特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『東芝の原発事業』と『ネットはバカの増幅装置』(笑)。それに安倍政権NO! ☆ 0724首相官邸包囲:参加者7万人!

今週の東芝の社長辞任記者会見は近年まれに見る酷さ、だと思いました。森喜朗が国立競技場の見直しについて『いい迷惑』と責任転嫁した会見と同じくらい酷い(笑)。会見で東芝の社長は『私は不正を指示した認識がない』と言い張ってました。じゃあ、なんで辞めるんだよ(笑)。以前 赤福が不祥事を起こした際 社長になったばかりのボクの同級生が涙ながらに記者会見をやってましたが、その時と違って記者の質問も今回は全然おとなしい。完全に出来レースのように見えます。同じ粉飾でもホリエモンの例を見るまでもなく、実に不公平だと思いました。
東芝の今回の事件は社内の派閥争いが遠因だとか色々な話があるけれど、真の問題は決算の粉飾であり、その本丸はやはり原発の様です。膨らんだ「のれん代」1兆円超東芝がひた隠す「原発事業の不都合な真実」(町田 徹) | マネー現代 | 講談社(1/4)
                                                        
東芝は2006年に4800億、2012年に1200億も費やして米WH(ウエスティング・ハウス)の株を買って子会社にしているが、そののれん代の償却は行われてないそうです。それが本当に妥当な処理だったのか。国際会計基準(IFRS)を適用したからと言い訳しているけれど、アメリカ国内での新設がずっと止まっているWHの原発事業は311以前だって、決して儲かる事業ではなかった筈です。WHは非公開会社だから内実は判らないけれど、赤字だった可能性はかなり高い。だから、こういう推理が簡単に成り立ちます。
                   
東芝はWHを高値でつかまされて始末に困り、穴埋めのために粉飾に走った(笑)。
バブル期に松下が映画会社(ユニバーサルなどを持つMCA)を、それに三菱地所ロックフェラーセンターを高値で売りつけられて、両社とも大損こいたわけですが、そこから学ばなかった東芝は30年後にまた同じことをした、ということでしょうか(笑)。
専門的な話ですが、国際会計基準(IFRS)導入による高値掴みの多発のリスクは以前から指摘されています。日本に押し付けられようとしているIFRSの弊害や昨今騒がれているROE重視の話は、もしかしたらTPPより酷いダメ―ジになるかもしれないとボクは思っています。http://www.mavalpartners.com/knowledge/report_20140626/


アメリカの投資家が東芝に対する集団訴訟を起こすそうですが米投資家、東芝を提訴 不適切会計「株価下落で損害」 :日本経済新聞、相変わらず日本って自浄作用がない国です。こんなことまでアメリカ頼みなんだから。
                                             
勿論 東芝の監査を担当した新日本監査法人も酷い。数百億円、いや数千億円の単位の粉飾が見抜けなかった監査法人なんて、ただの監査料金泥棒でしょう。新日本はオリンパスの粉飾も見逃した前科があります。東芝の経営者が詐欺犯なら、新日本は詐欺ほう助です。
ほんとなら東芝監査法人に責任を押し付ける手もありました。それをせずに東芝(と第3者委員会)が監査法人を『守った』のは、今後 決算の訂正で問題になる1兆円以上ののれん代の処理を穏便に済ますため、という弁護士の指摘もあります東芝は「社長のクビ」より「監査法人」を守った:日経ビジネスオンライン。その、のれん代の半分以上は原発でしょう。
                                                                                           
今回の事件ではっきりしたのはやはり、『原発という事業はますます採算が取れない事業になってきた』ということです。以前にも書きましたが、今や世界の原発メーカー、GEは原発に消極的、アレバは潰れかけて国有化、WHはこのありさまです。残るは韓国、中国、ロシアのみ(笑)。
地域独占の電力会社や親方日の丸の役人はいざ知らず、市場原理では原発は成りたたないんでしょう。木端役人やバカ政治家、独占企業の無能な経営者がジタバタしようと、世の中の大きな流れは変えられない、と思います。



さて、最近twitterを見てて、改めて思うのは『ひどい』ってことです。国会前で安保法案に反対するSEALDsという学生さんたちのことを、右側の人は『共産党だ、過激派だ、しばき隊だ』と根も葉もないことを言い立ててるし、左側は『手ぬるい』だの、『不真面目』だの、『資本主義や安保を肯定している』(笑)だの、頭が悪すぎてどうにもならない。今までブログに書いてきたとおり、ボクは実際に彼らと話してみて、知的で礼儀正しい今どきの子、という印象しかありません。
                                                  
自民党の国会議員 田村重信(62歳 拓大出身)がSEALDsを『民青、過激派、在日、チンピラ』と罵っている。西欧なら間違いなく差別発言+名誉棄損で議員辞職の筈。ちなみにこの議員が嬉しそうに証拠として挙げているネトウヨの記事(失笑)にあった共産党とSEALDsの街宣車が同じという写真を見たらナンバーの下4つは一緒だが車種が違っていました(笑)。合成し忘れたのかな(笑)

●それに対するSEALDs側の反応。どっちが大人なんだ(笑)。年齢は40くらい違うはずだが(笑)

                                                 
驚いたのは『デモに行くと就職できない』とか『学生の政治活動は禁止されている』とか見え透いたデマまで言い立ててる連中がいること。はあ?頭の中がどれだけ時代錯誤なんだよ(笑)。
SEALDsの諸君のように『自分の頭で考え、実行できる人材』は、まともな企業だったら喉から手が出るほど欲しいに決まっています。今年は出来なかったけどボクが就職試験の面接やったら二重丸つけます。机の前に座ってるだけで他人の足引っ張ってる連中こそ、完全に要らねえよ(笑)。そんな役立たずのクズがいるから、最近の企業は外国人の学生さんの採用を増やすんですよ。
                                                                                                                
きっと、ネットというものはバカの増幅装置なんでしょう。もちろんネットにはメリットもありますけど、『賢い人は情報をうまく使ってより賢く』、『自分の頭で考えられない人やリアルな現場を自分の眼で見ようとしない人は、ゴミ情報を盲信してよりアホに』、がネットの真実(笑)らしい。ネット上のやり取りを見ているとたいていの場合 自分と異なる意見は一顧だにしない。建設的な議論はあまりみかけません。作家の塩野七生が大著『ローマ人の物語』の中で『人間は自分の見たいものしか見ない』とたびたび述懐しています。多くの場合 人間はそういうものかもしれませんが、ネットはそれを増幅するのかもしれません。
●ボクは第2代皇帝ティベリウスのエピソードが好き。バカな議員や市民に失望してカプリ島に隠棲して政治を執った。
悪名高き皇帝たち[二]: ローマ人の物語 18 (新潮文庫)

悪名高き皇帝たち[二]: ローマ人の物語 18 (新潮文庫)

                                                  
それとは対照的に、自分のお金と時間を使って、時には中傷やデマ、それにやっかみにまで晒されながら頑張っているSEALDsのような子供たちがいます。ボクはそこに希望を持ちますし、及ばずながら自分もそうありたいと思います。
いつの世も物事を動かしたり、新しいことを作り出すのは、机の前に座って他人のあら捜しをしている連中じゃありません自分の頭で考え、自分で実行する人たちです

●『安保法案に反対する学生と学者の共同行動』(7/31)の感動的なポスター。写るのはSEALDsの学生たちと内田樹神戸女学院大名誉教授と佐藤学東大名誉教授。彼らも過激派や民青、チンピラなんでしょうか(笑)


                                                    
ということで、国会前へ
今日は再稼働反対の官邸前抗議はお休み。安保法案反対も再稼働反対もみんなで『安倍政権NO! 首相官邸包囲

                                                   
東京は日中 大雨が降ったけど、まだ暑い。午後6時の気温は30度。日比谷公園、官邸前、国会前、いろんなところで抗議がありましたが、ボクはSEALDsの諸君が主催する国会北庭前へ。今日も人がいっぱい。iPODを聞きながら開始を待っていたら、勤務先の女性がやってきたのに出くわした。顔くらいしか知らない人だけど全く思いがけない出来事にお互い顔を見合わせて、思わず大笑いです! なんだかんだ言って、こういうことって沢山 起きていると思います。この抗議には老いも若きも、本当に大勢の人、一般の人が参加している、と改めて思いました。

●抗議風景1









●参加者にインタビューするNHK武内陶子アナ(たぶん)。TBS報道特集の金平キャスターも見かけました。

●抗議の人たちが居る舗道を狭める警官に猛烈に抗議する見回り弁護士の人。いつもありがとう!

                                            
今日 SEALDsの諸君は音楽をかけながらシュプレヒコールをするのを始めた。ミディアム・テンポのドラムン・ベース(前述の自民党の田村のような連中は『共産党BPM=160で行け』とか指示してると思ってるんだろうかww。共産党にそれくらい能力があったら日本は1000年前に共産主義になってるよww。音楽ファンを舐めんな!)。クラブのDJ風ということだろう。夕方の空気の中で、リズムに乗せて身体を揺らしながら『安倍やめろ』、『憲法守れ』とコールすると、これが非常に心地好い。不自然で辛気臭くてワザとらしい、お経より眠くなる旧態依然としたシュプレヒコールとは全然違う。身体を揺らしていると、コトバが体の中から自然にでてきます。こういうのをイノヴェーションって言うんでしょう。集団行動が大嫌いなボクですが、このシュプレヒコールは心地好いと感じました。

シュプレヒコールの光景。バックの音楽が聞こえますでしょうか。



自分と違う意見のことを考えてみます。安保法案に賛成する人の意見のほとんどは『中国の台頭など国際環境が不安定化するなかで、どうやって国を守るのか』だと思います。だから安保法案に反対する意見に対して『非現実的』とか『戦争をやりたいと思っている政治家なんかいない』という反応を示すのでしょう。
ボクも『どうやったら日本の平和を守れるのか』はちゃんと議論をすれば良いと思います。安倍晋三ですら認める通り、現状はまともな議論も説明もなされていない状態だ。そこが問題なんです。
小田嶋隆のツイート

                                                    
集団的自衛権を認めることで『アメリカとのつながりが強化され、抑止力が高まる』という意見と『アメリカの戦争に巻き込まれる』という意見があります。ボクはどっちも一理あると思う。だから火事場のたとえ話なんかじゃなく(笑)、きちんと議論をすればいい。綿密に考えれば、アメリカと組んで抑止力が高まるケースとそうでないケースがあるはずです。だから『メリットを生かしながら、デメリットを最小限にするにはどうしたらよいか』の議論が必要でしょう。
アメリカの戦争に巻き込まれることはない』とか『リスクはない』と安倍晋三が一方的に断言しても誰が信じるかっていうのお前自身がアメリカのアンダーコントロールなんだろうって(笑)。『議論をまともにしないまま、結論を押し付ける』のなんてお断りだよ。*だから、ヒステリックにただ『戦争反対』と言っているのにもボクはあんまり賛成しない。●毎度お馴染み日本人ジョーク。この程度の議論すらしてないわけだろ(笑)。
                                                                                                                                                                                     
先週も書きましたが 安保法案の問題点は2つあると思います。『違憲の疑いがこの上なく濃いということ』、『日本の平和に本当に資するかどうか議論がまともにされていないこと
この二つの問題をバランスよく目配りしている人はあまり見かけない。特に賛成論者には殆ど見たことがない。けれど前者は法治国家として大問題で、それこそ国の安全・秩序を危うくする問題です。それに加えて後者の『国の安全をまともに議論していないこと』も国の安全を危うくします。そもそも存立危機事態とか重要影響事態とか言っても、閣僚のなかですら答弁がバラバラだ(笑)。議論をマトモにしてないという点では太平洋戦争開戦の時より酷いんじゃないの?

                                    
国の安全が心配なら、どうすれば守れるのか、強行採決なんかしないで真面目に議論をすべきと思います。そうすれば法律が必要かどうか多くの人の目にはっきりする。本当に集団的自衛権が日本の安全に資するのなら、その後で改憲するなりして法案を出し直せばいいと思うんですよ。今みたいないい加減な進め方はサイアク。今日 齢90過ぎてマイクを握った村山富市元首相が言ってましたよ。『今の政府のやり方は独裁政権と変わらない』って。
●村山元首相の背中(白ワイシャツ)。多少要領を得ない点はあるけれど(笑)、この人も自分の頭で考え、自分のコトバでしゃべる人だった。『60年安保の時は自分も居たが組合や自治会など動員の人ばかりだった。今は皆 自主的に来ている人ばかりだ』、『総理大臣が国を守るんじゃありません、ここに居る人たちが守るんです。ここに居る人が主役なんです』

                            
●ボクのプラカード。こちらは官邸前と違って暗いのでライトを持ってきました。


                        
●抗議風景2。盛り上がってる!





●夜遅くなっても続々と人がやってくる。


今日の参加者は7万人!先週は強行採決への怒りでどこか殺気立ってた感じだけど、今日は単純に凄い活気だった。自民党の誰かさんは『3連休を挟めば国民は忘れる』って、言ってたよな(笑)。どこがだよ!

                            

鶴見俊輔先生がお亡くなりになってしまった。
http://mainichi.jp/select/news/20150724k0000e040203000c.html
最近 音沙汰がないから心配していたんです。ボクは直接お会いしたこともなければ、熱心な読者でもない。まして彼の6〜70年代の活動・著作のことは殆ど知らないけど、色んな物を単純化させようとする世の中で彼のように本質的な議論ができる人の存在はある種の救いですらありました。簡単に言うと、どっかのバカと違って無駄に歳を取っていない人(笑)、判断に迷ったら参考にする人の1人でした。ああいう言行一致の人こそが立派な大人なんだと思います。中国風に言えば、『君子』とでも言ったら良いか。こんな時こそ、ボクは鶴見先生の意見を聞きたいです。ご逝去が残念でたまりません。あとは残ったものがしぶとく頑張ります。
ありがとうございました。
●今日の抗議の中で掲げられた鶴見氏の写真