特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ダメ新聞・ダメ学者・ダメ政党と清涼剤:映画『セブン・デイズ・イン・ハバナ』


例のエネルギーに関するパブコメの集計結果が報じられていた。それに対する新聞の取り上げ方の違いが面白かった。
まず読売原発ゼロが圧倒的だった集計結果だけをちょこっとだけ書いて、あとは意見を分析する有識者会議で出たらしい一部の意見だけを取り上げている。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120827-OYT1T00484.htm
パブコメに対しては、「強い意見を持っている人が集まり、少数派が沈黙した可能性がある。(意見の)理屈は参考になるが、(支持率の)数字はあまり参考にならない」(田中愛治・早大教授) 。 討論型世論調査に対しては「準備時間が短すぎた。結果が世論とは評価しない」(小林傳司・阪大教授)
さすが読売、露骨な誘導記事しかも記者の名前を出さない無記名記事という卑怯さはさすがだと思う(笑)。
読売の記者もひどいが、コメントを出している学者連中も酷い。根拠を明確にしないまま意見を述べる非論理的なところはこれぞ、御用学者
だ。どこが『有識者』なんだよ。こんなバカでも大学教授になれること自体が驚きだ(笑)。早稲田の田中、阪大の小林、こいつらの名前もよ〜く覚えておくからな。

東京新聞は記者の署名入り記事。パブコメ原発ゼロシナリオの支持が87%、15%が1%、20〜25%が8%という集計結果、更に内閣府事務局の話として、寄せられた意見はそれぞれが自分の力で書いたものが多く所謂『コピペ』は殆どなかったとだけ、書いている。http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082790135709.html
読売と東京新聞、どちらが客観的な記事かは言うまでもない(笑)。
パブコメの集計結果(東京新聞より)

                                                                                      
あともうひとつ。26日の朝日新聞原発に対する国会議員のアンケートが報じられていた。http://www.asahi.com/politics/intro/TKY201208250487.html

●各党の原発ゼロを支持する議員数
民主党は208人のうち83人が原発ゼロを支持(40%)
自民党は89人のうち3人(3%!)
公明党は26人のうち4人(15%)
・国民の生活は37人のうち34人(92%)
みんなの党は15人のうち12人(80%)

                                   
これでわかるのは民主党自民党公明党原発を続ける気だ、ということだ。こいつら、国民の意見なんか聞いちゃいない。国民の意見を代表するまともな政党が存在しない以上 選挙では手持ちの札で少しでもマシな選択をしていくしかないけれど、少なくとも民主党自民党はダメだ。それだけははっきりしている。
                                                                                              

そんな連中とは正反対の、清涼剤のような映画の話を少し。
キューバと言う国は非常にユニークな国だけれど、日本では情報が少ない。
カストロゲバラの国。へミングウェイ、ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ、ダイキリ。今では数少ない独裁国家であるにも関わらず、医療と教育は無料の国。貧しくとも国民一人当たりの医者の数は世界一の医療大国(平均寿命はアメリカ並)、世界でも指折りの有機農業の先進国。あとハリケーン多発地帯にも関わらず犠牲者が年間数人しか出ない(アメリカより遥かに少ない)防災先進国らしい。美しい自然とユニークな文化。ぜひ一度訪れたいと思っているが、残念ながら今のところ機会がない。

渋谷で映画『セブン・デイズ・イン・ハバナ7dayshavana.com – このドメインはお名前.comで取得されています。

ハバナでの生活を描いた、一週間の各曜日をそれぞれ1本ずつ、計7本のエピソードを集めたオムニバス作品。月曜日と題された最初の作品はゲバラ役で有名な俳優、ベニチオ・デル・トロの初監督作品、アメリカ人観光客の目から描いたハバナのナイト・ライフを描いている。火曜日はハバナを訪れた外国人監督の話をユーゴのエミール・クストリッツア監督自ら演じたもの、水曜日はスペイン人とキューバのナイトクラブの歌手のお話、木曜はパレスチナから来た男の目から描いたハバナ、金曜はレズビアンであることが親にばれた少女が受けさせられる地元の怪しげな宗教儀式、土曜は水曜日のお話に出てきたナイトクラブの歌手とその家族の物語、日曜はアパートに住む老婆と住民たちのお話し。

海外からやってきた観光客のお話で始まり、次第に地元民のハバナの暮らしに入り込んでいく構成はお見事だった。見ている側も視線だけでなく心情も次第にハバナの人たちに入り込んでいく。

映画で描かれたハバナの暮らしは、想像を超えるものがある。アメリカの経済封鎖によって経済状況はかなり厳しい。電気や水道はしょっちゅうとまるし、卵などの生活物資も必ずしも豊かではない。年代ものばかりの自動車には冷房がなく、街中の建物も驚くくらいボロボロなものばかりだ。その反面 革命前のアメリカの半植民地状態だった頃に立てられた建物は驚くくらい豪華で、外人向けホテルとして今も異彩をはなっている。仕事も不足していて、豊かな生活や仕事を求めて筏で(!)マイアミへ渡ろうとする若者もいる。
だが人々は卵が不足すれば隣近所で貸し借りしてやりくりするし、多くの人が定職の他に副業、例えば通訳やケーキ作りのバイトをして何とか生活を成り立たせている。日が暮れれれば、街角では絶えず音楽を演奏しているし、多くの人が踊りながら楽しんでいる。音楽も踊りも、異常にうまい(笑)。
物資が溢れた今の日本とは全く違う、ある意味では正反対の生活のように思える。

その典型なのは日曜日のエピソード。お話はアパートに住む老婆が日曜朝に住民たちをたたき起こすところから始まる。老婆曰く『夢の中でマリア様のお告げを受けたので今日中に自分の部屋に礼拝用の泉を作らなければならない。だから皆 手伝え』と言うのだ(笑)。
住民たちはなんだかんだ文句を言いながらも大人も子供も、老婆を手助けして工事を始める。ペンキだのセメントだのは勝手に自分たちの勤務先から持ってきてしまう。彼らにしてみれば、それが当然なのだ。こらあ、資本主義じゃないわ(笑)。
●こうやって資材を勝手に持ってくる(笑)
出来上がったら皆を集めて、良くわからないけど大パーティ。部屋の中に無理矢理作った泉の水が階下に漏れようと修理はまた明日。大人も子供も男も女も一緒になって、歌って踊って大騒ぎ。
滅茶苦茶な話だが、見ていてとても楽しい。
                                   
強面の映画監督が携帯電話で懸命に故国に残してきた妻の機嫌をとろうとする火曜日の話も面白かったが、最も印象に残ったのは水曜日、『セシリアの誘惑』と題された場末の美しい女性歌手のエピソード。彼女はスペイン人のナイトクラブのオーナーの誘いに乗って、キューバを離れるかどうか悩んでいる。

一方、彼女の彼氏は野球選手。キューバを筏で逃れてマイアミへ行き、自分の将来を試して見るべきか悩んでいる。彼女と彼氏の肉体がめちゃくちゃ美しい。黒人なのか混血なのかわからないけれど、人間とは思えないようなしなやかな肉体、きめ細かな肌。今まで映画の中でも見たことがないような美しさだった。若く美しい彼らが自分たちの将来を苦悩する。キューバを、そして自分たちの愛情を捨てるべきかどうか。
その続編の土曜日の話も含めて、美しくて切ないお話だった。
●左側がセシリア

                                          
この映画は日本でノンベンだらりと生活しているボクには想像できないような厳しさと貧しさが描かれている。だけどハバナの人々はただ踊ってるだけでなく(笑)、人生を考えているし、何よりも心が温かい人たちが描かれている。少なくともボクより遥かに楽しそうだ(泣)。
すっごく面白かった!
キューバにますます行きたくなった。