特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『メロンのスープ』と『東洋経済2021年6/12号:会社とジェンダー』

 このところ、めっきり暑くなりました。季節が一歩進んだ感じです。
 お天気が良い今週はポロシャツに真っ黒なサングラス、それにランニングシューズという格好(笑)で通勤しています。眩しい朝日を浴びながら歩いていると、ちょっとしたリゾート気分?(笑)。もちろん周りの人には奇異に見られているでしょう(笑)。
●紫陽花に映える朝6時の日差し

 6月になってから半分くらいの飲食店はお酒の提供を始めたり、営業時間の見直しをやってますね。当たり前だよなー。補償金は遅いわ、感染防止の効果も疑問だわ、それに対して行政は有効な説明を全くしないのだから、いくらプロ臣民揃いの日本人だって周囲の同調圧力『空気』を無視し始める人も出てくるでしょう。

 あと、もう一つ。コロナで入院できずに亡くなった人は第3波では首都圏、4月の第4波では大阪・兵庫に集中していたことが明らかになりましたこの1年間 病床の整備を怠った吉村や小池の責任は重い

●こういうアホもいました。コロナは風邪、と言い続けてきたN国党(旧名)の立花がコロナに感染、重症化して入院。

 

 もっと問題なのは、この数字は厚労省が調査していたものではなく、一般の人(↓)が警察に開示請求したもの、ということです。この人は今までも横浜市などに度々開示請求を行ってきて度々ヒット?を飛ばしています。厚労省も新聞記者も何やってんだって話です。

 飲食店のお酒提供にしても、開示請求にしても自分の頭で考える、ということは大事だなーと改めて思いました。

●近所のイタリアンで『メロンのスープ』。スープもさることながら、ところどころに垂らしたオリーブオイルの香りが爽やかでした。


 さて、今週の東洋経済ジェンダーの特集号でした。

 選択的男女別姓を認めないのは憲法違反、として国を訴えている、一部上場のIT企業サイボーズの青野社長と別姓反対の高市早苗(こいつも高市という旧姓を使っているのですが)(笑)、ゴールドマンサックスの松井(新自由主義者なのでボクは嫌い)など色々な人の話しが載っていました。
 元々東洋経済石橋湛山が作っただけあって比較的リベラルな雑誌ですが、上場企業は来年から女性管理職比率を公表しなくてはいけなくなるのも、こういう特集が組まれた一因でしょう。

 ちなみに、ボクは政府のインチキな経済指標やコロナ病床使用率と一緒で、女性管理職比率の公表を義務付けても内実が伴っていなければ全く意味がない、と思っています。オヤジ社会の原理に媚び諂う丸川珠代高市早苗みたいな女性管理職が増えても何も変わらないどころか、もっと悪くなるでしょ(笑)。

 SDGsもそうですが、女性活躍にしても、そういうものにハエのように企業に集ってくる広告代理店やコンサルとかすごく腹立つんです。オリンピックだけでなく、日本には中抜き専門のバカ連中が多すぎる。

 特集の中で、ビジネス誌や朝日の論壇時評の委員などで健筆を奮っている治部れんげ氏が、’’90年代半ば 日経BP社の新入社員の時 お茶くみをしたら『高い給料を払っている君の仕事は、面白い雑誌を作ることでお茶くみをすることではない』と男性上司に叱られたことが働き方を考える切っ掛けになった’’と言っていました。

 均等法が施行されて10年近く経った90年代半ばでもお茶くみなんかあったのはちょっと驚きです。LGBTQも同様ですが、女性の活躍は女性だけの問題ではない。アライ(Ally)(同調者・支援者)であることは案外 大きな役割を果たす。
toyokeizai.net

 あと、ボクはやっぱり上野千鶴子の話が面白かった。
 いつもと同じように上野は『男女平等がなかなか進まない日本の原因は日本型の雇用モデルにある』と述べています。

①新卒一括採用と終身雇用
年功序列型給与体系と家族給モデル
③企業と共存共栄型の企業内組合
 という この3つのルールは女性を構造的、組織的に排除する効果がある点で、間接差別的だといえます。言い換えれば、家庭責任を負わない「専業主婦付きの男性稼ぎ主」に有利な構造になっている。

toyokeizai.net

 現実には終身雇用など日本型雇用モデルは元々日本のごく一部、つまり大企業だけのものだし、今や日本型雇用モデルは殆ど崩壊しつつあります。ですから、男女平等が進まないのは雇用モデルより、政治家や経営者だけでなく、一人一人の意識の問題の方が大きい、に決まってます。ただし差別的な雇用制度、働き方は個人の意識にも大きく影響を与えている。それは確かでしょう。

 上野によると、差別的な日本の将来はこうなる。

 問題は現状維持のままだと日本全体がジリ貧になっていくということです。変わらなくては現状維持さえ難しいのに、それを当事者たちがわかっていない。
(中略)
 最終的には、市場の判断が下るでしょう。企業は以下の3つの市場で闘わなければなりません。消費市場、金融市場、労働市場です。
 消費市場は多様性と地域性がありますから、きめ細かに対応する必要があります。そこにホモソーシャルな(同性同士が連帯した)同質のオジサン集団が対応するか、それとも女性を含めた多様な人材が対応するかでパフォーマンスが変わるでしょう。
 金融市場では投資家にとって魅力的な企業、すなわち利益率が高い企業に投資が集まるでしょう。最近ではSDGsに配慮する投資家も増えてきました。
 そして労働市場優秀な女性は優秀な男性を選び、優秀な男性もだんだん優秀な女性を選ぶようになってきました。何をもって優秀かというと、男性の配偶者選びの基準の中で「稼得力」が重視されてきています。専業主婦ではなく、稼げる女性と結婚したい。そうすると、男も女も共働きができる働きやすい職場を選びます。男女平等型の企業には優秀な男女が集まってくるでしょう。

 すべてこうなるかどうかは別にして、差別国家の日本や差別企業は衰退していく、という結論は異論はありません。人口の半分を差別するような国家や企業が、差別がない国や企業と競争すれば負けるに決まっています。むしろ、さっさと潰れたほうがいい(笑)。

 ここでの問題は『優秀な女性は男性を選び、優秀な男性は優秀な女性を選ぶことによる格差の拡大』でしょう。単純に考えても格差は倍になる。


 ちなみに80年代から今に至るまで変わらない上野への批判には『本が売れて金持ちのくせに』、『お1人様孤独死と言っても金持ちだから出来る』、『自分はタワマンに住んで、コロナになったら別荘に避難しているくせに』というのがあります。

それに対する上野の反論は80年代から一貫しています。『悔しかったら売れてみろ』(笑)です。彼女は自分は工夫して、マーケティングと自分の主張を両立させていると度々主張しています。

 ボクはこれは上野が正しい、と思っています。オールド左翼のように自分だけが正しいと思っていても、他人がどう受け取るか(マーケティング)を考慮しない主張なんか無意味です。

 ただし、メリトクラシー能力主義)の問題は残る。だからこそ累進課税などの再分配が重要で、再分配がなければ、むしろ差別の解消はサイアクの新自由主義的な社会になりかねない。つまり男女平等の落とし穴はメリトクラシー能力主義)にある
 これは注意しなくてはいけない問題で、マイケル・サンデル先生の本でも読みながら別途考えてみたいと思っています。
 


 上野の文章で最も印象に残ったのはこの言葉です。
 『日本では労働市場において、ジェンダーが人種と階級の機能的代替物になっている

 この言葉にははっとしました。
 日本の社会や企業の制度に差別的なものが多々あるのは判っていますが、日本のジェンダーアメリカなどの人種差別やイギリスなどの階級差別の代替物、とまでは思いつかなかった。
 しかし日本にも、都立高の男女別定員や医大入試での女性差別など明らかに差別(生まれによって規定されてしまう不当な扱い)としか言えないものが多々ある。何よりも女性が家事・育児をやるもの、と思い込んでいる人は未だに男女問わず多い。身近なところで言えば、例えば日本的な企業に勤める人で、世帯主給や扶養手当などが差別的と思う人はそれほど多くない筈です。
キャンペーン · 東京都教育委員会: 東京都立高校の男女別定員制を廃止し、 性別によって不利にならない入試を行ってください! · Change.org

 でも、ニュースでブラック・ライブズ・マターのデモを見ていても、日本にも同じような差別がある、と考えれば、見方はちょっと変わってくるのではないでしょうか。
 差別の問題点は少数派を生まれながらに疎外することによって社会全体の利益を損ねることだけではありません。差別する側も疎外されることも問題です。

 家事や生活のことなんか全く分からない、判ろうともしないバカ男連中を見ればわかります。森喜朗みたいなアホだけでなく、立憲民主にだって救いようがないバカがいます。何よりも恐ろしいのは、当人に自覚がないところです。差別は差別をする側もアホにしてしまう

●最近ではこれ。元々立憲民主は党幹部に女性がいない。 


●事件のきっかけになった島岡阪大教授のtweet

 もちろんボクだって、様々なバイアスや偏見から逃れることができているわけではありません。
 女性も含めて、誰もが差別の共犯者になり得ます。となると、同時に差別をなくすためには絶え間なく考え続け、行動し続けなければいけない、のでしょう。民主主義と同じ、まるで賽の河原の石を積むかのようです(笑)。
 大げさに言えば、それが生きるってことなのでしょうね(笑)

コロナ禍で見えるもの:『キヌアのお寿司』と映画『フィオーリ、フィオーリ、フィオーリ!』(イタリア映画祭2021)

 少し前になりますが六本木のフレンチへ行ってきました。普段は滅多に行かないところですが、恐らく六本木で1,2を争う古さの、創業40年の店がこの6月に閉店してしまうので、記憶のために食べておこうと思ったのです。

 この時期 昼でも夜のコースを出しています。こういう店は客と客との間隔も空いているし、換気もしているし、でかい声で喋るようなバカ客がいるわけがありません。なんでお酒の提供がダメなのか、全く意味が判らない。
 にこにこ笑って注文しましたけど、飲み物はお茶やソフトドリンク。料理の味付けだって変わるだろうし、作ってる方だって厳しいですよね。

 美味しかったお皿を幾つか。
 ロワールの白アスパラに貝とイカを巻き付けたもの。ブラッドオレンジのマヨネーズと緑のソースの華やかなデコレーションはフレンチならでは、です。

 手長エビの下にキヌアを置いて寿司を模したもの。正統派の店ですが珍しく、遊んでいます。手長エビって甘くて大好き! プロヴァンスのワインを使ったソースとキヌアもマッチしていました。それでなくとも最近 キヌアがマイブームなんです。お米や小麦よりお腹が楽。

 この鯛もクラシックな調理ですが、ハマグリを使ったソースが懐かしい味で美味しかった。

 厳しかったのがメインの豊岡牛(神戸牛)のサーロイン。良く知ってる店だったら霜降り肉なんか頼まないし、向こうも出してこないのですが、油断しました。ソースも火入れも良かったんですが、それでもこの肉は脂っこくて食べられない。ソースは全部舐めましたが(笑)、肉は半分以上残しました。霜降り肉を喜ぶ客もいるという事でしょうが、ボクは付け合わせの安納芋の方が美味しかった。

 40年も続いているこの店は有名なシェフを輩出していることでも知られています。今もクラシックさを残しながら、今の時代に合わせて工夫した料理を出していることはよく判りました。店の人がちゃんとしているのは勿論、お年寄りと成人した娘(笑)みたいな常連客ばかりの雰囲気もいい。

 何度も書いてますが長く続いている店、というのは他に替わりがありません。料理、雰囲気、お店の人、客層、そういうものが折り重なって空気を作っている。大企業がいくらお金を出してもそういうものはおいそれと作れるものではありません。
 今 値段の問題じゃなく、ちゃんとした食事を出来る店がどんどんなくなっています。この店の人たちはコロナが落ち着いたら、六本木の裏で小さな店をやる、とは言ってましたけど。

 今回のコロナ渦は確かに災厄ですが、それに乗じて、バカな政治家と役人が社会や文化を破壊しているのは人災です。ショックドクトリンとか何らかの意図があるというより、無為無策のその場限りの対策を小出しにしていることで特定の業種や弱い人々にひずみが及んでいる。大事なものがどんどんなくなっていく。失われていく。
 これもバカの巻き添えです。やりきれないなあ。


 6月からの映画館の再開をテーマにした先週4日の朝日新聞 天声人語にはちょっとぎょっとしました。
www.asahi.com
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 理不尽な国や都の映画館への営業妨害に対して抗議するでもない、いかにも朝日新聞らしい大衆に迎合するインチキ臭い文章なのはいつもどおり(期待してない)。
 それより、最後のパラグラフに『映画館は、知らない人たちと時間を共有する場、言葉も交わさないのに一緒に見る人が居ることにほっとする』とあってビックリしました。

 ボクは金輪際、そんなことは考えたこともありません(笑)。ただでさえ映画館は、アホのおしゃべりや眩しいスマホに悩まされたり、短い足を組んで席の背を蹴ったりするマナーの悪い奴もいます。運悪くそういう輩が半径3メートル以内にすると正直、ウンザリする。ましてコロナですから、隣席・前後席に人間がいるだけでゾッとする。
 ボクが映画館に求めるものは趣味の良い作品と大きな画面・音響だけできれば、たった一人で見られたらベストです(笑)。
 色々な考え方はありますが、『一緒に見る人が居ることにほっとする』なんて新鮮な発想で(笑)ビックリしました~。


 ということで、オンラインでイタリア映画祭2021、映画『フィオーリ、フィオーリ、フィオーリ!』(原題’’Fiori, fiori, fiori!’’(花々))

君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの最中に生まれ故郷のイタリア・シチリア島スマートフォンタブレットで撮影した12分ほどの短編ドキュメンタリー。

 2020年3月末 生まれ故郷のシチリアに戻り、子供時代の友人たちを訪ね歩いたルカ・グァダニーノ監督がコロナ禍での人々の暮らしとこれからの世界について語った作品です。

 シチリア島って美しいところなのでしょう。まして季節は春。野山には様々な種類の花々が一面に広がっています。車窓からiPhnoneで収められた映像は幻想的なくらい美しい。

 その一方 人間世界では美しい春とは対照的な世界が広がっています。ロックダウンが拡がっている。久々に再開した友人とはハグすらできない(イタリア人ですから、ショックは我々より大きい)。

 古くからの建物をそのまま使った美しい劇場は営業出来ず、がらんとしたまま。劇場の屋上からはがらんとした州都パレルモが拡がっている。
誰にとっても初めての体験です。

 シチリアの野山とは対照的な、火山灰に覆われたエトナ山を登りながら、ナレーションが入ります。

 コロナは災厄ではありますが、もしかしたら我々の世界を浄化する自然のサイクルかもしれない。今回のロックダウンは鏡の前で自分と向き合うことで、自分が世界と調和できる存在であるかどうかを確認する好機でもあります。
 鏡の前に映っているのは自分だけでなく、他人と自分との間に長年かけて敷いた境界線。そこで他者という存在を意識することで、孤独が自分の魂に調和をもたらすことができるかもしれない

 コロナ禍の下で、そしてコロナの後、我々はどうやって生きていくべきなのか。12分の作品はそんなことを問いかけてきます。
 映像、音楽、ナレーション、どれも散文詩のように美しい。深刻な問いに心地よささえ感じるのはまさに芸術の力です。ボクは10回は見ました(笑)。アドレスを映画祭に登録さえすれば無料で見られます。ぜひどうぞ。
●イタリア映画祭では同じルカ・グァダニーノ監督が作ったフェラガモのCMも上映されています。これもまた、カッコいい。美しい。

www.youtube.com

『ナポリピッツァ』と『安いニッポン(報道1930)(笑)』

 いよいよ6月が始まりました、
●登ったばかりの朝陽に映える紫陽花

 

 この6月から、安倍べったりの大本営発表を繰り返してきたNHKの岩田明子が上司もろとも政治部を離れるそうです。新潮の記事には管理職も外れるとも書いてあります。やっぱり左遷、ですか😇。公共の電波を使って安倍の言い分を垂れ流す岩田のしたり顔を見るたびに不愉快でしたが、これは嬉しい(笑)。


 先月 ビャンビャン麺を食べて以来 自分の中では粉食ブームになっているので、日本のナポリピッツァの草分けの店へ行ってきました。長年行ってみたかった所です。
 日替わりのキノコ・ピッツァを頼んだのですが、流石に小麦粉のドウはもちもちで存在感があります。シルクロードの麺料理と同じように、確かに粉を食べる料理だなーとは思いました。

 が、食後感は大したことはなかった(笑)。あちらではざるそばみたいなものだそうですが、香りとか歯ごたえとか、シンプルな料理だからこそ感じられる味わいの複雑さはない。

 日本人が作っていても渋谷や丸の内にあるヴィロンのパンなんかはちゃんと小麦の香りがしますからね。このピザも不味くはないけど、ダイエットの禁を冒すような価値はなし。
 とりあえず、味見はしたので満足しました。もういいや(笑)。

●俳優のウィル・スミス、こんなカッコいい人だとは知りませんでした。


 6月も 緊急事態宣言が延長されています。と、言っても、意味があるなんて誰も思ってないんじゃないですか、満員電車は相変わらずだし。効果ゼロとは言いませんが政治力が弱い飲食店を意味もなく虐めているだけで、感染防止をまじめに目指しているとは思えません。これでまだオリンピックをやると言い張っているのだから、政治家もマスコミも頭おかしい。

 そんな世の中ですから、出来るなら極力 誰とも会わずに暮らしていたいとは思います。でも、それでは認知症になるリスクがある(笑)。仕事って苦痛ではありますけど、生活の資を稼ぐということの他に、違う世界と触れるという効用はある。それは認めざるを得ない。

 今週は久方ぶりに仕事場に来客がありました。この1年、外部の人と会うのは極力オンラインにしているのですが、なぜかリアルでの面会が1日に2件もあった。

 最初は丸の内にある日本の某銀行の人。異動の挨拶ということで大勢連れてやってきました。ネクタイに背広、襟にはでかいSDGsのバッジがついています。余談ですが、SDGsのバッジをつけている奴ってそれだけでバカに見えませんか?。大きすぎてスーツには合わないってことすら判らないのか。

 初対面だったのですが非常に話好きな人で、自分のことをペラペラずっと話してました。現場がある製造業と違い、金融ですから積極的にテレワークをしても良さそうなものですが、『テレワークは週1回くらいで、私たち営業は相変わらずお客さんを回っている。いい店があるのでコロナが落ち着いたら飲みに行きましょう、わっはっは』と中年太りの腹を揺らしてた。

ふざけんな、誰がお前みたいなむさくるしいデブと飲みになんか行くか』と思いましたが、一応ボクも大人なので(笑)ニコニコ作り笑いするだけで追い返しました。こういう昔のサラリーマンもまだいるんだなーと思いました。終わったら運転手付きの車で帰っていきましたよ。まさに昭和の世界です。


 そのあとに会ったのがアマゾンのコンピュータサービス(AWS)の人。
 ポロシャツ姿で一人でやってきた彼は『ずっとテレワークで会社には2月から1度も行っていない。効率的だけど、オンライン商談だと1時間単位できっちりスケジュールをいれられてしまうから食事やトイレに行く暇もないことがある』とこぼしてました。
 その日も1時間できっちり要件をすませた後、また一人で歩いて帰った。その次は近くのスタバでオンライン会議だそうです。ちなみにアマゾンは接待なんて役員クラスでも自社の従業員食堂で缶ビールを飲みながら少し歓談するくらいで、無駄な時間の使い方はまったくしない。

 最初から判っていたことですが、あまりにも対照的な光景で少し面喰らいました。どちらの会社の未来が明るいか、明快ですよね。

 実際 銀行の人は『昔は支店が沢山ある銀行ほど強かったが、今は支店はコストがかかるばっかりで全く儲からない。来るのは老人ばかりで介護施設みたいになっている。これからは支店もATMもどんどん減らして、老人の年金や遺産の運用を狙っていく』と言ってました。
 一方、アマゾンはコンピューター部門の売上だけで世界で5兆円、年率30%で成長しているそうです。今秋から日本政府のシステムが全て引っ越してくるから、黙っていても、どんどん成長する。

 この違いって企業だけの話ではなく、日本という社会全体の話だなーと思うんです。

 ちょうど 今週水曜のBS-TBS報道1930』でこのことを判りやすく説明していました。

 バブル崩壊以降、日本経済は落ち目の一方。唯一の取り柄だった経済が衰退するに従い、国の財政や男女平等やデジタルや環境対策など日本人全体も世界から取り残されるような、後進国と揶揄されるような低レベルになりました。端的な形で明らかになったのが今回のコロナ禍です。5月10日時点で日本のワクチン接種率は世界129位、OECDでは最下位、日本のワクチン接種率は世界で129位 OECD加盟国で最下位(高橋浩祐) - 個人 - Yahoo!ニュース、揶揄どころか現実に後進国なのは間違いない。

 番組では次に、日本の物価が世界的にも低い安売り天国になっていることが指摘されます。例えばイギリス人旅行者にとって日本は世界で3番目の安売り天国だそうです。東京はケープタウンやバリ島より物価が安いって言うんですよ。

 物価が安いというと良いことのように思えますが、給料が安くて、その値段でしか物が売れない、ということです。

 実際この20年、日本の給料は下がり続けています。先進国では下がっているのは日本だけ。

 何度もこのブログで書いていますけど、外国人が大勢インバウンドで来ているということは日本は国際的には貧乏国だってことです。円安誘導のアベノミクスが日本の貧乏国化を一気に加速させた。

 貧乏国の企業は他国企業の下請けになったり、買収されていくのが宿命です。番組では今、中国企業に買収される日本企業が増えていることが指摘されます。例えば、かって日本の家電企業は世界でもトップクラスでしたがサンヨーが海爾に、シャープが鴻海に(台湾企業ですが)買収され、メジャーどころでは松下しか国内には残っていません。
 下のグラフは中国による日本企業の買収件数・金額を示したものですが、棒グラフの買収件数は増加傾向が続いています。

 番組では中国のアニメ企業が日本に支社を作った例が取り上げられました↓。今 中国で空前のヒットを飛ばしているアニメ企業が下請け作業を発注するために日本に支社を作った。
 日本のアニメ企業は低賃金・不安定な雇用で知られています。全員正社員を謳っていたスタジオ・ジブリですら数年前、それを断念しました。しかし中国企業は給料は高いし、正社員で雇ってくれるから雇用も安定している、と転職した日本人アニメーターは喜んでいました。中国企業は巨大市場を相手にしているし、経営手腕も違う。
 シャープでもそうでしたが経営者に国籍は関係ありません。バカな経営者ってつくづく、犯罪だと思います。ホントは政治家もそうなんだけどなあ。

 番組では最後に貧乏国日本のメカニズムが判りやすく図示されます。昭和期は人口が増えたから給料も上がり、消費も増え、また売り上げが上がるというサイクルが機能していました。今はその逆になっています。少子高齢化が進むから企業の売上は減り、給料も減り、消費も減るバカな男が家事をしないから、こうなる

 上の写真の右上、消費者の実感を描いた黄色の部分だけに(笑)着目すると、消費減税とかの短絡的な発想に行きかねませんが、まず給料を上げなければ、負の循環は止められません。給料が下がり続けている中で子供なんか作ると思いますか?そのためには国は最低賃金を上げるべきだし、企業も賃金を上げていかなければいけない。賃金を上げられるよう儲けなければいけない。
 番組ではゲストの『里山資本主義』の藻谷浩介氏や元日銀マンの国民民主党の大塚衆院議員などが事実誤認や的外れなことも含めて色々言ってましたが、給料を上げていくのが最優先なのは一致していました。
spyboy.hatenablog.com

 さらに世代間の再分配を考えれば子育てや教育費への国の支出を増やし、家計を楽にする。そうしなければ少子高齢化はブレーキを掛けられない。つまり、将来の日本への投資が必要ということです。もちろん、そのためには減税ではなく、財源が必要。ちなみにバイデン大統領の経済再生政策はその財源を富裕層・企業への増税で賄うとしています。

 一方 日本では自民党アベノミクスも維新やれいわが言っている消費税減税も所詮は銀行のデブのおっさんみたいな昭和のリバイバル、この負のサイクルを止める効果はありません。

 日本はアメリカの真似をすることだけは世界で一番うまいと思います(笑)。自民党や学者だけでなく、大統領選挙の陰謀論を未だに信じるQアノンならぬJアノンなんて白痴までいるくらいです。是非、バイデン氏のまともな政策を真似してもらいたいものだと思っているのですが。