特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

TPPと反原発デモ

さて、明日の金曜、3月15日の官邸前抗議は用事があっていけないので、今週の金曜ルポはお休みです。読んでくださっている方、ごめんなさい。

                           
さて安倍がTPPの交渉参加を表明するらしいが、内容がさっぱりわからない。公明党が言っているとおり、どの分野が得でどの分野が損、という大まかな試算でもなければ判断のしようがない。公明・山口代表「TPPの影響、試算提示を」 :日本経済新聞
                                    
農業なんかはJAが抗議集会をやっているが、高齢化した兼業農家ばかりの日本の農業は今のままでは立ち行かないことはJAも含めて誰の眼にも明らかだから、おそらく政府とJAの出来レース要するに補助金よこせ、ということだと思う(ついでに素人考えですが、ボクは国土が狭くてもオランダみたいに工夫すれば日本の農業は外国品と充分勝負できるんじゃないかとうっすら思っています。)
                                         
ボクは市場規模から考えて保険分野がアメリカの最大の狙いだと思っている。国民皆保険は今のところ自民党ですら守ると言っているが、ボクにはその真偽がよくわからない混合診療の解禁度合いによっては皆保険が危うくなることは充分考えられるが、TPPの参加国でもカナダ、オーストラリアなど公的保険がまともに機能している国もあるからTPPに加入しても皆保険を守ることができる(ただし混合診療は間違いなく解禁になるだろうが)、という考え方もないわけではない。
またISD条項については裏がとれた情報がないのでわからない。心配ないという意見もある。http://www.taro.org/2011/11/post-1124.php
                                            
                                               
ただ非関税障壁の問題は少し気になる。例えばこのところ高級料理店の景気が非常に悪い、という話を良く聞く。製薬会社が医者の接待を減らしている影響が大きいらしい。接待に続き売り上げ目標も廃止か法令遵守で変わる製薬営業職 | inside Enterprise | ダイヤモンド・オンライン
それは昨年から製薬会社の業界団体が過度な接待の自主規制を始めたからなのだが、この問題は日米構造改革議定書でアメリカが非関税障壁としてずっと指摘していた。今回の自主規制はまさにアメリカのなんらかの圧力があったのではないか、とボクは疑っている。
医者の接待なんかどうでもいいし、接待で繁盛しているような店なんか潰れてしまえ(笑)、とボクは思っているけど、案外この非関税障壁という問題は大きい問題なんじゃないかと思う。今のは卑近な例だけど、他にも非関税障壁の問題は、何故か(笑)簡保保険ががん保険アフラック!)に参入しない、とか色々存在している。
                                 

この前 また元官房長官政策秘書氏に話を聞いたのだが、先日の訪米で安倍晋三尖閣の件を議題にしようとしたら、逆にアメリカからは『自重して武力衝突は絶対起こさないように』ときっちり釘を刺され円安をアメリカに容認してもらう替わりにTPPと辺野古を丸呑みしたらしい。実際 日本のマスコミはあまり指摘しなかったが、安倍の訪米は晩餐会もなければ共同記者会見もない、思い切りバカにされた、ものだった(野田の訪米ですら、晩餐会も共同記者会見もあった)。そんな政治家が国益を守るといっても説得力なんかゼロ、なのは当然のことだ。
ついでに今 アメリカのシンクタンクや役所では、一時期 中国関連に押されて減っていた日本関係の研究者が増えているらしい。日本に関心が戻ったというより、将来 日本の政治や経済が崩壊したとき、どうするかを研究しているそうだ(笑)。
自民にしろ、民主にしろ、今の政治家に任せておけば、日本の将来はアメリカの属国(+核ゴミ処理担当)だ。そんなんだったら、さっさとアメリ51番目の州に入ったほうがマシだって。
                                                 
とにかくTPPについては具体的内容がわからない、政府が国民に教えようとしない、マスコミもそれを発掘しようとしないというところが一番の問題点だと思う。

                                                    
                                       
さて先日の3月10日のデモの感想を書いた後、昨年の3月12日のデモのことを書いた自分のエントリーを読み直してみた。当たり前のことを当たり前に:3.11東京大行進(笑) - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

実は昨年のデモはいつもブログを拝見しているCangaelさんが『デモに参加する』とブログに書いておられた三月のお茶のお稽古 - 四丁目でCan蛙のを読んで、『品の良いご婦人がわざわざ参加されるのなら、ボクも行かざるを得ない!』と思って出かけたデモだった(笑)。そうやって出かけた昨年は『(良い意味で)緩い雰囲気だった』と書いていたんだけど、今年も『昨年より一層警備も参加者の雰囲気も緩かった』と感じた。

昨年 そのように感じたのは、その前に自分が参加したデモがそれなりに緊張感があるものだったからだ。ボクは11年6月から反原発のデモに行き始めたが、特に11年9月の新宿のデモは酷かった。警官がまるで因縁をつけるように隊列を組んで、歩いている人を圧迫してきたし、ボクの目の前でも何もしていない老人(外国人)が逮捕されたりもした。団体中心の従来のデモと異なり個人の人が多く集まっている反原発デモに対して、公安が参加者の身元、組織などを知ろうと無理やり何人も(12人)逮捕させたそうだ(結果は拘留して取調べ後、処分保留のまま釈放)。
●11年6月のデモ:1000人くらいの参加者に対して警官が壁のように並ぶ

                                   
●11年9月のデモ:ボクの目の前でいきなり警察が襲い掛かってきた 。警官が参加者を襲っている現場(左奥)に人を近寄らせないようにしている。



                   
そういうのを目の当たりにしたあとだから昨年3月のデモは『緩かった』と感じたのだが、今年はそれにも増して『緩かった』。これは昨年3月から始まった官邸前抗議の成果なんだと思う。この前の3月10日は集会開始前に反原連の人たちと警官が話し合いをしたり、楽器持込を妨害する警察に反原連の人が談判して規制を撤回させたりする光景を見ることが出来た。一応 反原連と警察との間に会話が成り立つようになっているのだ(これを癒着とかバカなことを言っている奴も居るみたいだが)。
そうやって会話が成り立つようになっているのは、昨夏以来 あまりにも多くの普通の人が平和的に集まっているからだ。今だって道路脇などに公安がいないわけじゃないけど人波に押しつぶされて姿は殆どわからない。

もちろん、官邸前抗議と同様 ボランティアの若い弁護士の人たちが腕章をつけて警察を見回ってくれている(警察を警備している!)のも大きいだろう。

官邸前抗議にしろ、今回のデモにしろ、今は子供連れでも参加できる状態になっているのは、意思表示を続ける上で1年前、2年前と比べて大きな進歩だ。実際 昨年3月のデモは1万人くらいだったと思うが、今年3月のデモは4万人と参加者は大幅に増えている。つまり原発に対して異議申し立てをする人の輪は間違いなく、拡がっている。
●今年のデモは警官が居ても、この程度

●ちっちゃな後ろ姿が大好きなんで再掲載(笑)

                                           
例の敦賀原発の地層の活断層の問題で、今 日本原電は潰れそうになっている。各電力会社が債務保証して救おうとはしているが限度があるし、銀行や株主の手前 あまり露骨なことも出来ないはずだ。先の元政策秘書氏の話では電力会社べったりの甘利が大臣を辞めたら日本原電は潰れてしまう、という話もでているそうだ。
日本原電が潰れたら、既にバランスシートがボロボロの関西電力債務超過、実質 倒産状態になる。
東電が実質国有化の上に、関西電力までおかしくなれば、今の電力会社の地域独占体制は崩壊するだろう。そうなると経済的になりたたない原子力発電は続けられなくなる。

楽観はできないが、原発を止める希望はある。ボクはそう思っている。そのためにも異議申し立てを続けようと思っている。