特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『太郎頑張れ(笑)と反知性主主義』とテレメンタリ―2015『デモなんて』、それに『1016再稼働反対!首相官邸前抗議』

爽やかなお天気になりました。と、同時に今年もあと3か月を切りました。今更ながら月日が過ぎるのは早いものです。年末というのは忙しいだけでロクなことがありません。なんで忘年会なんてくだらないものが世の中にあるのでしょう。いつか竹林の中で独りで暮らしてみたいです。アマゾンとネット、電気・水道さえあれば何とかなる(笑)。それじゃ、物質文明どっぷりか(笑)

                                                           
六本木のハラル認証のレストランで、今度は羊のレバーのカレーを食べました。正式名は忘れましたが、パキスタンの家庭料理だそうです。羊のレバーというのは初めてでしたが、鳥や豚のレバーと異なり歯ごたえがあるものなんですね。それを大量のハーブとレモンで煮込んでいます。こういう癖のある料理って、文字通り癖になっちゃいます(笑)。
●上に載っているのは生姜の千切りとトマトです。



                                                                   
また、政府が軽減税率を導入とか言い出しましたが、財務大臣麻生太郎が『軽減税率なんて面倒くさい』と発言しました(笑)。http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151014-OYT1T50144.html

この件に関してだけは太郎頑張れ!と思わずコールしたくなります。もちろん山本太郎じゃありません(笑)。冷静に評価すると、麻生太郎は確かにロクでもないナチス野郎ですが、経済についてはリチャード・クー先生をアドバイザーにしているだけあって、そんなに的外れじゃないんです。実際 彼が総理大臣当時、リーマンショック後の需要喚起策はある程度うまく行きました。
                                                  
世論調査では、消費税の軽減税率は賛成の人のほうが多いようです。しかし、軽減税率というのはお金持ち優遇だし(お金持ちの方が食費は高いに決まってます)、流通側は滅茶苦茶に手間がかかる、おまけに軽減税率の適用品目を巡って役所や政治家の利権は増えるわ、しかもタダでさえ大赤字の国の税収が減る(他で増税するでしょうが)、はっきり言ってロクなことはありません。*ご参考まで。軽減税率は消費税の逆累進性を増大する、貧乏人から金持ちへの所得移転みたいなものです『悪夢の軽減税率』と『心のいちばん柔らかいところに届く映画:ラブ&ピース』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
でも新聞も、新聞と同一資本のTVも、軽減税率のデメリットは殆ど報じません。新聞への軽減税率適用を狙っているからです。だから人々の間には軽減税率って良いことのようなムードがあるのでしょう。本来なら政治家はそういうムードに反対するのは損です。麻生太郎はバカだから(笑)本当のことを言っているわけです。
実際 軽減税率には経済学者は殆ど反対、企業も大企業(経団連)も中小企業(商工会議所)も全て反対しています。ボクが嫌いな飯田泰之ですら『軽減税率は天下の愚策』と言ってましたけど、こんなバカな政策はありません。結局 安倍晋三は人気取りでこれを通すためにまた免税のバラマキとか例外規定を作って、もっといびつな形になるんでしょう。
●法政大小峰教授のtweet

*政府は補正予算で低所得世帯への3〜5万円のばらまきを検討するそうです。軽減税率だって、代わりに低所得者層へ一律のばらまきをすればいいのです。元来野党がこういう政策を唱えるべきでした。
http://mainichi.jp/select/news/20151016k0000m020138000c.html
                                                              
軽減税率に賛成する人も原発再稼働や安保法案に反対の人も世の中では多数派です。でも、やっぱりボクは世論の数を頼むのって嫌いです。それもまた反知性主義だと思うからです。佐藤優氏の言葉を借りれば、部分的な論理性だけで(屁理屈ですな)客観性、実証性を欠いているのが反知性主義だそうですが、安倍晋三ネトウヨだけでなく、それに反対する側もそういう例は多いです。反知性主義は一時的に多数を取ったとしても結局はうまく行かない。           
高木仁三郎氏は生前 宗教的と言ってもいいほど、全く理屈が通じない一部の反原発のことを嘆いていました。なんだかんだ言って、そういう連中が反原発の足を引っ張っています。国会前抗議へ行くと端っこで、意味がさっぱりわからないビラ(笑)を配っていたり、気持ち悪い歌を歌っている人が未だにいます。9月には国会前で過激派の認知症ジジイどもが『国会へ突入する』(笑)とか言って皆の抗議を妨害したのも記憶に新しいし、あやふやなロジックで福島の被害(もしくは安全)を過度に強調する輩もそうです。TPPでも原発事故でもそうですが、判らないことは判らない、と言えばいいのです。だって判らないんだもん(笑)。「判らない」と言う誰でも共通の事実を前提にしなければ、意見が異なる人との対話なんかできません。
                                          
70年代安保の不毛な、知性に欠ける運動がその後 何十年も日本の市民運動の発達を遅らせました。その悪癖が未だに残っています。311以降 反原連やSEALDsが出てきて、やっと個人が参加する本来の市民運動が頭角を現してきた。311前にボクが参加した、個人が主体のイラク反戦デモとか、イスラエルによるガザの虐殺への抗議デモ2009-01-11 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)なんか2〜300人くらいでしたですもん(笑)。もう、時代を後戻りさせてはいけない。
●2009年11月ガザ虐殺に抗議するピースパレード@六本木。寒かった〜

                                                                               
本当のことを言うと、安倍極右政権がどうのより、世の中にはびこる反知性主義にどう対峙するか、のほうが本質的な問題だと思います。何となくムードで軽減税率に賛成しているのも反知性主義でしょう。勿論 複雑な今の世の中で、何でもかんでも検証している暇はないのも間違いありません。でも、皆がいつもそうだと政治家や既得権益団体が図に乗って今のようになっちゃいます。世の中を本当に変えるには、イデオロギーに関係なく、客観性や実証性を意識する人が増えていくのが早道、じゃないでしょうか。

                                             
                                               
さて、東京では12日深夜にTV朝日で放送された、テレメンタリ―2015デモなんて』は心に残る番組でした。テレビ朝日|テレメンタリー

SEALDs関西のメンバー3人に3か月間 密着取材したドキュメンタリーです。TV朝日ということで下品で扇情的な番組かと警戒していたのですが(笑)、2015年の夏 3人の若者たちのデモのある日常を淡々と描いた、素直に心に入り込んでくる番組でした。制作がTV朝日ではなく、ABCという大阪の放送局だからかもしれません。ちなみにボクはTV朝日は大嫌いなので深夜に録画している『ももクロちゃん』しか見ません(笑)。

                                                   
登場する3人はアニメ好きで引き籠りだったがデモに参加するようになった女子大生、もう一人は就職活動の合間にデモに参加する大学院生(男性)、もう一人は京都の10代の女子大生。皆、ごく普通の、だけどちょっとだけ自分に対して自覚的な若者たちです。
1年前まで引き籠りだった大澤さんはバイト先でシングルマザーの子と知り合って社会の冷たさを実感したそうです。大学院生は障碍者施設でバイトをしているので言わずもがな、です。彼らは単に安保法案反対というだけでなく、将来の自分たちの生活に切実な不安を感じているんですね。『自分の人生は政治抜きに語れない』と彼女らは言います。おっさんのボクだって勿論 将来に不安はありますけど、今後50年は生きるであろう彼らとは不安の質が違います。
30分の短い番組の中で彼らの3か月間の生活、「勉強」、「思春期の悩み」、「デモの準備」、「バイト」、「就活」、「御堂筋でデモ」、「大阪でデモをやったらバスで東京へ向かう」が描かれます。充実しているなあ、と思いました。当人たちはそう思わないでしょうけど、ボクの目にはまぶしく見える。若いっていいなあ(笑)。自分では絶対 戻りたくないけど(笑)。

大澤さんの、家族とのメールのやり取りも面白かった。「デモは安倍総理の国を思う気持ちに失礼だ」(笑)というバカ兄貴から『無知をさらけ出すようなデモはやめろ』というメールが何度も来ます。もちろん彼女はそんなセリフに納得しません。ボクはSEALDsの子たちはきちんと勉強しているという印象しかなかったので、無知呼ばわりする人がいるのが衝撃的でした(笑)。ちなみに大澤さんは雑誌「現代思想」の増刊号に文章を寄せています。とても説得力のある、きりりとした文章です。最後は引き籠り出身のアイドル、でんぱ組inc.の歌詞マイナスからのスタート舐めんなで締めていました(笑)。偉い。
●番組で彼女の肉声を聞いた後に読み直したら、緊張している文章だな、と思ったりしました。豪華メンバーを集めた、この特集本はとても面白かったです。

                                      
番組は安保法案が通ったあとの彼女たちの感想で終わります。京都の女の子は『デモなんかやりたくないけど、日常の中に政治的な空間を持ち込むのは今 生きている人間にとって後に続く人への責任、ということを路上に出て気付くことができた。良かった。』と言います。19歳の女の子が言う台詞とは思えないです。大澤さんは『いろんな人が希望を持たせるような景色を見せてくれたのがこの夏の収穫だった。これから民主主義が始まるのかな、えへっ(笑)。』と明るく言っていました。最後の『えへっ(笑)』がポイントです(笑)。彼女たちは全く絶望していません。むしろ何かが変わったことを実感しているいるはずです。
                                                                                                                        
一部のマスコミやネットでは彼らへの酷いデマや中傷が未だに存在しています。そういうのをやってる奴って社会の最底辺のネトウヨだけでなく、辺見庸のような品性下劣な左巻きジジイまでいます。人品の卑しさに年齢は関係ないんですね。ああいう連中を見ていると、かってのイラク人質事件の被害者の人への卑怯なバッシングを思い起こします。はっきり言って非常に腹立たしい。日本の社会は『出る杭を叩く社会』だと思います。『自分だったらこうやる』じゃなくて、新しいことを始めた他人にケチをつけることにエネルギーが向かうだから日本からは画期的な新製品や良質な雇用を生むような新しい企業が出にくいんです。このまま行けば高齢化した日本の行きつく先は、弱ったジジ・ババと自分では何もできない甘ったれたマヌケなガキばかりの貧乏国、すなわち『一億総立ち枯れ社会』です(笑)。
                                            
でも、こういう若い人たちを見ていると日本の将来も捨てたものじゃない、と思います。彼らはしっかり生活に足が着いているから、安っぽい絶望や虚無に自分の身を簡単にゆだねたりしない安易な結論を求めがちな反知性主義の罠には勇気をもって踏みとどまることが出来ています。彼らのような存在はまだ僅かかもしれません。でも、あんなに一生懸命な若い子たちを見ると、自分も情けなかった。ボクには何ができるだろうか。せめて、こういう若い人たちがどんどん出てきやすくするのが、歳を食った人間の仕事・義務だと思いました。
●今のところ 放送本編がYouTubeに残ってます。


                                                 
ということで、今週も官邸前へ。【1016再稼働反対!首相官邸前抗議】★1116再稼働反対!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合
時折 雨がぱらつきます。くっそ〜。昨年はデモの際 一度も傘を差したことがありませんでしたが、今年は6月からデモになると雨ばかりです。きっと来年はデモ日和が続くでしょう(笑)。今日の参加者は主催者発表で1200人。
●抗議風景





                                        
昨日 川内2号機が再稼働されました。どうせ、何かトラブルんじゃないでしょうか(笑)。昨年の南日本新聞の調査によると鹿児島県の人の約6割が再稼働に反対だそうです。http://373news.com/_kikaku/genpatsu/index.php?storyid=56639
ですが、各種ニュースでは補助金が落ちる地元だけは賛成が多いということも報じられています。誰にとっても、お金や雇用は大事なのは誰でも一緒です。だけど、それと引き換えに事故が起きても『自業自得』であるのもまた事実。それはともかく、そういう立場の人や電力会社や原発メーカーとも話し合っていける論理、態度を保っていかなければ物事は進まないんでしょう。
●国会前


                                         
しかし、これだけ長い期間 原発が止まっていたのは原発ムラにとっては大打撃になりました。止まっている期間が長ければ長いほど、再稼働する原発が少なければ少ないほど、原発無しの未来が現実味を帯びてきます。既に原発メーカーは青息吐息です。あとは来年から始まる電気小売自由化で九電や関電、それに東電のような原発に未練たらたらのクソ電力会社を出来る限りボイコットしていけばいいんです。

                         


さっき挙げた現代思想の増刊号でSEALDsの別の子がSEALDsを始める前、官邸前抗議の存在や原発ゼロが続いている事実が私にとって希望だったと書いていました。路上に突っ立って文句言ってる時はそんな意味があるとは夢にも思わなかったですけど、なんかの役には立ってるらしい(笑)。
結局 小さくてもコツコツと種を捲き続ければ、芽が出ることもあるんでしょうね。