特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『裁量労働制の拡大』と読書『新・日本の階級社会』、それに『0216再稼働反対!首相官邸前抗議』

今日 道を歩いていたら、梅が文字通り勢いよく、咲いているのを見かけました。
まだ七分くらいですが、生命力、勢いみたいなものを感じました。ウン、ボクには失われたものです(笑)。それでなくとも 梅の花の香りがしたのは今年 初めて、嬉しかったです。早く暖かくなって欲しいなあ。


今年の カンザス州知事選にアンガス君という3歳の犬が立候補を申請したそうです。
飼い主曰く『アンガス君はリス以外のすべての人間、動物を大切に思っている』そうです。立派だと思います。誰がどう考えてもトランプみたいな奴にリーダーをやらせるのなら、犬にやってもらった方が良いに決まっています。間違いなく犬の方がトランプよりルックスも良いし、『思いやり』もある。暴言もヘイトスピーチも吐かない。アンガス君の陣容も固まっていて副長官は同居する犬のベイブ君、州務長官は近くのネコ、マックス君にするつもりだとか。残念ながら立候補は州の選管に却下されてしまったそうですが、こういう流れが出てくると世の中どんどん良くなっていくと良いと思います。日本の都知事はパンダ、総理は子犬、それでいいんじゃないですか。少なくとも彼らはヘイトスピーチや嘘はつきませんからね。


http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3291534.html


一方 日本ではテレビをつけるとオリンピックばかりです。もっと大事なことはいくらでも有るのに、放送している方も見ている方も少し頭がおかしいんじゃないかと、正直思います。


そんなことより今 国会で労働基準法の改悪が進んでいます。ちょうど今週 安倍晋三がインチキなデータを基に答弁して居たとして、裁量労働制で労働時間が短くなる』という国会答弁を撤回しましたが、これは恐ろしい話だと思います。


衆院予算委:首相が答弁撤回 裁量労働の根拠データに不備 - 毎日新聞


今 進んでいるのは残業代がつかない裁量労働制の適用範囲を広く拡大しようという話です。今までは裁量労働を導入するには、コンサルティングなどの職種や企業中枢の企画・研究業務といった縛りがありました。今回はそれを大幅に拡大して、法人営業全般など幅広く拡大することをもくろんでいるようです。
何故 法人営業なのかさっぱりわからないし、そうやって法人営業に適用されたら、営業全般にだって拡大されるに決まっています。もちろん 営業だけじゃありません。6日には裁量労働制最低賃金契約社員にも適用可能』という答弁書閣議決定されています。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018020601001431.html


まさに、奴隷労働じゃないですか!以前 『高度プロフェッショナル制度』の話が進んでいた時は法案に年収要件が明記されていたので、それほど心配していなかったのですが、これはやばい。こっちが本命だったか、という感じです。
*こちらは今回の裁量労働制拡大の解説「裁量労働制の拡大」とは?高度プロフェッショナル制度より影響大!?(弁護士が解説) | 残業証拠レコーダー


ボク自身は残業代なんかつかないから、どうでもいいと言えばどうでもいいですが、若い人たちにとってはとんでもない話です。この問題は皆が関心を持たないと本当にやばい。社会を根底から破壊しかねない。北朝鮮のことなんかより、はるかに問題が大きいと思います。
●東大講師の三浦瑠麗がヘイト・デマをTVでまき散らしたのもひどいと思いましたが、裁量労働制は総理自らデマを国会でまき散らしたわけです。




さて、読書の感想です。1月に出たばかりの新・日本の階級社会 本屋でも目立つところに並んでいますから、売れているんでしょう。
著者は早稲田の社会学教授、長年『階級』の観点から日本の社会を分析してきた人です。同じ東大出身でも、根拠のないヘイト・デマをまき散らす三浦瑠麗のようなバッタものとは違い、きちんと学術的な業績があります。


内容はこんな感じです。官庁等の統計の他、さまざまな社会調査データ、なかでも橋本教授らが定期的に行っているSSM(「社会階層と社会移動全国調査」)調査データ(2015年)と、2016年首都圏調査データを中心にしたデータを基に、最新の状況を分析したものです。


かって一億総中流と言われた日本は80年代以降 格差の拡大が進んでおり、最新の調査ではもはや『階級社会』に変貌を遂げている。労働者は正規と非正規労働に大きく分化し、男性は人口の3割が貧困から家庭を持つことが出来ず、ひとり親世帯の貧困率は50%にも達しており、日本には莫大な貧困層が形成されている。この40年間の政府の無策により、金持ち以外は生きるのが困難な恐るべき社会になりつつある。


人間嫌いで狭い世界で生きているボクですが(笑)、普段の生活でも日本が『階級社会』になりつつあるのは強く感じます。今の世の中の5〜6割くらいは東大か慶應幼稚舎の出身者、世襲の金持ちで動かしている、と思いますもん。だって政治家を見ても、企業の経営者を見ても、官僚のトップを見ても、殆どそういう人たちばかりじゃないですか。もちろん、そういう人たちが全員ダメというわけじゃなくて、優秀だったり、良心的な人もいるけど(サイテーの奴もいる)、とにかく固定化されていることは否めない。そういう人たちは何かしら どこかでつながっている。姻戚じゃなくても、誰それさんの先輩・後輩とか、ホテル・オークラのスポーツクラブや六本木の飲み屋とか、自由が丘の幼児体操教室とか、テニスコートとか、そんなのばっかりです。


身の回りの話だけでなく、東大の学生の出身家庭の平均年収は900万〜1000万などパブリックなニュースを聞くと、やはり日本は階級社会になりつつあることがわかります。昨年 姪っ子ちゃんが大学に入ってつくづく思ったんですが、最近は文系の大学ですら私立だと学費だけでも4年で500〜600万かかる。理系はもっとかかる。今は国立だって結構高い。いずれにしても どこの家庭でも簡単に払える額じゃありません。
人材しか資源がない日本で、金持ちに生まれなければ高等教育を受けられないというのは致命傷です。もちろん例外はあるにしろ、大筋としてと、そういう社会の仕組みになっているのは非常にまずい。自殺行為です。


橋本教授は前述のようなデータをもとに、社会が階層分化し、なおかつ階層が固定化しつつあることを述べています。例えば資本家の4割は親が資本家です。一方 親が資本家で自分が労働者になるものは1割しかいない。この本には出ていませんけど、政治家でやったら面白いんじゃないですか(笑)。
でも アマゾンでこの本の書評を見ると、一杯悪口が書いてあります。『左翼の本だ』、『格差が何故悪い』、『直近のジニ係数は改善している』、『非正規はバイトが含まれてるんじゃないか』etc。ネトウヨだか何だか知りませんが、一般常識がない、針小棒大であまり頭の良くない人たちだとは思ったんですが、それも踏まえて読むとこの本は余計に面白かった。階級意識の典型的なサンプルですもん(笑)。


ボクが面白かったところをご紹介します。まず、現代の日本はこのように階層分化しているというのです。


まず労働者階級をひとくくりで考えるのは間違いで、金銭的な面だけでなく意識の面でも、正規と非正規で分けて考えるべきだということ。また中間層も旧来の自営業者や農業従事者が大幅に数が減ったかわりに、専門職や管理職などの新しい中間層が台頭しつつあること。新中間層には公務員も数多く含まれます。


言われてみると、確かにそうかな、と(笑)。例えば世帯年収はあまりにも大きく隔たっている。資本家の世帯年収がやや低く感じられるかもしれませんが、零細企業で奥さんが役員だったりするものも入っているからだそうです。従業員30名以上になると年収は約1300万円に跳ね上がります。
自民党の支持率は資本家・旧中間層が高く、非正規が際立って低い。自営業者っていうのは独立独歩の精神が強い代わりに保守的で、古くはムッソリ―ニなどのファシスト、チリの軍事政権、日本では自民党の票田でした。一方 主婦のパートを含めると1700万人の非正規層と他の階層とでは収入の面でも意識の面でもかなり異なっている。無党派比率が最も高く、自民党支持率が最も低い。彼らの投票率は判りませんが、我々が物事を考えるうえでもこういう現状認識は持った方が良いと思いました。


次は先ほどの図を人数換算してみました。

自民党を支持する人が多いと言っても、無党派層の半分、組合加入者とほぼ同じ数しかいません。無党派や組合加入者がまとまれば、自民党もなんてことないんですね。やはり安倍1強なんて不幸な状態が続くのは野党がだらしないからです。野党こそが安倍晋三の最大の応援団です。それにしても、この国は自分が幸福だと考える人が就業者全体の3割しかいません。資本家だって、半分以下です。日本は国民にとって非常に生きにくい国になっているのが改めて判ります。



さらに階級による意識の差を見てみます。階級による『格差認識の差』と『自己責任論の広がり』の問題です
●階級別の『格差認識』と『自己責任論』


資本家は格差に対する認識も低いし、自己責任論を強く信じている。一方 非正規やパートは格差を強く感じている。一方 主婦パートを除き、どの階級も自己責任論は比較的強い。非正規ですら貧困は全て自分が努力しないから、と考えている人間が4割近くいる。自己責任は一面の真理でもありますが、それだけでは視野が狭い、頭の悪い論理でしかありません。誰だって怪我をしたり、病気になったりする。世の中を全て自己責任で解釈するなんて幼稚な話です。
この自己責任という病を如何に抑えていくか、は現代日本の大きな課題だと思います。簡単に言えば、『人間にはできることとできないことがある』というだけなんですけどね(笑)。著者によると 格差に対する認識を持てば、格差是正に対する意識も高まるという相関があるそうです。格差の問題に頬かむりせず、まず格差を語ることは非常に重要だと思います。


あと もう一つ、この本で取り上げられているのは、格差是正に対する姿勢に加えて、排外主義の問題です。
というのは格差是正という姿勢だけでしたら ファシズムになりかねません。日本でもドイツでもファシズムは『格差是正+排外主義』の形を取って現れました。ブレクジットもそうです。ただトランプや安倍晋三も賃上げとか言いますけど、本質は『格差容認+排外主義』ですよね(笑)。
●階級別の『排外主義』と『格差への姿勢』


中国や韓国に対して反感を持っている人が多いのには驚きます。主婦パート層と旧中間層を除くと全体の6割程度です。特に非正規層の反感の高さが目につきます。ネトウヨネトウヨたる所以でしょう(笑)。
最悪なのは『排外主義+格差容認』の連中です(灰色)。資本家層の40%がそうなんですね。正直もっと まともだと思ってました。非正規や主婦パートでも25%がそのポジションです。そういう人たちは日本版ブレクジット賛成派、自分で自分の首を絞めたいってことなんですよね。ボクはこの人たちとは一切、口を利きたくない。
一方 多文化主義格差是正』という人たちは全体の2割弱(黄色)。ボクもここに属しますが、ここにいる人たちが階級にこだわらず如何に横に広がっていくかは一つのキーになると思います。純血主義じゃ勝てない。


この本の統計自体はサンプル数や標本調査の方法などが記されてないので、そういう意味では分からない部分があります。ボクはここは納得できない。だけど、大まかには感じていたことが 数字で実証されているのは意味があると思います。細部はいいのよ、流れさえつかめれば(笑)
この本の終章で述べられている格差是正の方法、例えば累進課税、相続課税、資産課税は目新しくはないけど大賛成です。財政負担を避けながら日本の景気を良くし、社会を活性化する、にはボクはそれしかないと思います。そしてリベラルの結集をどうするか。


自民支持層だけでは過半数を占められないのと同じように、リベラルな人たち、多文化主義格差是正といったリベラルもそれだけでは過半数を占められません。リベラルが保守側にウィングを伸ばしていけるか、そこがキーになると思います(だから逆に安倍晋三は賃上げとか言っているわけです)。より多くの人たちでコンセンサスを如何に作っていくか。そのためにはまず今の日本は既に格差が広がった階級社会であること、階級社会は特に日本にとって致命的であることを皆で論じていく必要があるでしょう。この本については次回 もう1回書きます。



ということで、今週も官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
昼間は暖かさがありますが、朝晩はまだまだ寒い。来ている人の間では「官邸前に来ていると気が張ってインフルにかからないのかも😄」という笑い話が出るくらいでした。今日の午後6時の気温は7度、参加者は650人。
●抗議風景




昨年の神戸製鋼の会社ぐるみのデータ改ざんは記憶に新しいですが、今週 神戸製鋼の子会社が作った、核ゴミの地層処分のデータにも不正の恐れがあることが発覚しました。この子会社『コベルコ科研』は昨年もDVDの材料で不正をしたのが発覚しています。札付きの会社です。


神戸新聞NEXT|総合|神鋼子会社 核のごみ地層処分データで不適切行為


特定分野では神戸製鋼はシェアが高く、原発でも連中の部品が使われています。容器や配管など一部の部品については電力会社は安全であると発表しましたが、燃料被覆管などは依然 結論が出ていません。また福島1Fの汚染水タンクも原子力規制委員会から調査指示が出ています。

神戸製鋼の部品 原発でも多数使用、不正は? (1/3) 〈東洋経済〉|AERA dot. (アエラドット)


日本の技術に胡坐をかいていたのが、福島の原発事故の原因の一つでもありました。下町ボブスレー然り(笑)、新幹線の台車破損然り、今回の神戸製鋼のデータ改ざん然り、その教訓は十分に生かされていないようですね。また同じような事故が起きたら、日本は破産しかねないんですけどね(笑)。この期に及んで原発にしがみつくなんて どれだけ頭がお花畑なんだ、と思います。