特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

老政治家。ギャング。男の戦い:映画『LAギャングストーリー』

いやあ、今日も株が大暴落。これで4月の金融緩和前に逆戻り。アホのミクス、いやアベノミクスの化けの皮がはがれるのがこんなに早いとは思わなかったなあ。そりゃあ、金融緩和とか言ってもグローバリゼーションの世の中じゃ、何かキッカケがあればカネは国境を跨いで都合のいいところへ流れていくのは当たり前のことだ(笑)。

                         
さて、実際にインドに行っている人に現地の様子を聴いてみた。少し前 日本のマスコミで結構取り上げられていた、鳴り物入りの輸出アニメ、野球をクリケットに置き換えたインド版『巨人の星』(現地名:ライジング・スター)は1シーズン26話の放送が終わって視聴率は0.2%(笑)だそうだ。チャンネルが数百あるインドのTVとしては視聴率はそんなに悪いわけではないらしいが、その人の周りではインド版『巨人の星』の存在を知っている人はいないと言う。どうりで最近 このアニメの話が報道されなくなったわけだ(笑)。こんなことくらいならどうでもいいけど、ほんと、マスコミの言っていることは裏を取らなければ危なくて仕方がない。




6月の初めに元自民党幹事長の野中広務氏が、『(周恩来田中角栄の間で)尖閣諸島の領有権棚上げに関する日中合意はあった』と発言して、物議をかもし出した。内容の真偽はわからない。が、いかにも彼らしい発言だと思った。http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013060402000136.html

野中広務という人のマスコミから受けるイメージはあんまり良くない。最近は国賊とまで言われている(笑)。ボクもどういう人かは良くわからない。でも冷静に事実だけをみると、野中氏はインド洋へのイージス艦派遣や自衛隊イラク派兵に体を張って反対してきた人だ小泉内閣当時 彼がイラク派兵法案の採決に抗議して国会を退席するところなど、まるで映画『スミス都へ行く』の1シーンを見ているようだった。asahi.com : ニュース特集 : イラク復興
それまでボクは自民党なんて信用してなかったけど、そのシーンを見てから、平和を守るという観点で信頼できる人も居るのだと思い直した。後で知った話だが小泉が就任直後行った唯一の善行(笑)、国のハンセン病患者への謝罪を陰でお膳立てしたのは野中氏だそうだ。
●もちろん 永遠の大傑作!

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今 野中氏は『各党の政治家は歴史を直視し、日中友好に向け関係修復を図る必要がある』と言う。またわざわざ中国へ行ってこんな発言をしたことを『全く後悔していない』とも語っていた。
尖閣に関する中国側の発言を聞いていると滅茶苦茶な話もあるが(それは日本側も一緒)、棚上げの話などは先方が言うことがもっともと感じることもある。結局お互い様だろう。実利面だけ考えても今のまま 資源の活用もできないままなら、別に棚上げで結構じゃないか沖縄タイムスが言っているように、むしろ野中氏の発言を機会に日中の会話の糸口を作っていくのが大人の知恵ってものだろう。http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-06-06_50149
                                                                                                                                                       
                                     
野中氏自身の評価は色々あるかもしれないが、少なくともこの10年間 彼は平和のために活動してきた。政治家で一番大事なことは平和を守ることだ彼を非難する連中、特に今の政治家の中に、野中氏のように周りが敵だらけでも、信念のために独りで行動を起こせる人間がいるだろうか。普段は威勢良く吼えて、都合が悪くなると見苦しい言い訳をしたり、さっさと逃げ出す橋下や石原、民主党の前原、挙句の果てにはTVの前で嘘泣きまでする片山さつきのような人間のクズどもをみていると、ボクにはそうは思えない。こういう連中こそ国賊だろう。石原や前原の無責任な発言で日本企業がいくら損したと思ってるんだ!  
残念ながら、今は野中氏のような気骨がある政治家はどんどん減ってしまっているけれど、それはTVタレントや派手なキャッチフレーズばかり振りまく政治屋を当選させてきてしまった有権者の責任でもある。ツケはいつか回ってくる。自戒を込めてそう思います。




新宿で映画『LAギャング・ストーリー

第二次世界大戦直後のロス・アンジェルス。街は復員兵が闊歩し、武器が溢れ、ギャングが支配するようになっていた。特に町全体を牛耳ろうとするミッキー(ショーン・ペン)は金の力で市や警察の上層部を買収し、誰も手を出すことができない。市警の本部長(ニック・ノルティ)は掟破りの捜査でもてあましていた警官(ジョシュ・ブローリン)を中心に特捜班を結成し、ギャングと文字通りの全面戦争に乗り出す。


このお話しは実話がベースだそうだ。監督は『ゾンビランド』、『ピザ・ボーイ 史上最凶のご注文』と暴力をトッピングした優れたコメディを作ってきたルーベン・フライシャー


出演はジョシュ・ブローリンショーン・ペンライアン・ゴズリングエマ・ストーンニック・ノルティ豪華な配役だ。特に、いい男の見本市。
この映画はそれに尽きる。


映画評では豪華な出演者の割りにたいしたことない、とか言われていたが、見たら全然そんなことない。確かに脚本はやや平板だし、なにか際立つようなシーンがあるわけではない。だがサイコで残虐なショーン・ペンのギャングのボス、それに対するポーカーフェイスの暴力警官ぶりが際立つジョシュ・ブローリン、男の色気が芳しいライアン・ゴズリング、ギャングの愛人でありながら警官に惹かれる妖艶なエマ・ストーン、清濁併せ呑んで体重が3倍くらいになったニック・ノルティ、どれも見ていて滅茶苦茶面白かった。一癖も二癖も三癖もある俳優それぞれの魅力を満遍なく引き出しただけでも、この監督の演出手腕は立派だろう。警察に裏をかかれ続けるショーン・ペンのギャングのボスぶりも不自然と言うより、娯楽作品としてはふさわしいと思う。だって、そうでなかったらショーン・ペンのボスぶりは怖すぎて見ていられなかったよ(笑)。
ジョシュ・ブローリン率いる対ギャング部隊の面々。顔がごつい(笑)


●凶悪そのもののショーン・ペン。格好良すぎ。



                                     
冒頭のジョシュ・ブローリンの売春宿への殴りこみ捜査とショーン・ペンが対立するギャングを文字通り八つ裂きにするシーンの対比で始まって、ショーン・ペンジョシュ・ブローリンのごつごつした殴り合いで終わる、良い意味で男くさ〜い構成。

当時の街や風俗を再現したセットや洋服もお金かかっているし、生バンドやダンサーが惜しげもなく動員されるクラブシーンなど昔のスタジオ映画のゴージャスさもあって見ていて楽しい。入場料分だけの価値は十二分にある。

●本部長のニック・ノルティ。清濁を飲みこんだ、この面構えと言ったら!

●美男美女のロマンスも。ライアン・ゴズリングエマ・ストーン

                              
傑作とかではないけれど、なかなかの作品だった。地味な評判の割に公開されて一ヶ月以上、上映が続いたのがその証拠だと思う。楽しかった。

*今週末の官邸前抗議はボクはお休みします。見てくださっている方、ごめんなさい。