特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『目黒でサンマ、じゃなくて、グローバリゼーションを考える』と『0825再稼働反対!首相官邸前抗議』

今週は一気に真夏の暑さが戻りました。猛烈な暑さです。それでも、蝉の声や陽の光の勢いには夏が終わる気配が感じられます。いい歳こいて、別に夏が楽しいわけじゃありませんが、なんとなく寂しさを感じます。
●行く夏を惜しんで。先日の旅行で見た鄙びた海辺の旅館


24日木曜の朝日 新聞一面に『地域に書店が一店もない自治体が増えており全国の2割にもなっている』、というニュースが出ていました。書店の数は年々減少して全国で1万2500店、2000年に比べて約半分になっているそうです。
http://www.asahi.com/articles/ASK8R5FDVK8RUCLV00Q.html

書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。出版取り次ぎ大手によると、香川を除く全国46都道府県で420の自治体・行政区にのぼり、全国の自治体・行政区(1896)の2割強を占める。「文化拠点の衰退」と危惧する声も強い。トーハン(東京)の7月現在のまとめによると、ゼロ自治体が多いのは北海道(58)、長野(41)、福島(28)、沖縄(20)、奈良(19)、熊本(18)の順。


これ自体はいかにも朝日らしいマッチポンプのくだらないニュースだと思います。全国の2割の自治体に本屋がないと言ってもコンビニもあれば通販もあるのですから、それらの地域で本が買えないわけではないからです。


ボクは本が好きなので、地方へ出張すると本屋を探します。県庁所在地あたりだと古典やハードカバーのきちんとした本を平積みするような文化的な😸本屋がたいていある。そういう街は概して古くからの城下町だから、やっぱり文化があるなーと感心したりします。でも大多数の本屋は雑誌と漫画、それにくだらない本(嫌韓本とか)ばかり並んでいるロードサイド店か、昼でもうす暗い寂れた商店街の店。そんな店いらないよ😜。そういう店が、もっと便利なコンビニやネット、それに本を探す楽しみがある大型書店に置き換わっていくのは当たり前の話です。本屋に限らず、ありきたりのものをただ売るだけの小売業が衰退していくのはもう止まらないでしょう。

●同じ日の東京新聞朝刊。朝日とはだいぶ違います。東京新聞は硬派の本屋、朝日はロードサイドのゴミ本屋みたい。



そんな話題から始めたのは、この前 アマゾンという企業の話を聞いたからです。非常に考えさせられる体験でした。
みなさんご存知の通り アマゾンは日本でも大幅に売上を伸ばしており、2016年は1.1兆円、国内第6位の小売業にまで成長しています。世界の小売業ランキングでは10位です。デパートやスーパーなど日本の小売業は落ち目ですから、多かれ少なかれアマゾンが日本の小売業のベスト3に入るのは間違いないでしょう。また小売業だけでなく、クラウドと呼ばれるコンピュータ環境を貸し出す世界最大の企業でもあります。ユニクロ三菱UFJ銀行が自社の巨大なコンピュータシステムをアマゾンに移すというニュースは大きな話題となりました。
●日本の小売業ベスト10(2016年)(日経)
アマゾン、国内で1兆円超 16年度本社調査 :日本経済新聞

●世界の小売業ベスト10(2016年)(デロイト・トーマツ
https://ryutsuu.biz/topix/j040421.html


一方 アマゾンについては『物流センターの労働環境がブラック「アマゾン物流センターの過酷な労働」BBCが潜入取材 | HuffPost Japanという指摘や『日本で税金を払ってない』、という指摘があります。アマゾンを庇うつもりはないけど、それは本質的な話じゃないと思っています。
物流センターへの指摘についてはそのとおりです。しかしヤマトでも佐川でも日通でもDHLでも、どこの通販の物流センターも似たようなものです。アマゾンだから特別に悪いというわけじゃないし、アマゾンは指摘を受けてロボット会社を買収してセンターのロボット化を大々的に進めました。むしろ進歩的、と考えることもできます。
●普通 物流センターでは作業者が商品を棚へ取りに行きますが、アマゾンのロボットは棚を作業者のところへ持ってきます。日本でも配備が始まっています。


一方 税金についてはアマゾンは消費税は国内で払っているが法人税は払っていません。しかし それは日米当局の話し合いで決まった話なので、アマゾンの問題ではありません。弱腰の日本政府が悪い。それにグーグル、スターバックスその他多国籍企業を含めた世界的な税制の問題です。
あともう一つ、今年公取に指摘された取引先に対する強圧的な姿勢はあるけど(平成29年6月1日)アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について:公正取引委員会、これは各種スーパーもヤマダ電機など量販店・コンビニもひどいもんです。アマゾンだから、という問題ではありません。取引先にはかなりえげつないことは間違いないでしょうけど。



ボクが考えさせられたのはアマゾンの本質、つまり哲学なんです。
アマゾンは『地球上でもっともお客様を大切にする企業である』という理念、そしてそれを『薄利多売』で実現するという方針があるそうです。顧客のためなら、徹底的な安売りをする、無駄なコストを省く、というんです。でも、それだけなら日本の量販店と変わらない。アマゾンは創業以来 殆ど利益を出さない企業として有名です。さらに株主にも配当を出さない。事業を拡大するためにカネは全て物流センターやコンピュータなどの投資に回してしまうからです。
●創業以来のアマゾンの売上(黒)と純利益(オレンジ)。オレンジの純利益はほぼゼロ、です。
• Chart: Amazon's Impressive Long-Term Growth | Statista


つまり、あの会社は『お客さんのためなら利益も出さない、税金も払わない、株主にも配当を出さない』、ということを本気でやっているんです。
ピケティは『資本主義は株主など資本家の方が、働いている人より儲かる仕組み=「r(資本収益率)>g(経済成長率)』と喝破しています。しかし、それはアマゾンには当てはまらない。配当を出さないんですから(笑)(*正確にはアマゾンの株価は上がり続けていますから資本家が全く儲からないわけではありません)ゴールドマン・サックスみたいな金融だって、軍需産業だって、連中が極悪非道なことをやるのは株主に配当を出すことが目的です。アマゾンは良くも悪くも新しい資本主義の形の一つかも、しれません。
●創業者のジェフ・ベゾスが事業を始める際にレストランのコースターの裏に描いたというアマゾンのビジネスモデル。内側の輪が品ぞろえ、外側の輪が安売りで顧客を喜ばせ、企業の成長(真ん中)につなげるというモデル(アマゾンのホームページより)


日本のアマゾンの警戒厳重なオフィスの中を歩いているのは日本人だけじゃなく、インド系など外国人比率が滅茶苦茶高い。社長は香港出身です。格好はTシャツなどラフですが、話すと優秀な人たちばかりです。中途採用が多い社員は優秀であるだけでなく『お客さん優先』という理念にマッチしているかどうかが理念専門の面接官から厳しくチェックされるそうです。もちろん仕事は目標必達、ダメならクビ。雇用面のトラブルも一部で報じられていますが、間違いなく給料は高いし待遇は悪くない。優秀な人にとっては悪くない会社かもしれない。でも個人的にはこの企業では働きたくない、です。ムリ(笑)。
●社内のエレベータまでアマゾンの梱包模様になっています。


これをどう考えたらよいんでしょうか。
消費者にとってはアマゾンは安くて便利です。ボクはバンバン使ってます。だけど税金も配当も払わず利益も出さない。その金を使って、超優秀な連中を集めた企業が『顧客のため』ということだけに集中して、しかも手段を選ばず、とことん理詰めで攻めてくる(笑)。
一方 何が『顧客のためなのか』を決めるのはアマゾンです。彼らのモットーには『誤解されることを恐れない』というのがありますが、言葉を言い換えれば独善的、でもあります。しかも利益を出さないから金は山ほどあります。我々はそういう企業と競争もしなくてはならないわけです。それで前近代的な小売店がなくなるくらいだったらいいですが、小売業もコンピュータもアマゾンが世の中のかなりの部分を支配してしまう可能性もないわけではない。ある意味 アマゾンの奴隷ってこともあり得る。


以前 アメリカの経団連(全米商工会議所)の日本代表が『郵政民営化は私たちが日本政府にお願いしました』と講演会で公言したのを聞いたことがあります。政界を2分した郵政民営化って小泉がどう、という話じゃないんです。当時アフラックの会長の彼は『我々が参入すれば、日本の消費者の皆さんもよりよい商品を購入できるようになるから良いじゃありませんか』と言っていました。一理あるでしょ。

アマゾンもそれと同じです。消費者としての我々は大きな利益を得られます。ボクの趣味で言えば、昔は珍しいCDを探すのは1日がかりでした。渋谷や西新宿のCD屋を何軒もまわって探したものです。今は検索してクリックするだけ(笑)。今や読経のお坊さんまでワンクリックで派遣されてきます。今までボッタくっていた坊主の料金が透明化されるのはボクは賛成です。
一方 ビジネスではアマゾンのような連中と競争していかなければならない。本屋もCD屋も家電屋も、ただ物を売るだけの小売店はバンバン潰れるでしょう。彼らと同じように手段を選ばず拡大していくか、全く違う路線(ニッチ・付加価値路線)で行くか、もしくはアマゾンに勤めて奴隷のように働くか(笑)。


バカ左翼のように何でもかんでも大企業のせいにしたり、ネトウヨのように中国や韓国のせいにするだけでは、世の中の問題は解決しないんです(笑)。資源がない日本は、まさかグローバリゼーションを拒否して鎖国なんてできません。さあ、どうしたらよいでしょうか😆。
アメリカではこだわりの生産者たちによるアマゾンへの不買運動も始まっています。また古書などネットで見つけにくい品揃えを追求することで生き残っている書店もあります。 巨人アマゾンの弱点突く、生産者たちの「不売運動」 :日本経済新聞


アマゾンに代表されるグローバリゼーションやテクノロジーの進歩は努めて現代的な問題を提示していると思います。我々一人一人の問題です。つまり、
 利益や利便性と我々自身がどうバランスを取っていくか。つまり、人間とはなんなのか
アマゾンの本社は今 目黒にありますが、目黒でサンマ、ではなく、目黒で『人間とはなんなのか』を考えさせられるとは思いませんでした🤣




ということで、今週も金曜官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
とにかく暑ーい。昼間の気温は36度、午後6時でも34度。もはやお風呂と変わりません😄
午後6時としては今年一番の暑さかも。それにもめげず、今日の参加者は750人。
●抗議風景






今週末は茨城の知事選です。反原発の候補と自公の落下傘候補、それに選挙になって、急に再稼働反対と言いだした現職の戦いです。ボクだったら、絶対 現職に投票します。当選の可能性がある中で一番マシな候補に入れるのが、自分の票を無駄にしない方法です。反原発泡沫候補への投票は自公への援護射撃になりかねません。


24日 トモダチ作戦」に従事したという米国居住の157人が、放射能被ばくによる被害を受けたとして、50億ドル(約5450億円)の基金の創設や損害賠償を求めて米国の裁判所に提訴したそうです。2013年3月に米国で同種の提訴(原告数239人)を受けており2度目になります。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170824-00000060-reut-asia
ロイターの元記事;「トモダチ作戦」157人が米で東電を提訴、50億ドル基金要求 | ロイター

前回と合わせて約400人もの人たちが訴訟をする大きな話ですが報じた通信社はロイターだけでした。日本という国はどうしてこう、不祥事がうやむやになっちゃうんでしょうか。2011年のオリンパス粉飾決算でもそういうことがありましたが、結局 外国人が訴訟しないと、原発事故による被害も明らかにならないのかもしれません。

このこと一つ取っても、稲田や加計の件にしろ、日本はとても独り立ちできない国だし、自立できない国民じゃないかと思えてなりません。コノザマじゃ、日米地位協定がどうのなんて遠い話じゃないでしょうか。