特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『今までありがとう税』と『新自由主義=連合赤軍』、それに『0701再稼働反対!首相官邸前抗議』

今日の昼間はイギリスのEU離脱の投票結果をじりじりしながらネットで見ていました。株は約1300円の大暴落(今年最安値)、円は1ドル100円割れ。ボクの勤務先にまで新聞記者が『これからどうなりますか』とか電話をかけてきましたが、そんなの、知らね〜よ(笑)。余計な投票をやったキャメロンのクソバカに聞けって。
ちなみにシンクタンクの資料を見たら日本のイギリスへの投資額は約10兆円、イギリスのEU離脱で日本のGDPは0.1〜0.8%下がる可能性があるそうです。年金の株だって摺ってるし。どうしてくれるんだよ。

                                   
まさか、イギリス人がこんなにアホだとは思いませんでした。(ぎりぎりでEUに踏みとどまった)ギリシャ人よりイギリス人の方が遥かにバカだった! これでイギリス経済は大打撃を受けるでしょうし、離脱に投票した田舎のバカ労働者やマヌケ高齢者の雇用はますます減る。物価も上がる。。だいたい移民が減ったって教育訓練を受けてない高齢者の雇用が増えるわけがない(笑)。これでスコットランド北アイルランドも独立へ動くから、いずれグレート・ブリテンじゃなく、スモール・ブリテンになっていくんじゃないでしょうか。

 
今回の結果は極右+新自由主義ポピュリズムと結びつくのがどれだけ恐ろしいか、ということを示しています。自分の反省点でもあるのですが、住民投票のような直接民主主義では常識では考えられないような自殺行為が起こりうるのも事実。日本だって他人事じゃありません。今回のような極右+新自由主義ポピュリズムの連合というと、日本で言えば改憲派の政党じゃないですか!
                                                           
その日本も選挙が始まりました。今朝の新聞各誌の世論調査では、改憲派が3分の2を確保する可能性はけっこうあるようです。がっくり来ますが、がっくりしているだけではいられません(笑)。朝日や毎日は『改憲派が3分の2か』という野党に厳しめの論調、日経が中立、読売や産経は比較的与党に厳しめの論調なのが面白いです。意図は明確ですよね!(笑)
今回の選挙について色んな人が色々なことを言っています。争点は憲法、と野党は言ってます。確かにそれも判りますが、そう言いきっちゃっていいんでしょうか。いつも書いてる話ですが、どの世論調査を見たって国民が最も関心があるのは身近な暮らしに関する社会福祉や経済政策に決まっています。憲法や安全保障、それに原発に関する関心は常に、それより遥かに低い。関心を喚起するために憲法の事を言うのはいいとしても、本気になってはいけない(笑)と思うんです。理由はこうです。
 
                                                                        
争点というものは政治と国民、相互作用で作るものだと思うんです。弁証法ですよ(笑)。いくら政治のほうで憲法が大事と主張しても、国民の方があまり興味なかったら、それは争点として成り立ちません。自分の主張を述べるのはいいですが、それだけじゃ独りよがりです。政治家だけでなく日本の社会運動に欠けている点の一つと度々指摘されますが、主張するだけでなく国民が何を望んでいるかに耳を傾けなくてはいけないと思います。商売、マーケティングと同じです。ポーズだけにしろ(笑)、国民の意見、いや欲望かもしれませんが、ある意味 国民の声に耳を傾けると言う点では自民党は野党より遥かに勝っている。 選挙に勝つことに対して与党は野党より遥かに真剣だと思います。

                                           
各紙の調査結果ともに、4〜5割の人がまだ態度を決めていない、としています。改憲派が3分の2かも、という結果は固定票の反映ではないでしょうか。つまり『争点は憲法だ』という訴えは4〜5割の人に届いていないんですね。その数字は投票率とも重なります。選挙に行かない奴なんて文字通り人間のクズだと思うから、そういう連中の気持ちはボクは全く理解できないのですが、それでも、選挙に行かない人を如何に選挙に足を向かせるようにするか、そういう争点を作っていくことが重要なんじゃないでしょうか。
本当は、選挙に行かない奴は身分証明書に未投票であることが判るようにして辱めを与える、それに罰金を取る、くらいのことをやればいいと思いますけどね。先日大統領選があったばかりのチリはそういう選挙制度だそうです。チリの投票率は9割以上(笑)。
●経済政策と言ったって、これだけの話です(笑)。あの酷かった民主党政権で上がりかけた実質賃金はアベノミクスでダダ下がり!

 
                                                           
じゃあ、日本の経済は将来的にどうしたら良いか、という話なんですが。
今までボクは日本経済の処方箋として『相続税100%』を唱えていました。耳慣れない話ですから、ブログをお読みになっている皆さんは、こいつはバカなことを言っていると思われていたでしょう。でも一応、これは一流(笑)エコノミストときちんと議論した話です。個人金融資産1600兆に100%課税すれば、約1000兆の日本の借金は片付く目途がついて財政問題は一遍に解決します。また個人金融資産の殆どを持っているのは高齢者です。相続税100%にすれば、高齢者がお金を使いだしますから(笑)、景気対策としても一石二鳥。おまけに格差解消になりますから、一石三鳥。素晴らしい案だと思いませんか?(笑)

一方 デメリットはあまり思いつきません。非国民(笑)の大金持ちが海外へ逃げようとするかもしれませんが、そんなクズは逃げてもいい。最近は5000万円以上の資産の海外流失は税務署が見張ってるし、そういうものに税金をかければいいんです。『子孫に美田を残そう』と言うせこい発想さえ捨てられれば、世の中の90%くらいの人にとっては相続税100%はメリットのほうが大きいはずです。100%と言っても夫婦間の相続は対象外にすれば、そんなに大きな問題はないと思います。

しかし、それを唱える人や政党はまだ多くはない。くだんのエコノミスト氏は『正しい議論だけど、TVで言う度胸がない』と言ってました。『税金を払いたくない』という日本人のセコイ発想はそれほど強固なもの、なのかもしれません。

             
                                                                  
ところが強力な援軍?が現れました。政府の各種審議会を歴任する吉川洋東大名誉教授、現立正大教授です。今週の日経ビジネスにこんな記事が載っていました。
日経ビジネスの記事:「今までありがとう税」を知っていますか
「今までありがとう税」を知っていますか:日経ビジネスオンライン
                               
彼は『今までありがとう税』を提唱しています。『高齢者が亡くなる時に持っている金融資産の1割を納税しよう』と言っているそうです。『億円単位のカネを持つお金持ちも、数十万円しかない庶民も、等しく負担しようという、その考えは、「生涯を通じて、教育、警察、医療・介護、年金と、社会から様々な恩恵を受けてきた事に対するお礼」』としてだそうです。
さすが吉川教授は宇沢弘文先生の弟子だけのことはあります。少子高齢化で潜在成長率が落ちまくりの日本に残された最も有力な資源は1600兆の個人金融資産です。まあ、ボクは1割なんてせこいことは言わず、10割でいいとは思いますが(笑)。

                                              
現在 年金の支給水準の引き下げ(マルチ経済スライド)が導入されていますが、この記事によると『このまま行けば、2050年には年金だけで暮らす高齢者の20%が生活保護水準になる』そうです。消費税延期も選挙や景気などを総合的に考えたら仕方ないと思いますが(今は安倍を降ろすことが最優先)、福祉を継続させるためには財源や効率化策が必要であることも間違いありません。
共産党なども言っている所得税の累進税率のアップもいいと思いますが、それだけでは財源がたりません。企業の内部留保に課税しろという奴もいますが、それで企業の研究開発投資などが減って競争力を失わせてしまえば、日本の雇用自体が減ってしまいます。シャープがサムソンなどにやられてしまったのも大規模投資するだけの体力がなかったのも大きな原因です。ボクだって企業は嫌いですが(笑)、共産党のように全て大企業が悪い、というだけでは世の中の問題は解決しません。

相続財産を主とした資産課税、それが日本を救うカギではないでしょうか。資産課税の重要性はピケティが言っている通りです。そのためには評判の悪い『マイナンバー』も使いこなしていくことも必要になると思います。憲法は守らなければいけないけれど、そのためには将来のビジョンを描いて見せることが必要だと思います。将来のことを考えるってワクワクするじゃないですか!

                                                       
だけど、ヴィジョンだけでもいけない。今週、『なるほど〜』と思ったことがありました。ある人が『新自由主義って連合赤軍みたいなもんだ』と言っていたんです。
新自由主義ってなんでしょうか。良く使われる言葉ですけど、ボクは新自由主義って言葉をちゃんと定義することができません。手近のところでWikiを引用すると『個人の自由や市場原理を再評価し、政府による個人や市場への介入は最低限とすべきとする考え方』とあります。一方 Wikiの本文には『偏見や曖昧さの無い新自由主義の定義の作成は困難』とあります。コトバを変えれば市場万能主義、金融資本主義とでも言ったら判りやすくなるでしょうか。
                        

そのような考え方に基づけば、『企業は株主のもの。株価を上げるためには、経営危機でなくても人間をリストラしてもかまわない』となります。アメリカではそれが主流だし、昨年から日本の政府が導入してきた『スチュワード・コードシップ』、『コーポレート・ガバナンスコード』は『企業にROE(自己資本利益率)を高めろ』というものですから、ある意味 同じ考え方です。正しく使えばいいのですが、バカな経営者が悪用してリストラを促進させるリスクは結構大きい (リストラすれば自己資本は小さくなりますからROEは上がります)                             
                                            
こういうリストラって、かっての連合赤軍の総括に似ています。彼らは、総括と称して自分たちの仲間を次々に殺していきました。そうすることで自分たちの力を弱めてしまうのに、やらなければ自分がやられる、という心理で仲間たちを殺していった。シャープのような経営危機ならともかく、株価を上げるためだけのリストラも連合赤軍の総括と一緒です。

                                          
連合赤軍は革命、新自由主義はカネ、どちらも絶対的なものを信じる、という点では同じです。自分が正しいと思っている。これは極端な例にしても、自分が正しいと思っていることほど恐ろしいものはない、とボクは思うのです。他人に耳を傾けませんからね。世の中を変えるには、将来のビジョンは必要です。だけど現実を良くするには一つの考え方に捉われず、臨機応変に対応しなければなりません。他人に引きずられる必要はありませんが、最低限 相手の言ってることは聞かなくちゃ。何を言ってるか判らない奴は怒鳴りつけますけどね(笑)。

●他人に耳を傾けない独裁国家では、こういうボンクラが出来上がります


                                               
ということで、今週も再稼働反対の官邸前抗議へ。今日の東京は午後から雨だったんですが、抗議が始まったら奇跡的に雨がやみました!日頃の行いの勝利です(笑)。本当はデモ用に生まれて初めて!(笑)サングラスを買ったので試してみたかったんですが、そんな天気なので気恥ずかしくて断念(笑)。今日の参加者は750人。
●抗議風景。4枚目は共産党の池内さおり衆院議員






関電は今日 伊方原発3号機に燃料の装着を始めたそうですhttp://www.jiji.com/jc/article?k=2016062400037&g=soc。伊方の立地なんて311まで知らなかったんですが、あんな半島の根元に、しかも内海である瀬戸内海に面したところに造るなんて呆れるばかりです。何かあれば半島の住民は全滅、瀬戸内海全体に汚染が広がることも覚悟しなければいけない。たかだか発電所一つにリスクでか過ぎです。

だけど、すべてが悪いことばかりじゃありません。関電は再稼働差し止めになった高浜では先週 燃料の取り外しを始めましたhttp://www.kahoku.co.jp/naigainews/201606/2016061701001545.html。当分動かせないことを覚悟したということです。今回のイギリスのEU離脱でも、少なくとも一つは良いことがありました。イギリスの製造業なんてとっくの昔に壊滅状態です。その中でも原子力・ボイラー関連はイギリスの数少ない輸出産業でEUへの輸出は石油、自動車に次ぐ第3の規模(18億ドル)だそうです。具体的にはイギリスの原子炉メーカーは東芝の子会社WHの子会社と仏アレバです(アレバは既に潰れかけていますから実質はWHだけでしょう)。ところが今回のEU離脱で原子炉の輸出にも関税がかかることになります。原子力半導体で生きていくという決断をした東芝は今頃、真っ青でしょう(笑)。