特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

鳥越俊太郎 渋谷大街宣@渋谷ハチ公前と映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』

あんなに楽しみにしていた三連休ですが、我ながら、でれでれと、だらしのない日々を過ごしました。情けない(笑)。

連休の最終日は渋谷へ鳥越俊太郎氏の街宣へ行ってきました。何でもそうですが、ボクは出来る限り現場で自分の眼で見てみようと思っています。何度か国会前でスピーチしてたのは知ってるけど、この人が出ているTVも書いたものも触れたことないので、どんな人かなあと思って。

この日は色々な人がスピーチするリレートークという形式で、彼の魅力を出していこうという感じでした。
●失業しているという藤川さんと言う若い女性のスピーチからイベントが始まりました。彼女の率直な言葉には心を打たれました。

●東大の大澤真理教授

●長野選挙区で勝ち抜いたばかりの杉尾氏。彼との会話が鳥越氏の立候補に繋がりました。とにかく声が通るし話がうまい。安倍晋三小泉進次郎が3回も長野へ応援に来たが、ママの会をはじめとした市民の皆さんの力で跳ね返したと言ってました。


共産党の吉良ちゃん&民進党蓮舫氏。動員力はある意味この二人が最強なんでしょうか。選挙戦で二人とも声はガラガラでした。共に市民と一緒にやろう、ということを強調していました。1年前とは全然違います。


社民党の区議会議員 石川大我氏。ゲイであることをカミングアウトした日本で最初の議員です。LGBTのことに公約で触れているのは鳥越氏だけだ、と話していました。

●応援演説に来た森進一氏(左)。巣鴨なら良いけど、渋谷だと、誰?という感じ。渋谷区の住人だと言ってましたが、この人、ボクの友人の家の土地を買ったんだよなあ。その周りを千昌夫が買い占めて、昔 芸能ネタになりました(笑)。

●世田谷区の保坂区長


彼が登場すると周りの女性から『格好いい』という声が漏れます。確かに76とは思えないダンディさです。
自分のジャーナリスト経歴51年を71年、介護室を介護士などと言い間違えたり、一部でボケ、と指摘されている点は健在です。ちょっとハラハラする(笑)。しかし話の脈絡の中で聞いていると、本人は意味を分かって言っています。ボケと言うより、そういう言い間違えを頻発する人みたいです。とにかく人が好くて、なんでも話しちゃう、時にはダラダラ話してしまう人みたいですね。怒ったり人を非難したりするのは彼のスタイルじゃなくて、世間話が大好きなんだろうなあ(笑)。
●最後にご本人がスピーチ


それでも神経症だったという自分の父親の事を語りながら、『今までの、弱者はほったらかしの都政では世の中はおかしくなる』と言ったときは人々の間から大きな反響がありました。そういう物語を聞きたいんだよな。彼のスローガンは『働いて良し、住んで良し、環境に良し』です。環境に良しのところで原発に極力依存しない都政を、というところで、この日一番の歓声が上がりました。そういう客層なんでしょう(笑)。
彼の言ってることで良いのは、都政で出来ること、出来ないことをはっきり区別しているところ奨学金のことを訴えながらも、大学は国でしかできることが少ない、都で出来るのは高校生のサポートだ、とはっきり言っていました。彼の政策集もその傾向が強い。そういう姿勢が迫力がない、と思う人が居るかもしれませんが、ボクは出来もしないバラ色のことを言うより遥かに良いと思います。横田基地オスプレイ配備がどうの、とか言われてもなあ。
彼は『自分は細かいことまでは判らないなから、皆さんの意見を聞かせてくれ』と、しきりに強調していました。ジャーナリスト時代も色々な人の話を聞くことで本質をつかんできた、と。この日のイベントもそういうイメージが貫かれていた。それを一見 頼りないと感じる人は居るかもしれませんが、冷静に考えれば、今の複雑な時代に何もかもわかっている人なんかいるはずがない。東京では石原、猪瀬、舛添と自分の権威を必要以上に強調する知事が続きました。それでこのザマです。皆の声を聴く知事、という考え方は良いと思います。まさに市民に都政を取り戻す、でしょう。
●本人は握手に夢中でいつまでたっても大団円に移れず、周りがハラハラしていました。


                                                              
鳥越氏は人格的な魅力は非常にある人です。ネットやテレビの断片的なものではなく、彼の話を5分聞いていれば、いいおっちゃんだ、と多くの人は思うでしょう。だから、もっと人並みの中に入ってそれを訴えるとか、もうちょっとだけパッションを出すとか、選対は彼の長所を如何に生かしていけばいいと思います。『人々の声を聴く知事』、いいじゃないですか。とにかく極右の小池とか、大赤字製造機の増田とか勘弁してほしいです。


●余談:参院選三宅洋平を推薦したことの誤りを認めた内田樹のツイート。間違いは訂正すればいいと思います。ただ、内田の言ってることに騙された人は何人もいるわけですが。

ということで、青山で映画『シチズン・フォー スノーデンの暴露
世界中のメールや電話などをアメリカのNSAが盗聴していると言うことを暴露したエドワード・スノーデン氏。この映画は彼が情報を二人のジャーナリスト、ガーディアン紙のコラムニスト、グレン・グリーンウォルドとドキュメンタリー監督のローラ・ポイトラスに渡す瞬間を描いたドキュメンタリーです。昨年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞の受賞作品。制作は『ソーシャル・ネットワーク』などの有名監督スティーヴン・ソダーバーグがかって出ました。映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」公式サイト

                                           
昨年 いきさつを描いたグリーンウォルド氏の本『暴露』を読んで、このフィルムの存在は知っていたので、見るのを楽しみにしていました。だいぶ時間が経ってしまいましたけどね。。

暴露:スノーデンが私に託したファイル

暴露:スノーデンが私に託したファイル

                                       
スノーデン氏がこの二人のジャーナリストを選んだのは権力に負けないジャーナリストを探していたからだそうです。グリーンウォルド氏は元弁護士でブラジル在住、リベラルな新聞として有名な英ガーディアン紙で筆を振るっていました。映画を撮ったポイトラス氏はイラク戦争をテーマにしたドキュメンタリーを制作しています。既に米当局の監視対象になっている人です。
●スノーデン氏。横田基地で盗聴業務をしていた彼は日本のアニメが大好きだそうです。気持ち悪いオタクかと思っていたら、結構ハンサムなんですよね〜(笑)

                                    
スノーデン氏は二人を米当局の力が及ばない香港に呼び出します。そこで秘密ファイルを渡すと共に、公開方法を相談します。カメラは主にその1週間を描いています。ちなみに表題は以前にNSAの秘密を暴露した人が3人居て(そのうち一人はこの映画にも描かれています)、スノーデン氏は彼らの意志を継ぐ4人目の市民、を名乗っていたから、だそうです。
●情報提供場所のホテルの部屋。真中がグリーンウォルド氏、右がガーディアン紙のもう一人の記者。ポイトラス女史はカメラを持ってます(笑)   

スノーデン氏が滞在するホテルの狭い部屋に、グリーンウォルド、ポイトラス両氏、それにグリーンウォルドが連れてきたガーディアン紙の記者がやってきます。今まで暗号化したメールのやり取りはありましたが、まだ彼らとの間には信頼関係はありません。その中でスノーデン氏とジャーナリストとのインタビューが始まります。スノーデン氏が暴露を決意したのはオバマ政権への失望とドローンによる暗殺だったそうです。諜報活動の面では以前と変わらないどころか、もっと激しくなった。ブッシュ政権が成立させた『愛国者法』では、アメリカ国民に対しては制限があるものの、外国人に対しては制限がないことを利用して、世界中の要人の電話、メールの監視を行っているのです。

                                             
カメラの前のスノーデン氏は神経質そうではありましたが、聡明でまともな人物でした。それにハンサムだし(笑)。ただ行動が行動ですから、用心に用心を重ねています。すべてのメールには暗号をかけ、パソコンは盗聴機器がつけられていない新品のものしか使わないし、記者にも使わせない。部屋は常に盗聴されていないか用心をする。情報の受け渡し場所に香港を選んだのも、中国当局ならアメリカの圧力に負けないだろうと言う彼の読みです。時々カーテンから外を伺う姿が観客にも緊張感を高めます。部屋の中の盗撮を警戒して、スノーデンはパソコンにパスワードを入力する際、彼は毛布をかぶって入力するのです。本当の緊張感です。ドキュメンタリーとして、これは凄いです。文字通り、命がけですからね。
●パソコンやUSBメモリに盗聴装置が仕掛けられてないかチェックするスノーデン氏

                                    
報道の自由を守ることで名高いガーディアン紙もこの件では、さすがに記事の掲載を迷います。公表まで時間がかかってしまうと当局に妨害されたり、スノーデン氏が闇から闇に葬られる恐れもあります。身の安全のため!グリーンウォルド氏は自分でサイトを作って記事を公表する準備も進めます。ですが、ガーディアン紙も最後には覚悟を決め、世界各地の盗聴施設、盗聴・データ収集・分析の手口、各国首脳への盗聴、さらにドローンによる暗殺は全てドイツの基地から行われていることが暴露されます。
●スノーデン氏が潜伏している香港でも大きく報じられます。

ガーディアン紙に暴露記事が2回載って世界的に大きな反響が生じた後、スノーデン氏は自分の身元を自ら明かします。それ以前に記事を1回載せただけでスノーデン氏の自宅にはNSAが貼りつき、残してきた恋人は尋問されました。遅かれ早かれ見つかるのなら、自分の身元を明かすことで、闇から闇に葬られるリスクを減らそう、と考えたのです。この頃にはスノーデン氏とジャーナリストたちは信頼関係で結ばれるようになります。ここも、この映画の見どころです。
                                                  
彼が身元を明かすと場所を嗅ぎ付けたマスコミがホテルに殺到します。オバマ政権は彼をただの守秘義務違反ではなく、より重罪のスパイ容疑で捕えようとします。スノーデン氏は国連に保護を求め、なんとか出国、アイスランドかヴェネズエラを行先に考えていたのも果たせず、結局ロシアへ向かいます。

グリーンウォルド氏、ポイトラス氏、ガーディアン紙も米政府並びにその意向を酌んだ英政府から圧力を受けます。グリーンウォルド氏はゲイですが、そのパートナーまで嫌がらせで拘束されるのが映画で描かれています。イギリス人のグリーンウォルド氏は今はブラジルで暮らしています。ポイトラス氏はベルリンへ引っ越しました。スノーデン氏は彼を追ってきた恋人と一緒にロシアで暮らしています。グリーンウォルド氏やポイトラス氏とロシアで再会した彼が、彼に続いて内部告発をする人間が出てきたことが希望だ、と述べたところで映画は終わります。

                                              
ドキュメンタリー映画としてはあっと驚いたり、心理描写をみるようなものではありません。スノーデン氏が秘密を暴露する、緊張感あふれる一週間を描いたものです。本当に命がけの貴重な映像であることは間違いありません。
ちょうど最近 彼の最新インタビューが毎日新聞に載ったところです。
●6月5日の毎日新聞
スノーデン氏:ネット質疑詳報 - 毎日新聞 
●6月8日の毎日新聞
http://mainichi.jp/sunday/articles/20160606/org/00m/040/030000d
                                            
映画ではNSAが世界で盗聴している情報量の図が示されました。それを見ると日本も大々的に盗聴・監視されています。このブログもキーワード検索で引っかかっているでしょう(笑)。ご覧になっている皆さんもきっと、そうでしょう。
でも、じゃあ、どうしたらいいか、ってないんですよね。もちろんボクは2012年に反原発デモが始まって、その事を書き始めた時点で、公安などが見ている前提で書いてます。当時は結構怖かったんですよ。デモに行ったらボクの目の前で無差別に参加者が連行されていたりしましたから(公安の情報集めだそうです。勿論 拘引されて尋問されたあと、直ぐ無罪放免)。当時 ボクの家の電話も変な音がしていましたから、きっと盗聴されてたんじゃないかと疑っています。勿論 国会前に20万人も集まったりした後の今はそんなことはないとは思っています。いずれにしても、見られているから、と言って黙るわけにもいきません。そういうことです(笑)。