特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『選挙のはなし』と読書『21世紀の不平等』、そして『0226 再稼働反対!首相官邸前抗議』

やっぱり、シャープが鴻海に買収されたそうです。日本の家電メーカーが海外企業に買われたのは三洋電機に続いて、ということになります。どちらも一時期は優良企業と言われていた時期もあったんですから、世の中の移り変わりという物は激しいものです。他人事ではありません。(アベノミクスの)円安が続けば、こういうことはまだまだ起きるでしょう。
台湾メーカーに買われることでとやかく言う向きもありますが、銀行にしてみれば借金棒引きが前提の政府系ファンド案より、借金を返してもらえる鴻海の方が良いに決まっているし、株主にしたってそうです。まして従業員にとっても良いことではないでしょうか。仕事は厳しくなるかもしれないし、残念ながらリストラはあるだろうけど(政府系ファンドだってやるでしょう)、残った従業員にとっては無能な経営者が指揮を執っている限り給料も上がらないし、将来の希望だって持てません
それにしてもシャープの社長が責任を取らない、辞任しないというのには驚きます。この無責任さは東電と瓜二つです(笑)。経産省と違って鴻海は甘くはないでしょうから、どうせ用が済んだらチョン、でしょうけど(笑)。合意の報道が流れてから、実はシャープに隠れ債務が数千億あるって揉めだしましたけど、これも無能な経営者にありがちなパターンです。
         
                                                                                        
さて、野党の共闘、いや選挙協力の体制は固まってきたようで、それ自体は良かったです。でも民主と維新の合流も党名変更も、そんなもの誰も興味ないし、まして小沢一郎みたいな役立たずは今更どうでもいいよ(笑)。
この前 定期的に情報を聞いている大臣の元政務秘書氏に話を聞きました。『与党の方針は衆参ダブル選、争点は『消費税の延期』でほぼ固まっている』、そうです。確かに選挙前に増税をやりたい政治家はいないし、今回の株安や景気の悪化は格好の口実でしょう。現時点での与党のストーリーは5月のサミットで景気対策国際公約、そして『消費税延期を争点に衆参W選』。あらすじを書いている人間がいるんでしょうが、やっぱり自民党は野党より賢い。
                                                    
一方 野党は衆院選の候補者ですら、はっきり決まってないようですし、何よりも『安保法案反対』だけでは『消費税延期』には勝てないと思います。今までの選挙結果を考えても 多くの人は『原発反対』や『安保法案反対』よりも、現実的な利害を選んでいる。それに野党のだらしなさを忌避するだろうからです。まあ現実的な利害と言ってもアベノミクスの失敗が良い例で、必ずしも利益に結びついてはいないんですけど(笑)、大多数の人はそこまで判断できない。また野党のだらしなさはボクも含めて、国民の殆どすべてが認めるところで、野党も『消費税延期』を唱えるにしても、言いだした方に比べれば説得力は薄い。ちょうど24日の産経にも『消費税延期を争点にした衆参W選』が出ていました。様子見でリークしたんでしょうね。
衆参同日選、じわり現実味 首相、衆院選挙制度改革で合意急ぐ(2/2ページ) - 産経ニュース
消費税10%引き上げに首相、世界経済の「大幅な収縮」起きれば中止 - 産経ニュース
                             
今回の選挙の目標は改憲派の3分の2阻止、それでよし、としなければいけないのかもしれません。過度な期待を抱いてもしかたないし、落胆しても仕方がない。頭を使いながら、淡々とやれることをやっていく。地道な積み重ねが必要な時期なんでしょう。簡単な答えなんかあるわけない(笑)。
                                                


先週日曜の全国一斉高校生デモは結局、主催者発表で1万人が集まったそうです。大人たちのサポートもあったとはいえ、高校生、大したもんです。

                                                                    
下に挙げたように、3月は色々なアクションがあります。地方でも他の団体主催のものも沢山あるでしょう。野党が無能なんだから、とにかく大勢が集まって世論を作っていくしかありません。となると、今デモへ来ていないような人を如何に振り向かせるかが勝負になります。そのためには最低限 世間一般の眼から見てみっともなくない(笑)くらいは心掛けないといけないでしょう。例えば(笑)組合や(自称)『市民』団体の薄汚い幟(笑)がデモや集会に林立したら逆効果ですよね。まして、よくスピーチで聞く『(戦略も展望もないのに)頑張りぬきましょう』みたいに言ってることが訳わからない(笑)じゃ、どうにもなりません。いろんな人が安倍政権に反対するのは心強いけれど、効果的に行動することとは全く別です。未だに団体の幟を担いでくるような人は、いい歳こいて他人の目に自分がどう映っているか理解できない可哀想な人たち、かもしれませんが結果を出すために声を挙げるのですから、自己満足や昔の日本軍みたいな精神主義では困るんです善意は言い訳にならない。シャープの経営者じゃありませんが、時として無能は罪悪にもなります。

                                                                            
世界を見渡してみるとイギリスの労働党はバリバリ左翼のジェレミー・コービン氏が党首になったし、アメリカではバーニー・サンダース氏が予想外の健闘を見せている。スペインではポデモスという新しい左派政党が台頭してきたし、スコットランドスタージョン首相は労働党より左派的です。これらを左翼のバックラッシュと言う向きがあります。それに対して、なぜ日本では、そういう現象が起きないのかと思う人は多いのではないでしょうか。日本版ニューズウィークで評論家の冷泉彰彦氏がその理由を考察していましたなぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか? | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
その中で日本のいわゆる左翼について、彼はこう述べています。
旧左翼(50年代からの左翼政党や労働組合)は中高年の正社員の既得権益代表であり、現在の若者の利害を誠実に代表することはない。新左翼(60年代末以降の左派的思想)とその後継者は、「反戦」「環境やエネルギー」など「理念的テーマ」の追求にばかり関心を示し、個々の経済的困窮を束ねて社会改良に向けた運動にするという発想が薄い

日本でリベラルがいまいちなのは国民の意識だったり、少子高齢化や産業構造などの要因もあると思いますが、安倍に対抗する側の既存勢力の質が著しく低いことも否めないと思います。

                                                     
でも、希望はあります。野党共闘が良い例です。不充分とはいえ、昨夏以降 国民が政治家を変えつつあります。昨年SEALDsの奥田君が国会で『政治家も個人になってください』とスピーチしましたが、それは政治家だけのことではない。安倍政権に反対する人も、自分が『個人』になれるかが問われている、と思います。複雑で変化が速い今の時代 スパッと割り切れる明快な答えなんかありません。だからこそ自分で考え、自分の心の底から出てくる個人の言葉こそが説得力を持ちます。現実の変化に対応できない右とか左とかのイデオロギーなんかどうでもいい。我々一人一人が 動脈硬化した組合や団体、時代遅れのイデオロギー、TVやネットのゴミ記事の奴隷状態から如何に脱するか にかかっているんではないでしょうか。
●言うまでもなく3月29日は安保のクソ法案の施行日です。



                                                    



さて、今週は話題の本の感想を書きます。
トマ・ピケティの先生、イギリスのアンソニーアトキンソンという学者の『21世紀の不平等』。年末に発売され、各新聞の書評に取り上げられるなど、かなり話題になっています。

21世紀の不平等

21世紀の不平等

●ピケティによる序文 ピケティ絶賛!格差解消の切り札はこれだ | 読書 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ピケティの本と比べると『じゃあ、どうしたら良いか』ということに重点が置かれているのが特徴です。アトキンソン先生は、所得だけでなく資産にも累進課税を行うなど15種類の提案を述べています。
彼はこう言っています。『所得税の累進性を強化するだけでなく、『遺産税』を拡大して、誰もが18歳になったときもらえる『最低限所得補償』の財源にすべきだ』。
これは正しいと思います。この30年間、日本でも消費税が導入される代わりに所得税の累進税率は徐々に緩和されて、低所得者の負担は増え高所得者の税金は下がりました。ですから所得税の累進税率強化は当然ですが、それだけだと新たな成長の芽をそぐ可能性もある。バランスよく資産(相続財産)にまで視野を拡げなければ、格差の問題は解決できないでしょう。ましてピケティが言うように資本(資産)利益率が経済成長率より高いのなら、相続財産の問題こそ格差解消の本丸ということになります。特に高齢者を中心に金融資産が偏在している日本の場合、相続税の強化こそが格差対策であるだけでなく最良の景気対策です。
                        
相続税100%とは言わないけど90%、それで日本の景気も財政問題も解決します。ボクの知り合いの経済評論家氏も『それが本当なんだけどTVではとても言えない』と言ってました(笑)。ざっと考えてみましょう。日本では相続財産は課税対象のみで毎年10兆円強、発生しています。それに対する相続税は1兆円くらい。課税対象が増えた今年からはもっと増えるでしょう。相続財産に90%課税すれば、9兆円ー1兆円=8兆円/年も財源が増えます。通常の景気対策だって多くても5兆円くらい、普通は3兆円くらいです。8兆円もあれば、景気対策社会福祉の財源もバッチリ、解決する。誰にでも生活がありますから遺産の配偶者への移転はしょうがない。でも、それ以降の相続は100%課税でいいじゃないですか(笑)。西郷隆盛はいいことを言いましたよ。児孫のために美田を買わず。だいたい死んでからも財産を残そうなんて、人間があさましいんだよ(笑)。それに相続税をガバっと上げれば、生まれによる格差も激減します。機会が平等になれば社会だって著しく活性化するはずです。これが本当の自由競争ってもんです(笑)。   
                                                                            
またアトキンソン先生はITや人工知能など技術変化の方向を雇用を促進する方向に国がコントロールするべきだ と述べています。鋭い指摘です。何でも他人のせいにする頭がシンプルな左翼のみなさん(笑)には気の毒ですが、先進国で格差が広がっているのは金持ちや大企業がやりたい放題やっているから「だけ」ではないです。技術変化の問題は余りにも大きい。この40年くらいでITなど技術の進歩によってなくなったり、激減した職業がいかに多いことか。タイピスト、証券仲買人、電話交換手、機械やロボットに置き換わった工員さんや第1次産業従事者、中小の商店主や従業員。これからも運転手さんや受付、単純事務など、消滅する職業は一杯出てくるでしょう。今 民泊とか騒いでますけど、あれだって考えようによってはやばい。アメリカのAirbnb泊まる: ご宿泊の流れ | Airbnbヘルプセンターのようにネットで誰かがプラットフォームを提供して比較するようになれば、プラットフォーム提供業者だけ大儲け、民泊させる側は単なる値下げ合戦になる可能性だってあります。ロバート・ライシュ先生はタクシーを配車するuber東京 でドライバーとして、または乗客として Uber を活用しましょう | Uberを『労働者を法的保護の無い事業主に貶めてしまう』と指摘しています。民泊もそれと同じになりかねない。そういう本質を隠して美化する言葉が最近話題の『シェアリング・エコノミー』でしょう(笑)。
実務的には技術変化の方向をどうコントロールするのか、官僚や政治家にそんなことが出来るのか、という疑問はあります。だが技術変化に応じて、迅速に法律を改正して対応していくことはできるはずです。我々はもっと敏感にならなくてはいけない。でなければ搾取されるだけになってしまう。格差解消と言うと日本の左翼は大企業や資本を敵視するだけで思考停止するのが関の山ですが(笑)、サー・アトキンソン先生は物事を多面的にとらえて、現実に正面から向き合おうとしている。
                                                        
この本のロジックはシンプルですが記述が少し難しい&内容の割に長ったらしい(笑)、事情がイギリスのことに偏っている(イギリス人だから当然ですが)、という難点はあります。ピケティのようにロジックを楽しむ読み物としてはあまり面白くない。が、我々の未来を真面目に考える上では有益な本だと思いました。実用的な政策集みたいな感じです。そのまま民主党の綱領にすればいいと思います (笑)。
                                 



、言うことで、今週も原発再稼働に対する官邸前抗議へ。今日の午後6時の気温は8度。さむ〜い。
今週、高浜4号機で汚染水漏れが発覚して、週末に再稼働って、ボクにはぜんぜん理解できないんですけど! それに免震重要棟もないんでしょ。どんなに公平に考えても理解できる人なんかいるんでしょうか??(激怒)
●抗議風景








                                                           
今日の参加者は主催者発表で800人。ボクはちょっと怒っていたので、出す声も普段より荒くなりました。後で喉が痛くなった(笑)。正直言って、高浜で事故があっても関東は大した影響はないでしょう。関西はアウトだけど(笑)。でも黙ってたら自分も認めたことになっちゃいます。それじゃ、自分で自分が恥ずかしいからなあ。
パブコメ関西電力株式会社高浜発電所1号、2号、3号及び4号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について(3月25日締め切り)
関西電力株式会社高浜発電所1号、2号、3号及び4号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について | 原子力規制委員会