特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

 『デヴィッド・ボウイ大回顧展』と『マスコミのスクープ2題』、それに『0210再稼働反対!首相官邸前抗議』&TBS『報道の魂』

先日 ボクより若い人に『あと10年もしたらメールとかブログとか無くなり、3D映像メールとかになるかも』と話していたら、『10年先なんて、長いですよと言われて、正直 ハッとしました。この10年を振り返ると、自分ではあっと言う間だったからです。リーマンショックがあって、民主党政権があって、311があり、安倍晋三の復活があり、安保法があって、この10年は非常に短く感じました。でも、10年は長いという感覚は確かにわかる。自分もかってはそうだったから (笑)。
                                      
この前行ったお店で入り口の坂を登ったら、頭の上で白梅が満開でした。花らしい花を久しぶりに見たからすごくうれしかったです。最近は、『自分の人生であと何回 こういう景色を見られるだろう』って感じることが多いんですけど、まだまだ先は長い、という考え方もある、と思いました。自分の中の感覚が知らず知らずのうちに、デフォルトで人生撤収モードになってるのかなって思った(笑)。それはそれで新たな自分を発見したんですけどね。新たな発見ができなくなったら、文字通り、撤収なんでしょうけど。
●今週 一番感動したのが、坂を登ったところで咲き誇っていた梅。寒い時期に花を見ると、何か救われるような気持ちになります。





さて、展覧会『DAVID BOWIE is - デヴィッド・ボウイ大回顧展 』に行ってきました。2015年にイギリスでヴィクトリア&アルバート博物館で公開され、現在は世界巡回中。昨年の彼の死去で遺作展になってしまいました。

                                     
会場は天王洲の倉庫を改装したギャラリーです。展示物は彼の直筆歌詞や莫大な数のステージ衣装、それにプロモーションや舞台・映画などのヴィデオが山ほど。入場時 ヘッドホンが渡されて展示物の正面に立つと、それに応じた音楽が流される仕組みです
展示物は特にステージ衣裳が多かったです。バイセクシュアルを公言してスターになった彼が、社会的に決めつけられた『男らしさ』(ジェンダー)なんか、ぶち壊していいんだ、ということを世界に理解させた功績は非常に大きい、文字通り世界を変えた と思いました。彼が亡くなった時にドイツ政府が言っていたように、ボウイはベルリンの壁をぶち壊す手伝いをしただけでなく、世界中の男が自由になる一翼を担った。もちろん作品が良かったから、彼の女装や仮装もふんどし姿も説得力があったんですけどね。ちなみにボウイのふんどしパンツも飾ってありました(笑)。

あと、印象に残ったのはボウイの腰の細さ(衣装はどれも女性なみのサイズ)(笑)と歌詞作成用のソフト。単語を幾つかの候補からランダムに持ってくるロジックのプログラミングを施してあるそうです。
●ボウイが描いた三島由紀夫肖像画。結構いい絵だと思います。

http://www.asahi.com/articles/DA3S12761766.html

ただ展示としては、彼が作った作品はそれほど詳しくない、年代によって彼がやってることは全然違うのに展示が時系列ではない、ステージ衣装がやたらと多い、場内が暗くて展示の解説文が読みにくかった、などは残念でした。特に彼が創作の絶頂期にあった70年代にアメリカ⇒ベルリン⇒京都と流転していくなかでの精神的な変遷にボクは興味があるんですが、そういうのは無し(笑)。
●ベルリンに行く直前のボウイ。コカイン中毒から脱した頃のこの時期がルックスは一番かっこいいかも。展覧会にはまるで女性物のような、この頃の細いスーツが飾ってありました。

所要時間はゆっくり見て1時間半くらいでしょうか。解説があまり親切じゃないのでボウイのことを良く知っている人でないと展示の意味は判りにくいかも。そういう意味でも、展覧会をドキュメンタリー映画にした『David Bowie is』の方が良いかもしれません。今も時々劇場で上映されているこの作品はまだDVDにはなってませんが、いずれ商品化されるでしょう。こちらもマニアにしてみれば物足りない内容ですが、映像はスタイリッシュだし、V&A博物館による事績の紹介が時系列なので展覧会よりは遥かに判りやすいです。まあ、行かなかったら絶対に後悔するから、展覧会に行ったってことで満足したんですけどね!(笑)。
●これは勿論、一時期 ボウイの衣装を担当した山本寛斎氏の文字。


●今日 発売の76年のライブ。ジャケットも演奏も超カッコいいです。

Live Nassau Coliseum '76

Live Nassau Coliseum '76

*演奏が始まるのは2分過ぎ、本人が歌いだすのは6分過ぎ。文字通り、人間離れしたカッコ良さ。


                                                 
いつも、マスコミの悪口ばかり書いてますが(笑)、今週は2つ、マスコミがスクープをしました。
まず、木曜朝。朝日新聞の見出しにへ〜と思いました。

学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か:朝日新聞デジタル


朝日のスクープです。自分たちで登記簿調べて、良くやった。でも、これだけじゃ何が問題か判りにくい。ハフィントンポストのこの、見出しが物事を良く表現しています。


改憲を推進している日本会議の幹部が、生徒に教育勅語を暗唱させる国家神道をベースにした幼稚園(笑)に続いて小学校を設立しようとしていて、それに対して何故か国有地が格安で売却された。尚且つ、国はその情報を隠そうとした。そういうことです。ちなみに後追い掲載した産経の小見出しが面白いです。『昭恵夫人も感涙、愛国幼稚園が設立』って、いつの時代の価値観なんだ(笑)。本当に感涙したの?ラリッてたんじゃないの?(笑)。産経って一応 新聞と名がついているみたいですが、脳味噌は過激派のビラと変わんないですね。

勿論国有地を市価の一割で売却したのでしたら、そして情報を何故公開しなかったのか、きちんと説明してもらわなくてはいけません。それにしても、国家神道をベースにした学校なんてオウムが小学校を作るみたいなものですけど、そんなバカ学校へわが子を行かせようとする親が居るんでしょうか(笑)。●カは●ななきゃ治らない。ボクにはどうしても信じられません。


                                
もう一つは今朝。東芝です。内部告発を募集していた日経ビジネスのスクープです。

東芝内部資料で判明、中国でも原発建設3年遅れ:日経ビジネスオンライン

アメリカの原子力事業の損害が約7000億発生して会社存続の岐路に立たされている東芝ですが、新たに建設中の中国の原発4基全てで3年以上の工事遅れが発生していることが判りました。

米原発事業では工事の長期化で建設に携わる人件費などが想定を超えて膨らみ、巨額の減損計上を迫られたわけですが、更に中国の原発も同様の事態に陥っているわけです。14日に東芝は再建計画を発表するそうですが、アメリカだけでなく中国の原発でもリスクを抱えていることが明らかになった今、どうやって言い逃れをするんでしょうか(笑)。



ということで、今週も官邸前へ。
今日の午後6時の気温は4度!さすがに手も凍るような寒さでした。昼間は東京でも数分ですが吹雪になったりしたんですよ。それでも福島でスタンディングされているA0153さんA0153の日記や雪の豊橋でスタンディングなさっていたyonnbabaさんよんばば つれづれらに比べれば大したことは無いはずです。今日の参加者は主催者発表で700人。
●抗議風景





                   
今週5日の日曜深夜、TBSのドキュメンタリー『報道の魂』で『なぜ、私は変わったのか?元総理小泉純一郎と3.11』という番組を放送していました。報道の魂

                                        
今回は大阪MBS制作の小泉純一郎のインタビューでした。総理退任後 TVインタビューに応じたのは今回が初めてだそうです。と言っても、30分番組ですし、他の取材VTRもありましたから、インタビューの内容自体は手短なものでした。
原発は安くて安全だと私は騙されていた』、
『総理在任時 私は原発推進という過ちを犯したのだから、今度は過ちを正さなければならない』、
小泉進次郎原発の事を話すことはないが、彼は自分の話の内容を全て聴いている』、
トモダチ作戦被爆した米兵の支援を引き受けたのは、米兵たちは恨み言の1つも言わず、「日本に行ったことは全く後悔していない」と言われて心が動いたからだ。』、
『政界を去った後、こんなことを始めるようになるとは自分でも思わなかった。老人よ、大志を抱けという気持ちだ。』

                                        
彼は今 全国を巡りながら原発廃止を訴える講演を続けているそうです。原則、ノーギャラ。それにはちょっと驚きました。彼は本気なんでしょう。
                              
総理在任当時の小泉への反感から、彼が原発に反対し始めたことについて冷ややかな目を向ける人もいます。ボクも小泉が何か業績があったのかと言われると疑問だし、橋下や小池の元祖のような仮想敵を作ってポピュリズムを煽るやり方は大嫌いです。
                                      
でも、現実に原発に反対している人には現実的な人が少ないのも事実です。今すぐ原発全廃とか自然エネルギーとか威勢のいいことを言う人は居るけど、ホントにそんなことが出来るんでしょうか。原発を廃止することを決めたドイツもイタリアも台湾も10年単位の時間をかけて脱原発の体制を整える予定です。それが普通の発想です(笑)。まして核廃棄物はおろか、5兆円もの原子炉や核燃料をどうするのかも日本では議論すらない。

                                    
そう考えれば、小泉にしろ、城南信用金庫の吉原前理事長にしろ、ある程度 現実的な視野を持ち、世の中に影響力がある人材と組んでいくしか、原発を辞めることなんかできないと思います。強硬に即時脱原発を唱えている連中なんて、昔の日本軍や学生運動と一緒能無しの役立たず。ボクはそう思っています。それでもニコッと笑って、一緒に原発反対の声は挙げますけどね(笑)。
でも本当は、右左に関わらず現実から遊離した勇ましい話やデマ(ポスト・トゥルース)に惑わされずに冷静に物事を判断できる人を増やしていくことこそ世の中を良くするキーじゃないか、ボクはそう思ってるんです。

●ボクも募金しました。トモダチ作戦支援基金の募金先(城南信用金庫)(3月31日まで) http://www.jsbank.co.jp/38/tomodachi_kikin.html