特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ボクらの武器はコール:『安倍政権NO!☆0214大行進in渋谷』と映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』

今朝の新聞朝刊はお休みですが、朝刊替わりの更新です。日曜日は渋谷へデモをしに行ってきました。
安倍政権NO!☆0214大行進in渋谷http://abe-no.net/0214/

                                          
反原連やSEALDs、それに労働団体が加わって、反アベを訴える集会&デモです。いつもどおり集会とかは興味ないんでデモの出発時間に合わせて代々木公園へ出かけました。SEALDsのデモって天気が悪いことで定評がある?んですが、午前中は春の嵐だったにも拘わらず、午後は気温が20度以上の晴天になりました。今度は暑い(笑)。ボクが着いた時はまだ集会をやっていて野党の議員がしゃべっている最中でした
●集会風景。壇上に登っているのは左から民主党菅直人社民党の又市、共産党の小池、生活の樋高、維新の初鹿明博。悪いとは言わないけど、ルックスも言ってることも相変わらずパっとしません(笑)。まず揃いも揃って、日曜の午後にダークスーツっていうのがなあ(嘆息)


                                         
そのあとSEALDsのラップ担当、UCD君が登壇。『ボクらもさすがに疲れてきました(笑)。でも香港の雨傘革命に加わった子に「そもそも社会運動なんか失敗するもので、10回やって1回でも成功したらいいじゃないか」と言われた。諦めないでボクらの意志をキープしつづけましょう!』という話をしました。こっちの方が政治家の100倍もマトモです。二十歳そこそこの子の方が政治家より、まともな話が出来る。与野党揃って無能な政治家揃いの日本の現状を象徴しています。
●続いてSEALDsのUCD君。彼の登壇で辛気臭い雰囲気が変わりました。そのあと、お年寄にもできるように、いつもよりゆっくりとしたテンポでコールの練習(笑)。


●当日のNHKニュース。彼らだって辛気臭い政治家よりUCD君のスピーチを取り上げるわけです。


                          
ほどなく出発です。主催者発表で参加者は集会4000人、デモは1万人だそうです。渋谷のデモでは最大級じゃないでしょうか。最初の梯団はSEALDsのサウンドカーが先導、次は高校生たちの梯団、それから反原連、その後に組合などが続きます。ボクはSEALDsの梯団に居たのですが、『幟は巻くか他の梯団にご参加ください〜』と誘導の人たちが呼びかけていました。ぶつくさ言ってるジジイが少しいましたが、『今時 組合の幟を担いでくるなんて頭がおかしい』と、いつもながら思います。見通しが遮られたり竿がぶつかったりで周りには迷惑だし、沿道の人たちにだって閉鎖的でイメージ悪い百害あって一利なしです。実態は全部が全部そうでもないかもしれませんが、組合なんて利権団体というイメージしかないんですよ。こんな簡単なことも判らない人たちが未だに居る(年寄ばかりですが)のが不思議でなりません。だいたい動員でデモに来るって自分が恥ずかしくないんだろうか。                         
                    
今日はバカ右翼が嫌がらせでゴキブリのようにうろちょろしてました。出発前に反原連のミサオ氏が『挑発に乗ったら、奴らの思う壺なのでスルーしてください』とマイクでしゃべりながら、街宣車の上でバカどもに中指を立てていたのが印象的でした(笑)。まさにCool Head,Warm Heartです(笑)!
●渋谷を歩く。最初は凄い人ごみでした。




●渋谷駅           


           
渋谷駅を過ぎたあたりでボクの目の前にも売国奴の右翼連中が嫌がらせにきました。実害はありませんでしたが、こういうバカの脳みそはどうなってるんだ。デモ後に連中が警察の脇で!煙草を吸って一休みしているのを見かけたんですが、ジジイばかりでした。右翼も過激派も同年代/同類ってことなんですかね。
クズどもがやって来ると、ボクも含めてコールの声が一段と大きくなりました。それに圧されて連中はぼそぼそ文句を言うことしかできません(笑)。コールって平和的な武器なんだとつくづく思いました。あと、『バカはスルーしろ』という事前注意があったにも関わらず、誘導をやっていた学者の会の佐藤学東大名誉教授が血相を変えて連中に食って掛かっていったのが素敵でした(笑)。彼もまたCool Head,Warm Heartの持主です。その年代でも立派な人も居る、ってことなんでしょう(笑)。
売国右翼がデモ隊の脇を並走して嫌がらせにきました。だけど連中は人数に圧されて何もできません(笑)。連中の車のナンバーをさらしておきます。日頃は道交法がどうのこうの云う癖に警察は役立たずでした。無能です。



                                             
一瞬 ムカつきましたが、それ以外は穏やかな良いデモでした。写真をご覧になってもらうと判ると思いますが、老若男女、子供連れやベビーカーを押すお母さんも含めて様々な人が自分の意志を表現した2時間でした。ボクにとってはどちらも子供のときから自転車で走り回っていた遊び場なのであんまり意識したことがなかったのですが、原宿と渋谷では人種が全然違うんですね。原宿に来ると、デモに手を振ったり写真を撮る人が増えてきます。





●原宿の交差点にて。


                      
●ビルの2Fから手を振ってくれる人たち


SEALDsのサウンドカーはコールとスピーチを混ぜるいつものスタイルです。歩いているとスピーチって聞き取りにくいところもあるんですが、大学1年生の子のこの発言にはハッとしました。確かに金で買えないものってあるなあ、と反省しました。


ここからいくつかコールを挙げます。
●いつもの『安倍はやめろ』

●『野党は共闘』

●『NO!』

●『原発もろとも安倍もやめろ』

●選挙に行こうよ

 
                                            
今日は他にも『学費を下げろ!』とか『生活保障に税金使え!』というコールもありました。大賛成です。今 私立文系では4年間で平均700万学費がかかるそうです。アメリカよりはマシにしても、確かに酷い。2012年の調査では4年生の昼間大学に通う約半分が何らかの形で奨学金を利用しているというのも判ります。この国は軍備や原発、クダラない補助金にカネを使っている余裕はないはずです。

原宿駅前から終着の代々木公園へ。終盤バック・トラックにエドウィン・スターの『WAR!』(ベトナム反戦を訴える黒人歌手のヒット曲)をかけてコールしてくれたのは個人的にかなりアガりました。良くわかってる。






                  
ディスるわけじゃありませんが、幟が林立する組合の動員主体の梯団。コールも対照的(笑)。



               
●高校生たちの梯団。コールの勢いが全然違う


                                               
今日は予想を超えて1万人も集まったわけです。少し前 どこかのバカ政治家が言ってたと思います。『正月過ぎたら忘れるって』(笑)。どこが! あとは野党がもう少ししっかりしてくれればなあ(嘆息)。
●デモを知らせる毎日新聞の速報
反安保法制:「安倍政権NO」「諦めない」渋谷原宿でデモ - 毎日新聞


                           
さて、今週の映画は渋谷で『ストレイト・アウタ・コンプトン

ドクター・ドレ、アイスキューブなどが所属した伝説の西海岸ヒップホップグループ『N.W.A.』(Niggar With Attitudes=物言う黒人たち)のサクセスストーリーとその後を描いた映画。
アメリカでは大ヒットして興行収入も1位を記録しています。

今までボクはラップとかヒップホップってあまり興味がありませんでした。社会への不満を訴える気持ちは判る。パンク・ロックはロクに演奏技術がない若者の怒りのはけ口として誕生したわけですが、ラップは楽器すら変えない貧しい若者たちの怒りのはけ口として生まれました。ですが、リズムや音はともかく、メロディは単調だし、スラングだらけの歌詞はボクにはわかんない。たとえ歌詞が判っても『酒だ、クスリだ、女だ、金だ、銃でぶち殺せ』みたいなのが多くて共感も出来ませんでした。N.W.A.も知ってたけどメンバー間で本気の暴力抗争とかやってたから、『こいつら、バカじゃないの』と思ってました。
●映画でのN.W.A.の面々。似てます

                              
ところが映画『サイタマノラッパー』シリーズを観たり、それに昨年のSEALDsの集会やパレードに参加して、考え方が変わりました。SEALDsはコールやプラカードなどヒップホップの影響を大きく受けてます。確かにメッセージを訴える方法としてはラップは効果ありました。特に集会なんかではロックやフォークなんかより、はるかにいい、と思ったんです。歌詞に重きを置くフォークは論外にして、ロックにしたって好き嫌いがあります。一方 ラップの単純なメロディの繰り返しと激しいビートは呪術的と言ってもいいのかもしれないけれど、シンプルですから、(ビートの速さは別にして)比較的誰でも乗りやすい。子供でも判ります。元がストリートの音楽ですから、集会など屋外でスピーカーと参加者が掛け合いでメッセージを紡ぎ、皆の気持ちを一致させ、高揚させる技術としてラップは非常に優れているんじゃないか。
もう2016年です。今どき、既成左翼の長くて退屈で意味のない話を聞かされたり、誰も知らない団体の肩書を一杯並べられたり、変なフォークソングの陳腐で赤面するような説明調の歌詞を聞かされても困るわけです(笑)。
屋外でメッセージを伝え、気持ちを合わせるにはラップ/ヒップホップは効果的な技法だと言うことは今夏 ボクが若い子たちに教えてもらったことの1つです。12月6日の銀座デモにバカ右翼の街宣車が突っ込んできたとき、参加者が『民主主義ってなんだ』、『これだ』というコールで押し返すことが出来たのは、参加者にラップとリズムによる高揚感があったのも理由だったはずです。




映画の舞台となったカリフォルニア州コンプトンはLAの南にあって、全米でも治安が悪い街として有名だそうです。住人は黒人とヒスパニック系が殆どで、街には麻薬の売人が闊歩し、ストリートギャング同士の抗争も盛んです。それを警官も力づくで取り締まっています。所持する銃を提出すれば市が商品券をくれる(笑)、そんな街だそうです。

詩が好きな高校生アイスキューブと音楽オタクのドクター・ドレ、それに麻薬の売人のイージー・Eたちはそんな街で生まれました。アイスキューブが乗っているスクールバスから学生がストリートギャングをからかえば、ギャングがバスを無理やり止めて銃を持ってバスに乗り込んでくる。子供が居るのにちっとも働かないドクター・ドレは家から追い出され、悪いことばかりやっている弟の身を案じつつも、親戚の家に転がり込みます。イージー・Eは麻薬の売人ですが、早く足を洗わないといつ殺されるか判らない、とも感じています。

彼らは他のメンバーと共にラップグループN.W.A.(ものを言う黒人たち)を結成、CDを出します。酒、女、麻薬、抗争、横暴な警察、コンプトンの暮らしをそのまま描いた彼らのラップは大ヒット、一躍スターダムに登りつめます。


                                
彼らの大ヒット曲は『Fuck The Police』(笑)。もちろん放送禁止です。彼らの過激な歌詞にFBIが警告を出し、デトロイトではとうとう逮捕されてしまいます。しかし、彼らの人気は一層高まっていきます。
●警察は嫌がらせを続けます。

                                   
ここまでは良くある、音楽好きな若者たちのサクセスストーリーです。背景がちょっと過激なところは違いますが(笑)、観ていて爽やかな感じすらあります。それほど直接的な暴力描写が無いのもボクには良かったです。
映画では警察の横暴さは執拗に描かれています。白人警官だけでなく、黒人の警官こそ、黒人を苛めていました。分断、というものがあるんですね。近年でも警官が黒人を不当に殺す事件が相次いでいます。N.W.A.の音楽や歌詞が社会に影響力を持つのは理解できます。


スターになった彼らですが、悪徳マネージャーやイージー・Eとのカネの分配で仲間割れが始まります。彼らのレコード会社は麻薬の売人でカネを持っていたイージー・Eが出資して設立したのです。最初に抜けたのはアイス・キューブ。独立したアイス・キューブはラッパーとしても映画俳優としても成功しますが、残ったメンバーたちと作品の中でお互いディスリ合うようになります。これもラップならでは(笑)。それが作品でディスるだけでなく、取巻きを含めての暴力抗争にまで発展し死者まで出ます。音楽的に最も才能があるドクター・ドレはイージー・Eに悪徳マネージャーと縁を切れ、と説得しますが、イージー・Eは首を縦に振りません。とうとう彼もイージー・Eと袂を分かちます。
●悪徳マネージャー。

                                          
その後のドクター・ドレはプロデューサー、実業家として大活躍。一昨年 アップルが彼が設立したBEATというヘッドフォン会社を3000億円で買収したニュースは日本でも大きく報道されました。今やドクター・ドレは大金持ちであると同時に、アップル・グループの幹部でもあります。
Apple、Beats MusicとBeats Electronicsを買収 - Apple (日本)

才能ある二人が抜けてイージー・Eは苦境に陥ります。昔取った杵づかで彼がマリファナの現物支給で給料を払おうとするところは凄く良かった(笑)。それでも月日が経ってアイス・キューブドクター・ドレ―、イージー・Eは和解し、N.W.A.を再結成しようとします。しかし、その時にはイージー・Eは不知の病に侵されていました。
                                                   
音楽映画ですが、ラップ、ヒップ・ホップに詳しくないボクでも充分 面白かったです。確かに複数のラッパーと観客で紡いでいくラップの快感というものは感じました。それにドクター・ドレのトラックの音は気持ちいい。彼らの歌詞の『酒・金・女・クスリ』というところは全く共感できないけど、警察の横暴や貧困に対する抗議の気持ちはボクも良くわかります。根っこのところには『俺たちは意見を主張したいんだ』というところですから。それに彼らのスタイルは結構かっこいい。SEALDsのマークは彼らからパクッたんですね(笑)。


ただ、この映画は彼らの過去を美化しすぎているという批判もあるそうです。過去 彼が行っていた女性への暴力が描かれていないとして、今やアップルの一員でもあるドクター・ドレは今夏 公に謝罪に追い込まれました(笑)
ドクター・ドレー氏、過去における女性への暴力を謝罪--アップルは支持を表明 - CNET Japan
複数の女性を暴行、明らかになるDr.Dreの罪 | アメリカ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

映画自体は後味が良い音楽活劇です。純粋に娯楽として楽しい、全米NO1の大ヒットもうなずける映画でした。良かったです。でも このコール&レスポンスが耳に残っちゃって困っているんです。思わず口ずさんでしまうんですよ。まずいなあ(笑)。
『Fuck The Police』,『Fuck,Fuck』(笑)。