あっと言う間に3連休は終わってしまいました。昨晩の東京は文字通り雷鳴轟く大雨で、まるで梅雨の終わりを告げるようでした。今日は綺麗な夕焼けが広がっている。今年も夏がやってきます。
この3連休は溜まっているDVDを多少消化できたのは収穫でした。
●Perfumeの新譜。タイトル曲はテクノ黎明期のバグルス『Clean Clean』を思い出してしまいます。カップリング曲は凄く良い。付属のDVD、今春の対バンツアーのダイジェストは感動しました。Nine、若い(笑)。ちゃーぽん、でかい
- アーティスト: Perfume
- 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
- 発売日: 2014/07/16
- メディア: CD
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●文字通り男の映画。水兵さんの腕が太い(笑)。50年代の戦争映画が国家や勝ち負け以前に、個人のヒューマ二ズムを優先して描いているのには涙がこぼれます。特攻隊を美化してるような映画を撮ってるカスは恥を知れ!
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2010/10/08
- メディア: DVD
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ついでに。
●イスラエルの悪行を止めるために大企業やファンドに圧力をかけるのは一つのやり方でしょう。ボクは署名しました。戦争は始まってしまったら、安倍晋三が言っているようにそう簡単に終わりませんよ
Avaaz - イスラエル・パレスチナ:悪循環を終わらせるために
●イスラエルは海岸で遊んでいる子供たちに発砲し、4人が死亡した。ミスとは言わせないぞ。
さて、少し前 新聞を見ていて、ちょっと驚いた記事がありました。
7月3日付けのフジ・サンケイ・ビジネスアイというビジネス紙のブルームバーグ特約記事だ。世界最大の投資銀行(証券会社みたいなもの)ゴールドマン・サックスの出身者についてです。
ツイッター社のCFO(最高財務責任者)に元ゴールドマン・サックスの社員が就任したそうです。それだけでなく政府や企業の要職に同社のOBがどんどん進出しているという。 アメリカの元財務長官のヘンリー・ポールソン(共和党時代)やロバート・ルービン(民主党時代)がゴールドマン・サックスの出身だったのは知ってましたが、更にニューヨーク連銀のダドリー総裁、イングランド銀行のカーニー総裁、欧州中央銀行のドラギ総裁もゴールドマンの出身だそうです。ついでに前ニュージャージー州知事も巨大製薬会社のグラクソ・スミスクラインのCFO(財務担当役員)も元ゴールドマン・サックス。
ゴールドマン・サックスはリーマンショックで企業が潰れるほうに賭けて大儲けしたことや幹部への数十億円の巨額報酬で知られていますが、ここまで力を持っているとは驚きです。社会への影響力という点では監督官庁(FDA)のトップの首を自由に挿げ替える、遺伝子組み換え作物のモンサント社どころではありません。それにしてもアメリカ、イギリス、EUの中央銀行の総裁まで元ゴールドマン・サックスだったとは。日本ではなじみがない名前かもしれないですが、本当に世の中を動かしているのは誰か、よくわかる話でした。
渋谷で映画『私の男』映画『私の男』公式サイト
新聞などの映画評では評価が高い、先週もモスクワ国際映画祭で最優秀作品賞を取ったのが話題になった、言わずと知れた二階堂ふみちゃんの主演作。なんかよく知らない小説家(桜庭一樹)の本が原作。普段は見ないジャンルの映画ですが、ふみちゃんが主演なら仕方がない(笑)。初主演した『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない!』で出会って、ベネチアで賞を撮った『ヒミズ』を見て以来、ボクはこの娘の大ファンになってしまったんです。
事前のプロモーションが効いていたのか、渋谷の映画館の客席には高校生にしか見えない女の子が一杯いました。この映画、R指定なんだけどな(笑)。
奥尻島の津波で天涯孤独になってしまった10歳の少女、はな(二階堂ふみ)。遺体安置所で出会った遠縁の男(浅野忠信)に引き取られ、、北海道の港町で二人で暮らし始める。やがて美しく成長した高校生の彼女は男と関係を持つようになる。そのことを知った遠縁の老人(藤竜也)は彼女に関係を断つよう説得するが、彼女は老人を流氷の上に置き去りにして殺してしまう----
映画は二人が出会う奥尻島、北海道の港町 紋別での暮らし、東京での暮らしの3部構成になっています。時系列をさかのぼって描くフラッシュバックを多用しながらお話は進んでいく。この手法は、とかくドロドロしがちなお話を幻想的なイメージで包み込んで、良かったと思います。
最初の津波に襲われた奥尻島での描写は非常に雰囲気はある。災害の後の悲惨な光景だが、その中に映画的な緊張感が入り混じっています。だけど、少し冗長。『海炭市叙景』を撮った監督の熊切和嘉ってこんなものなのかと思った。だが子役の子(山田望叶、朝ドラの『花子とアン』の幼少期役らしい)の緊張感あふれる表情はすごくよかったです。この娘も只者ではない。
●奥尻島の避難所での浅野忠信と山田望叶(右)
そのあとの北海道の港町 紋別市での暮らしはこの映画の見せ場なんでしょう。流氷が流れてくる辺鄙な田舎町。誰も彼もが知り合いの閉じられた狭い世界。その中で、もっと狭い世界を外界から懸命に守るはなの姿。彼女の少女と女の表情が交錯するさまはなんと表現したらいいんでしょうか。魅力的だが恐ろしい(笑)。それに対して男は全くの無力です。だから藤竜也の朴訥とした口調がよかったなあ。
●藤竜也は前半のキーパーソン
個人的には『近親相姦』をテーマにした脚本は面白いと思わないし必然性も感じません。敢えて言えば『神殺し』か。演出は、二階堂ふみと浅野忠信が絡み合う部屋に血の雨が降ってくるところは良かったけれど、それ以外はどうでしょうか。役者たちの力で話の説得力を持たせている感じです。
●父親の彼女(右)と対峙する娘。二人の女の表情!
●自分の男と対峙する女(左)
緊張感あふれる流氷の描写は素晴らしかったです。流氷のシーンは本当に流氷の上でやってるのは驚きです。足元が危ない中、実際に二階堂ふみが極寒の水中に落ちるシーンすらある、こんな危険な撮影をしていいのか(笑)と思うような場面です。その緊迫感は痛さが伝わってくるド迫力の戦闘シーンの『ローン・サバイバー』にも負けないですよ(笑)。
流されていく流氷の上で『(近親相姦は)神様が許さないんだよ』と諭す藤竜也に対して、二階堂ふみちゃんが『私が許す!』と言い返す場面には奇妙なほどの説得力がありました。強さと弱さが入り混じった彼女の表情、口舌、そして視線です。ここは非常に感動しました。
東京に出てきてからは、北海道の雪景色とは対照的な景色が広がります。強い西日と夜の青い光が印象的です。大都会の中で浅野忠信演じる男のほうはどんどん壊れていく。勿論 浅野忠信はいいんだけど、見ていて『お前、しっかりしろよ』と言いたくなる。ボクは男にはめちゃめちゃ厳しい(笑)というのは置いておいても、二階堂ふみの役が強すぎて男はでくの坊に見えてしまいます。またタバコを吸うシーンが多すぎて、監督は無頼な感じを出すのにタバコを吸う演出しか思いつかないのか、と思ってしまいます。住み慣れた北海道での職も生活も捨ててきた男が彼女へ依存していくのはわからないでもないけれど、もうちょっと監督は頭使えよ。追ってきた警官をぶっ殺したのは良いが(このシーンは良かった)、死体の後始末がうやむやなところは納得いかなかったし。
●今時、たばこばっかり吸ってる浅野忠信。こんなに胸毛が濃かったとは(笑)。
ジム・オルークが担当した音楽はクールな環境音楽のようで非常に良かったです。監督のセンスの凡庸さを充分に補っています。雰囲気が全く変わってしまうんだもん。
映画は俳優さんはサイコー、音楽もサイコー、演出は凡庸だけど台無しにするほどひどくはない、そんな感じです。とにかく二階堂ふみちゃんの大熱演を楽しませてもらったという感じです。高校生からOL役まで変幻自在、まだ10代のくせに妖艶さを醸し出しながら、一貫した目の力の強さはこの娘ならではのものです。日本のキャリー・マリガンかジェニファー・ローレンスか。この人にはクダラナイ邦画やTVドラマより海外の良い作品に出てほしいなあ。2時間の二階堂・浅野の演技合戦は充分楽しかったです。