特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

11月の雨の日:11.11反原発100万人大占拠


日本ではあまりなじみがないが、先のアメリカでの選挙でオキュパイ・ウォールストリート運動(OWS)の理論的指導者とされるエリザベス・ウォーレン氏が共和党の現職を破って上院に当選したのは嬉しかった。マイケル・ムーアの映画『キャピタリズム』にも出演していた、ハーバード大教授の彼女はリーマンショックの際 議会の金融機関の監視委員会で『サブプライムで損害を受けた銀行は救うが、家を差し押さえられる一般家族を救わないのは間違っている債務超過の銀行は潰し、経営者を更迭しろ』と主張していた。税金で救済された大銀行が経営陣に莫大なボーナスを払い続けたのは記憶に新しい。先のハリケーン・サンディに続いて、彼女の当選は『ハリケーン・リズ』と呼ばれて、金融関係者はビビッているらしい(笑)。ウォール街に襲来する「ハリケーン・リズ」 :日本経済新聞
金融や独占企業のやりたい放題を抑えていくことは全世界的な課題だ。別に彼らを敵視しているのではなく、ボクらと同じルールを適用しろってことだけなのだ。ウォール街にしろ、東電にしろ、ロビーイングで奴らにやりたい放題やらせた挙句、税金で救済しているのだから。それも財政危機の最中にだ!
●この映画の中でウォーレン教授はボクでも驚くくらい(笑)ラディカルなことを言っていた。

                                                                                 
                   
日曜日はとりあえず、官邸前へ行ってきた。天気予報は強い雨だし、普段だったら日曜午後は翌日の会社のことを考えると気分はブルー、外出なんかとんでもないって感じだが、まあ、今回はしょうがない(笑)。抗議は官邸前だけでなく、東京電力本店前、厚生労働省前、経済産業省前、文部科学省前、財務省前、外務省前、Jパワー前の9箇所ということだったが、慣れた官邸前へ向かった。後で写真をみたら東電前とか盛り上がっていて面白そうだったな(笑)。
●当日の抗議地図

                                                
当初予定されていたデモは東京都のふざけた日比谷公園の使用不許可という言論弾圧のせいで中止になってしまった。人数が大勢集まって混乱が起きる恐れがある、とのことだったが、17万人も集まった夏の抗議でも何の問題もなかったのだ大勢集まるのが危険なら毎日100万人以上が集まる渋谷駅とか新宿駅はどうなんだよ(笑)!日比谷公園管理課長 鹿田哲也、なんとか言ってみろ。

午後2時半頃 霞ヶ関の駅を出て地上に昇ると、もう沢山の人が官邸前や国会前に向かって歩いている。経産省テント前なんか完全に人が溢れている。デモを禁止された腹いせか、舗道で横断幕を広げて歩いて即席デモ?をやっている人たちも何組もいる。
とにかく今日は大勢居るなあ、というのが感想。客層(笑)は年配の人が多かったけれど、お母さんと子供、という組み合わせも結構目立った。日曜日らしくプロ組織(笑)の連中とかも多少は居たけれども、労組も政党系の幟は想像していたより少なかった。そういうのが目立つと雰囲気が悪くなるからね(笑)。

●即席デモ?(笑)


●こういう年配のグループが目立った。

経産省テント前

●ファミリーコーナーへ向かう子どもたち


●肩車最強!

●抗議風景






●自転車抗議の人も今日は大勢



官邸前に着くと人がぎっしり、警官もぎっしり(笑)。だけど、いつも路上を塞いで目隠ししている警備車両がいないのは目障りでなくて良い。抗議が各地で広げられているので彼らも分散しているのだろう。抗議の列でボクの周りにいたのは年配の人たちのグループ、それに女性。やっぱり会社勤めだと時間的な余裕や万が一パクられたときの問題もあるから、年配の人が多くなっちゃうのは仕方ないんだろうなあ、と思った。昔取った杵柄もあるのかもしれませんが(笑)。でもボクの脇には目立つプラカードを持った若者もいたし、敬老会みたいな雰囲気はありませんでした(笑)。

官邸前でスピーチに立ったのは鹿児島、愛媛、福井、北海道他、み〜んな原発を抱えた地方の人たち。福井の人が出来上がったばっかりの再稼動阻止ネットワークの話をしていたけれど、官邸前のデモが地方で孤立しがちな人たちとのつながりを作り出しているという効果は大きいと思う。デモには違和感があるというような意見も判るけど、現場を見たら、そういうのは机の上の議論のように思える。あんまり当事者意識が感じられないんだよな。半年通ってるボクだって、しょっちゅう無駄じゃないかと思うときもあるし、違和感なんかいくらでもあるよ(笑)。
抗議が始まって1時間くらいして雨が降り出してくる。


普段はなるべく色んな場所を自分の眼で見て全体を把握するようにしているが、雨が激しくなり移動も困難になってきたので国会正門前だけ周ってみることにした。メイン会場ということで官邸前にも増して、人が一杯。傘のせいもあって歩き回るのも困難なラッシュアワー状態だ。こちらでは田中康夫や作家の山川健一なんかがスピーチをしたらしいけど、ボクが行った時は東北の大学教授がスピーチをしていた。
そのあとは福島瑞穂共産党がマイクをとったけど、あんまり耳に残らなかった。福島瑞穂が今 全国各地の原発を回っていると言うのは良い企画だと思うし、赤旗はずっと官邸前抗議をフォローし続けているし、共産党系の人は個人で結構参加していて心強い。反原発では社共は信頼できると思う。だけど所詮 政党としては実務的な力はあんまりない、とも思うんだよねえ。
むしろ、音楽評論家の湯川れいこ女史が『デモもがんばりましょう。でも、これからは選挙です。都知事選や国政選挙でひとつの方向に投票することが大事です。私たちも誰を選ぶべきかは情報を発信していきますから、皆でひとつの方向へ投票しましょう。そうすることで世の中を変えていきましょう。』と言っていたのが印象に残った。原発ゼロより、いまだに自分たちの組織が大事な(笑)共産党の上層部の諸君、判ってるかな?

●国会前




舗道では浪江町で牧場を続けているという人たちが練り歩いている。色んなところで色んな人がマイクをとってるし、マイクを持ってない人も『原発やめろ、再稼動反対』と声を挙げている。そうこうしているうちに、どんどん人が増えてきて国会前は足の踏み場もない、傘の差し場もない。参加者は国会前の舗道の両側に5万ずつくらい、トータル10万人くらいは軽くいた。木陰に居た人や他の場所の人も合わせたら、もっと居たのではないか。主催者発表10万、警察発表7000〜8000(笑)。こういう大本営発表ばかりやってるから日本の政府・官僚は信頼されないのだ。まだわからないのか雨の中「原発ゼロ」訴え 国会周辺で大規模集会 :日本経済新聞

                                      

金曜の抗議に毎週通ってきたけど、一応 これで一区切り。もちろん 時間があるときはまた現場へ行きますけど。
1万人以上の人が5ヶ月以上に渡って抗議を続けることで想像以上に成果があった、というのが実感。まったく中途半端だけど脱原発の方向は公になりつつあるし、地方で反対をしていた人たちと都会の人たちが繋がったことは大きいと思っている。このダメダメ日本では脱原発なんて今まで1%の側だったのに、今や完全マジョリティーだ(笑)。OWSと比べても大勝利(笑)じゃないか。

でも、まだまだ。次は国民の意思を代表しない政治家連中のクビを差し替えなければならない。嘘つきや私利私欲にまみれた右翼ジジイの替わりに、エリザベス・ウォーレンみたいな人に替わってもらわなくてはならない。
これからも、みんな当事者として出来ることをやり続けなければいけないのだ、明日も明後日も。
So, lets go to work tomorrow, and the day after, and the day after that.
(前回も引用した、投票日前日のスプリングスティーンのスピーチ)


●帰り道に見かけた子ども。デモ帰りの彼は嬉しそうにスキップしてた!

●色づく国会前の銀杏