金曜日 勤務先からの帰り道 大勢の人が何故か空を見上げている、と思ったら、皆既月食だったんですね(笑)。
立憲民主の党首選が始まりました。少しでも政権交代の可能性がある、まともな野党は立憲民主しかないのですから、せいぜい盛り上げてもらうしかありません。が、それを報じる今の新聞はこんな感じ↓、です。
昨日は立憲の4候補が出ているNHKの日曜討論を珍しく見てみました。企業中心の経済成長ばかり主張する時代遅れの発想の元日銀の慶應の教授と若者代表と称する中年のおっさんという訳の判らないゲストが4人に茶々を入れる酷い番組でした。
立民代表選 4候補が目指す社会や野党連携の在り方めぐり議論 #nhk_news https://t.co/pZBuLfLoZ6
— NHKニュース (@nhk_news) 2021年11月21日
4人とも悪意のあるorバカなゲストに良く我慢して対応していました。ボクだったら絶対怒ってしまってましたよ(笑)。それだけでも立派(笑)。
話を聞いていて、西村という人は論理的な受け答えができない、ちょっと頭が弱いのではないか、また逢坂氏は一番まとも、特に比例区単独1位に女性候補を並べたい、と言っていたのは素晴らしい、とは思いました。
あとは4候補の違いは良い意味で、良く判らなかった。どれもごもっとも、です。
#代表選挙2021 候補者4人のめざす社会像は?👩🏻💼
— 立憲民主党🌱11月30日代表選挙 (@CDP2017) 2021年11月22日
逢坂誠二:人への投資で希望と安心のある社会
小川淳也:対話型の政治が創る持続可能な社会
泉健太:普通の安心が得られる社会 公正な政治行政
西村ちなみ:多様性を力に 理不尽を許さない社会
(※11.22 日本記者クラブ候補者討論会) pic.twitter.com/enJ4hVTJ5q
ただ、小沢一郎が推薦しているというだけでも泉氏は×だし、小川淳也氏は時期尚早、と思っています。立憲の役員室長の大串氏は出馬を止めて小川氏支援に回ったそうですが、逆に小川氏が出馬を止めて大串氏を支援する側に回って恩を着せれば良かったのに。是非は別にして希望の党出身の彼にはまだ、仲間がそれほど多くないのは確かなようですし。
●どこまで本当か判りませんが複数のメディアが言ってることを勘案すれば、内幕はある程度判ります。
小川淳也 涙のギリギリ出馬“舞台裏” 今も残る排除の禍根と立民特有の体質が浮き彫り に(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
失言が心配な小川淳也氏に敷かれた包囲網「自民党のどっかの派閥と同じ」と批判も〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
TVも新聞もマスコミの論調は悪意を持っている、としか思えないようなものばかりです。リベラルと言われる朝日や東京新聞より、事実を伝えると言う面では読売や日経の方がボクにはまともに見えます。
特にマスコミの連中がふってくるのは共産党との話題ばかりじゃないですか。4候補とも違いは殆どないのだから、そんなことは論点でもなんでもない。それよりどんな政治を目指すのか、の方が遥かに大事なのに。
https://t.co/Shf8WCsrTS
— buu (@buu34) 2021年11月21日
このニュースとかさぁ、見出しは「立憲4候補 憲法議論は前向き」って出ちゃうのよ。
でも、クリックして開くと、「立憲4候補 憲法議論は前向き 改正には慎重姿勢」と、現実を正しく反映した見出しになるんだけど。
こんなの、わざとじゃないの?
共産党との共闘ばかりに焦点を当てる連中は絶対ストーリーを作ってるなーと思います。たかだか記者風情、傲慢ですよ。
と、いうことで、新宿で映画『リスペクト』
gaga.ne.jp
公民権運動に関わる牧師の娘として生まれたアレサ・フランクリン(ジェニファー・ハドソン)は父の説教の場で歌う度に圧倒的な歌唱力で天才と呼ばれていた。しかし愛する母との別れや強権的な父(フォレスト・ウィテカー)の抑圧で自分を表現することができないでいた。やがてレコードデビューした彼女だが、歌唱力はあるもののヒット曲には恵まれない。彼女は父親に反抗するかのように女たらしの夫(マーロン・ウェイアンズ)と結婚するが、今度は夫の束縛に苦しめられる。ぎりぎりまで追い詰められた彼女は、自分の気持ちを正直に出す事、つまり女性であること、黒人であることを歌で表現することで大ヒットを出していく。
2018年に亡くなったアレサ・フランクリンは’’史上最も偉大な歌手’’(ローリングストーン誌)として知られています。
ボクは彼女のファンという訳でもありませんが、映画『ブルース・ブラザース』に出てきた彼女の歌唱シーンが素晴らしかったのは印象に残っています。
アレサが偉大なことは判っているし、生前のアレサから彼女を演じることを指名された主役のジェニファー・ハドソンも凄い歌手であることも判っているので、とりあえず見に行きました。
●アメリカ版のポスター:バックがやたらと明るい日本版、おかしいでしょ。
アレサは子供の時から天才の名をほしいままにしていました。公民権運動に関わっていた牧師の父の家にはキング牧師、それにダイナ・ワシントンやサム・クックのような有名歌手が出入りしています。すごい環境です。彼女はそんな観客の前で、子供の時から歌っていたわけです。
●父親は高名な牧師であるだけでなく、公民権運動にも関わっています。しかし家族には強権的にふるまいます。アレサの母親はそれに耐えかねて離婚。
その一方 アレサが少女時代に性的虐待を受けていたことや強権的な父親から逃れて離婚した母親との関係、十代の時の望まぬ出産などが人格に影を落としています。これらの出来事がアレサを歌う機械に変えていた。他人に歌えと言われていたから歌っていただけで、自分の意思では歌っていなかったのです。
女性監督らしい描写は繊細で露骨な描写は避けています。でも判る人には判るように出来ていて、非常に優れています。
彼女はコロンビアレコードの伝説的なプロデューサー、ジョン・ハモンドに見い出されて、レコードデビューします。
ちなみにジョン・ハモンドという人はヴァンダービルド財閥出身にも関わらず人種的な偏見もなく、ビリー・ホリデイ、ベニー・グッドマン、ディラン、スプリングスティーンを発掘した、これまた物凄い人です。まさに世界の偉人レベル。
しかし彼の腕をもってしても、アレサにヒット曲を出すことはできなかった。NYの、そしてジョン・ハモンドの洗練された音楽には彼女はマッチしなかった。
誰もが才能を認めつつも鳴かず飛ばずだった彼女はレコード会社を移籍、新しいプロデュ―サー、ジェリー・ウェクスラーと巡り合います。
彼に勧められアレサは南部アラバマ州で白人ミュージシャンを集めてレコーディングするという新しい手法を試します。そこで彼女は’’ソウル’’という新しい音楽を見出します。彼女のルーツである教会音楽、ゴスペルから宗教的な部分を除いたものです。そこにマッスルショールズ・スタジオの白人ミュージシャンの、重くてねっちこいリズムが絡み合う。
ここの描写はめちゃめちゃ面白かった。音楽を作る過程を、よくぞ、ここまで表現したと思いました。
アレサは私生活では謹厳実直な父親に反抗するかのように、女たらしで悪名高いテッド・ホワイトという男と結婚、マネージャーを任せます。
この男はバカなくせに嫉妬深く、彼女を束縛したり、暴力をふるう。アレサもクズ男をさっさと切ればよいのに、甘い言葉をささやかれると許してしまう。DVの良くあるパターン、まさに共依存です。
才能ある女性がこういうダメ男に引っかかる話は良くありますが、どうしてなんだろう。
しかし、彼女はテッド・ホワイトや父親から受けた仕打ちへの気持ちを歌に込めるようになります。そこで生まれたのが全米NO1になった『リスペクト』。そこから彼女の快進撃が始まります。彼女が公民権運動に積極的に参加したり、ブラックパンサーを支持する記者会見をやったりするところも興味深い。
やがて彼女はテッド・ホワイトと決別、まともな人間である新しい夫にも出会います。
しかし、好事魔多し、今度はアレサはアルコールに溺れるようになります。周囲との人間関係も崩壊寸前。映画の中では度々、’’自分の中にデーモンが居る’’と彼女はつぶやいています。自尊感情が不足している彼女の人生には破壊願望が時々顔を出します。
●アレサの姉妹も歌作りに参加します。
彼女は神の言葉に救いを見出すようになります。そして再起を賭けて自分のルーツである教会音楽、ゴスペルだけでコンサートを開き、ライブレコーディングを行います。
歌手の生涯を描いた映画ということで、ちょっと前に流行ったクイーンをテーマにした『ボヘミアン・ラプソディ』を思い出します。あれはフィクションがかなり入っているせいもあって、こちらはあそこまで劇的な話ではありません。エンタメとしては負けているかも。しかし公民権運動、フェミニズム、自身との闘いを繊細に描いている内容の充実度は遥かに勝ります。
なによりもやってる音楽のレベルがクイーン『ごとき』とは全く違うので(笑)、圧倒的な充実度があります。お話ではなく、音楽の力でねじ伏せる。
主演のジェニファー・ハドソンは当代随一の歌唱力を誇る歌手ですけど、頑張って演じたと思います。大変なプレッシャーだったと思いますが、アレサの物まねをやってるのではなく、説得力のある音楽をちゃんと演じている。素晴らしいです。
特にクライマックスの’’アメイジング・グレイス’’は名唱のレベルです。アレサ自身の解釈とは全く変えているけれど、十二分に説得力がある。彼女の起用はアレサ自身の指名だそうですけど、良くやったとしか言いようがない、満足しました。
と思ったら、そのあとエンドロールで晩年のアレサ・フランクリンがキャロル・キングの歌を歌うシーンが流れます。
客席にオバマ夫妻が居たから、ミシェル夫人かオバマ自身のバースデー・コンサートか何かだと思います。これがすごい。ものすごい。たった1曲歌うだけですけど、号泣してしまいました。ジェニファー・ハドソンも凄いけど、アレサ・フランクリンはその何十倍も凄い。
ジェニファー・ハドソンの熱演を最後にぶち壊してしまうのはどうか、と思いましたが、素晴らしい映画であることは間違いありません。
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で、エンドロールにあまりにも感動したので、映画のクライマックスになった72年、LAの教会で行われたコンサート2日間のドキュメンタリーをDVDで見たんです。名監督のシドニー・ポラックが撮影したがなぜかお蔵入り、幻のフィルムと言われていたそうですが、近年発掘されたもの。日本では今年5月公開。
殆ど『神を見ました』。ただ、静かなアレサの歌で観客が感動して泣いているだけでなく、トランス状態になって錯乱する奴まで出てくる。バックの聖歌隊も泣いている。ピアノを弾いている牧師まで号泣してピアノが弾けなくなって、後ろへ引っ込んでしまう。こりゃあ、どうなってるんだ。
キリスト教なんか門外漢のボクですら、アレサの歌声に心の平安を感じました。『神を見た』って、ローリングストーン誌か何かの評ですが、ボクもそう思った。神様って本当にいるんだと思いました。正確にはアレサは神というより預言者かもしれませんが。『リスペクト』で背景を理解してから、こっちを見るととんでもない光景が展開されていることがわかります。凄いドキュメンタリーです。
こんな歌手がいたとはなあ。