特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『穏やかな秋の海』と映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』

 今日 『桜を見る会』に関する公設秘書の事情聴取を受けて、#安倍晋三の逮捕を求めます、のタグがトレンド入りしました。当然ですよね。


 安倍晋三にしろ、トランプにしろ、権力者が堂々と私利私欲を追及することが当たり前になってしまった。何かあってもシラを切れば済んでしまう世の中になってしまった。
 それでもバイデンを選んだアメリカは前途多難とは言え、まだ社会の復元力が残っていることを示しましたが、果たして日本人はどうでしょうか。


 さて、週末は海を見に、熱海へ行ってきました。感染者は増えてますが、人ごみを避けながら通勤圏内の移動ならリスクは低いと判断しました。

 税金使って感染を拡大させたGO TOキャンペーンがやっと見直されるようですが、ボクは昨年もこの時期にでかけましたし、キャンペーンが始まる前に予約しています(言い訳)。キャンペーンがあろうとなかろうと関係ありません。

 国民のニーズは経済と感染予防の両立の筈。どちらか片方ではない。それを補助金を大判ぶるまいして日本中に大移動を起こしちゃうんですから、そりゃあ感染だって広がるに決まっています。この国には旧日本軍のバンザイ突撃みたいな極論しかないのか。

 昨年来たときは人もまばらだったのですが、今年は熱海の街も人が多くて、ちょっとしたバブル状態みたいでした。こんなことやってるとキャンペーンが終わった後に観光業もおかしくなると思います。商店街や農業の補助金と一緒で、人為的に作られたブーム的な需要は提供する製品やサービスの質を低下させるからです。
 少し前にあれだけ行列ができていたタピオカの店なんか今は影も形もないじゃないですか。
●品川から熱海まで新幹線で僅か40分ですけど、乗車率4割くらい。これでも混んでる部類です。

 ボクが泊まった宿は10部屋足らずと小さいので殆ど他の客を見ることもないのですが、それでも客層は普段と違っていることは判りました。静かに過ごしたいだけの客には、はっきり言ってキャンペーンは迷惑極まりない。

 部屋に入ったら、海を見ながら本を読んでるだけ、です。どこか観光地へ出歩こうなんて考えたことすらありません。着いた日は曇っていましたが11月の割には暖かくて、ベランダで寝転ぶにはちょうど良いお天気でした。

 陽が落ちたら、ご飯を食べて、


 翌朝は早起きして夜明けの海をぼけーっと見てました。時間の変化とともに太陽の位置が変わり、海の色が変わっていくのを見るのは楽しかった。

 その後は朝日を見ながらお風呂とご飯。

 今年もあと少しです。この国は相変わらずロクでもないし、年末にかけて忙しくなるし、嫌なことばかり。

 それでも健康に気を付けて、なんとか耐え忍んで年末を迎えたい、と思います。


 と、いうことで、新宿で映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
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phantom-film.com

 舞台はIT企業の進出で地価が高騰するサンフランシスコ。旧来からの住民は家賃が高くなりすぎて、住むことが出来なくなりつある。主人公のジミーは施設育ちだが、かって祖父が建て、自分も幼少期に暮らしていたが、今は裕福な白人夫婦が住んでいるビクトリアン様式の家に深い思い入れを持っていた。ある日、観光名所となっているその家を家主が売りに出したことを知ると、ジミーは劇作家の親友モントと共に、その家で再び暮らそうとするのだが。



フロリダ・プロジェクト』などシリアスだけど趣味が良い映画ばかり作っているプロダクション’’A24’’がまたまた送り出した映画です。

 新人監督が体験した実話を元に、クラウドファウンディングで資金を集めて制作、サンダンス映画祭で監督賞を受賞しました。
 オバマ元大統領が2019年のフェイバリット映画に選んだことでも話題になっています。このブログでご紹介した『フェアウェル』や『ブックスマート』、『パラサイト』や『マリッジストーリー』も入っていますね。


●17日にはオバマ大統領の回顧録''The Promised Land''の発売に合わせて、在任当時に勇気づけられた曲のプレイリストが発表されました。彼は学生時代ヒップホップの同人誌に関わっていたそうですが、それだけでなくコルトレーンやマイルスからディラン、スプリングスティーンビヨンセまで幅広く趣味が良い選曲です。これ一つとっても、トランプとは天と地との違いです。

 映画はホームレスらしき男がゴールデンゲイトブリッジが見える道路で、何やら政治的な演説をしているところから始まります。
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 そして、何やら若い黒人が、古いけれど瀟洒な家に忍び込もうとしています。そして彼は窓枠にペンキを塗り始める。古い家の手入れをしているのです。
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 男の名前はジミー(下写真右)。左が親友の劇作家、モント。二人はいつもつるんでいます。
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 物語が展開するにつれ、彼はこの古い家に異様な思い入れを持っていることが判ります。100年以上前の様式で建てられた家ですが、彼は自分の祖父が第2次大戦後に建てたもの、と固く信じています。
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 シリコンバレーに近いサンフランシスコは物価が暴騰、世帯年収が1000万円あっても貧困層扱いだそうです。家賃も上がり、多くの人がホームレスになっている。この家も4億円以上の価格がついています。スーパーマーケットで魚を捌いているジミーにはとても手が出る価格ではありません。
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 ある日、ジミーは豪邸の白人夫婦が離婚、引っ越ししたのを知ります。家は財産分与のため売られることになり、空き家になっています。ジミーは親友の劇作家、モントと一緒に、その家に住もうとするのですが。
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 ジミーとモント、それに街にたむろする黒人の不良青年たち、白人の家主、登場人物の姿から様々なことが語られます。
 黒人差別、貧富の格差、かってはリベラルだったサンフランシスコの変化などが2時間、ゆったりとした口調で語られます。皆 行き詰っているが、人生に希望は失わない。
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 流される音楽も非常に効果的です。『みんな優しさを求めてサンフランシスコに集まってきた』とうたわれるリメイク版の『花のサンフランシスコ』はこの映画の主題歌のようです。牧歌的な歌詞が今はアイロニーとなって心を打つ。ジョニ・ミッチェルの名曲『ブルー』が流される場面では時間がとまり、空気が切り取られたかのようにハッとしました。ここはすごかった。
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Blue

Blue

  • アーティスト:Mitchell, Joni
  • 発売日: 1994/10/26
  • メディア: CD

 そして、豪邸で開かれる一人劇の場面。実にカッコいい演出です。いまどきのカッコいい演出とはこういうものか、と思いました。ここだけでも一見の価値あり。

 見ている時はジミーの家への過度な思い入れがいまいち共感できなかったのですが、あとになって思い返すとすごく印象に残る映画でした。見ている時より、見終わった後、哀しさ、諦め、温かさ、成長といった感覚が美しい映像ととも記憶に残るのです。
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 以前 ご紹介したオバマ元大統領推薦のドキュメンタリー『この行き止まりの世界で』と後味は非常によく似ています。一見 地味ですが、まるで、よくできた短編小説のような作品。まさに総合芸術です。

 余談ですが、こういう映画を好むオバマって人は本当にインテリだと思います。ローマ時代の賢帝、そしてひたすら悩み続けた男(笑)として知られる哲人皇マルクス・アウレリウスってこんな感じだったのでしょうか。そんな彼を『気取りやがって』と嫌いな人種がいるのも良くわかります。これもマルクス・アウレリウスと同じです(笑)。

 世の中の実態を冷徹にとらえようとするから、計算ずくで冷たく感じられるところもあるけれど、心の奥底には温かいものが流れている。ボクはこの映画そのものがオバマ氏への印象が重なりました。

10/9 公開『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』 本予告
 
 

『宴会がない2020年!』と『変化の兆し』、それに『お口直し2つ(笑)』

 今週は比較的暖かくて身体が楽でした。三寒四温の逆で段々寒くなっていくんでしょうけど、寒くなるのもこれくらいで許してほしい(泣)。
●今朝は猛烈な朝焼けでした。これもまた小さな『変化の兆し』。季節が変わっていきます。



 毎日 ものすごい勢いでコロナの感染者が増えています。このペースで行ったら、年内には検査キャパを超えるかもしれません。

 昨日迄の東京都の新規感染者(1週間の移動平均)は8月のピークにほぼ並びました。しかも増加のペースは8月を越えて、今までにない急激な勢いです。
 
●東京都のコロナ新規感染者数推移(1週間の移動平均)(~11/19)
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 7月末時点で東京の新規感染者は病床数から見て500人/日が限界(それを超えたらロックダウン)と言う話を新聞記者から聴いていたのですが、一昨日500人を超えました。
 昨日の会見で小池は、『現在は新規感染者600人/日までを想定して準備していたが、これからは1000人/日の体制を目指して準備する』と言ってました(今朝の朝日新聞)。8月から11月までかかって100人しかキャパを増やしてなかった。冬が来るのは判ってたのに、3か月間何してたんだよ。驚くべき無能さです。

 東京だけでなく、北海道、神奈川、静岡、全国でも過去最多の感染者数を記録しつつあります。今までで最大の感染ピークです。

 これはもちろんGO TOキャンペーンのせいですよね。感染の拡大と東京にまで適用した時期と見事に一致している。
 観光業界の苦境は判ります。補助金だけより、人にお金を使わせる乗数効果でより多くの需要を作ろう、というのも判ります。
 でも、いきなりフルスロットルを踏めばこうなるのは最初から判り切ったことです。税金使って感染を広げてどうするんだよ。

 最初から適用エリアを近郊に絞っておけば、感染の度合いは違ったはずです。東京なら適用範囲を通勤圏内の関東6県くらいまでに絞っておけば良かったのは誰にでもわかります。ここまで政府が頑ななのは、やはりこういうことかと疑ってしまう。

 これでも、この国の政府は、GO TOイートは4人以上は無し、静かなマスク会食をしろ、みたいな、くだらない対策しか言わない(笑)。『静かなマスク会食』って、そりゃあそうだろうけど、総理大臣のいう事じゃない。子供かよ!

感染者が激増しても、こんなことしか言えない総理大臣なんて、誰がどうみても無能です。自分がまともな対策を打ち出せないのを国民に責任転嫁しているだけ。
 これだったら犬やパンダに総理大臣をやってもらった方が遥かにマシでしょう。給与も餌代だけで済むし。


 都知事も似たり寄ったり。

 国民の方もGO TO何とかがあるから出かけようって発想がさもしい。セコい


 ただし、個人的には今年 忘年会、新年会が全滅したのは本当に嬉しいです。
 普段から宴会嫌いを公言し、極力 出席を断っているボクでさえ、行事としての忘年会が毎年3~4回、新年会も1回は必ず有る。その度にユーウツでたまりませんでした。今年はゼロ!

 寒くなってきて体調管理も難しくなってくるのに、なんで宴会ごときにお金や体力、時間を費やさなくてはならないのか。まずい、つまらない、太る、翌日眠い。何より仕事が終わってまで自由を拘束されるのが嫌です北朝鮮大日本帝国かって。

 ホテルや居酒屋は頭を抱えているそうですが、宴会やパーティーって本当に野蛮な風習だと思います。まして、今年 忘年会やろうとかマジで頭おかしいんじゃないのか
 とにかくボクは今まで宴会やパーティーで1度たりとも、楽しかったとか、ためになったとかはありません。ただただ苦痛だし、そのあとも自己嫌悪に襲われる
●流石に9割の企業が忘年会を実施しないというアンケートがありましたが、当たり前じゃん(笑)。東京でも1割がやるらしいって言うのが信じられない。


 今冬 従業員のボーナスゼロのANAの社長は給与ゼロ、と聞きました。大変な世の中ですが、少しくらいは良いことがあってもいいでしょう。

2020年は宴会がない!

 なんともすばらしい響きです(笑)。他にも、ボクは今年は職場で年賀状は一切出さない、と宣言しました。電車も極力乗らない。現実には他人と関わらなくては生活の資は稼げないけど、最低限にさせていただきたい(笑)。害悪は極力減らしたいんです。他人と関わるから厄介事がやってくるのですから。

 TVでは相変わらずオリンピックとか初詣(アホか!)とかくだらないことを言ってますけど、ボクはただただ、静かで平和な暮らしがしたいです。そのためには極力 人と関わらない。これがソーシャル・ディスタンスですよ(笑)。

●お口直し:六本木でピスタチオのアイスとカッサータ(クリームチーズを冷やし固めたシチリアのお菓子)。ピスタチオは本当に豆の味がしたのには感心しました。普段は砂糖なんか使いませんが、こうやって粉砂糖がかかっていると、本当に美味しく見える!(笑)
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 さて、トランプはもはや頭が狂いつつあるのか、今週こんなニュースにはびっくりしました。

 日米ともにまだ、不正選挙だと言う陰謀論を信じ込んだアホが若干いるようですが(笑)、アメリカの政権交代は現実のものになりつつあります。

 歴史を振り返ると、1993年に共和党から民主党クリントン政権が誕生すると非自民の細川内閣が誕生し、2000年に共和党ブッシュ政権が誕生すると自民党非主流の小泉内閣2009年にオバマ政権が誕生すると非自民の民主党政権が誕生しています。

 現象論として、現実にアメリカの政権交代は日本に大きな変化をもたらしています。政治にしろ、世論にしろ、それだけ影響が大きいんです。属国ですから(笑)。
 最近もトランプを弁護するバカウヨがいっぱい湧いて出てきているのはその一例でしょう。
 

 今の日本を見ていると、このまま奈落の底へ落ちていくしかないようにしか思えません。菅は無理やりオリンピックをやって世論を盛り上げた後に解散総選挙を狙っている、という説も飛び交っていますが、客観的にはコロナ対策にしても、経済にしても、良い方向は見えない。野党にも、くだらないデマに右往左往する国民にも期待できません。


 どこかに変化の兆しはないでしょうか?

 ある、と思います。

 先日の大阪府廃止投票には女性や70歳以上の高年齢層だけでなく、10~20代が反対しました。


70歳以上・女性に反対多く…都構想住民投票出口調査 : ニュース : 関西発 : 地域 : ニュース : 読売新聞オンライン


 今週発表された『選択的夫婦別姓に関する調査』では全体の7割が選択的別姓を支持しました。その中でも女性と10~20代は選択的別姓を支持する比率が高かった
www3.nhk.or.jp

 こちらが元ネタです。全体では70.6%が選択的夫婦別姓に賛成、一方で反対は14.4%という結果になっています。
chinjyo-action.com

 年代別に見ると、賛成は20代が79%、30代が77%、40代が70%、50代が67%。どの年代でも賛成が多いですが、若い年代ほど賛成率が高い。逆に40~50代が低い。年寄り程 選択的夫婦別姓に抵抗している。ボケが始まっているのでしょう。

 しかも反対が多いのは男。これは先日の大阪府廃止投票の結果と一致します。団塊ジュニア周辺のこの年代の男は保守的というか、知能が低いと言うか、ま、ダメなんでしょう(笑)。

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 それでも女性でも高市早苗山谷えり子片山さつき杉田水脈のような時代錯誤のゴミもいますから女性だから良いというわけでもありません。こういう連中はオヤジ社会に媚びを売って、のし上がってきた、ジェンダーにおける『名誉白人』なんでしょう。つまり人間のクズ。
 結局 性別ではなく、旧態依然としたオヤジ社会の価値観がダメなんだよなあ。
www.sankei.com


 今回のバイデンの勝利は若い人の力が大きく貢献しました。いや、出口調査を見れば当選は若い人の力、と言っても良い。しかも、今後彼らの影響力はますます強くなる。
 グレタさんに代表される、所謂ミレニアル世代と呼ばれる10代、20代の若い人は世界的にリベラルな傾向が強いと言われています。日本だけは違うのかと思ってましたが、日本も若い人はリベラルな面があるのかもしれません。

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【図解】2020年米大統領選の結果まとめ 写真13枚 国際ニュース:AFPBB News

 そうだとすると、変化の兆しは見えてくる。
 これから40~50代のバカ男連中がくたばれば(死ななくても引退していけば)、日本も多少は希望を持てるかもしれません。これから日本経済が沈没していく中で、今 社会や経済を動かしている40~50代のバカ男連中も一緒に沈んでしまえばいい(笑)。

 つまり、女性や若い人がもっと活躍できるような社会を目指していく。起業したり、既存の会社で力を握ったり、政治に進出したり、いや、若い年代の投票率が高まるだけでもだいぶ違うでしょう。政策も若い人のためのものをより重点的に、考えていかなけれならないでしょうね。

 そろそろボクもそうですが、年長の世代だって、女性や若い人が活躍するのを手助けすることはできる世の中を変えるには下手なイデオロギーや政策より、その方が遥かに効果的かもしれません。
●お口直し2.晩秋にぴったりの『リンゴのミッレ・フォーリエ』(1000枚の葉っぱ)。リンゴとバニラアイスの上に落ち葉を模したパイ皮を散らしています。パリパリの食感も落ち葉みたいでお洒落。しかも冷凍パイシートを使えば、家でもできますね。
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 ということで、感染者が急増している今、今週も金曜官邸前抗議もオンラインの予定でしたが、天候予報も雨ということで中止になりました。

『晩秋のキノコ狩り』(と社民党の解体)、映画『スパイの妻』

 先週は本当に寒くて、季節が一気に進んだ感じです。
 駒沢公園の並木もすっかり色づきました。今週は少し寒さは和らぐようですが、冬の足音はもうすぐそこまで来ています。自分の人生も冬、かなあ(笑)。

 
 ということで、近所のレストランへ晩秋のキノコ狩りへ行ってきました。徒歩圏内で暮らしていると楽でいいな(笑)。

 これは『ハタととび色舞茸』。ハタって美味しい魚ですよね。クエやフグと同じ種類で、あのプリプリした食感です。ハタ系は魚の中で一番好きかも。とび色舞茸は黒舞茸と白舞茸の中間、黒の香りと食感、白の色落ちしない特徴を併せ持つ、山形の山の中で自生する菌を繁殖させたものだそうです。

 これは『自家製ソーセージ(サルシッチャ)と香茸のパスタ』。香茸は岩手の山の中で捕れたのを干したもの。ポルチーニの様に味と香りが濃厚です。
 

 こちらは白トリュフ。コロナの今年はヨーロッパは外食どころではありません。だから価格は例年より少し安いそうです。それでも価格はキロ✖️円(笑)だって。なんなんだよ(笑)。
 

 手打ちのパスタに現地産のバターを絡め、その上に削ったものをかけただけで立派な料理になります。トリュフと同じ産地のワインがお供です。ボクはお酒はあまり飲めないのでよくわかりませんが、湿った土の香りはワインもキノコも共通している気がします。それだけでもう、お腹いっぱい(笑)。


 やっと 社民党が解体、大部分が立憲民主との合流の道を歩むことになりました。
 先日のアメリカ大統領選は投票率は67%にも跳ね上がりました。勢力が伯仲してこそ、国民の関心も高まります。その為には自民党に対抗出来る野党がどうしても必要です。

 生きているのか死んでいるのか分からない、ゾンビ化した社民党の立民への合流は余りにも時間がかかり過ぎましたけど、それでも実現したのはよかったと思います。大分など社民党の強い地方組織は合流組だそうですし。
www3.nhk.or.jp

 社民党はそのままでは存続できないのは誰にだってわかることですが、この期に及んで分裂するというのは意外でした。社民党の状態はこういうことなんだろうなあ。

 合流に反対する福島瑞穂らの旧日本軍並みの現実逃避に、かって辻元氏が嫌気がさしたのはわかります。社会民主主義という方向性は兎も角、福島氏は組織のリーダーとしては本当に無能かつ無責任だと思います。

 かって沖縄の基地問題民主党との連立政権から離脱したときも反対するだけで福島氏は何も解決策を示さなかったし、何もしなかった。ボクはあれで社民党に見切りを付けました。何もしない。口だけ。その時も今回も方向性すら示さない。楽でいいなあ(笑)。



 と、いうことで、銀座で映画『スパイの妻
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wos.bitters.co.jp

舞台は1940年。神戸で防衛機会社を経営する夫(高橋一生)は映画を撮ることが趣味だった。満州へ渡った彼は731部隊の秘密を知ってしまう。自分の良心に従い秘密を国際的に発表しようとする夫を、妻(青井優)は何とか支えようとするが。
●映画館に貼ってあった映画紹介のイラスト

 

 世界3大映画祭の一つ、ベルリン映画祭で監督賞を取った話題の作品。黒沢監督の映画は03年の『アカルイミライ』は本当に大好きなので、ホラー以外は見に行くことにしています。

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 と言っても、この人の映画、ホラーが多い(笑)。だから半分以上は見ていないという事になります。それでもキョンキョンが出た『トウキョウソナタ』も深津絵里の『岸辺の旅』もとてもよかった。長沢まさみの『散歩する侵略者』や前田敦子の『旅の終わり、世界の始まり』はまあまあ、だったかな。

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 この人の映画は、現代社会を風刺しながらも常に不穏な雰囲気が漂っていて、どんな作品にも現状に対する結構強烈なアンチテーゼをボクは感じます。
 黒沢監督の芸大での教え子が脚本を書いた、と言う今作はどうでしょうか。

蒼井優高橋一生が神戸の貿易商夫婦を演じています。

 まず映画で描かれた1940年の神戸は独特な雰囲気が有ります。どちらも現実には見たことありませんが、当時の上海もこんな感じだったんでしょうか。国際性と土着性が入り混じってる。

 ハイカラな神戸の街にも戦争が近づいて息が詰まるような雰囲気は、黒沢清が得意な不穏な雰囲気描写とすごくマッチしている。神戸の異人館や衣装、撮影も重厚で、すっごく良いです。ちなみに製作はNHKということで、街のセットは『いだてん』のものをそのまま使い、予算不足を補ったそうです。

 また神戸の裕福な貿易商の妻を演じる青井優の存在感は素晴らしいです。感情がコロコロ変わる、理屈では割り切れない不条理なところもある役ですが、彼女の存在感で押し切っている。かといって佇まいは静かで、きゃんきゃん言わないのも良い。夫役の高橋一生という人は良くわからないけど、何となくインチキ臭いところが役どころにあっているかな。

 夫妻は裕福ということもありますが、常にクラシックな洋装です。世の中がきな臭くなるにつれ、ハイカラな神戸にも次第に国民服や和装、軍服を着た人が増えてくる。お話が進むにつれ、二人は街の風景から徐々に浮いてくる。ここも今と通じるなあと思って観ていました。自粛警察なんか、まさにそうじゃないですか。

 
 夫婦は平穏に暮らしていました。夫は妻に心の奥底を見せないところはあるけれど、仲睦まじいカップルです。ところが夫は満州へ出張して以来、何かを隠しているかのようになった。妻は夫に疑いを抱くようになります。外に愛人でもいるのではないか?

 ここからお話は盛り上がります。実は夫は満州731部隊の人体実験を見てしまったのです。夫はいかにも貿易商らしく、この秘密を世界のマスコミに暴露しようとします。だが憲兵隊はかねてから海外と交流がある夫を見張っていました。憲兵隊は盗聴も尾行は勿論、脅迫も拷問も厭いません。

 政治的な話ではない、と監督は言ってましたが、政治サスペンス色は非常に濃厚です。演出も巧みだし、731部隊の記録フィルムもやけにリアルです。本物かも。間違いなく、黒沢監督は狙ってます(笑)。今作ではそれに加えて、画面の光と影のコントラストが素晴らしい。雰囲気が重厚です。

 画面からは登場人物たちが段々と真綿で首を絞められてくるような息苦しさが伝わってきます。やっぱり黒沢監督は今に通じることを描いています。

 戦時下、というより、今に通じる日本の全体主義的な『空気』の下で個人の良心が追い詰められていく。やっぱり監督は不穏な雰囲気つくりは得意なんでしょう。
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 話題の東出昌大は初めて見ましたが、妖しい風貌が冷酷な憲兵隊長という役柄とマッチしていてすごく良かったです。ちょっと鈴木清順の映画の登場人物みたいでしたね。色気があると同時に、組織に疑問を持たず盲従する人間がこんなに不気味なものなのか。
東出昌大という人、ハンサムな分だけ不気味で、組織の歯車になりきる憲兵隊長とマッチしてました。この人、スキャンダルで消えてしまうのは勿体ない。

 一方、お話はあまり好きじゃない、です。というか、ボクにはいまいち理解できなかったです。黒沢監督はドロドロした人間の感情を撮ったのは初めてだそうですが、そういう人情噺ってボクは嫌いなんです(笑)。

 夫のためなら法律も良心も常識も関係ない。殺人すら厭わない、という妻の発想は判るけど、いまいち理解できません。一途過ぎる妻に真正面から向き合わない夫の方も発想は判るけど、いまいち理解できない。

 ただし、映画はそれを蒼井優の演技力で押し切ってしまう(笑)。

 最後まで妻と向き合わない夫、最後まで夫を追い続ける妻、お話としては判るけど、人間関係なんて、相手に向き合うとか向き合わないとかどちらかに決めつけることなんかできないんじゃないでしょうか。それこそ、ファンタジーだよな。
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 と、いうことで雰囲気や映像はすごく良かったと思います。4K撮影の時代劇というのも画面が綺麗だけど当時の雰囲気が出ていて素晴らしかった。おなじセット・撮影スタッフの『いだてん』のもうワンランク上を言っています。

 ただ夫婦愛みたいな人情噺はボクは興味ないんで(笑)。でも、蒼井優の存在感も相まって、見る価値がある作品になっていると思います。集団狂気に陥りがちな日本では自ら狂わなければ生きていけない。面白かったですよ。

『スパイの妻<劇場版>』90秒予告編