特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『アベノミクスの終わり』と『縁故資本主義』と、0408 再稼働反対!首相官邸前抗議

昨日の嵐で桜はかなり散ってしまいました。残念ですが今年の桜はもう終わりですね〜。それでも今朝、桜の花びらが絨毯のように敷き詰められている様は美しかったです。

                                       
いつもTVの悪口を言ってますから、たまには面白かったテレビドラマのお話を(笑)。今晩が最終回のTV東京『東京センチメンタル』は良かったです。×3で55歳の和菓子屋の独身男が毎週 ひょんなことから女性と出会って恋に落ちかける、という他愛のないものですが、時代を経た東京の街並みを舞台に、吉田鋼太郎の初老男の良い意味で大仰な演技や高畑充希のコメディエンヌぶりが面白かった。毎週1話完結ですが、特に55歳の主人公が認知症になりかけている、かっての初恋の人に再会するエピソードには泣かされました。でも年長者の恋愛に学ばなくちゃ、と言う気持ちもないわけじゃありません(笑)。演出も控えめで品が良くて、特に登場人物が心を変化させるシーンでは画面が完全な静音になるところが印象的でした。やたらとうるさいばかりの今時のテレビだから余計に新鮮に感じられるんです。テレビ東京の深夜12時過ぎにやっているこの時間帯のドラマは園子温松江哲明などの映画監督を起用するなど斬新な企画が多くて、だいたい年に1回くらい(笑)大人の鑑賞に耐えるシリーズを放送しています。何でもそうですけど新しいことをやらなければ、冒険をしなければ、良いものは出てきませんよね。ま、ボク自身はレストランも床屋も洋服やスーパーも同じ店に20年以上通い続ける保守的な人間なんで、そういうことを言えた義理ではありませんが(笑)。

東京センチメンタル DVD-BOX

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さて、今週6日、アベノミクスの仕掛け人の一人と言われる自民党山本幸三衆院議員は『今の消費低迷はリーマン危機以来の事態だ』と発言しました「今の消費低迷はリーマン危機以来の事態だ」 | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準正確にはもっと酷いんですが(笑)、これは消費増税延期のための観測気球でしょう。経済政策については結構 影響力を持っているように見えるこの議員は、サミット前後に政権への提言をまとめるそうです。
北海道の補選と言う変動要因はありますが、今のところ 景気対策をサミットで公約→増税延期→W選挙→改憲という脚本どおり、進んでいます。経済音痴の石原を経済担当大臣に持ってきたのも夏に解散するからだし、スティグリッツクルーグマンまで呼んできて財政出動のお墨付きをもらったのも脚本通り、ついでに最初反対していた軽減税率を自民が呑んだのもどうせ延期するつもりだったから(笑)、とボクは関係者から聞いています。

偉そ〜にアベノミクスとか言ってた結果は、目標だったインフレは達成できないばかりか、実質賃金が下がり国民の消費支出は減少し、雇用も正規社員は増えず65歳以上の非正規社員ばかりが増えている、という惨憺たる体たらくです。それも名実ともに終わりが近づいているようです。
                            
アベノミクスは、金融緩和で円安誘導し輸出を増やしてトリクルダウンを起こす、というのが一つのロジックでした(と、アベノミクスが始まった当初 企業ヒアリングに来た経産省の課長がボクに言ってました)勿論円安で輸出を増やすという発想自体 20年前のものだったのですが(笑)、その円安も終わりつつあるようです。
昨年1月、ボクはブログで『円安にしろ円高にしろ、長くは続かない。円高は最長5年、円安は最長3年しか続いていない。』、『アベノミクスの円安は15年か16年には終わるかも』と書きました2015-01-31 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)。今回 まさにそれが当てはまっているようです。
●2000年1/1〜2016年4/1の円・ドル相場

                                             
グラフを見ると昨年の夏、124円で円安の山がピークを迎え、あとは下降傾向ということが判ります。今日は1ドル107円まで高くなりました。円安のトレンドは完全に終わっているんです。これから円がどこまで高くなるのか、また円高傾向はいつまで続くのかはわかりませんが、円安を頼りに増益を続けてきた企業収益も、外人によって釣り上げられていた株高も節目を迎えたことは間違いないでしょう。アベノミクスはもう終わり(笑)。今までさんざん痛めつけられた庶民はより一層 生活防衛をしなければいけないと思います。
●こういうことを言ってるのはボクだけじゃないですからね、念のため。英ガーディアン紙の権威もお借りします(笑)

Japan's economic plan 'backfiring' as yen surges | World news | The Guardian
                                               
さてパナマ文書、盛り上がってますね(笑)。パナマへのふるさと納税じゃありません。南ドイツ新聞に寄せられた匿名のリークで、ケイマン諸島やバージン諸島、ドーバー海峡ガンジー島などタックス・ヘイブン租税回避地)を活用した節税のために存在する、10カ国の現旧指導者12人を含む公職者140人の関係会社が見つかったそうです。The Power Players: Politicians in the Panama Papers - ICIJ

アイスランドの首相が辞任したのは序の口、キャメロン首相本人や父親、プーチンの側近にウクライナやアルゼンチンの大統領、習近平の親族に途上国の王族や政治家、ジャッキー・チェンにサッカーのメッシ、暴露されたデータはスノーデンやウィキリークスを遥かに超えて2テラバイトもあるそうですから、まだ調べ切れていないそうです。これからどんどん出てくるんでしょう。
セコムの創業者 飯田家など日本人も約400人いるそうですね(笑)。租税回避地の秘密ファイル、日本からも400の人・企業:朝日新聞デジタル

企業はスターバックスにアマゾン、アップルなどの名前が出ていますけど、グローバル企業の殆どは利用しているに決まっています。もちろん日本企業も山ほどあるでしょう。メガバンクだって、海外案件だとタックスヘイヴンを利用したものをどんどん売り込んできます。こちらが使いたくなくても、海外の取引先が指定してくる。普通に『ケイマン・スキーム』みたいな慣用句まで出来ているくらいです。

でもタックス・ヘイヴンの利用自体は違法じゃありません。適法です。現実に世界中のお金の流れの多くがロンドンを経由してそちらへ流れていますから、銀行も総合商社も使わなければ商売できないでしょう。今回の問題で抜け道をふさぐ法律の整備が検討されるでしょうから、それはそれでいい。個人的にはEUの10か国で導入に同意された金融取引への課税(トービン税)を世界的に広げていけばいいと思います。

                                 
ここで問題なのは、こういうものを使えるのは限られたごく一部の金持ち、企業のみであるということです。タックス・ヘイヴンで義憤にかられている庶民だって個人ではなるべく税金を減らそうとしているはずです(笑)。違いは庶民はタックス・ヘイブンにダミー会社を作るためのノウハウもコネもないこと(笑)。

市場の横暴を非難する言葉として、『新自由主義』という言葉がよく使われます。便利な言葉ではあるけれど、ボクはそれだけで済ませていいのだろうかと思います。新自由主義とはなんだという定義が判らないからです。一般的にはフリードマンに代表される市場万能、自由放任の資本主義を指しているようです。ですが、それだけでは今回のような世の中に与える弊害を表現しきれません。何冊も本を読んだけど、新自由主義の明確な定義ってないんですよね。明確な定義が無ければ、明確な対策だって打てません。

アメリカでは、例えばクリントン政権の労働長官だったロバート・ライシュ先生などは現代の社会をCRONY CAPITALISM(縁故資本主義)と呼んでいます。以前はアジアや南アメリカの途上国で腐敗した権力者や官僚と金持ちが結びついた状態を指す言葉だったのですが、今 先進国で起きている事態もまさにこれだと思います。元来公平であるべき世の中のルールがお金持ちに有利なように決まっていく。日本でも 80年代以降 所得税の累進税率を下げながら消費税を導入していったのがその典型です。金融緩和して物価と資産価格を上げようというアベノミクスもまさにそれです。政治家の狙いは庶民から富裕層・国への所得移転です。自分たちだって富裕層ですからね(笑)。根拠のない仮説ですが、今の世の中は東大(官僚、政治家)、慶応幼稚舎世襲の経営者、政治家)の出身者で全体の3〜4割くらいを動かしているような気がするんですがどうでしょう??(笑)
ところがそういう認識の人が余りにも少ない。目先の3万円バラマキとか軽減税率に目がくらんで、他でもっと取られているのに全然気が付いてない(笑)。ある意味自業自得ですが、喜劇のようにすら見えることがあります。ま、ボクも巻き添えなんで笑ってられないんですが(笑)。庶民はもっと賢くならなければいけませんよね。

●すみません(笑)

と、いうことで今週も原発再稼働反対の官邸前抗議へ。
今日の午後6時の気温は16度。気持ちいい気温です。しかしこういう気候だと花粉がきつい。ごほごほ言いながら霞が関へ向かいました。今日の参加者は800人。

●抗議風景1






                                   
昨日出された、川内原発の再稼働に関する福岡地裁宮崎支部の決定は実にふざけていると思いました川内原発、稼働差し止め仮処分却下の理由 | 原発再稼働の是非 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準。噴火とか地震とかは、水掛け論だからどうでもいいんですけど、避難計画について今回の決定は『避難計画が合理性を欠いていたり実効性に疑問があっても、それだけでは住民に害が及ぶおそれがあるとは言えない』と言っているんです。つまり、裁判長の西川知一郎はどんなボロい避難計画でも良い、って言ってるんです。今の避難計画は、寝たきりの人などは置いていくものになっています。西川知一郎は例えば自分の親がその地域に住んでいてもそういう決定を出すんですかね(怒)。
●避難計画の実効性に対する福岡地裁宮崎支部の決定文(決定要旨)

脱原発弁護団全国連絡会 : 速報:不当決定(福岡高裁宮崎支部 川内原発仮処分即時抗告審)

再稼働をするのなら安全対策に加えて、万が一の時の避難計画くらいちゃんとしろ、って言うのは原発に賛成だろうが、反対だろうが、誰だってそう思うんじゃないでしょうか。原発安全神話に溺れていたから福島の事故は防げなかったわけですが、今回の決定はなんにも学んでないってことですよね。西川知一郎は東大出だそうですけど、こういうバカもいるんですね。こんな救いようがないバカ、税金で養ってちゃいけませんよ、ったく。


●抗議風景2