特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

それでも、世界は変わる。

 今朝は寒かったですね~。お正月休みからすっかり現実に戻りました(泣)。今日はデヴィッド・ボウイの5周忌。早いものです。
 駒沢公園ではもう、梅が咲き始めたんです。今年は寒さが訪れるのが早かった分だけ、春の足音も早いのかもしれません。今年の場合 感染のことがあるから猶更、春が待ち遠しいです。
●昨日の駒沢公園
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 これは最近のマイブーム、『塩豆腐』。
 豆腐に粗塩をかけてペーパーに包んで一晩おくだけで、チーズのようにまったりとした味わいになります。豆乳の甘みも感じるし、オリーブオイルを掛けると実に美味しい。ネットで見たらいっぱい挙がっていましたが、ボクはお正月放送のNHK『あてな夜』で初めて知りました。安い&簡単&ヘルシー、三拍子揃ったお正月の収穫でした。
●左が絹豆腐、右が木綿で作ったもの。絹の方がボクは好き。



 昨日の 菅の記者会見は酷かったですね。緊急事態宣言は致し方ないけど、会見の内容が酷すぎ。お前らにだけは言われたくない、が多くの人の気持ちでしょう。

 無意味な言葉の羅列だったのは勿論ですが、無意味に受け取られるのは理由があります。根拠を具体的に説明しないからです。
news.yahoo.co.jp
 
 一つは感染が広がった原因を説明しない。誰がどう考えても、寒さとGO TOで感染が広がったことは間違いありません。税金を使って感染を広げたのは政府の大失策です。判断を誤ったら謝ればいいのに、それすらしない。お人好しの日本人だから素直に『判らなかった』と誤れば大多数は納得するでしょうに。
 総括をしないから、また同じことを繰り返す。


 もう一つは今回の措置で感染が減る根拠と具体的な減少数の目標を説明しないことです。飲食店やカラオケが営業時間を短縮する程度でどれくらい感染が減るのでしょうか。

 夜の営業時間を短縮したって、昼間カラオケやってるボケ老人、グループでくっちゃべりながら昼飯を食っている薄汚いオヤジやヒマな専業主婦を放置していれば何も変わりません。そもそもウィルスに昼も夜もありません(笑)。

 飲食店だって、席の間隔を空けたりアクリル板を用意してきちんと対策をしてる店と、でかい口を開けてる頭の悪い客を目いっぱい入れて放置しているセコい居酒屋(繁華街はそんなのばっかり)と一緒くたにするのはおかしい。
 例えば 店のキャパを半分にする人数制限の方が営業時間短縮より遥かに有効ではないでしょうか。店の損失も少ないはず。
news.yahoo.co.jp


 例えば世田谷区の場合、外食で広まった感染は全体の18%、と区長が言ってます。

 飲食店の夜の営業時間を減らすだけじゃあ、全体の感染は中々減らないでしょう。それにテレワーク推奨も結構ですが、テレワークできない職種の人はどうするんだよ。まだ判らないのか。
 今回の対策でどれくらい感染を減らせるのか、具体的な見通しすら述べないっていうのは酷すぎますよ。国民は多くの犠牲を払うのに。お天気次第ですが、今回の緊急事態は2月7日どころか3月末まで続くんじゃないですか。
news.yahoo.co.jp

 と、突っ込みどころ満載で、とても納得できる話ではない。菅の会見は太平洋戦争と同じ、単なる精神論にしか聞こえません。バカバカしい

 なのに相変わらず政府の言ってることを垂れ流すだけの無能マスコミもおかしいし(記者クラブのせいにしろ)、疑問を持たない国民もバカ過ぎる。菅だけの問題じゃない。

 あと、成人式。この期に及んで実施しようとする自治体があるのも驚きですが、一生に一回とか騒いでる奴って、文字通り頭がおかしいんじゃないの。毎日すべてのことが一生に一回だよ、バカ(笑)。
 いい加減 ウンザリしてきました(笑)。



 バカ、と言えば、昨日のアメリカの暴動はビックリしました。ネオナチや白人至上主義者が大勢いたらしいですね。


 ただし、所詮は一幕の茶番に過ぎません。
 トランプ支持者の力を示したと言うより、バカを世界に晒してトランプへの離反者を増やしただけです。ここは勘違いしてはいけないポイント(笑)。さらに言えば日本でも茶番を煽ってるバカが居ます。百田にしろ森にしろ、ここまで認知が歪むと↓マジで認知症じゃないだろうか(笑)。
●百田の昨日と今日のtweet。永遠のゼロ(知能)

●コイツも一回コロナにかかって〇ねばいいのに。

 アメリカでも日本でも、新聞を2種類くらいは読んでないとアホになる、って改めて思いましたよ(笑)。

●トランプ支持の日本人(笑)は幸福の科学と一部のれいわ支持者、らしい。


 それより、こちらが本題。6日に行われたアメリカ、ジョージア州上院議員選挙の結果は驚いたし、嬉しかったです。これで上院も民主党が握りました。遠いジョージア州のことですが、今回は日本にも関係があります。

 保守的な南部で白人の共和党現職議員を黒人、ユダヤ人の新人議員が破ったのです。ジョージア州で黒人やユダヤ人が上院議員になったのは歴史上はじめて。

 なぜ、こういうことが起きたか。
 前回のジョージア州知事選(18年)の民主党候補、47歳の黒人女性、ステイシー・エイブラムスとボランティアが、この2年間 地域を地道に回って黒人たちの選挙登録を増やし、80万人もの登録を行ったからです。
www.bbc.com 


 日本ではこの人の名前を知る人は少ないかもしれません。
 ボクもロバート・ライシュ先生のtweetとアマゾンの配信で彼女のドキュメンタリーを見るまで知りませんでした。

すべてをかけて:民主主義を守る戦い

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spyboy.hatenablog.com

 共和党の現州知事は選挙前の17年、140万人の投票登録を勝手に抹消(8割は黒人)して5万票差で彼女を破りました。しかし彼女は選挙後も選挙登録を増やす活動を続け、登録者を80万人も増やした結果、今回の大統領選では1万4千票の差でバイデンが勝った。
 共和党の牙城だったジョージア州アリゾナ州の結果は大統領選の勝敗を決定づけました。

 そして、今回の上院選も共和党の現職二人(一人はKKKと写真を撮るような奴です)を黒人とユダヤ人の新人候補が破る、という結果に繋がりました。

 上院も民主党が多数を占めたことで保守派が多数を占める最高裁判事の数も変えることができます。同性婚や妊娠中絶の権利も守ることが出来るでしょう。トランプが緩和した環境規制も戻しやすくなりました。このことは世界中の人々にとって影響が大きい。

news.yahoo.co.jp


 ステイシー・エイブラムスは州知事選に負けても、それだけでは終わらなかった。汚い手を使われて敗戦した後でもくじけなかった。自分の選挙は終わったと言うのに、彼女と少人数のボランティア(うろ覚えですが確か100人くらいだと思います)が活動し続けたことが、ポピュリズムの狂気から世界を救った

 上に挙げたBBCの記事によると、ジョージア州では「結果を出す、やるべきことをやる」という意味で、エイブラムス氏の名前がしばしば使われると、いいます。

 今回ブログを書くにあたって彼女のTED↓を見たら、ビジネスにしろ、選挙にしろ、彼女は自分が何かをやろうとするとき、自分に対して3つの質問をするそうです。
 その3つとは『何をしたいか』(WHAT)、『何故やりたいのか』(WHY)、『どうやって実現するのか』(HOW)

 言われて見れば当たり前、ですけど、これを真摯に自分に問い続ける人は少ないと思う。日本の政党や市民運動なんか正に、そうじゃないですか?
 反原連やSEALDsの子たちが異色だったのは、HOWやWHYを自分の頭で考えてる奴なんか旧来の市民運動には殆どいなかったからですよ(地域で活動している人には大勢いると思うけど)。
www.ted.com


 特に最近はロクでもないニュースばかりで、世の中って酷いものだと思ってしまいます。人間はこうも簡単に嘘に騙されたり、理性を失ったりするのか。
 それでも、世界は変わります。世界って変えられる。現にたった一人の挫けない女性リーダーとごくわずかなボランティアたちが熱意と冷静さで世界を少し変えました。

 驚きです。と同時に、くじけないこと、現実に冷静に向き合う事の重要さをエイブラムス氏は改めて教えてくれたと思います。

●彼女のドキュメンタリーの主題歌(カッコいいです)を歌ったジャネール・モネイがエイブラムス氏にインタビューしています。
www.harpersbazaar.com

●主題歌’’TurnTables''のMV。ジャネール・モネイは映画『ドリーム』で主人公3人のうちの一人を演じました。

Janelle Monae - “TURNTABLES” | Directed & Choreographed By: Robert Green

ドリーム (字幕版)

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 ということで、今週の金曜官邸前抗議はお休みです。こんな時に抗議なんかやってたらトランプ支持者みたいになっちゃう(笑)。

映画『また、あなたとブッククラブで』

 楽しかった正月休みも今日でオシマイです。どこにも行かない、誰とも会わない、心穏やかに徒歩圏で暮らすお正月は、楽しかった分だけ終わるのが悲しいです(笑)。


 世俗に煩わされずに暮らしていけたらどんなに楽しいだろうって、初めて徒然草を読んだ小学生くらいの時からボクはずっと思ってるんです(笑)。小学生の時から学校には馴染めなかったし、社会人になっても社会そのものに馴染めない。
 もちろん生活の資は得なければいけないから社会と関わるのは仕方ないし、ボクみたいなダメ人間でも生かしておいてもらえるだけありがたいですが、集団ではやはり嫌なことばかり。コロナが典型ですが、他人と関わるから禍はやってくる。

 それでも歳を経るにつれて鈍感力が増したのか、多少は楽になってきましたけど、近所の神社に初詣に行って人とすれ違うだけでも少し不愉快になる(笑)。半径3メートル以内には近寄りませんが、この期に及んでマスクしてないバカがたまにいるもんなあ。 
 しかし世の中には全体の15%、救いようがないバカが18万人もいるんですね。驚きです。 


 お正月のテレビはベビーメタルが出演してたものを録画して見たくらいでしたが、今年のNHK-BS『欲望の資本主義2021』は面白かったと思います。

 格差がどんどん拡大し資本主義自体の前途が危うくなっているのでは、という論調は同じでしたが、金融だけでなく無形資産の拡大が格差を生んでいる、という観点は従来とアップデートされていて面白かった。
 橋本健二早大教授が『日本は確かに70年代までは社会的格差が小さかったが、その総中流幻想に足を引っ張られて格差対策が絶望的に遅れた』と言ってました。そして『正規雇用が中心だった最後の世代である今の50代が引退すれば、非正規の分厚い層が全ての現役世代に存在するようになる』とも。
 格差が拡大するだけでなく、固定化しつつあるのが今の日本です。非正規雇用から正規雇用に移動する例がごくわずかであることからわかるように、この国の社会的流動性はどんどん下がっている。コロナはそれを加速させている。

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 しかも生活が苦しいからこそ生まれる自己肯定欲求が自己責任論を強化して、格差を一層 固定化させる。自ら罠にはまってしまう。そして人材が有効活用されなくなり、社会全体が衰退していく。それが今の日本の地獄絵図です。

 
 自らそれを望む連中は仕方ありませんけど、極力踊らされないよう、巻き添えを食わないよう、自戒していくしかありませんね。これも、ソーシャルディスタンスです(笑)。

●余談ですが、昨年亡くなったギンズバーグ判事のドキュメンタリー『RBG 最強の85歳』が今週5日、6日の夜にNHK-BSで放送されます。面白いですよー。
www2.nhk.or.jp
www2.nhk.or.jp


 と、いうことで新年1回目の映画はハッピーな(笑)作品
 有楽町で映画『また、あなたとブッククラブで

bookclub-movie.jp

 会計士の夫を亡くしたばかりのダイアン(ダイアン・キートン)、20年以上前に離婚した夫のことを引きずっている連邦判事のシャロンキャンディス・バーゲン)、独身を貫き豪華ホテルを経営するやり手のビビアン(ジェーン・フォンダ)、定年退職した夫との関係に悩むキャロル(メアリー・スティーンバージェン)ら4人の女性は長年の友人同士。彼女たちは一冊の本を読んで感想を語り合う読書会を定期的に開いていた。あるとき彼女たちは世界中で大ヒットしたベストセラー官能小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を読み合うことになるが。

 出演する女優4人の平均年齢が74歳、という恋愛コメディ。ダイアン・キートン74歳、ジェーン・フォンダ84歳、キャンディス・バーゲン74歳、メアリー・スティーンバージェン67歳、全員がアカデミー賞ゴールデングローブ賞の受賞者。

 相手役はこれまた、アンディ・ガルシア64歳、ドン・ジョンソン71歳、リチャード・ドレイファス74歳と豪華な配役を集めています。
 18年に公開されたアメリカでは初登場3位、興収70億円という大ヒットを飛ばしています。

●4人の大女優。左からダイアン・キートンキャンディス・バーゲンジェーン・フォンダメアリー・スティーンバージェン

 お話も配役も映画の狙いがあまりにも見え見えで、どうせくだらない、とは思ったのですが、大好きなダイアン・キートンとお久しぶりのドン・ジョンソン見たさに期待しないで見に行きました。
 これが面白かった~(笑)。

 ヨーロッパはともかく、アメリカ映画では一昔前は老人の恋愛ものなんかあり得ないといわれていました。今はセックスも込みで堂々と作られるようになったのは進歩ですね。人間は人間なんだから。
 相変わらず日本は例外みたいですが。


 前の年に長年連れ添った会計士の夫を亡くしたダイアン(ダイアン・キートン)は老人の一人暮らしを心配する娘(アリシアシルバーストーン!)から、長年住んだLAを離れて自分たちが住むアリゾナへ引っ越すよう迫られています。

 ホテル事業に成功したビビアン(ジェーン・フォンダ)は、セックスは金で解決すればいい、と豪語しながら独身生活を謳歌しています。

 前述のギンズバーグ判事のようになることを目標にしている連邦判事のシャロンキャンディス・バーゲン)は20年以上前に離婚した夫が若い女と再婚することに激怒しています。

定年退職して時間が出来た夫に全く相手にされないキャロル(メアリー・スティーンバージェン)は嫌がる夫と無理やりダンス教室へ通っています。


 時間もあるし、健康だし、ある程度のお金も知性もある。そろそろ終活を始めてもおかしくないような彼女たちですが、ひょんなことから世界的ベストセラーになった女性向け官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を読書会のテーマに選んだことで、彼女たちの生活に変化が訪れます。

 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』って現実の小説です。女性向けポルノ、と酷評されつつも世界的に大ヒットしました。映画化もされて、日本でも映画館に女性がいっぱい押し寄せてました。もちろんボクは見たことも読んだこともありません(笑)。
●今回のエントリーを書いて初めて知ったのですが、映画はドン・ジョンソンの娘が主演だったんだ~(笑)

 今作の映画の中の主人公たちは一応インテリです。だから、この本をバカにしつつも、いざ 読んでみたら人生が刺激された(笑)。

 ダイアンは飛行機の中で隠れて(恥ずかしいので)本を読んでいたら、臨席の男(アンディ・ガルシア)と知り合います。

 ビビアンは数十年前に別れたハンサムな元カレ(ドン・ジョンソン)と巡り合います。

 裁判官らしく謹厳実直な生活を送ってきたシャロンはネットで出会い系を試し始めます。

 キャロルだけは夫を振り向かせようとあの手この手を尽くしますが、うまくいかない。

 大女優が演じているだけあって、登場人物のキャラが立ちまくっています。
 ダイアン・キートンは相変わらずお洒落でチャーミングです。知的だし、相変わらず垂れ目で優しそうだし(笑)、70過ぎても背筋がしゃきっとしている。カジュアルな服を着てもスーツを着ても何着てもカッコいい。
 70年代後半 ラルフ・ローレンはこの人が着たことで有名になりましたが、それをほうふつとさせます。近年の彼女の出演作の中でも今回は特にカッコいい。

 ジェーン・フォンダは個人的にはあまり好きじゃありませんが、80を超えてもセックスシンボルらしい立ち振る舞いが似合ってるのは驚きです。これまた堂に入っている。80過ぎて胸元が空いた服が似合ってるのはどうなってるんだ(笑)。

 キャンディス・バーゲンはずいぶん太っちゃったけど、凛々しさは相変わらず変わらない。

 キャンディス・バーゲンは昔NHKでやってたTVドラマ『TVキャスター マーフィーブラウン』が大好きでした。当時のブッシュ政権をコケにしまくった、笑って泣かせる最高の政治コメディでした。


 アンディ・ガルシアも太っちゃったけどカッコいいし、ドン・ジョンソンは相変わらずのモテ男(笑)。でも、この人は子供の時から自分のベビーシッターを口説いていた(笑)そうですから、根っからそういう人です。だから嫌味がない(笑)。この映画でもマジでカッコいい。

 この人は80年代のTVドラマ『マイアミ・バイス』が有名ですが、ボクは90年代のTVドラマ『刑事ナッシュ・ブリッジス』が大好きでした。サンフランシスコを舞台にした刑事ものですが、認知症の父親の介護と高校生の娘を抱えた×2の刑事、という設定がいかにも90年代、の面白いドラマでした。
 余談ですが90年代はボクにとって文化不毛の時代で、ニール・ヤングのいくつかのCDとジョン・アーヴィングの小説、それに『刑事ナッシュ・ブリッジス』くらいしか心の支えがなかった。あのドラマにはずいぶん影響を受けました(笑)。

刑事ナッシュ・ブリッジス シーズン1 [DVD]

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 いまいち目立たなかったリチャード・ドレイファスメアリー・スティーンバージェンのお話のオチも最後はまさかのミート・ローフのネタでビックリ。選曲も含めて、ここは号泣しました。これが判る人は日本ではあまりいないでしょうけど。

 ミート・ローフって挽肉料理じゃなく、欧米で数千万枚CDを売ったドラマチックなロックオペラの歌手です。大ヒットしたけど作品は大仰でバカなことでも知られている。
 と、思わせつつ、トッド・ラングレンバンドの超腕利きベーシスト、カシーム・サルタンがバンドリーダーを務める等 バカそうに見えて、実は趣味が良い(笑)というのが本質です。
 大映テレビの『スクール・ウォーズ』などのドラマ主題歌の元ネタですが、日本では殆ど知られていない。ボクはミート・ローフ、唯一の日本公演を最前列で見たのが自慢です。

地獄のロック・ライダー(期間生産限定盤)

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 と、言う具合で見ていて、とにかく楽しい。綺麗な画面、スターたちが過去の自分たちの当たり役を前提にした達者でカッコい演技、80年代の音楽と80年代風に作った新しい音楽。制作側の狙い通りと言えば、その通りですが、これだけうまくできていると全く文句がありません。

 無理に若作りしてるようなところもないし、浮いてるところもない自然体です。大スターたちの自分たちの積み重ねてきたキャリア、経歴がそのまま映画の中の味になっている。ちょうどよい重さです。男女問わず、70になっても80になっても、年相応のカッコ良さってある。やっぱりこういう歳の取り方は憧れちゃいますね。勉強になります(笑)。

 要するにこの映画のマーケティングの狙い通りにボクは嵌められました(笑)。
●こういう画を作られたら、アンディ・ガルシアも太ってたって、カッコいい


  確かにあざといですが、これだけ良くできていたら文句ありません。ロマンチックな風景、お洒落なダイアン・キートンの美しいお姿、ドン・ジョンソンのかっこよさ、ここぞというところで出てくる80年代の超名曲。どう考えても、やり方が汚い(笑)。

Avalon

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 めちゃくちゃ楽しいファンタジーでした。これはもう何度も見たいから、発売されたら絶対DVD買っちゃいます。

『また、あなたとブッククラブで』日本版予告編|2020.12.18公開

2020年の映画ベスト10

 明けましておめでとうございます
 年末年始は寒くなりましたー。それでも、おかげさまで静かなお正月です。
 テレビもくだらないし、どこにも出かけない。まして年賀状なんか見たくもないんですよね。お休みは僅か1週間だけと言えども、せっかく静かに暮らしているのに、俗世に引き戻されるのは嫌なんです。
 ただ、もう年賀状も終わりにするという挨拶がぽつぽつ来るようになって、そういうものを見ると余計に歳を感じてしまう(笑)。ああ。

 今日は生姜紅茶を飲みながら、静かなジャズ・ボーカルを聞きながら過ごしていました。夜はNHK-BSの『欲望の資本主義2021』でも見るかな

サンセット・イン・ザ・ブルー(SHM-CD)

サンセット・イン・ザ・ブルー(SHM-CD)

 世の中が大きく変わった昨年でしたが、個人的には何とか無事に過ごすことができました。
 仕事も大変でしたし、亡くなった人もいたし、無くしたこともあったけど、昨年の収穫は徒歩通勤や自家製ヨーグルト作りを始めたこと。
 毎日15キロくらいの徒歩通勤は、雨さえ降らなければ気持ち良い。散歩途中の犬に挨拶するのは楽しいし(人間は嫌い)、何よりも思う存分食べても太らないというのは素晴らしい(笑)。
●年末に食べたハチミツとナッツのソフトクリーム。

 自家製ヨーグルトもヨーグルトメーカーを使えば市販のものの3分の1くらいの値段で作れるというのが分かりました。無脂肪乳や豆乳で作ったヨーグルトに、レーズンやバナナ、デーツやイチジクなどのドライフルーツを放り込んで24時間くらい置くと余分な水分を吸い込んで、砂糖なしで自然の甘みがつきます。ボクはスパイス類が好きなのでシナモンやカルダモンに加えて、最近は寒いので生姜パウダーを入れてます。
 どちらも我ながら大ヒットで、もっと早く気が付けば良かった。

 今年の展望、なんて大それたものはありませんが、今年の3月くらいまでは感染も経済も厳しいでしょうね。感染はもちろん、経済の方も資金繰りが限界になる企業が出てくるでしょうし、3月まではコロナの影響がまだ少なかった前年との比較で比べられちゃうから、どうしたって数値は悪くなる。心理的な悪影響は大きいでしょう。
 健康も仕事も気を引き締めていかないといけませんね。皆様もどうかご無事でお過ごしください。


 さて、映画は毎年100本くらいは見るんですが、昨年は流石に70本ちょっとに減りました。それでも家で配信で見るのも案外快適だってことも判りました。
昨年見た映画のベスト10を書いておきたいと思います。厳しい1年でしたけど、良い映画ばっかりだったなあー。思い出すだけでも希望と勇気が湧いてきます。

10.『プレーム兄貴、王になる

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 1昨年の大傑作『バシュランギおじさんと小さな迷子』のインドの大スター、サルマン・カーンの新作。
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 いまどき『絶対善』を描くこと自体 無謀なんだと思いますが、それが描けちゃうんです。『こりゃあ、無理だろ』というストーリーでも、巧みなプロットが練りこまれていて、疑り深いボクでも納得してしまう。笑いと涙とダンス、今回も驚くべき名作です。


9.『ポルトガル、夏の終わり

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 イザベル・ユペール演じる大女優が死を前に家族たちをポルトガル景勝地に集めて語ることは、というお話。エリック・ロメールを意識した静かな作品。美しい景勝地で展開される、心に残る人生の落日。
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8.スプリングスティーンをテーマにした映画:『カセットテープ・ダイアリーズ』+『サンダーロード


 イギリスの地方都市の移民の少年をテーマにした前者、アメリカの片田舎の中年男性をテーマにした後者、ともに音楽そのものではなく、スプリングスティーンの音楽に流れる精神性をテーマにしたところが素晴らしい。ずしんと来ます。この主人公たちは日本で暮らすボクの生き写しでもあります。
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7.『ソワレ

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 小泉今日子が制作を務めた、和歌山を舞台にした若い男女二人の逃避行。画面も美しいし、紀伊半島のエキゾチックな雰囲気が魅力的です。若い役者さん二人の熱演を見ていると、若さゆえの焦燥感というものを久々に思い出しました。
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6.お下劣だけど知的なコメディ:『ブックスマート』+『グッドボーイズ』
 特に『ブックスマート』は青春映画を変えた傑作、と言われていますが、ここで描かれている多様性が当たり前になった世界は本当に素晴らしい。知的で痴的でこれが2020年代だ!ついていけない人はお気の毒様(笑)。

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5.『シカゴ7裁判
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 いわれのない罪に問われたベトナム反戦運動家7人の実話を描いたネットフリックスの作品。エディ・レッドメインら売れっ子の大スターが多数出演した大作です。政治的なテーマを取り上げながら、ちゃんとしたエンタメにもなっていて、最後は泣かしてしまう。演技、脚本、演出とお手本のような映画。 
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4.感動的な政治ドキュメンタリー:『はりぼて』、『君はなぜ総理大臣になれないのか』、『すべてをかけて:民主主義を守る戦い

なぜ君は総理大臣になれないのか

なぜ君は総理大臣になれないのか

  • 発売日: 2020/12/16
  • メディア: Prime Video
すべてをかけて:民主主義を守る戦い

すべてをかけて:民主主義を守る戦い

  • 発売日: 2020/09/18
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 富山市議会の汚職を描いた『はりぼて』と政治に理想を実現しようと徒手空拳の戦いを愚直に続ける小川淳也衆院議員を20年近く描いた『君はなぜ総理大臣になれないのか』は日本の政治のダメさ加減を描きつつも、国民に対する鏡にもなっているのがいいです。我々の社会、いや我々自身が『はりぼて』なんだと思います。どちらも長い時間をかけて作られた傑作。
『すべてをかけて』はアマゾンの配信。今回の大統領選の行方を大きく左右したジョージア州の女性運動家、ステイシー・エイブラムズの戦いを描いたもの。『はりぼて』や『君はなぜ』の進化系とでも言ったらよいでしょうか。主題歌もサイコー。
●今週 月曜に行われた小川淳也議員の舞台挨拶。最終上映日まで自分では見ないと決めていたそうです。泣いてやんの。

『なぜ君は総理大臣になれないのか』大島新監督と小川淳也議員によるポレポレ東中野上映最終日・舞台挨拶
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3.続・ボラット

 コメディでこれだけ笑ったのは久しぶり。世界中で大ヒットした前作を越えました。これだけコケにされたトランプ一派が気の毒になりますが、自業自得ですな。でも、これ文字通り演者・制作側が命を懸けて作った作品です。
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2.燃ゆる女の肖像

 画面の美しさ、脚本、演技、音楽と欠点がない。驚くべき完成度の芸術作品です。びっくりした。
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1.ジョジョ・ラビット

 昨年のアカデミー脚色賞を取った、笑いの力で差別と闘う作品。これだけ正面から闘う作品って珍しいと思う。公開されたときはコロナの事なんか考えもしなかったけど、ナチから逃れて屋根裏で何年も過ごす少女の姿はコロナ禍でSTAY HOMEを強いられた我々とも重なります。
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