシストです。理屈じゃなく体質としてファシストというのは救いがたい、ということです。

●これが東京のアジフライだ!有楽町交通会館地下の大正軒でアジ、エビ、牡蠣フライの盛り合わせ。牡蠣やアジの身がやたらと分厚い


猿芝居と言えば、先日の佐川の喚問は予想通りとは言え、酷かったです。55回も答弁拒否を繰り返したんでしょ証人喚問:佐川氏、証言拒否55回 真相解明「裁判で」 - 毎日新聞
もちろん、答弁拒否は佐川の権利かもしれませんが、公文書の改竄という民主主義の根幹を揺るがすような事件の真相解明からはほど遠い訳です。昨日 宴会(泣)で一緒になった大学の某有名教授が「『訴追対象になるので答弁を差し控えます』って、質問に答えられない学生がすぐ真似しそうだ」って言ってました。ついでに『家で奥さんに怒られる旦那さんだって、そう言うようになるんじゃないか』って(笑)。子供の言い訳程度の話ってことです。苦学して東大出て、この体たらく。佐川の一生は全くの無駄、国民に迷惑かけるだけの人生でした😇。


ただし、こんなことは最初からほぼ、予想されていたことです。佐川の喚問は国民の怒りの声が勝ち取りました。国有地の私物化の真相を究明するには、公文書を改ざんしたり偽証が許されないような民主主義(笑)を確保するには、まだまだ国民の怒りの声が必要、ということです。国民次第ってことです。


さて、久方ぶりに感想を書きたくなるような本に当たりました。『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻


著者の山本義隆氏の本は一度読んでみたいと思っていました。彼は60年代の学生運動、元東大全共闘の議長で中退後、代ゼミの講師を務めながら、近年、専門の科学に関する著作を著しています。


ボクは全共闘には否定的です(笑)。彼らが社会や大学に異議申し立てをした意義は認めますけど、成算がない活動は基本的には『頭が悪い』と思うし、その後 企業や家庭生活などで反動的な連中が多かったのを見るとむしろ腹立たしいことの方が多いです(まともな人もいるのでしょうけど)。学生運動の中では男女差別が横行していたそうですし、今もあの世代が嫌韓本・嫌中本の主な読者層と聞くと、日本の全共闘アメリカのネオコンに元左翼が多いのとは同じ穴のムジナのように見えます
しかし、山本氏は2015年の安保法反対の際も国会に来て目立たないところで一人、参加していたというエピソードが象徴しているように、その後の生き方も含めて、全共闘の中できちんと筋を通した数少ない人、という印象を持っています。
ただ著書は科学の専門書が多いので、縁がなかった。この3月に新書が出たのは彼の考え方に触れてみる良い機会でした。


内容は幕末から現在にかけての日本の科学技術史の概論、です。一言で言うと『幕末から現在まで日本の科学技術の進展は一貫して、『国益』のためには少数者や他国の犠牲は止む負えないという姿勢に貫かれており、それが戦後の公害被害や原発の推進、強いては福島の事故につながっている
というものです。想像できる結論ではあるけれど、充分 頷けます。特に以下のような指摘は鋭いし、山本氏らしいと思いました。
・幕末期の西欧文明への驚きは現在に至るまで『科学は万能という科学技術への「信仰」になっているのではないか』
・明治期から、戦中、戦後も大学の科学者の大多数は、研究費さえ出ていれば世の中の動きに無関心だった
・日本の原子力開発は潜在的核武装が目的であり、(武谷三男氏など良心的な科学者も含めて)物理学者は『原子力の平和利用』という幻想をかきたて、官産主導の日本の原子力開発の露払いを務めてしまった


これらが豊富な例証を持って語られます。科学が政治に悪用されるのは日本だけではないだろうとは思いますが、主張には説得力があります。特に日本では『科学が信仰になっている』というのは成程と思いました。福島の事故以降、その風潮は薄れたと思いますが、経産省原子力ムラには残っているんでしょうね。


ただ、山本氏の世の中の捉え方は単純すぎます。彼は日本の軍産複合体の復活に警鐘を鳴らしていますが、日本の防衛産業の規模は1.8兆、GDPの0.4%しかありません!滅びつつある日本の家電産業と同規模です。その程度の規模の産業に世の中を大きく左右する力があるわけないじゃないですか(笑)。おまけに日本の軍需企業は規模が小さすぎて世界的に見たら競争力なんかありません。実際 日本の防衛産業NO1の三菱重工の軍需比率は売り上げのたった6%、経営は赤字、東芝は実質破たん、NECはリストラの真っ最中、日本の防衛産業は存続さえ危ぶまれているのが現状です。こんなことは日経を毎日読んでれば誰でも判ります防衛産業、海外に活路 :日本経済新聞。山本氏、大丈夫か?(笑)


何でもかんでも軍産複合体のせいにできれば判りやすいけど、世の中はそんなに単純じゃない(笑)。著者の筆致は誠実だと思いましたが、反面 まだ、イデオロギーという病気が完治してないのかとも感じます。
科学史ということに絞っていえば、読んで良かったと思いました。ただ、どんな本でもそうですが、全部 真に受けるとまずい(笑)。そういう本です。





ということで、今週も官邸前抗議へ。#金曜官邸前抗議
今日で官邸前抗議は六周年、7年目に突入です😄。
今週も若い人たちが主催する森友問題への抗議とのダブルヘッダーが予定されていて、官邸前抗議は7時30分までに短縮されています。もちろんボクもいつも通りダブルヘッダーをしたいんですが、今週、来週と野暮用があるので、今日は官邸前抗議だけの参加となりました。ま、「安倍やめろ」って言う趣旨は一緒だから😁。今日の参加者は2800人。先週より2割以上多い。

●抗議風景 「原発やめろ」、 「安倍やめろ」、「原発もろとも おまえもやめろ」、「無能な首相はさっさとやめろ」



今日 東海第二原発を運営する日本原電が、東海村だけでなく周辺の水戸市日立市などの5市にも実質的な事前了解権を与える新安全協定を締結した、ことが報じられました。

事前了解、周辺自治体も 東海第2原発で新協定 再稼働条件に :日本経済新聞
東海村の前村長が周辺自治体と原子力所在地域首長懇談会を作り、粘り強く交渉した結果です。もちろん東海第二の再稼働なんて、とんでもありません。福島のようなことがあれば、東京は壊滅しかねないし、そうなれば日本も実質的に壊滅です。老朽原発の再稼働に日本全体を壊滅しかねないリスクを賭けるなんて、狂ってます。
ですが、東海第二でこのような協定が締結されたということは今後 全国に波及していく可能性があります。再稼働はますます難しくなる。時間が過ぎれば過ぎるほど、電力会社の会計上 原子炉の減価償却が進み、脱原発のコストは下がります。


あともう一つ 今週 小熊英二朝日新聞論壇時評』で取り上げていた『原発立地の40年間を見てみると、原発の経済効果は建設時期を除いては限定的だった』というのは重要なニュースだと思います。

(論壇時評)原発の経済効果 神話に安住している間に 歴史社会学者・小熊英二 - 沖縄:朝日新聞デジタル
新潟日報の前田有樹らは、柏崎刈羽原発の経済効果を調査報道した。それによると、原発が地域経済に貢献するというのは「神話」だったという。柏崎市の産業別市内総生産額、小売業販売額、民間従業者数などを分析すると、確かに原発の建設工事が行われていた1978年から97年に、それらの指標は伸びていた。だがその伸び方は、県内で柏崎市と規模が近い市とほぼ同等だった。
 つまり、柏崎市の指標が伸びていたのは、原発の誘致よりも、日本経済全体が上げ潮だった影響が大きかった。柏崎市長を3期務めた西川正純氏は、このデータをみて「原発がない他の市と同じ歩みになるなんて」と絶句したという。
 唯一、建設業だけは市内総生産額が顕著に伸びていたが、原発建設が終わるとその効果も消えた。建設終了後の柏崎市は、人口減少が他市より激しく、一時的に増えた交付金や税金で建てた施設の維持管理で、財政が厳しくなっている。


つまり原発立地での経済効果は幻想だったわけですね。この調査を担当した新潟大の藤堂准教授は昨日 柏崎市議会で講演を行っています。ボク自身は元ネタの『Jounalism3月号』を見てないから断言はできませんけど、重要な論点だと思います。原発の新設ならともかく、少なくとも再稼働による経済効果は無いということがはっきりするからです。

Journalism (ジャーナリズム) 2018年 3月号

Journalism (ジャーナリズム) 2018年 3月号

確かに福島1F、柏崎市ともに原発の新設が終わるとともに地域の経済は下り坂になっています。だから麻薬のように原子炉の新設を持ちかけ、原子炉が増えてきた、というのが実態です。経済は大事ですが、原発はその経済効果すら幻想だったというのは原発安全神話と共通しているかもしれません。でも、良く考えて見れば、電力会社があれだけ原発固執するのは彼らは原発で儲けているからです。つまり、原発の実態は我々の電気代だけでなく原発立地からの収奪、ということでもあるかもしれません。ちなみに前述の本で山本義隆氏は『日本の急速な資本主義化は(中略)農村労働力の過酷な収奪と農村共同体の破壊を不可欠な因子として行われた』と指摘しています。そういうことなんでしょう。



●7時半からはこちらです。こちらは参加者13000人だったそうです。先週より3000人増えました!