特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『0619市民×4野党大街宣』と『Perfume 6th Tour Cosmic Explorer @ 幕張』、それに映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』

今年のフジロックにSEALDsの奥田君がトークで出るそうで、『音楽に政治を持ち込むなんて』と怒っている奴がいます。え?(笑)音楽、しかもロックが政治に関係があって何か問題でも?(失笑)
●ネットに湧いてるのはバカばかり、というのを改めて示すような話です。
http://matome.naver.jp/odai/2146628054776330801
                         
ボクはミュージシャンが政治的発言をしたり、デモや集会に参加するのが普通、当たり前と思っていたので、そういう発想自体に文字通りびっくりしました。ディラン、レノン、スプリングスティーンピストルズやクラッシュ、ポール・ウェラーU2、レイジ、マドンナ、NWAやケンドリック・ラマーはどうなっちゃうの(笑)。今年のスーパーボウルでバックダンサーにブラックパンサー風のユニフォームを着せて人種差別反対のパフォーマンスをしたビヨンセは?(笑) そもそもモーツァルトもジャズもエルビスビートルズも最初は反体制だったんですけど! 
そういうバカはロックなんか聴かなくていいから。チャゲ&飛鳥とか中島みゆきとか、気持ち悪い演歌とか聞いてろ、ボケ
文字通り世も末、ですよ。
                               
●映画監督松江哲明氏、小田嶋隆氏、アジカン後藤正文氏のツイート



                           
さて、週末の日曜日は大忙しでした。
まず朝10:30に有楽町へ。『0619市民×4野党大街宣』。野党と政策協定を結んだ市民連合が主催する街宣です。朝も早いし、野党党首の話なんか聞きたくないので、どうしようかと思ったんですが、最初は安倍晋三がそのあと同じ場所で街宣をするというニュースを聞いたんで、俄然ファイトが湧いた(笑)。差を見せつけてやる、と思って出かけました。が、急きょ安倍は街宣中止だって(笑)。相変わらず 逃げる、ごまかす、嘘をつく、がお得意の総理大臣です。代わりにでかけた吉祥寺で『帰れコール』を食らったらしいですよ(笑)(ツイキャスが残ってますので、興味ある方はググってください)。
              
それはともかく、昨日の主旨は、選挙前に市民連合主催の街宣で市民と野党で画になる光景を作って勢いをつけたい、ということでした6/19(日)に開かれる、市民×4党党首による大街宣が重要な理由 | POST市民が野党を動かしている構図を実際に具現化する。その狙いは理解できます。だらしがない野党に投票するのに抵抗がある人でも、市民連合に投票すると考えたらいいとおもうんですよね。 実際に政策協定だって結んでいるんだし。いくら言い訳したって、棄権することは自民や公明に投票するのと同じです。
●街宣光景。垣根を超えて3人の名前が並ぶ街宣車の垂れ幕に注目。



会場の有楽町の駅前、交通会館/イトシア前には2000人くらいはいたでしょうか。その中をかき分けながら『みんなのための政治を、いま』というプラカードを配ってる人がいる。SEALDsの奥田君が『プラカードはスピーチの終わった後、皆で一斉に掲げましょう』という注意事項をしゃべって、一回練習をして街宣はスタートです。『画を作る』という目的は明確です。ずっと自分のプラカードを掲げたいと、ぶつくさいってる頭のおかしいババアが居ましたけど、脳みそないのかって。与党支持の人でも頭がおかしい奴は勿論いますけど、野党支持の側にも相変わらず山ほどいます(失笑)。少しは頭使えって。
                                                        
最初のあいさつに立った市民連合山口二郎。『市民は国や政府の為にあるのではなく、国や政府は市民のためにある道具であり、その形を取り戻しましょう』と挨拶しました。所詮は野党だって道具なんですよね。市民の言うことを聞く道具があるんだから使わないというのは実に愚かなことです。
●1枚目奥田君、2枚目 開会あいさつの山口二郎


                                                  
野党の党首が簡潔にスピーチします。最初に社民の吉田がしゃべったあと、志位和夫が出てくると盛り上がりが倍くらいになりました。彼が市民が望んだ野党共闘に最も積極的だったのですから、当然かもしれません。ボクは共産党なんてそれこそファシスト政党と思ってますけど、『今回 自分たちの主義や候補を引っ込めて野党共闘を形にした』という点は評価せざるを得ない。そのあと民進の岡田が出てきて『昨年 安保法案が通ったときは悔しかったが、やっと野党共闘の形が出来た』と喋ってました。良くも悪くも岡田は理性的な物言いをする人ですが(だから中途半端に聞こえる時もある)、彼が悔しかったという感情的な表現をするのは意外でした。彼も昨年 市民の姿を見て変わった、とボクは思ってます。彼が市民のデモに出てくることなんて、311以降、昨年までは殆どなかったんですから。岡田への聴衆の反応もしっかりやれよ〜、という感じの大きく、暖かい反応です。形通りの反応しかなかった吉田や盛り上がった歓声だった志位とは違う、文字通りの声援でした。それはそれでいいかなと思います。
●順に社民の吉田、共産の志位、民進の岡田



自民党はヤバいと思ってるけど野党に疑問を持つ人でも、『今回ばかりは野党を応援!』でいいんじゃないですか



●当日の野党街宣、安倍の有楽町逃亡+吉祥寺での帰れコールを伝える東洋経済の記事。こういうことはTVを見ているだけでは判りません。
安倍首相が有楽町での街宣を取りやめた理由 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

*おまけ:三宅洋平は出馬の際『『日本会議の研究』を読んで危機感を抱いて立候補した』と表明したのですが、その本の著者、菅野完が三宅洋平の頭の悪さに激怒(笑)。
まとめよう、あつまろう - Togetter

日本会議の研究 (扶桑社新書)

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そのあと 映画『帰ってきたヒトラー』(面白かったです)を見て、海浜幕張へ。Perfumeのコンサート『Perfume 6th Tour The Cosmic Explorer』です。それにしても海浜幕張なんて東京会場じゃない。遠い(笑)。

今回の幕張はスタンディング・エディションということで、アリーナでの立ち見中心、客が踊ることを前提にしたショーです。実は席がある会場でも客は殆どずっと立ってますから全く同じなんですけどね(笑)。ただ、ボクはPerfumeで踊ろうとは思わないんです。会場の音響が悪いのか、楽曲の問題なのか、リズムが単調なんです。特にライブでは4つ打ちのバスドラの音だけがやたらと強調されていて、踊る音楽としては実はあんまりおもしろくない。音楽のグルーヴ感は殆ど感じられないんです。高校生たちのデモでEDMをバックにコールをしている方がノレるくらいです。あちらはマントラみたいな(笑)、反復による高揚はありますからね。

昨日のショーの基本的な構成は1か月前 静岡で見たときと同じですが、思った以上に曲の入れ替わりもあったし、アドリブもかなり変わってた。テープ演奏なのにアドリブってどういうことだということですけど(笑)、間奏の間にコーラスを入れてきたり、1か月前とはずいぶん変わってた。サイコロを振って曲をランダムに選ぶ3569(すごろく)コーナーも含め、ライブがメインのアーティストだなあと改めて感じました。会場の大規模画面でみる彼女たちの顔つきも気合が入ってたし。
スタンド席から見ることができた静岡と比べ、大会場アリーナの幕張では彼女たちの姿はあまりよく見えなかったですが、ショーの完成度は1か月前と段違いに高まっていました。特に大規模なセットを使ったアルバムタイトル曲の『Cosmic Explorer』から『Pick Me Up』への盛り上がり、3569コーナーで選ばれた『Glitter』は曲が良いのもあるけれど、会場に洪水のように溢れるレーザーの演出も含めて殆ど完璧でした。正直 感心しました。

COSMIC EXPLORER

COSMIC EXPLORER

彼女たちは今夏 NY2日、LA、サンフランシスコ、シカゴを廻るツアーをやるそうです。マジソン・スクエア・ガーデンを目標にしたいと言ってましたが、そうなるとノリの問題は考えなければいけないでしょう。ということは、まだまだ彼女たちは変わっていかなければならないわけで、それもまた楽しみです。Babymetalのように超腕利きのバンドを組み合わせるまで行かなくても、生音を入れるのは良いと思うんですけどね。今はストーンズだろうがなんだろうが殆どのバンドはテープの音も入れてますし。これで彼女たちの音楽にグルーヴ感が出てきたら殆ど最強だなあ。                             


ということで、新宿で映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

アカデミー賞を取った『ボウリング・フォー・コロンバイン』、カンヌでグランプリを取った『華氏911』のマイケル・ムーアの新作です。

                                               
ムーア監督の権力をコケにする辛辣なギャグはボクは大好きで、随分影響を受けました。ただ、真面目に物事を考えようとした場合、見方が一面的すぎて、見ていてつらくなるところもないわけではありません。                                  
今回はムーア監督がヨーロッパを巡り、アメリカの生活といかに違うか、を描いたものです。曰く、『アメリカは第2次大戦以降 戦争をやって勝ったことがない。だから、俺が出かけて海外の良いところを盗んできてやる
そういうお話です。このイントロはちょっと苦しい(笑)。

最初に訪れるのはイタリア。アメリカは先進国で唯一、法律で有休が定められていないそうです。イタリアの有休8週間という話しを聞いてムーア監督は絶句します。一方 その話をしてくれたイタリアの若夫婦も最初はアメリカへの憧れを口にしていましたが、有休の話を聞いてアメリカには住みたくない、と言い出します。有名メゾンの下請けをやっている洋服メーカー、ラルディーニ社の社長にも取材します。『従業員の幸せがあってこそ、企業もうまく行くんだ。当たり前だろう。』と同族経営の経営陣は答えます。マトモな企業だったら、そういうことは判っています。ちょうど、その日 ボクはラルディーニ社のジャケットを着てたんで、ちょっと嬉しくなりました(笑)。
●イタリアの仲良しカップル。人生をエンジョイしています。

                                     
次はフランスの給食事情です。アメリカの一部の学校では給食は企業がカネを出す代わりに清涼飲料水の自販機を構内に置かせたり、ファーストフードを給食に使わせたりします。費用削減と民営化の結果です。
一方 フランスの給食は前菜からメイン、チーズまで4品のコースです。教師たちはそれが文化であり教育だと言います。貧困地区の学校でもそうなっているそうです。フランスの子供たちにムーア監督がアメリカの給食を見せたら、『きもい〜。まずそう〜』と言っていたのが印象的でした。
●フランスの子供にはアメリカの給食をバカにされます。あと、もう一つ。子供たちの顔を見ていると今やフランスは多民族社会であることが良くわかります。

                                
そのあと独仏同様に大学の学費が無料のスロベニア労働者が監査役会を通じて経営者を選び経営に参加する制度になっているドイツ、教育レベル世界1のフィンランド麻薬全面解禁で中毒患者が減ったポルトガル、女性たちが中心になって立ち上がって唯一アラブの春で成功を収めたチュニジア受刑者の待遇を改善して尊厳を守ることで再犯率アメリカの4分の1にしたノルウェー、そして男女平等を推進するアイスランド、とムーア監督は旅を続けます。
●ドイツの鉛筆会社ファーバー・キャステルのCEOと。同社の工場は2時に就業が終わります。実際はオフィスワーカーはそうじゃないんですけどね。

●革命の光景を報じ続けたチュニジアの女性ジャーナリスト

お話は段々深刻になっていきます。例えば2011年にノルウェーで50人以上 青少年を殺傷した極右のバカ、移民を入れない日本が理想的な国で麻生太郎に逢いたいとか言ってたキリスト教原理主義者のクズが居ました。こんなゴミは100回くらい死刑にしても飽き足らないと思うじゃないですか。だけどノルウェーでは重犯罪者でも刑務所でTV付きの個室で過ごしています。読書や芸術活動などのリクレーションつきです。ラップ作ってレコーディングまでやってる奴もいます。受刑者に選挙権もあって、候補者が刑務所の中まで選挙運動にやってきます。
ノルウェーの刑務所。囚人は文字通り放し飼いです。後ろには包丁が並んでいます!

ムーア監督は2011年の事件で自分の子供をクズ右翼に殺された親にインタビューをします。親は子供に関してやりきれない思いを述べつつも犯人がそのような好待遇を受けることについて、『当然だ』と言います。どんな人間でも尊厳を守るノルウェーの理念の方が大事だ、と言うのです。ボクはこの映画でこの部分が一番考えさせられました。

ちなみに50人以上殺して反省の欠片もないクズ極右は懲役21年、それがノルウェーの最高刑だそうです。ちなみにこのゴミ右翼は、牢屋の中から『刑務所のゲーム機をプレステ2から3に変えろ』、『もっと面白いゲームソフトをよこせ』という要求書を出してきたそうです。こいつに限っては死刑制度を復活させた方が良いかもしれません。




世界で初めて女性大統領を誕生させたアイスランド。それ以来 女性の社会進出がどんどん進んで企業の社長や政治家に大勢 女性が居ます。だけど、アイスランドはリーマンの時にインチキな銀行のおかげで金融危機になったじゃないか、と思っていたら、その話になりました。アイスランドの銀行は1社を除いて全て潰れました。その1社だけは女性が経営者で、訳の分からない金融商品には手を出していなかったからだそうです。リスクを過度に追い求める男性ホルモンが悪いとムーア監督は言いますけど、それはボクも眉唾だと思います。ただ事実として女性がCEOの銀行は潰れなかった。アイスランドでは銀行家約70人が有罪になり牢屋に入りました。アメリカでは一人も捕まっていません。 アイスランドの検察はアメリカの検察のアドバイスを受けて、銀行を訴追したとムーア監督に話していました。しかし、アメリカでは逮捕者はゼロ。
アイスランド、世界初の女性大統領

                                        
ムーア監督はヨーロッパ諸国の良いところって元祖のアイデアアメリカにあったんじゃないか、とまとめます。確かに男女平等も独禁法も源流の1つはアメリカです。本来の自分たちを見直すことで、もっと世の中を良くできるんじゃないか、ということで映画は締められます。
●外人も含めて学費完全無料のスロヴァニアの大統領。アメリカ人まで留学に来ています。

                                                
                                                  
アポなしの突撃取材とか徹底的に権力者をコケにする、といったムーア監督の手法は今回は控えめです。彼も歳を取ったのかもしれません。取り扱っている内容はボクが知ってることも多かった。
だけど、日本の常識だって、ヨーロッパと比べればどうなのか、と思います。徹底的なゆとり教育で子供の考える力を脳科学に基づいて伸ばしている学力世界1のフィンランド、それにイタリア人の豊かな生き方、フランス人の食べ物へのこだわり、各国の学費無料化などを見たら、日本はアメリカとは違うなんて言ってられません。例えば今 日本の私大文系でも学費は100万/年くらいかかります。奨学金の事が問題になってくるわけです。この映画で取り上げられた国では教育は福祉ではなく社会のため の投資だとして、無料なのが当然と取られられています。日本は食べ物は美味しいですけど、それはごく一部で、巷にはゴミのようなファーストフードが溢れています。ボクなんかの感覚ではコンビニの食べ物自体信じられないんですけど、ある意味 あれが一般的な食べ物になっているでしょう。日本もかなり酷い段階にまで来ている。そういう意味ではマイケル・ムーアの今回の映画は面白いし笑わせてくれるけど、笑ってばっかりじゃいられないと思いました。正直 身につまされる。
                                                                   
日本では周回遅れでやたらと民営化とか市場参入とか言いたがります。その反面 補助金で非効率的な産業やゾンビ企業を必死になって支えている。で、教育とか医療・福祉など市場原理で考えてはいけないものに市場原理を導入しようとする。やっぱり、この国も少しおかしい。『ロックに政治を持ち込むなんて』と自ら思い込んでしまう奴隷根性のバカが増殖している日本のほうがもっと重症かも、しれません。
●画家 会田誠氏のツイート。