特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『最新のGDP』と読書『東京五輪後の日本経済』と『1117再稼働反対!首相官邸前抗議』

最近はめっきり寒くなりました。学生のときは23日の勤労感謝の日に半袖で学園祭に行った記憶があるのですが、今ではそんな勇敢なことは全く考えられません(笑)
●今週 約10年ぶりに歩いた夜の横浜の街。横浜というところは人が多すぎるので好きじゃないんですが、雰囲気は良かった




久々に 経済のお話をしたいと思います。今週15日に最新のGDP統計が発表されました。2017年7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増、年率換算で1.4%増だそうです。プラス成長は7四半期連続で、約16年ぶりの長さと報じられています。

7~9月期GDP1.4%増 外需好調で7期連続、消費は減少 :日本経済新聞


その実態はどうなんでしょうか。下表のGDP成長率の推移をみると、たまたま最近はマイナスになっていないだけで、成長率の水準も低いし、上昇傾向でもないことがわかります。この折れ線を見て景気は良いと思う人はいないでしょ(笑)。
アベノミクスが始まってからの名目GDP成長率の推移(*物価を換算した実質値はもっと低い)


さらにGDPの内訳を見てみましょう。最大の構成要素である消費(家計)は伸びず、輸出や政府支出、企業の設備投資で若干 成長をしているということがわかります。この傾向は近年 ずっと共通です。ちなみに前年比ではなく同期比でみると消費はマイナスです。庶民にはお金は全く回っていないのです。

●7〜9月の名目GDPの構成要素


これを見ただけでも景気が良くなるわけがないことがわかりますよね(笑)。アベノミクスとやらで金融緩和や財政出動をすれば、企業の設備投資や政府の支出は伸びる。輸出も若干伸びる。でも家計には関係ない。日銀はインフラ期待を高めるとか言いましたけど、自分の身に振り返って考えて見ると金融緩和したから消費しようなんて思う人はいませんよね(笑)。今現在の生活も将来も不安なのに呑気に金を使うバカがどこにいるでしょう(笑)。経済学者も政治家も日銀の連中も生活の心配をしなくて済むから、生活感覚なんかないんです。連中はスーパーで夕飯の買い物しないから判らないんですよ。だから男が家事をしないのはダメなんです。唯一 金融緩和で円安になって輸出は増えましたけど、輸入は不利になるし、物価は上がって家計を圧迫しますから、個人の生活はますます苦しくなる。そりゃあ当然です。
こんなのアベノミクスが始まる前から、わかっています。ごく簡単な理屈なのに、もう5年も国民は騙されている。国民もアホですが、提灯担ぎばかりのマスコミもアホですよね。


今週15日の日経の記事が気になりました。日本に研究開発拠点を開く中国の携帯メーカーが初任給40万円で求人していると言うのです。同じ求人雑誌に載ったソニーは初任給22万ですから、勝ち目はありません。

#08 初任給40万円 中国・華為になびく技術者たち :日本経済新聞


日本企業の給与、特に管理職クラスの給与は中国や韓国、いやタイなどの新興国に比べても低いと言われています。日本企業が海外進出した先でもせっかく育てた人材が外資に引き抜かれるなどの話は日常茶飯事です。もはや日本企業の給与は国際的には高くないんです。低い、と言っても良い。それで優秀な人材が集まるのか、競争に勝てるのか、という危惧はどうしても拭えません。欧州でもアジアでも、近年 海外旅行に行かれる方は物価の高さに驚かれることが多いと思います。アベノミクスだのなんだの粋がっていても、グローバルに考えれば日本の経済は相対的にどんどん衰退しているんです。


それに関連して、読書の感想です。『東京五輪後の日本経済
著者の白井氏は日銀の元審議委員です。立場的には異次元の金融緩和に賛成し、マイナス金利導入に反対した人。今年退任(クビ?)して、現在は慶應の教授です。

東京五輪後の日本経済: 元日銀審議委員だから言える

東京五輪後の日本経済: 元日銀審議委員だから言える

一応 アベノミクスの異次元金融緩和の当事者ですからね。どんなことを言うのか興味津々でした。彼女は現状をこのように評価しています。
●異次元金融緩和
失敗した。期待した効果を得られなかった。インフレ期待は起こせなかったし、物価上昇率も達成できず、期待した効果は得られなかった。しかし、どのような政策も間違いの積み重ねでブラッシュアップされてきたものであり、異次元の金融緩和自体はやってよかった。大事なのは間違いを認めることである。

●マイナス金利
まったく効果を得られていない。マイナス金利は銀行の数が多く、現金の使用比率が高い日本ではムリ。

●日本経済の現状
五輪を控えて都会の土地の一部、アパート建設など一部ではバブル的な状況は起きているが、全面的にバブっているわけではない。ただしGPIF、日銀は株を買い続けることで株価は上がっている。GPIFは36兆、日銀は15兆も株式を保有しており、それぞれ第1位、第3位の大株主になっている。これはどう考えても持続可能な状況ではない。

●経済学が判らなくたって知能指数の欠片でもあれば、この程度のことは判るはず。

で、元日銀審議委員の眼から見ると、これからの日本経済はどうなるでしょうか。
●今後日本経済はどうなる。
・五輪後を考えると不動産にしろ、景気にしろ、あまり良い要素は見つからない。金利差の問題から為替はいったん円高に進んだのち、長期的には円安になっていくだろう。
IMFなどの見方では日本の財政はいつ再建されるかではなく、いつ、どのように破たんするかに関心が移っているように見える。筆者もヘッジファンドなどから『日本経済に未来があるとは思っていない。ここ1,2年で儲けられれば良いので株を買っているだけだ』という話を聞いている。ハイパーインフレなどは考えにくいが、じわじわと長期的に円安が続き、気が付いたときには日本の経済・国力が衰退していることを思い知らされるようになるのではないか。
90年代 日本のGDPは世界の17%を占めていたが、今は5%に過ぎない。五輪後の経済衰退に備えて、金融緩和の見直し、移民の受け入れ、社会保障の見直しによる国民の将来不安解消などの議論を始めなければならない


国民の生活ではなくインフレ目標固執する等、著者は『学者さん』で実経済のことは判って無いなーとは感じるところはありますが、記述は驚くくらい平易だし(この人は頭いいんだと思います)、大筋は外れてないと思います。


金融緩和も、ここまで金をばらまいてしまったら急には止めることはできません。下手に停めれば株は下がるし、為替は動く。大混乱に陥りかねない。安倍晋三改憲さえできれば後は野となれ山となれ、なんでしょうけど、ツケは後世に回ってきます。そのツケとは長期的に円安で物価は上がり、生活は苦しくなり、日本経済はどんどん衰退していくのだと思います。そして株や外貨建て資産を持っている富裕層と庶民との格差はどんどん広がっていく。で、更に消費は減り、経済は更に衰退していくスパイラルに陥る。我々は真綿で首を絞められていくようなものです。今後 日本が世界経済に占める割合はどんどん低下していきます。日本経済の地位は低下 今こそ国際分散投資を|マネー研究所|NIKKEI STYLE。30年後の日本は人口増が続くインドネシア、もしかしたらバングラディッシュあたりの後塵を拝しているかもしれない(笑)。


著者は『自分で判断できる国民へ』と言っていますが、我々一人一人が『経済はお任せ、難しいことは判んない』っていうのをやめない限り、日本の経済ばかりでなく、社会もどんどん衰退していくと思います。



と、いうことで、2週間ぶりの金曜官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
今日の午後6時の気温は13度。思ったほど寒くはないんですよね。誰かが声を挙げ続けなければいけないんだから、冬場は雨が少ないのが嬉しいですよ。今日の参加者は600人。
●抗議風景




今朝 敦賀原発や東海第二原発を持っている日本原電が廃炉のために準備しておくべきお金(解体引当金)を流用し残高が大幅に不足している、とのニュースが流れました。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171117-00000012-asahi-soci


原電が持っている東海第二は来年11月に運転開始40年、敦賀原発2号機(福井県、同)は建屋下に活断層が走っている可能性が指摘されています。このままではこれらの原発廃炉を迫られても、作業に必要な費用を賄えない可能性がある、というわけです。今に始まった話ではありませんが、酷い話です。
データ隠しや事故隠しにデータ改ざんと、東電、関電、日本原電はさんざん嘘とごまかしを繰り返してきました。普通の企業であれば下手なことをすれば潰れる、というプレッシャーがありますから、よほど腐ってない限りはあまり酷いことはできない。しかし独占企業である電力会社は市場のプレッシャーが薄いですから、やりたい放題、というわけです。電力会社の地域独占という構造を名実ともに変えていかないかぎり、今後も事故はいくらでも起こり得る。原子力規制委員会の学者や職員が長い時間をかけて書類を審査するまでもなく、一般常識で考えれば、そう考えるのが当然だと思います。そんな連中に原発なんて危ない物を任せられますか(笑)。