特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『貧困を救えない国 日本』と『1207再稼働反対!首相官邸前抗議』、『まともな国会運営をもとめる#1207国会前抗議』

今週は温かくなったり、寒くなったり、不安定なお天気でした。
駒沢公園の紅葉。少し前のCMで白石なんとかって女の子が歩いていた辺り(笑)です。
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 月曜日にあった今年1回目の忘年会の時、取引先の部長さんに『今年は忘年会は何回くらいあるのですか』と聞いてみたら『週3回くらい』とのことでした。他の人もそんな感じみたい。

 月3回の忘年会で怒りに身を震わしているボクからしたら信じられませんが、サラリーマンの相場はそんな感じかもしれません。勿論 頻度は業種や企業、その人の年代にもよるでしょうが、そんなペースで宴会なんかやっていれば、家事や趣味、勉強など仕事以外のことをやったり、物事を考えたりすることなんかできません。つまり、まるっきりのアホ状態になってしまいます。


今週 国会を通ってしまった、水道を民営化可能にしてしまう法案や通過目前の入管法もそのせいでもあるでしょう。忘年会のせいだ!(笑)。

 水道については老朽化したインフラの更新費用の問題はわかりますが、民営化して更新費用が解決するわけはありませんし、むしろパリ市など水道民営化の失敗例は多く聞こえてきます。

 また現場のブラック待遇を改善しないまま外国人労働者を受け入れる入管法は将来 第二の徴用工や慰安婦の問題にもなりかねない。競合する分野の日本人の給与も下がるに決まっている。
 こんな問題だらけの法律を通してしまったのは、一義的にはまともに審議をしない与党、それにくだらないニュースばかりでまともな報道をしないマスコミに罪がありますが、最も大きい原因は国民が政治に関心を持たないことです。
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 何で水道を民営化可能にするのか、なんで外国人を家族も連れてこれない奴隷状態で受け入れるのか、ボクにはさっぱり理解できませんが、理解できないのは、かっての郵政民営化もそうだし、特定秘密保護法もそうだし、共謀罪も安保法制も同じです。

勿論 法案が通ったとしてもまだ、終わりじゃありません。水道の民営化だったら地方議会からの発議が必要だし、市民にやれることはたくさんある。パリのように市長を社会党に代えて水道民営化をひっくり返すことだって出来るわけですし。

だけど、やはりこの国というか、日本人には明るい未来があまり感じられません(笑)。他人をどうこういう気はありませんが、やはり自分の頭で考えようとしないくせに、他人の足を引っ張る人ばかり、目につきますもん。権威に弱いというか、要は無責任なんですね。自分に対して。





さて、読書の感想です。
貧困を救えない国 日本

貧困を救えない国 日本 (PHP新書)

貧困を救えない国 日本 (PHP新書)

 社会政策学者の阿部彩氏とルポライター鈴木大介氏の対談本です。国立社会保障・人口問題研究所を経て首都大学東京の教授になった阿部彩氏は貧困の研究者として著名です。たまにNHKでも出てきますし、この人のことはブログでも何度か取り上げました。クールな頭脳と熱いハート(笑)を持った人です。
spyboy.hatenablog.com


 鈴木大介氏を取り上げるのは初めてですが、貧困現場を取材するルポライターとして著名な人です。TBSラジオの荻上チキの番組でも良く取り上げられています。鈴木氏原作の映画「ギャングース」を見る前に一冊、著作を読もうと思ったんです。
gangoose-movie.jp

 本の内容をアマゾンからコピペします。
日本の相対的貧困率は15.7%(2015年)にも上るが、日本には本当の貧困なんてないと言う人もいる。そんな人にこそ伝えたい現実がある。一時的にせよ「飢えた」状態に置かれてしまい、万引きをしなければ食べ物にありつけない貧困家庭の子どもは少なくないのだ。本書では、貧困問題のリアルと本質について、社会調査とデータのエキスパートと貧困家庭の現場を徹底して見聞きしてきたライターが語り合う。貧困への無理解に対抗するための本音対談。


 対談本なので、論点が拡散するところは多いのですが、ボク自身学ぶところが多い本でした。今の子供の相対的貧困率は13.7%(7人に1人)ということは判っていても、物質的な面だけでなく子供の居場所があることが重要とか、貧困に陥っている人は精神的ストレスで脳が正常に働きにくい状態になっていることがあるとか、役所の貧困対策窓口に配置されるのは専門家どころか素人の新人が多いとか、貧困対策の窓口と精神医療の連携が重要である、と言った現場ならではの話は理解できていませんでした。

 日本全体の相対的貧困率がおよそ6人に1人、15.7%もあるにも拘わらず、一部の政治家や人間は、日本には貧困がない、もしくは自己責任のように思い込んでいるんですね。対象者は1900万人もいるのに!

以前 「今や 労働者階級の下に非正規労働者+パートからなる『アンダークラス』という階級が出来ている」という橋本健二早大教授の話をご紹介しましたが、もはや格差といった生易しい状態ではなく、日本には二つの国がある状態になっているのかもしれません。良く言われる、貧困が見えない、見えにくいということは、それ以外の人々にとっては彼らの生活が想像すらできない状態になっている、ということなのですから。
『裁量労働制の拡大』と読書『新・日本の階級社会』、それに『0216再稼働反対!首相官邸前抗議』 - 特別な1日エキタスの『新宿アルタ前大街宣』と、ユーモアは病気にも差別にも負けない:映画『ビック・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』 - 特別な1日

 絶対的貧困だけでなく、他との格差によって生じる相対的貧困(日本の場合、定義は所得の中央値の半分以下。概ね月収10万以下)も社会に与えるダメージは変わりません。特に都会部で月収10万では栄養も教育も事欠くでしょう。子育てなんかとんでもない。少子高齢化とか騒いでいる割に、そういうところに対策を打とうとしない。このこと一つ取ったって、貧困を無視することは社会全体の利益にとっても有害であることが判ります。

東大で感じた「学力の差=経済力の差」 現役東大生が目指す、教育格差のない社会 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

 尚且つ、他人を叩くことで自分の立場を正当化する人々があまりにも多い。そういう性癖は自分たちも決して豊かとはいえない、地方のマイルドヤンキー層に多いそうです。最近は地元意識が強く東京に出ることすらリスクと考えている年収300万以下の層が増えている。
 孤立をリスクと本能的に感じている彼らは身内、仲間に対しては濃厚な付き合いをするが、それ以外には超攻撃的だそうです。その矛先が貧困層に向いている。自分たちの仲間ではないからです。

 世の中が厳しくなっていった結果、そのような人たちが増えているのは、貧しかった昔の日本への先祖がえりというか、退化というか、絶望的な気持ちになります。
 でも、彼らにも一理ある。今の日本では例え高給をもらえる就職先に勤めたって、健康や事故で問題が起きれば、あっという間に奈落の底です。地元という目に見える安定にすがるのは短期的には合理的な面もある。ただし、緩やかに衰退していくんですけどね(笑)。マイルドヤンキー層は刹那的で自分が50歳を過ぎたときのことを考えていない、と鈴木大介氏は指摘しています。


 あともう一つ、鈴木大介氏が貧困を作り出す社会システムとして、『婚姻、新築の家、教育』の出費を挙げています。婚姻や新築の家、行きたくもない大学などにムリして出費させる風潮や宣伝が人々を一層貧しくしている、というのです。最近は「豪華な結婚式向けのローン」なんて馬鹿げたものがあるそうですし、大学の学費だって私立では学費だけで4年で5~600万はかかる(かといって、就職しても厳しいのですが)。大金を払ったにも関わらずブラック企業にでも就職してしまったら大変なことになります。
 それに家は大きな出費です。日本は土地が狭いということが言われていますけど、公共住宅への政府支出がヨーロッパ諸国に比べてはるかに少ないのも事実。家への出費が日本人を奴隷にしているというのは言えているかもしれない。
 貧困を作り出す社会システムの一つとしてボクはそれに加えて、コンビニやファーストフードを挙げたい。低品質だったり、身体に悪いものを高価格で売りつける、あれも貧困の罠、とボクは思っています。単価は小さいけど積み上げれば出費は小さくないはず。特に24H営業のコンビニはやり過ぎです。その無駄なコストが我々に転嫁されているだけでなく、エネルギー浪費の面からしたっておかしい。原発に反対しながらコンビニ使うなんて矛盾してるじゃないですか。


 雑駁な感想でしたけど、非常に興味深いし、他人ごとではない、という感想です。マクロで数字を押さえている阿部教授と現場を知っている鈴木大介氏の組み合わせも非常に良い。二人は相互補完しながら、実務的に問題を解決する、という共通点に立っています。現実的でなければだめなんです。
文中、二人は貧困問題を阻害する要因の一つとして『(元来 貧困問題に取り組むべき)左翼が311後 オカルト化して、ますます社会的に相手にされなくなった』という指摘をしていますが(おしどりマコのような連中です)、貧困が酷くなっているのは安倍晋三だけでなく、無能な左翼にも責任がある。
 
 最も恐ろしいのは貧困は民主主義そのものを破壊することです。民主主義は自分の頭で考えられる人々によって支えられることが前提です。でも、貧困による物理的、文化的欠乏やストレスは正常な判断力を破壊する橋本健二教授の本ではアンダークラスの人は保守指向が強いことが指摘されていましたが、トランプに投票したラストベルトの人々も同じですよね。日本も一歩一歩 自らの民主主義を破壊する道を進んでいる。既に6人に1人が相対的貧困なんですから。

 それにしても、この国には人々を貧しさに引き込む罠が広がっています。生まれた家にお金がなければ、普通に働いていても危なくてしょうがない、じゃないですか。ボクなんか、毎日が綱渡りのロープを歩いているようなものです。自分にできることは、連中の罠に陥らないよう、まず、自衛する。でもそれには限りがあることも判っている。しかし、今の政府のやってることにどうして皆、怒らないのかなあ。
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ということで、今週も官邸前へ。#金曜官邸前抗議
来週は勤務先行事の忘年会(怒)で抗議へ行けないので、今日はその分まで文句を言ってきました。午後6時の気温は15度、参加者は500人。
●抗議風景


 今週は原発関連の良いニュースがありました。
まず、三菱重工のトルコへの原発輸出がポシャったこと(笑)。


www.nikkei.com


安全対策の費用などで総工費が当初予定の2倍、5兆円に膨らみ、なおかつトルコの政情不安によるリラ安で、事業が不可能になったそうです。
バンザーイ(笑)。代わりにCO2排出量を抑える最先端の石炭火力発電所の新設などを提案するそうですが、トルコの人にとっても三菱重工にとっても、もちろん税金で穴埋めしなくて済む日本人にとっても良かったんじゃないですか(笑)。


もう一つは日立のイギリスへの原発輸出が著しい困難に直面していることを日立の社長が認めたこと。
diamond.jp


 日立はイギリスへの原発輸出は、『事業を行う英子会社ホライズン社への増資を行い、自社の持ち分比率を減らして、決算に大きな影響がない非連結子会社にすることを事業の条件』にしていました。
●2017年6月の時点で、日立は『2019年中に英原発事業を自社から切り離せなければ計画を中止する』と、投資家に約束しています。

www.nikkei.com


 既にホライズン社からは最初にアメリカ最強のゼネコン、べクテル社が逃げ出しました。その後 必死に日英両政府の融資や東電や政府系金融機関からの出資をかき集めたもののの、更にホライズン社に出資する企業が中々現れないそうです。
そりゃ、そうですよね(笑)。原発事業の採算を取るのは難しいって判ってるから政府や政府系金融機関が金を出しているのだし、日立自身だって自社の連結子会社から外そうとしているわけです。
 脳味噌がまともだったら、そこに出資するバカな民間企業が居るわけありません。そういう金があるのは中国くらいでしょう。

 現時点で撤退すると、日立には2700億円の損が発生、当期利益のかなりが吹き飛ぶそうです。勿論 東芝のように損失が1兆くらいに膨らまないだけマシなんですけど。
この記事では『日立は今後もホライズンへの出資者を探すが、国の支援拡充などウルトラCがなければ計画実行は難しそうだ』と結ばれています。
イギリスがこければ、日本の原発輸出は全滅です!(笑) もう一息!


 今日はもう一つ。『まともな国会運営をもとめる#1207国会前抗議

 昨日の木曜日も国会前で抗議行動があったのですが、ボクは木曜は金曜の分も含めて2日分 夕食を作らなければいけないのでパス。今日はその分も抗議してきました(笑)。
議席数を考えれば法案は通ってしまうにしても、黙っているわけにはいきません。組合でも市民運動(笑)でも、なんでもいいけど、こんな時に声を挙げないような連中は偽物でしょ!

 マスコミがまともに問題点を伝えないんですからしようがない、肉声とトラメガで伝えるまで! です😄。共産党小池晃氏が言ってましたが、国会内にも抗議の声は聞こえているそうです。
 木曜日の参加者は500人だったそうですが、今日は延べで1000人以上、2000人近くはいたんじゃないでしょうか(追記:主催者発表、延べ2000人)。豚議員ども、ざっけんなって!(豚さん🐷、ごめんなさい)
●抗議風景2. みんな怒ってるわ😄

www.asahi.com


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