特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『21世紀の資本論』と『6.28 NO NUKES DAY 川内原発を再稼働させるな! さようなら原発★首都大行進』

今 欧米では『21世紀の資本論』というフランスの経済学者トマ・ピケティという人が書いた本が話題になっているらしい。アメリカのアマゾンでは1位になったそうだし、クルーグマンが支持を表明するなど、いろいろな論争を巻き起こしていることが報じられている。『近年の経済学では最も重要な一つ』とすら言われているらしい。

Capital in the Twenty-First Century

Capital in the Twenty-First Century

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20140519/397924/
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20140613/402634/?ST=business&P=1
仏経済学者の格差論、アマゾン売れ筋ランキングの1位に 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ちょうど6月14日土曜日の朝日新聞に著者のインタビューが掲載されていた。http://www.asahi.com/articles/DA3S11188946.html 本を早く読みたいが経済学の原著をフランス語や英語で読む根性はないので(笑)、邦訳を楽しみにしているのだが、まだ数年かかるらしい(泣)。その内容は『富の不平等がどんどん広がっている。』というもので具体的にはこういうものだそうだ。
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<少数の金持ちに富が集中する傾向が1980年代以降強まっているが、これは100年前のベルエポックの再来である>
(1)最近100〜200年間の税収などの歴史的データについて史上初めて推定し、インターネット上でデータソースや推計方式なども公開した。
(2)資本主義には「資本収益率のほうが経済成長率より高い」という傾向が超長期的に成り立ち、これが富を集中化させているとの仮説を打ち出した。
(3)それに対処する為に、資本主義の富の集中化傾向を是正すべくグローバルな累進課税、とくに累進資本課税の創設を提案する。
                                                         
特に(2)を理論的に実証したのは非常に偉いと思う。確かに第2次大戦後、それにバブルの一時期だけを除けば、経済成長率より資本収益率(資本家の儲け)のほうが高いことははっきりしている。これがどういうことかというと、たとえばボクの給与の賃上げ率や銀行への定期預金の利率より(笑)資本家が受け取る利率のほうが高い、というものだ。
給与の賃上げ率なんてアベノミクスだのなんだの騒いでも1%とか2%程度だ。また、定期預金の利率は有利なネット銀行ですら0.02%くらい。だけど企業の資本収益率は日本は5%、欧米なら二桁だ。少し前ならヘッジファンドゴールドマン・サックスは2けたの利率を投資家に約束していた。でも、これを書いているボクもこの文章を読んでいる人も2ケタの利率で貯金を預けることなんかできやしない。他にも法制度だって資本家や企業に有利な方向で改変されているのは法人税減税のいきさつを見ればバカでもわかる。ちなみにピケティが言っている『ベル・エポック』は第1次世界大戦で血生臭い終わりを告げる。今の格差が広がっていけば、いずれ過剰な暴力が引き起こされるのも当然考えられることだ。
                                                
                                                  
つまり『資本家は一般人より、効率的に儲かる。だから格差はどんどん広がっていく』のだ。もちろんピケティへの反論はいろいろあるようだが、この『資本家のほうが一般人より効率的に儲かる』というのは現実を見ても、皮膚感覚でうなずける話だ。だからピケティが言うように、金持ちへの累進課税をバンバン強化しろ、そして収入だけでなく資産や資本に対する累進課税を国際的に協調して行え、というのは正論だろう。ボクは葬式代だけ残して相続税を100%に引き上げたら、日本のカネのほとんどを持っているお年寄がお金を使うから、日本の景気なんか一発で回復する、と思うけどな(笑)。
                                                
                                      
そんなことすら考えず、日本の野党、たとえば共産党あたりは『消費税の輸出戻し税』(これは税のメカニズムの問題で大企業だけが有利な話ではない)とか『企業の内部留保』(銀行の貸し渋りはどうするんだよ)とか、大企業だけを敵視した詐欺みたいなでっち上げばかりやっている。そもそも大企業と中小企業の2分法で考えること自体が時代遅れ!なのに。そんなクダラナイことばっかり並べてないでピケティのような建設的なことを言えっていうんだ。だからダメなんだよ。あ、日本共産党が言ったら信憑性がなくなるから、言わないほうがいいか(笑)。


                                                                                    
ピケティが言っていることは普通の生活者なら誰にでも頷ける、ごく当たり前の話だ。おりしもフランス、イタリア、スペインで低中所得者向けの所得減税を始めると言う。日本がやってきた法人税高所得者向けの減税とは正反対だ(笑)。人数が多くて消費性向の高い中低所得者の需要を刺激して景気回復を図る、これが普通の発想だろう。南欧で所得減税相次ぐ 景気回復へ消費刺激 :日本経済新聞

                                          
だが、日本では政治家・政党はおろか、学者からもピケティのような意見は影も形もない。政治家だけでなく学者もとことん役立たずのダメな奴ばかりだ各国が協定を結んで国際的に累進課税を強化するなんて実現にはハードルは高いかもしれないけれど、まず理想を主張しなければ何も始まらない。揉めながらもしぶとく続いているEUだって、フランスとドイツが戦争を終えたばかりの60年前なら正真正銘のバカ扱いされたはずだ。



さて、一昨日の土曜日は『6.28 NO NUKES DAY 川内原発を再稼働させるな! さようなら原発★首都大行進』へ。
6.28 NO NUKES DAY 川内原発を再稼働させるな! さようなら原発★首都大行進 | 首都圏反原発連合


                        
ちょっと強い雨が降っていたからどうしようかなと思ったけど、行ける人間が行かなくちゃ、と思って、渋谷で映画を見たあと会場の明治公園に向かって歩いていった。
公園に着くと労組などボクの大嫌いな団体の旗・幟が一杯立っている(笑)。相変わらずセンス最低〜。金曜抗議をやってる「首都圏反原発連合」だけでなく、「さようなら原発1000万人アクション」、「原発をなくす全国連絡会」の共催だそうだから仕方ないか。動員で来る人の発想が理解できないなあ。それに幟を担いでいる奴はジジイばかりで、時間がたつに連れてへばって(笑)幟が倒れてくる。邪魔なんだよ(笑)。
                                             
公園の中へ入って、団体で来ている連中とはなるべく離れたところへ向かう。もう集会は始まっていて、ステージからは『暗くなっちゃおしまいだからね〜。みんな元気で行きましょうよ』と言う女性の明るい声が響いていた。じゃりん子チエじゃない、中山千夏氏だ。高校生の時に参議院会館で話を聞かせてもらって以来、この人のことは尊敬してる。話を全部聞きたかったが残念。
あとのスピーチは興味なし(笑)。スピーチでは時々声を荒げて不自然な大声をあげる人が居て、そこは思わず耳をふさぎたくなる。この日 明治公園に集まったのは主催者発表で5500人だそうだ。
●明治公園での集会。黄色いレインコートを着た人が中山千夏

●集会風景。司会は木内みどり


●出発の光景。中央右後ろで帽子をかぶって腕を組んでいるのは小熊英二


                                            
雨も止んだ明治公園での集会はダラダラ話す奴もいなくて予定より早く終わり(良いことだ!)、デモへ出発。コースは明治公園から青山通り、表参道を下って代々木公園まで。いつものデモは無人の官庁街、それにせいぜい銀座だが、今日は店も人通りが多い地域だ。歩いていて楽しい。ただ、このあたりはボクが生まれ育ったところなので、わざわざデモで歩くのは少し気恥ずかしい(笑)。

●デモ行進の風景







                                                                        
表参道の交差点では、日本共産党の国会議員の吉良ちゃんと笠井晃が沿道からデモに手を振っていた。主催者の関係上、共産党は参加しないってことか。相変わらず教条主義のダメな奴らだ。だけど彼らが沿道にでも来る、というのは個人として応援に来た、ということなんだろうか。まあ、良い方へ解釈しよう(笑)。
                           
共産党の吉良ちゃんと笠井晃

●表参道を行く。ルイ・ビュトン、表参道ヒルズ- - -





                                                          
参加者の平均年齢は少し高いように感じたが、雰囲気はまったりとしていてキーキー言う奴はいないし、歩きながら色々な参加者の間から自然と『原発反対』のコールが上がるし、良い感じだった。デモに眼を止める沿道の人も多いし、マンションからずっと見ている人も居るし、手を振ってくれる子供もいる。勿論デモに通せんぼされて怒っている運転手の人も居たけど。ごめんね。
帰宅してニュースを見ると、同じ日に在日のウクライナの人が銀座でデモをやったというのが流れていたけど、5500人も集まったこちらは無視。まあ、公明党と同じようにマスコミもダメなのは最初からわかってるけどね(笑)。そんな仕事しててマスコミの諸君は面白いのかなあ。自分の仕事で少しでも世の中をマシにしようと思わないのかなあ(笑)。
                                                      
                                                                  
ホント、今回は雰囲気も良かったし、大勢の沿道の人にもアピールできた良いデモだった。これでも太平洋をコップで掬っているようなものかもしれないが(もうちょっとマシか)、充実感がありました(笑)。
原宿駅近く