特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

反知性主義とは何か(読書『知性とは何か』)と『0828 再稼働反対!首相官邸前抗議』&『戦争法案に反対する金曜国会前抗議行動』

暑さも和らぎ、だいぶ体が楽になってきました。休日の朝はゆっくり寝られるようになりました(笑)。こんどは布団から出るのが億劫です(笑)。

                                   
近頃 世の中では『反知性主義』が広まっていると言われることがあります。確かに第3者から見ると全然理屈になってない、何を言ってるか判らない意見、一昔前なら『バカじゃないの(失笑)』と相手にされなかったような話が最近は大手を振って歩いている気がします。
●本屋へ行くとこういう類の本を何冊も見かけます。

                                                     
その最たる例は在特会ヘイトスピーチでしょうけど、そこまで酷くなくても『戦争に行きたくないのは利己主義』(笑)など国会議員の訳の分からない発言や安倍晋三の全然答えになってない国会答弁を聞いていても、『反知性主義』の広まりを感じる人は多いのではないでしょうか。
●毎度お馴染み日本人ジョーク
                                                   
                                               
それは右寄りの人たちだけではありません。ボクは原発に反対ですが、原発に反対している人でも色々な人がいます。例えば『福島の健康被害を事実以上に大げさに触れ回る』や『今すぐ原発全廃を主張するけど、そのデメリットを全く考えない』みたいな人がいます。福島の健康被害で言えば『リスクがあるかも』という話と『事実としての被害』は明らかに違います。証拠がはっきりしないのに、健康リスクの話をさも事実のように触れ回るのは単なる嘘つきでしかありません。そういうデマをまき散らす人たちは間接的に福島の人を傷つけているとさえ、ボクは思います。まして、どんな主張でもデメリットを全く考えないような人は言わずもがなです。
                                   
安保法案でも同じです。例えば『積極的平和』を最初に唱えたというノルウェイのガルトゥング博士は8月26日の朝日新聞のインタビューで『日本外交の問題は米国一辺倒で政策が硬直していること』としながらも、『硬直していると言う点では、憲法九条を守れと繰り返すだけで具体的な政策を考えてこなかった平和運動も同じです。私が日本に初めてきたのは1968年ですが九条を『安眠枕』 にしている点は今も変わりません』と指摘しています。いわゆる日本の平和運動も硬直的で思考停止している、と言うのです。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11931897.html
*ハフィントン・ポストでもほぼ同じことを言っています。こちらは無料記事。
ガルトゥング博士の来日目的は真の「積極的平和」を基とした3つの提言をすることだった | HuffPost Japan

集会などで『憲法9条を守れ』というスピーチを聞くと、ボクも彼と同じことを感じます。『じゃあ、どうするんだ』って話は聞いたことがないからです(笑)。外交を強化するのは結構だし、同感だけど、それで本当に大丈夫なのか、どういう場合は大丈夫で、どういう場合はそれでは通用しないのかという具体的な議論は聞いたことがないです。戦争法案反対というシュプレヒコールも良いけれど、それだけで終わってしまっては『安眠枕で寝ているのと同じ』。反知性主義とはそういうことなんだと思います。
                              
勧善懲悪、TVのワイドショーみたいな『反知性主義』は左右に関わらず広まっています。判らないでもありません。世の中はどんどん複雑になっています。そういうときこそ『単純明快な結論を欲しがる人』、『自分が聞きたいことだけしか聞きたくない人』が増えるのは理解できます。そういう人に『反知性主義は良くない』と言ってもおそらく無駄でしょう。ネトウヨでも反原発でも『ネットで私は初めて真実を知った』と言い張ってるような人(笑)は異なる意見を聞く耳なんか多分ない、と思います。ゼロには何をかけてもゼロ、だからです(笑)。それは他人事ではありません。こんな世の中ですから自分だって、いつ反知性主義的な態度に惑わされるかわかったもんじゃない。人間は流されるものだからです。だから色んな意味で『反知性主義というのは現代的な課題』だと思っています。じゃあ、どうしたら良いんでしょうか。


                                                             
最近読んだ本で『ためになった』と思ったのが佐藤優氏の『知性とは何か』です。内容は『ナショナリズム歴史修正主義など反知性主義に抗するにはどうするか』と『知性を高めていくにはどうするか』について書かれています。

知性とは何か(祥伝社新書)

知性とは何か(祥伝社新書)

                                   
この本で感心したのは『反知性主義の定義』です。著者は近代は合理性、客観性、実証性の3つによって構成される啓蒙主義の時代であり、『反知性主義は客観性、実証性が抜け落ちて、合理性が不当に利用されること』と指摘しています。つまり『反知性主義は近代・啓蒙主義の鬼っ子』だと言うのです。

確かに、その通りです。反知性主義はバカだとは思うけれど、彼らにだってごく狭い範囲から見た理屈(屁理屈)はあります。ヘイトスピーチや移民や生活保護へのバッシングが後を絶たないのは『あいつらだけ得しやがって』という狭い視野からの理屈、合理性はあるからです。しかもネット時代ですから上辺だけの知識だってある。だけど、そこには客観性や実証性はありません。
例えば『九条を守れとしか言わない』のもある程度の合理性はあるでしょう。でも、それだけでは客観性や実証性は必ずしも十分ではない。 ネトウヨでも反原発でも『ネットで私は初めて真実を知ったと言い張るような人』(笑)はおそらく、情報の元ネタに当たったり(実証性)、他メディアはどういうことを言っているのかチェック(客観性)はしない。『マスゴミは嘘ばかり』という一言で実証性や客観性を放棄しているわけです。もちろん、今のマスコミがいい加減なのは嘘ではありません(合理性)。だけど、それだけで思考停止してしまえば実証性や客観性を放棄していることになります。
                 
そういう反知性主義に捉われている人にはあまりコトバは通じません(笑)。言葉が通じないから反知性主義なわけです。でも世の中はそういう分かりやすい話は広がっていきやすい。悪貨は良貨を駆逐する、を絵に描いたような光景です。そのような反知性主義に抗するには、佐藤優氏は人間が培ってきた『コトバ、力、心 行為』で反知性主義を包囲していく、そうすることで社会的影響力を削いでいくしかないのではないか、と言っています。コトバによって反知性主義者の粗野な言説を乗り越え、彼らの暴言や暴力には心を強くして対抗する。時には彼らを公共圏から排除する力も必要で、これら様々な行為によって彼らを封じ込めるのだ、と言うのです。
                                                                             
この対処法で良いかどうかはボクはまだ確信が持てません。でも、反知性主義を放っておいていい、ということではないでしょう。問題を解決するための第一歩として『定義』は重要です。反知性主義という問題に対処するにはまず、反知性主義とは何か、ということを定義するのが必要だからです。
ボクは、反知性主義は排除することも説得することも困難だけど、排除すべきでもないと思います。民主主義の世の中では数の力は重要だからです。反知性主義の社会的影響力を削ぎつつ、包摂することが必要なんでしょう。彼らの言説に影響力は持たせてはならないけど、排除はしない。既読スルーが大人の知恵でしょうか(笑)。少なくとも自分は反知性主義の巻き添えにはなりたくないので(笑)、合理性に加えて『客観性、実証性』は一層 意識していこうと思いました。

                                                      
ということで、今週も官邸前+国会のダブルヘッダーへ。
時折霧雨がぱらつく中、参加者はちょっと控えめの抗議でした。30日の大規模抗議もありますし。主催者発表1800人。でも、ボクはどうしても311以前のデモと比べてしまうから1800人ってすごく多く感じます(笑)。
●抗議風景@官邸前








                                                  
今週 九州に上陸した台風で薩摩川内市も停電が起きたそうです。ところが鹿児島県によると『台風が来た時の原発事故は想定外』だそうです(笑)。鹿児島に年間何回、台風が来るんだよ(笑)鹿児島県 台風時の原発事故は「想定外」 大規模停電で無責任体制露呈|政治ニュース|HUNTER(ハンター)|ニュースサイト
ちなみに伊藤祐一郎鹿児島県知事は27日の県総合教育会議で「高校教育で女子にサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」と発言したそうです。どれだけ腐ってんだよ。 石原慎太郎を当選させた東京都民が偉そうなことは言えませんが、こんなバカ知事をのさばらせておいて、後で泣くのは鹿児島県民だからね。
●鹿児島県の人は自分たちの知事がこんな差別主義者でいいんですか?かごしまの未来を語る会 - 「女の子にサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」... | Facebook 南日本放送


                                                   
それから、強くなってきた小雨の中を国会前へ。今日の参加者は主催者発表4000人。正直に言うと、スペース的にはこれくらいの方が快適ではあるんです(笑)。
●抗議風景@国会前




●最近 頭が呆けてしまったんじゃないかとお騒がせの香山リカ立教大教授(頭だけ)

                                                  
今日は最初に18歳の山梨の大学生がこんなことを話しました。
ボクは昨年 安保法案が閣議決定した時、初めて政治に関心を持ちました。でも311を過ぎてもこの国では誰も政治に関心を持ってないんじゃないかとも思ったんです。でも官邸前で秘密保護法などで抗議している人たちを見て、自分が勉強不足だったことが判りました。自分よりちょっと上だけど同年代の人たちが自分の声を挙げているのを見て嬉しかった。政治の事を話すのがタブーみたいな雰囲気ってどう考えてもおかしいと思います。』

官邸前でよく聞く訳の分からない強硬な原発反対論や政治家の通り一遍の挨拶と全然違います。彼は自分のことを自分のコトバで話している。自分の気持ちを正直に話している。ネットで受け売りの中途半端な知識やどこかの誰かが言っていることをなぞっているわけではない。だから、心に響きます。説得力があります。ボクの周りでも、複数の人から感嘆の声が出るほどでした。ボクだって以前の彼と同じように『日本人は政治に無関心、骨の髄から奴隷根性で全然だめ。』と思っていましたもん(笑)。ボクの子供みたいな歳の男の子の話ですが、勉強になりました。
                          
●コール風景

                                     
日曜日は『8/30 全国100万人大行動』ということですが、全国で100万人、国会前で10万人なんてせこいことは言わず、200万人でも300万人でも集まればいいな、と思います。それくらいの数の人は怒ってるんじゃないでしょうか。あんないい加減な安保法案に対する反対の声を政治家が聞く気がないのなら、その眼に見せつけてやるしかない、じゃないですか。
ただし、ちょっと心配なのは事故や暴力が起きること。これだけ人数が集まれば、参加者の側にも知性の欠片もない大バカ(反知性主義者)だっているし、警察の側だって何か仕掛けてくるかもしれない。古今東西の歴史を考えれば、公安が群衆の中に入り込んで暴力を煽るようなことはあるかもしれません。ここで何かアクシデントが起きたら、安倍晋三の思うつぼです。今後のことを考えれば、バカどもの挑発に乗らず平穏無事に抗議が行われることは大勢の人が集まることより1億倍も大事!でしょう。
                                                  
かくいうボクは30日は前々から計画してた旅行があるので国会前には間に合わないか、と思っていました。でも、SEALDsの諸君は5時まで抗議をやると言ってます。それなら何とかなるかもしれない。ありがとう。なんとか都合をつけて駆けつけようじゃないですか。