特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『投票抑圧ってなあに?』(映画『すべてをかけて:民主主義を守る戦い』)と『柿の糠漬けと今年一番の熟成肉』

 今週はめっきり、寒くなりました。
 最近は勤務時間中で見ることができない夕焼けより、通勤途上に見る朝焼けに親しみを感じます。


 コロナの感染者がまた増加しています。昨日迄の東京都のコロナ感染者(1週間の移動平均↓を見ると、今は結構危機的な状況になりつつあることが判ります。

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 この病気は急激な上昇カーブ、つまり感染力が恐ろしいことが改めて判ります。寒くなるにつれて、GO TOトラベルの成果は着実に出てきている(笑)。それでも政府は『注意しましょう』だけ??

 尚且つ、これです↓。バカ政府は本気で国民を守ろうとしてるんでしょうか?だけどコロナで死ぬのはお前らジジイが先、だからな。


 一方 今週 臨床試験中の米ファイザー社のコロナ・ワクチンが有望、という事が報じられました。世界中で株も上がりましたよね。ところが同社の会長はワクチンが報道された日に自分で持っていた自社株を6億円で売ったそうです。ぼろ儲けです。


edition.cnn.com

 他国のこととは言え、日本ではワクチンのことは報じられても、こういうことまでは報じられません。あちらではCNNでもNBCでも大手ネットワークでちゃんと報じられています。
 ストックオプションという報酬制度、法制度、マスコミなど、こういうことを許してしまう、世の中の仕組みがこのままでいいのか。一人一人がよく考えなければいけないんじゃないでしょうか。



 アメリカ大統領選は大騒ぎでしたけど、日本でもバカが炸裂という感じでした。
 フジテレビ解説委員の平井文夫や木村太郎、それに大勢のバカウヨがネットでデマや希望的観測を飛ばして、トランプの勝利、とやってました。今でもやってる。

 フジテレビの社是は『商業右翼』ですが(これ、マジ)木村太郎なんて、『木村は極論過ぎて放送法に引っかかるので、フジの意見ではなく、個人の見解としてしか放送できない』と社内で言われています(フジ社員のボクの友人の話)。マトモじゃないんです。


 今回の大統領選挙では黒人が多く住む地域の投票所が廃止されたリ、有権者登録が減らされたりしました。銃を持ったトランプ支持者が投票所にたむろしていた例もあったようですね。投票所が減らされた結果、投票するのに何時間も並んでいる人たちは日本のニュースでもご覧になった方が多いと思います。
www3.nhk.or.jp


 あるのかないのか判らない不正選挙どころじゃないでしょう(笑)。

 黒人や貧困層などへの投票妨害はブッシュ時代にもありましたが、近年一段と盛んになっています。このような投票妨害はアメリカでは『投票抑圧』(Voter Supression)と呼ばれています。

www.jiji.com



 今回の選挙で改めて注目された人が居ます。ジョージア州選出、民主党の元下院議員のステイシー・エイブラムスという女性です。ボクは尊敬するロバート・ライシュ先生(クリントン政権の労働長官、UCLAバークレーの名誉教授)のtweetで知りました。

 2年前 共和党の牙城のジョージア州の知事選で共和党候補に5万票差まで迫りながら、不条理な『投票抑圧』で敗れたことで有名になった人です。
ジョージア州の再集計もアホがデマを飛ばしていますが、差が0.5%以下の場合は集計することが前もって決まっているからで、トランプの言い分を認めたわけではありません。共和党州知事が再集計で不正をする可能性はないわけではありませんが。

 『投票抑圧』と戦った彼女のことを描いたドキュメンタリーを見ました。アマゾンが制作して、アマゾンプライムで選挙前から無料配信しています。そういうところはアマゾン、はっきり言って偉い!
すべてをかけて:民主主義を守る戦い』(All In)
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www.amazon.co.jp

 保守派に支配された米最高裁が2013年に国のIDカードを持ってないなどの理由で有権者登録を州が取り消すことを合憲、と判断して以来、共和党の州を中心に登録を取り消していく動きが活発化しました。また投票所も減らされていった。2013年以降 減らされた投票所は全米で1700か所。多くは黒人などマイノリティーが住む地域にあるものだったそうです。

 共和党州知事候補(現知事)は元々州務長官で選挙管理委員会を長年取り仕切っていました。で、黒人のいる地域の有権者登録をどんどん取り消していった。
 今回の選挙でのジョージア州の投票数は約500万票ですが、2年前に共和党はなんと140万人の有権者登録を取り消したそうです。そのうちの8割が黒人と言われています。それにもめげずステイシー・エイブラムズ州知事選で5万票まで迫った。
 
 知事選後、ステイシーたちは挫けず、地域を地道に回って黒人たちの選挙登録を増やしていきました。今回の選挙ではなんと80万人の登録を行ったそうです。

 それが今回のジョージア州の結果に反映されている。民主党が勝ったのは約30年ぶりです。まさに民主主義の勝利です。マジで感動しました。


ALL IN: The Fight For Democracy – Official Trailer | Prime Video


 これって日本に関係ないことでしょうか?
 確かにアメリカにはいまだに正常な投票すら難しい実態があるのは驚きです。建国当初から男性や納税額、人種などの理由で投票を抑圧してきた悪い意味での伝統があるのでしょう。
 その一方 女性や黒人の投票権を取り戻そうと粘り強く戦う人たちもいる。公民権運動なんか60年以上続いている。

 日本では投票しようと思えばできる。なのに半数の人が自ら投票しない日本には自主的な投票抑圧があるんです。アメリカのものより、もっと悪いかもしれない。
 かって麻生太郎森喜朗は『あまり選挙に行かないでくれればいいのに』って言ってましたよね。そうなれば組織票・宗教票を持ってる連中が強くなるからです。

 野党が頼りないとか、入れたい候補がいないとか、しょうもない言い訳をしても、政治家にプレッシャーを与えなければ現実は何も変わりません。
 アホな国民自ら連中の思う通りになっているんです。

 日本が落ち目になるのは当然です。そんなにアホで無責任な人間が世の中の半分もいれば、我々の生活が良くなっていくことなんかあり得ないですよね。
●グラミーにノミネートされたJanelle Monáeが歌う主題歌『TURNTABLES』もマジ、カッコいい!怒りとメッセージがありながらも、お洒落!
www.youtube.com


 最後は お口直し(笑)。近所のレストランから『今年一番の熟成肉が入った』と言う話を聞きました。
 ここは熟成肉の草分けの肉問屋と仲良しで『今年最高の出来の肉が出来たので、おたくの店で使いませんか』と申入れがあったそうです。そう言われるとこっちだって、味見しに行かないわけにはいきません(笑)。

 最初の写真は前菜の24か月熟成の生ハムと柿の糠漬け。柿ってジンに漬けるととろりと甘くなって美味しいですけど、同じように糠漬けも凝縮された味です。あま~い。糠の香りと相まって、長期熟成で味が濃いめの生ハムとマッチしています。
 柿の糠漬けは自分でもやってみようと思いました。生ハムじゃなくても、ブルーチーズや塩辛など辛いものと合わせたら美味しいんじゃないかな。

 こちらはメインの熟成肉。普通は3週間くらい熟成させるそうですが、こちらは但馬牛(神戸牛)を4か月熟成させたもの。ボクも4か月熟成なんて初めてです。
 数年前の熟成肉ブームの時は3週間どころか、熟成が浅いのではないかと思える肉を出している店も多かったですが、和牛が余っていると言う今年はそうでもないのでしょう。部位はモモの中央部、シンシン(芯々)。
 周りの野菜は半分は山形の契約農園から、もう半分はシェフ氏が借りている農園で自分で作っているそうです。今 自分で野菜を作るシェフ、多いです。こういう肉には味が濃い野菜でないと合わないですからね。

 普通の熟成肉はナッツの香りがしますけど、これはそうじゃない。肉がプリプリ膨らんでいます。普通の熟成肉よりサシが入っていて甘い。噛むと肉汁がこぼれて、瑞々しい味がします。干して瑞々しくなるなんて面白かったです。
●ナイフを入れても肉汁が一滴も零れないのにも注目。


 と、いうことで、今日の金曜官邸前抗議は感染者の拡大でオンラインになりました。

バイデン氏の勝利演説(We take care of own)と映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ 』

 日曜日の朝はバイデン氏の勝利宣言の中継を見ていました。
www.tokyo-np.co.jp

 とにかくNHKを含めて、日本の報道は酷かった。
 マスコミは大接戦だったと言ってますが、今回の選挙はほぼ世論調査通りの結果です。事前に予想された接戦州が予想通り接戦になり、予想通りバイデンが勝ちました。
 むしろ共和党の牙城のアリゾナジョージアをバイデンが取ったのが意外だっただけです。マケイン上院議員の地元だったアリゾナなんか、まさに『死せるマケイン、トランプを走らす』じゃないでしょうか。実際に勝負を決めたのはペンシルベニアにしても、トランプの致命傷になったのはアリゾナです。

gendai.ismedia.jp


 常識的に考えても何万票も不正なんかできるわけがないのに(それができるのなら民主党が苦戦した議会選だって不正があったはず)、日本のTVは、郵便投票は不正というトランプの主張をまともに取り上げていたし(木村太郎なんかTVに出すほうがおかしい)、IFにIFを重ねた不確かな裁判の話(普通に考えてあるわけがない)を延々やっている。

●7日、トランプはペンシルべニアの高級ホテル、フォーシーズンズで訴訟を始める大会見を開くとtweet。しかし、会見が開かれたのは同名の造園業者の駐車場でした。アダルトショップと火葬場が隣にある植木屋の駐車場での記者会見の最中、バイデン勝利の知らせが入ってきました(笑)。

slate.com

 勝利宣言の中継では、バイデンは聞き覚えのある曲と共に登場してきました。ブルース・スプリングスティーン『We take care of own』です。

Bruce Springsteen - We Take Care of Our Own (Official Video)

 バイデンの演説の内容は『俺たちは自分たちで癒しあおう。自分たちの力で支えあおう』という歌詞そのままやんけ(笑)。元々はブッシュがハリケーン・アイリーンの被災者を放置したことに抗議した歌です。星条旗なんか関係ない、つまり『政府なんかあてにならない』って歌でもありますから、新大統領の登場に使われるのは違和感もありましたが(笑)。

www.nickiswift.com
目はどこにある、見る意志のある目は
慈悲に溢れた心はどこにある
俺を見捨てなかった愛はどこにある
俺の手、俺の魂を解放してくれる仕事はどこにある
俺の心を支配する精神はどこにある
アメリカの夢の約束は今この国のどこにある
星条旗がどこで翻っていようと
俺たちは自分たちで支え合う

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 ただ、力強い歌詞とは異なり、現実は厳しいと思います。
 バイデン氏が演説で国民の融和を訴えたのは正しい。それに感動的でした。しかしトランプが7000万票も取ったことは深刻な事態です。自分のことしか考えない、人種差別主義者の候補者に7000万人も投票した。人種だけの問題ではなく、貧富の差、それに伴う文化や教育の差がどんどん広がっています。産業だって、正直言ってアメリカの石炭産業や鉄鋼産業なんてどうにもならないでしょう(日本も一緒)。
 共和党よりはマシにしても、民主党も必ずしも若い人や産業構造の転換に苦しむ人たちに充分 手を差し伸べて来なかった。民主党主流派のバイデン氏にそれができるかどうか。左派のサンダース氏が労働長官、ウォ―レン氏などが財務長官という声も挙がっていますが、それが実現してもかなり難しい話です。

 それでも昨日はカマラ・ハリス氏の演説だけでも成果がありました。メアリー・J・プライジの曲に載って登場した彼女が言っていたように、『私は副大統領となる最初の女性かもしれません。しかし、私で最後ではありません。』と演説するのを世界中の大勢の少女が見ていたはずです。エリートとは言え、黒人でアジア系の女性が副大統領になるのを現実に見たわけです。

www.elle.com

 そしてバイデンの奥さんもファーストレディとして初めて、自分の職業を続けるかもしれない。そうなれば前代未聞です。やっぱり世の中は少しずつ変化しつつある。

 バイデンもハリスも中道派、世の中がガラッと変わるわけではないと思います。トランプのように自ら世の中を壊していくのは止まるかも知れませんが、そう簡単には変わりません。
 オバマ氏ですらアメリカの分断を結びつけることは出来ませんでした。賢くてスマートなオバマ氏より、田舎のじいさんみたいなバイデン氏の方が分断を癒すのには良いかもしれませんが、バイデン自身が言っているように↓、彼が率いたのは左から中道までの幅広い連合体です。そうでなければ勝てなかった。
 妥協すべき点は妥協して、お互いが支えあわなければならない。

 そもそも世の中を一遍に変えるのなんてムリだし、副作用を考えれば一遍に変えてもいけない。でも少しずつ変えていく不断の努力が必要なのでしょう。
 今回 アメリカは自らを変える力があることを示しました日本はどうでしょうか


 ということで、銀座で映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
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jose-mujica.com

TV番組でウルグアイのムヒカ大統領に突撃取材した田部井監督は彼の人柄に惹かれてしまい、その後 何回もウルグアイを訪れるとともに、来日したムヒカ氏に密着取材し、彼の人柄を探っていく
●映画館に貼ってあった映画紹介のイラスト

 先日 高齢で政界からの引退を表明したムヒカ氏に関するドキュメンタリーです。
 ウルグアイの前大統領、ムヒカ氏については、今年の春 エミール・クストリッツア監督の素晴らしいドキュメンタリーを見たので、日本のTV監督が作ったこの作品は期待していませんでした。プロデューサーが『きみは何故総理大臣になれないのか』の大島新氏じゃなかったらスルーしてたかも。ですが、存外面白かった。
●本当に良い顔してる。内面は今でも激しい人ですが。
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 映画は田部井監督が生まれたばかりの自分の子供にホセと名付けたところから始まります。それほど彼は傾倒しているらしい。次にムヒカ氏が一躍 有名になった国連でのスピーチです。それ自体はいいんだけど、あまりにも有名すぎるので映画にするか~と思いました。安藤サクラの日本語ナレーションだし(笑)。
●農園で飼っている3本足の犬と一緒に。
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 しかし田部井監督がムヒカ氏とその周辺と会話をしていくと面白くなります。
 彼の書斎にはゲバラの胸像が飾ってあるし、彼はゲバラ日記の筆跡そのままの復刻版を宝物にしています。実際ゲバラに遭ったこともあるそうですが、心酔しているという感じでもないらしい。
 今に至るまで彼の基礎となった左翼ゲリラ時代の話もかなり詳しく出てくるし、武装闘争と富の再配分だけでは世の中を変えることはできない、という心境になった12年の辛い獄中生活(拷問付き)も語られる。
 日本の映画だとそういう点はスルーかと想像していたのですが、誠実な作りです。


 見ず知らずの日本人TV監督に非常に丁寧に対応するムヒカ氏。そういう人格なのだとしても、親切すぎる。その理由はムヒカ氏の隣人で、彼に菊作りを教えた日系人たちへのインタビューが入ってくると判りました。

 ムヒカ氏は親を亡くして貧しさにあえぐ中、日系人たちから菊などの花作りを教わって生計を立てていたそうです。その際、彼は勤勉で創意工夫に励む日系人たちに大きな刺激を受けたらしい。

 彼はかなり日本のことも勉強しているし、考えている。特に明治維新は興味があるそうです。長年アメリカの大資本にプランテーション状態に置かれ、工業発展が遅れたラテンアメリカの人らしい視点です。
 彼によると、日本が近代化で西欧の植民地主義を跳ね返したのは高く評価しているが、その代償として日本人は元来の自分たちの歴史から遠く離れすぎてしまった、と考えているらしい。
 この映画の主題が見えてきました。ムヒカ氏から見た日本、これは興味深い。

 後半は大統領退任後の日本訪問がクライマックスになります。退任後、世界中から招きを受けたムヒカ氏ですが、日本訪問を選びます。彼曰く、テクノロジーと歴史がある日本を見ることは、自分たちの未来を考えるうえでヒントになると思ったから、だそうです。

 ともすれば、我々は彼の言葉をただありがたがりがち、教えを請おうとしてしまいますが、彼は80を過ぎても自ら学んで未来を考えようとしているらしい。
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 銀座の街で広告を見て、『日本人は美しいのに洋服のモデルはなぜ西欧人なんだ?』というムヒカ氏。
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 ロボットの受付を見て無言のまま複雑そうな顔をするムヒカ氏。原爆資料館を見学してショックを受けるムヒカ氏。
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 『若い人と話したい』という彼の希望で開かれた東京外語大での講演会は印象的でした。
www.youtube.com

 普段のムヒカ氏は物静かですが、講演はまるで演説会のようでした。言葉も通じない、孫のような年代の子たちに本当に真剣に、情熱的に語り続けます。
『大統領になっても大したことは出来なかった。だから今も戦い続けている。自分の家の前の舗装も直している』

『人間の価値は富でも権力でもない』

『倒れても何度でもやり直すことが出来るかだ』


 ムヒカ氏にとって日本人の自主的な規律は不思議だったようです。ウルグアイのTVのインタビューに答えてこう言っています。
 1日に200万人も乗り降りする駅がある。それを日本人たちは自ら規律を守って乗り降りしている。私には信じられない。人間にとって何が幸せかはそれぞれだが、私はそんな日本に生まれなくてよかった。

●浅草にて。良い意味でそこいらのおっさんみたい(笑)
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 この映画はムヒカ氏というより、ムヒカ氏を通して日本人自らを考えるような映画でした。ボク自身は日本の治安の良さ、(まだ)戦争はしていない、経済はある程度発展している、などの点は日本に生まれてきたことは良かったと思っています。これからどんどん落ち目になっていくにしても、です。

 ただ、ムヒカ氏が言うように、日本人はあまり自由だと思いません。例えば、中国の人。共産党の悪口以外は良くも悪くもやりたい放題にすら見える。共産党の悪口以外、中国の人たちの方が精神的に遥かに自由に見える。

 これは自らの精神の問題なのだと思います。We take care of ownという自律の精神は日本人にはあまりない、と思う。意識的にでも、無意識にでも、集団の規範に何も考えずに従ってしまう。ムヒカ氏はそれを指摘していた。富のために我々は何を犠牲にしているのか。
 『本当に貧しいのは、足るを知らないということだ』というムヒカ氏の言葉は日本人にこそ、突き刺さります。


映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』予告編

『アメリカ大統領選』と『炭のアイスクリーム』、『#学問の自由を守れ1103行動』、それから『1106再稼働反対!首相官邸前抗議』

 アメリカの大統領選、やきもきします。
 もうすぐ結果が出るかもしれませんが、CNNとロイターが気になって仕事になんない(笑)。はっきり言って大阪の住民投票より、下手すれば東京の知事選より、アメリカの大統領選の方がボクには影響がある。それはこういうことだからです。

 例えば近年 日本に差別的な風潮やフェイクニュースが広まったのもトランプの影響が大きいでしょう。

 日本でもウィスコンシンで急に票が増えたみたいなデマを拡散している奴、大勢いました。キチガイに刃物、バカにTWITTERだよな。

 現職の国会議員でもこんなバカtweetを見かけました。この山下という男は東大卒の元外務官僚、大使館で大統領選の分析担当だったそうです。


 今回の選挙は今のところ、ほぼ予測通りに進んでいます。思ったより差がつかなかったとは思いますが、誤差の範囲でしょう。
 サプライズと言えば、保守王国のアリゾナ民主党が優勢なことや、


 同じくジョージアでも大接戦を演じていることです。これは流石に驚きました。

 その陰には文字通り命がけでオバマケアを守った共和党上院議員の故マケイン『オバマケアを守った男』と映画『歓びのトスカーナ』 - 特別な1日、黒人有権者の掘り起こしに励んだジョージア州知事候補のエイブラムスなどの感動的な話があります。そういう人たちの積み重ねで、今回の結果がある。やっぱり小さな力は無駄じゃないんです。


 少なくとも今回の選挙でトランプが優勢になったことは一度もない。都会と田舎の開票状況を速報で見てれば素人でも判る。それすら元外務官僚、しかも大統領選の元分析担当が理解できない訳です。やっぱり、政治家だけでなく官僚の知的劣化もやばいらしい。

 獲得した選挙人の数の推移を見ればわかるように、今回の選挙でトランプは常に劣勢です。朝日新聞リテラシーが低すぎ。
www.asahi.com

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  TBSですらこれだから↓、他の民放は推して知るべし。

 NHKなんか日本時間朝5時には判っていたウィスコンシンやミシガンが夜7時、9時のニュースのトップだったし、残りの時間はどうなるかすら判らない訴訟の話やトランプ支持者の陰謀論を延々と垂れ流してた。日本のマスコミは超無能としか言いようがないのが今回の大統領選で改めてわかりました。


 官僚もバカ、大手マスコミもマヌケ。これは↓10月末のニュースですが、だから政治家のほうもこうなる(笑)。
www.tokyo-np.co.jp

 今に始まったことではありませんが、きっこみたいな一部の反安倍もこんなバカになり下がっています。

 やっぱりこの国はバカで貧乏な衰退国家になりつつあります(笑)。それも急激なスピードで、です。


 お口休めは この前、食べた『炭のアイス
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 神宮前にミルクや砂糖、安定剤や膨張剤を使わないオーガニックのアイスクリーム屋が出来たので、味見する機会を狙ってました。開店2年くらい経ったのかな。
kippyscococream.com

 黒い方は『炭のアイス』。ココナッツの殻を炭のパウダーにして、ココナッツミルクと蜂蜜でアイスにしたもの。デトックスの効果があるそうです。
 もう一つはシナモンのアイス。と言っても同じくココナッツミルクのアイスにシナモンを入れ、砂糖の代わりにデーツで甘みを付けたビーガンOKのモノです。どちらも200キロカロリーくらいと低カロリー。結構おいしいです。
 度々ご紹介している、牧場のミルクや新鮮なフルーツを使ったソフトクリーム屋、レティエより美味しいかというと判らないけれど、普通のアイスクリームより遥かに美味しかったです。うん。

ネバダ州ラスベガス。都市部ですから圧倒的にバイデン票が多い地域です。



 さて、11月3日は久しぶりに国会前へ行ってきました。学術会議の任命拒否に対する抗議集会へ行ってきたんです。

#学問の自由を守れ1103行動

 学術会議の任命拒否の問題は他人事ではない、と思っています。学術会議にプレッシャーがかかったら、次は大学や一般の学者、最後には企業や一般人にだってプレッシャーは来るでしょう。多くの人が言っているように、一般人のボクですら、ドイツの牧師、ニーメラーの言葉が頭をよぎります。

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 実際に沿道の反応を実感できるデモとは違い、集会って退屈ですから、ボクは滅多に行きません。しかもコロナの時期に、とは思うけど、このことは他人事ではないので頭数にはなっておこうと、とは思ったんです。
●抗議風景

 既に亡くなったボクの大叔父は絵描きで芸術院の会員でしたが、芸術院は学術会議と同じように会員は会員間の選挙で選ばれ、大臣が任命すると言う形式です。子供の頃、ちょうど売り出し中の建築家の安藤〇雄が選挙の挨拶に来たのをよく覚えています。子供心に選挙って大変だなーと思った(笑)。
 でも政治家や官僚に芸術が判りますか??(笑)。判るはずがない(昔の政治家だったら、芸術が判るような教養がある人はいたかもしれませんが)

 だったら業界のプロである会員の選挙で互選するしかありません。子供の素人目でも感じたことですが互選しているからこそ、『あの人の作品は上手いから参考にしよう』という切磋琢磨や『あの人を育てよう』といった育成の機会が生まれたりする。選ぶ方だって、学ぶんです。
 もちろん年功序列が色濃い古い業界の世界は問題あるけれど、だからと言って訳の分からない素人の政治家や官僚が人事に口出しするよりはマシ、に決まってます。会員が総理大臣に選ばれてたら切磋琢磨なんかするわけないでしょ(笑)。互選じゃなければ、他に方法があるのかよって話です。

 学術会議もそれと一緒です。いみじくも菅は今回任命拒否した6人のうち、加藤陽子先生以外は本も論文も読んだことがないと言ってました。政治家や官僚に、学術を判断する能力なんかあるはずがないんです。理由を国民に説明できないのも当たり前。あいつには判らないんだから(笑)。
www.tokyo-np.co.jp

 判らないんだったら口を出すな。当たり前でしょう。
 

 権力を握れば何をしてもいい、多数決で勝てば何をしてもいい、そういう幼稚な発想の政治家が小泉以降、民主党政権も含めて、増えてきたと思います。今は更に劣化して説明すら、しない。
 権力の恣意的な行動が許されるのなら学問の自由だって当然おかしくなる。学問の自由が制限されれば発想も縮こまって、レベルは落ちる。イノベーションなんか出てくるわけない(笑)。その結果 日本の国力も落ちる。日本人は損をする
 そんなことも判らないのか。

 学術会議の任命拒否は学術会議だけの問題じゃありません。政治家ごときが勝手に法解釈を変えて、何をやってもいい、なんてことは許してはいけないと思います。まして、言論・思想の自由の問題でもある。明日は我が身ですよ。菅は日本の国益を損ねているんです。

●司会の佐藤学東大名誉教授

 安保法反対運動の際 中心的な役割を果たしてくださった東大名誉教授の佐藤学教授が言ってました。
菅は多様性がどうのこうの言うが、21人中16人が日本会議の内閣こそ多様性がないのではないか。』

 全くその通りです。ゴーマンです。政治家だけではなく、最近の日本人は傲慢な奴が多すぎると思う。世の中には自分が判らないこと、知らないことがあります。それすら判らずに、狭い世界で自己満足にふけっている。その典型がネトウヨだし、菅や安倍晋三だし、それに媚びを売っている連中。更に日本礼賛のくだらないTV番組をぼーっと見ているバカ国民です。

●ペンクラブの吉岡忍会長

●抗議風景2

 この日集まったのは主催者発表で800人だそうです。新聞の見出しには『学生ら』とありますが、参加者の年齢層は高かった(笑)。あと、スピーチを聞きながら、相変わらず『よーし』とか大声出してるコロナじじいはさっさと死んでくれ、と思いました。

 任命拒否された学者さんでも『学務があって参加できなかった』という人もいましたけど、学者にしろ、サラリーマンにしろ、現役で働いている人は中々時間が取れないのでしょう。それは現代日本の根本的な問題でもある。社畜、学畜のように働かされて内省する時間すらない人も多いのではないか。
 それでも一応 ボクも立派な現役ですけどね(笑)。少しくらいは内省したり、抗議の声を挙げなければ生きていけません。
www.tokyo-np.co.jp



ということで、今週は金曜官邸前抗議がリアル開催です。

●抗議風景


 ちなみにボクは汚染水排出は仕方がないと思っています。福島に溜まっている汚染水のトリチウムは1000兆ベクレルと言われていますが、フランスやイギリスの再処理施設やカナダの重水炉から年間それ以上に排出されています。

 ただ、本当に海洋排出がベストなのか、また風評被害(風評と言いますけど、風評ではなく現実のリスクです。排出したらボクだって福島の海産物は極力買いません)をどうするのか、と言ったことをきちんと議論しないで海洋放出、なんてとんでもありません。福島の漁業の損失を全て補填するくらいでないと割に合わないでしょう。それが原発というものの現実です。