特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『黒川は蛭子さんに謝れ!』と『コロナ危機で良かったこと』

 改めて言うまでもなく、東京高裁検事長の黒川弘務が賭けマージャン、いや、接待マージャンで『辞職』っておかしいですよね。懲戒解雇じゃないの??退職金は7000万??(怒)

 このブログの第1回で取り上げたくらい、ボクが尊敬する蛭子さん、蛭子能収先生はかって、たった9000円の賭けマージャンで罰金刑を受け、全てのTV出演を棒に振りました。黒川は何故、懲戒解雇じゃないのか。
asagei.biz

 それにしても、たった9000円っていうところが蛭子さんらしくて、いいですよね。しかも蛭子さんはバクチは自分のカネでやっている。
 黒川はハイヤーの送り迎えつきの接待でしょ。接待してた朝日も産経も同じ穴のムジナ、クズ・マスゴミなのはわかってますけど、文春によると今回の件は産経内部からリークがあったそうですが、裏が何かあるのでしょうか。検察と内閣の抗争なのか?産経を使って安倍晋三が黒川を切ったのか?最近 安倍と冷戦状態という黒川びいきの菅を叩きたかったのか?


 
 ボクが会社に入った頃は1年中接待マージャンばかりやってる営業部長とかいましたけど、未だにそんな古臭いことをやってる奴がいた、しかもエリート役人だったのは全く驚きました。最近はマージャンなんて、老人ホームでしか見たことありません(笑)。


 まるで 真夏のようだった先週までとは打って変わって、今週は肌寒い天気となりました。
●人でごった返していた駒沢公園も今週はこんな感じでした。『雨のウェンズデイ』(笑)。

雨のウェンズデイ

雨のウェンズデイ

  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: MP3 ダウンロード


 今回のコロナ危機で多くの人は生活が変わりました。戦後最悪の経済危機になりかねないような状況です。非正規社員の人に真っ先にしわ寄せが来ましたけど、それこそ大企業の正社員だって年収がダウンする人が大勢出るでしょう。
 政治家と高級官僚だけでしょうね、その痛みが判らないのは。

 おまけに自粛警察のようなキチガイ連中がボーフラのように湧いてくる。

 ついでに行政はこんな感じ。


 しかし、コロナ危機には明るい面もあると思います。
 徒歩通勤していると、街角でこんなメッセージをたまに見かけます。
●こういうメッセージを街のあちらこちらで見かけました。

●こちらは大病院近くの休業中の店が感謝の気持ちをショーウィンドウにポスカで描いています。


 今回のコロナ危機で医療や介護、それに物流や流通など生活に不可欠な仕事をしてくれている人たちへの感謝の気持ちが、自分も含めて高まりました。郵便配達やごみ収集の人にもマジで感謝の気持ちが湧きましたもん。
●以下2枚、5/22、MXTVモーニングCROSSより

 テレワーク、ステイホームとか言っても現場を支えてくれている人たちのおかげで初めて可能になるんです。待遇面も含めて、我々はこの人たちへの感謝が足りないと思う。


 他にも良いことがありました。例えばこんなことです。

●宴会、パーティ、会食が無くなった
 まず個人的には期末の歓送迎会などの仕事関連の宴会やパーティーが全滅したのはとにかく嬉しかった。
 ビジネスの上でコミュニケーションが大事なのはわかりますが、なんで就業時間後に酒を飲みながらコミュニケーションをとらなければならないのか。就職した当時から不思議で仕方がありません。
 
 1万歩譲って、お客さん相手なら判らないでもありません。でも何で社内の人間と就業時間外でお付き合いしなくちゃならないの。
 ボクは社会人になって以来一度たりとも自分から他人を飲みに誘ったことはありません。楽しいと思ったことがないからです。それに知らないことを訊いたりすることはあっても、ボクは親も含めて他人に何か相談したことなんか一度もないです。自分の問題は自分で解決するしかないですから。

 友達や家族と美味しいものを食べるのはいいんです。自分で作れないような美味しいものは、ね(笑)。でも仕事関連で他人と酒を飲むなんてつまらないだけでなく、著しく生産性が低い行為であることは間違いありません。無駄無駄。
●ネットで見かけました。忘年会フローチャートだそうです。
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「忘年会、どこまで付き合う?」影響が分かるフローチャートが秀逸 二次会以降のリスクがひと目で分かる - ねとらぼ


●通勤の満員電車が無くなった。
 満員電車が無くなったのも嬉しい。もともとボクは通勤で電車に乗る時間は片道10分程度、それに大して混んでいるわけではないのですが、たまに満員電車に乗るとそれこそ、死ぬ思いがします。
 これまでは大勢の人が1時間近くかけて満員電車で通勤していたわけでしょう。これも社会的な無駄の最たるものです。そういえば小池の都知事選の公約の一つは満員電車の解消、でした(笑)。
●大ウソつき!

●出勤が減り、家にいる時間が増えた。
 家にいる時間が増えた人は多いようですね。この2か月、子供連れでジョギングや散歩をしたり、スーパーで買い物している人を多く見かけました。家族とは言え、こんな時期に集団行動なんて頭がおかしいと思うし、ソーシャル・ディスタンスという概念が皆無に近いようなアホばかりで閉口しましたけど、普段だったら微笑ましい光景です。
 家にいたくない、家に居場所がないという人もいるかもしれませんが、それは個人的な問題(笑)。やっぱり自分の家で家族と過ごす時間を長くとる、一緒に夕食をとるって、ワールドワイドで考えたら当たり前ではないでしょうか。


 これらのことは日本的社会の特徴でもある、と思うんです。
 どこの国にも宴会やパーティはあるかもしれないけど、それはクリスマスや旧正月など特別な話で、働いてる人がほぼ毎日 酒を飲んで帰ってくるなんて国は聞いたことがない。
 接待マージャンも(笑)、いかにも日本的です(少し前の中国なら在ったかもしれないけど)。論理ではなく、べたべたした感情でドロドロの男同士のムラ社会を構築、それでビジネスを成立させる。キモい~。

 満員電車もインドとかスリランカならともかく、こんな殺人的な混雑が1年中続いている国も聞いたことがない。ムラ社会心理的な距離だけでなく、物理的にも人との距離が近すぎるんです。

 労働時間の長さは言うに及ばず。最近の日本の労働時間は一見 少なそうに見えますが

 それは非正規など短時間労働者の比率が高いからで、

 男性の正規社員の労働時間は以下の通り。

 一方 女性の家事負担は以下の通り

workstyle.ricoh.co.jp


 日本の男はホモソーシャルムラ社会長時間労働と傷の舐めあいを続け、尻ぬぐいを女性に押し付けている。というわけです。
その結果、自分自身も女性も疎外している。自分で自分のことができない人間を量産している。

 知り合いの慶応幼稚舎の卒業生に聞くと、幼稚舎出身の麻生太郎の息子はいい歳になるまで、松濤の豪邸で毎日お手伝いさんに服を脱ぎ着させてもらって育ったそうです(笑)。毎朝 手をバッと広げると、お手伝いさんが服を着せてくれていたらしい。あの親を見てると『いかにも』と思います(笑)。
 誰だって自分の口でしゃべるし、自分の口で食べる。自分の身の周りの事を自分でやるのは当たり前。じゃなきゃ、麻生みたいな人間になってしまう(笑)。

 生活という当たり前のことまで犠牲にして働いたり、職場の人と付き合うなんて、どう考えてもおかしい。労働は生活のためにあるのであって、労働のために生活があるのではない。

 今回のコロナ危機で良かったと思ったことは、日本人の日常の矛盾の裏返しです。

●一回、自分でもやってみたいんです(笑)

Mad Max: Fury Road - Guitar Scene

 もちろん、コロナ危機はさまざまな問題点も露呈させています。
 まず、『日本では国民が本当に苦境に陥ったときに、政府が国民を助ける「実務能力」を有していない』ということ。
 未だにマスクが届いていない世帯が9割以上だそうですが、この国の政府はマスク一つ届ける力を持っていないコロナ共存のマイナス成長時代でも株式投資が「続行可能」な理由 | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン
 極端なことを言うと、国民に何かあっても日本という国は助けない。『自助努力』で解決しろということ安倍晋三一派や黒川のような『上級国民』は別らしいですが(笑)。
 これでは何のために税金を払っているのだか判りませんが、現状がそうなっていることは否定できない。

 それだけではありません。世の中の構造自体がおかしい
 普段だったら真っ先に貸しはがしを始める銀行は今回 金融庁に文字通り脅されてゴールデン・ウィークも融資窓口を開いて、中小企業などの資金繰りを支援したから良し、とします(笑)。
 でも、それ以外の金融業、例えば証券とかM&Aとか殆ど役に立ってないですよね。コンサルとか広告代理店、それに政府の言ってることを垂れ流すだけのマスコミも一緒です。『お前ら、ゴミ』とか言っちゃうと嫌われるんですが(笑)。

 しかし、普段はこういう連中こそがぬくぬくと高禄を食んでいる。他人の財布のことをとやかく言いたくありませんが、M&A屋なんか億単位の年収はザラでしょ。
●上場会社の平均年収ベスト10のうち4社がM&A屋(1位、3位、5位、7位)、3社がマスゴミ

最新!平均年収「全国トップ500社」ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準


 世の中に不可欠な仕事をしてくれている人たちとの格差、だけではありません。株取引だったら安い税金、M&Aだったらタックス・ヘイヴン、マスコミだったら法規制と、連中が有利になるような仕組みになっている。上のランキングに入っている企業はそんなのばっかりです。
 これはやっぱり、世の中の仕組みそのものがどこか間違ってる
 だから我々にとってコロナ危機は、本当は何が大切か、改めて考え直す機会だと思うのです。

 


 これからやってくる経済危機は国会議員や高級官僚を除く多くの人に災厄をもたらすでしょう。ボクも含めてこれからが大変です。
 
 よく言われる話ですが、多くの犠牲者を出した中世のペストはルネサンスをもたらす効果があったと言われています。
 最近でも311は多くの人に原発への疑問を抱かせました。ドイツやイタリア、台湾は脱原発を宣言し、日本ですら政府や産業界が抵抗しても今だに原発はまともに動いていません。

 コロナ危機は我々にどんな変革をもたらすのでしょうか。いや我々はどのように社会を変えていくのでしょうか。また宴会や満員電車に逆戻り(笑)?ご冗談でしょう。
 早く定年にならないかなあ(嘆息)

『スローなコロナ・ライフ』(笑)と映画『銀座二十四帖』

 時折は雨も降るけれど、5月らしい爽やかな陽気が続いています。

 徐々に街に人は増えてきましたけど、ボク自身は元々街にでかけようという欲求はほとんどありません。むしろ、この2か月で人混みや商業施設などへの拒否感は一層強くなった気がします。
 唯一、外食して自分では作れないような美味しいものを食べたい、という欲求はありますけど、それくらいでしょうか。


 この2か月、経済は大変でした。このままだと5月、6月はもっと厳しくなるでしょうから、早く経済活動を再開しないとえらいことになります。
news.yahoo.co.jp


 しかし生活感としては現在のように徒歩通勤で、ある程度スローな毎日を過ごしていると『定年までの時間が早く過ぎて欲しい』、『さっさと隠居したい』という思いが普段にも増して募ってきます(笑)。

 ホントは仕事も世の中も大して興味ない。まだ仕事は生活の糧となるお金と引き換えだから仕方ないかもしれませんが、税金払ってこんな政治なんだから全く酷い話ですよ。


 私利私欲に固執する無能な安倍晋三も間抜けな野党の政治家はもちろん、一般国民も選挙を棄権するようなバカはさっさと死んでほしい。それだけなんですよね。

 こんな連中ばかりなら、心を開いて世の中とつながりを持っても良いことはなさそうです。どうせロクなことがないのだから、世の中の雑事や人間とはあまり関わり合いになりたくない
 人生で価値あるものは本や音楽、映画、美味しい食べ物、あと、犬、それくらいかも。

 これが諦観というものかもしれませんが、小学校6年生の時に『徒然草』を読んでから、おっさんになった今に至る迄、変わらない宿願です。

 
 それでも最低限の火の粉は振り払わなくちゃいけないのが辛いところです(笑)。

●署名:NHKは「検察庁法改正案」を審議する国会の中継を行うこと!
chng.it


 ということで、古い映画です。DVDで川島雄三監督の1955年作品『銀座二十四帖』(amazonの配信もあり)
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銀座二十四帖 [DVD]

銀座二十四帖 [DVD]

  • 発売日: 2019/03/02
  • メディア: DVD

 終戦後10年、賑わいを取り戻した銀座の街。一人娘を残したまま夫と別居した人妻、京極和歌子(月丘夢路)は自立した生活の糧にするため、亡父が残した絵を銀座の画廊に持ち込んで売りにだそうとする。その中には幼い頃 奉天で、五郎という放浪画家に描いてもらった「自画像」があった。GMとサインがあるその絵を手掛かりに、実は彼女は“五郎"との再会を夢見ている。銀座の顔役で花屋の三室戸完こと通称コニイ(三橋達也)は、彼女を助けてGMの正体を探そうとするが- - -


 1963年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病で46歳という若さで夭折した川島雄三監督の作品です。この人の幕末太陽傳』、『洲崎パラダイス』であまりにも感動したので、少し追いかけてみようと思ったのです。

 江戸、明治、大正、昭和と4時代を跨ぐ感性フェミニズムや反権力の香りもある、庶民の自由を希求する姿勢、洒脱さを失わない知性を併せ持った川島監督がもっと長生きして沢山 映画を作っていれば、今の日本の文化状況も少しは違ったんじゃないか、とすら思えます。
 後年出てきた映画や音楽のように、商業主義に身も心も売った作品やベタベタした演歌とかフォークソングのような気持ち悪いものはもっと影が薄かったかもしれない。
 川島監督の作品は商業映画ですが、甘ったれた、定型的な大衆文化とは一線を画しています。商業主義を軽やかにいなし、かと言って体制にも迎合せず、普遍的な人間の喜びや悲しみを大人の感性でお洒落に訴えかけてきます。 


 この作品は当時の週刊朝日に連載していた小説を原作にしたものです。軽妙洒脱なエンターテイメントですが、結構 深い映画でした。というか、現代に生きるボクが軽すぎるのか(笑)。

 若々しい森繁久彌のナレーションでお話は進んでいきます。撮影は1955年頃だと思いますけど、既に銀座にはビルが立ち並ぶようになっています。路面電車や自動車が走り、昼も夜も人でにぎわっています。これが戦争で焼け野原になってから10年も経っていない光景なのか。驚きでした。

 そんな銀座で三橋達也演じるコニイ(笑)は花屋を営んでいます。
三橋達也(中央)はハンサムだったんですね。服は変ですが(笑)


 以前は夜の世界にいたコニイですが、今は夜の客に花を売る商売で堅気の道を歩んでいます。華やかさを取り戻した銀座ですが、裏では麻薬(ヒロポン)や売春がはびこっていた。コニイはそれを憎んで、真っ当な街にしたいと願っていました。
●銀座の花屋がなんと平屋です!

 彼の店には少女たちが働いています。15歳の浅丘ルリ子らが演じているんですが、戦災孤児という設定です。コニイは彼らに働き口を提供しながら、夜学に行かせている。
 『銀座の花売り娘』とは聞いたことがありますが、実態はこういうことだったのか。冒頭から驚きました。やっぱり川島監督の映画は一筋縄ではいかない。
●花を買いに来た人妻(月丘夢路)(右)と花売り娘役の浅丘ルリ子(左)、15歳!

 ある日 その花屋に美しい中年女性(月丘夢路)がバラを買いに来ます。

 女性は夫と別居中で近くの料亭に身を寄せています。彼女は親が残した絵を生活の糧にしようと銀座の画廊で絵を売ろうとしていました。
 その中に少女時代の彼女を描いた一枚の絵がありました。戦前 外交官の娘として奉天!にいた彼女は、その絵を描いた放浪画家に恋心を抱いていました。画廊で絵を売ることで、彼女は生き別れた画家を探そうとしていました。この奉天というのも、要は満州国
 多くの人の人生に、まだ侵略と戦争が影を落としている。映画はそこから目を背けようとしません。
奉天時代の彼女を描いた絵。中国服を着ています。右の男は女癖が悪い売れっ子画家

 その絵に描かれたGMというサインを見たコニイは俄然興味を持ち、画家探しを手伝い始めます。

 お話はGMの正体を探すミステリー仕立てで進んでいきます。その中に様々なキャストのエピソード、当時の世相が挟まれる。当時見たらどう思ったか判りませんが、今見たらめちゃめちゃ面白いです。

 その頃 ボクは生まれてませんけど、画廊が立ち並んだ銀座にしろ、戦病の物乞いが大勢いた渋谷にしろ、この映画で描かれた香りだけは幼少期の記憶がある。今見ると想像するよりモダンだし、ワイルドだし(笑)、江戸の香りがあるし、お洒落です。何よりも、今より人々は自由に見える
 

●当時の銀座。映画の中で『銀座の川!がどんどん埋め立てられていく』というセリフがありました。

●野山が拡がる当時の渋谷!バックの建物は渋谷駅と東急百貨店!。

cedarben.blog.ss-blog.jp

 キャストはボクは殆ど見たことないですが、有名な人ばかりです。当時のオールスター映画なのかな?
 『洲崎パラダイス』に続いて三橋達也(カッコいい)、自立を目指す美貌の人妻役の月岡夢路は以前NHKで放送された、原爆が投下されてわずか8年後に現地ロケした映画『ひろしま』の人ですね。

独立プロ名画特選 ひろしま [DVD]

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  • 発売日: 2013/07/27
  • メディア: DVD

 大阪から上京してくる人妻の従妹役の北原三枝、画面ではコケティッシュで魅力的でしたけど、石原裕次郎の奥さんとして老境の姿しか見たことない。コニイの子分役のジャンキーの佐野浅夫、まるっきり小僧だった彼が後年水戸黄門になるとは想像もできません。他にも当時15歳!の浅岡ルリ子、野球選手役の岡田真澄(痩せててジャニーズみたい)、とにかく皆、びっくりするくらい若い。
北原三枝(1枚目左)

 当時のキャバレーにはクロークがあって、バンドは生演奏(すごい)。今だったら超豪華、高級店です。賑わいを取り戻した銀座ですが、一歩 店の裏に入ると麻薬(ヒロポン)の密売や外国人相手の売春がはびこっています。その中でコニイはGMの謎を追っていく。当時の日本の警官が米軍のMPみたいな制服なのも面白かった。


 お話の完成度は『幕末太陽傳』や『洲崎パラダイス』に負けるかもしれませんが、普通に面白い、いや、かなり面白い映画でした。
 ナレーションの森繁久彌だけ何が良いのかわからなかったけど(笑)、有名スターぞろいのキャストは見ていて楽しい。当時の銀座や世相も非常に興味深い。1950年代のこの頃から『(経済優先の)せちがらい銀座になりつつある』なんて登場人物が言ってます。いつの時代もそんなものなのかも(笑)。


 笑って、ちょっとはらはらして、ちょっと泣かせて、ちょっと苦い。人情も描いているんだけど、べたべたしない、ある種の諦観が根底にある乾いた感性が素晴らしい。物事に執着しない、お洒落です。
 画面に映るのは昔の光景ですけど古さは感じない。当時のお洒落な風俗、デザインは新鮮だし、何よりも登場人物たちの人間描写が普遍性を感じさせます。男も女も子供も自分たちで考え、自分たちの思う通りに行動する。最近のドラマなんかより人物描写がはるかに豊かで深い。
 DVDだけでなく、アマゾンでも、たった300円で配信してますので、機会があればぜひ。

銀座二十四帖(冒頭)

読書『ツーカとゼーキン 知りたくなかった日本の未来』

 5月も半ばも過ぎ、暑くなってきました。今週は最高気温が30度近くになりました。最近は春と秋が本当に短くなってきた、と思いませんか。

 ボクは往復3時間の徒歩通勤になって、人混みでイライラすることも少ないし(マスクなしでジョギングや自転車に乗ってるキチガイには頭にきますが)、お腹も空くし健康的だし、景色を見るのも楽しいですが、それもお天気あっての物種です。真夏になったら往復20キロは無理(笑)。今のような生活は5月いっぱいが限界だなあ。
●通勤風景:朝のバラと人もまばらな夕方。


 東京、大阪、北海道などを除く地方は緊急事態宣言が解除されました。

 昨日も安倍晋三が延々と記者会見やってましたが、頭の悪い奴、仕事の出来ない奴って話が長いんですよね(笑)。仕事でも、デモや集会の挨拶でも、こういうことは一緒です。

 都市部と地方の感染状況はずいぶん違うので、感染者が殆ど発生していないような地域だったら、経済活動を始めないと仕方ありませんよね。東京や大阪からの人の移動を防げば問題はない。

 それでも経済の中心である東京や大阪が活動を開始しなければ、日本中が干上がってしまいます。

 そのためにも我々にできるのはなるべく外出や移動をしないで感染者の増加を減らすことですが、それは効果が出てきている。

 今までマスコミは無意味な1日の発生者数でバカみたいに一喜一憂してましたけど、やっと解除基準も週単位の発生者で議論されるようになってきました。傾向値で考えなければ意味がないに決まってるじゃん。
 東京の新規感染者は減りつつありますけど、今週 外出した人が増えて結果がどうなるか。あと2週間くらい経たなければ判断できないです。
●東京都の新規感染者数(~5/15、1週間の移動平均):今日5/15現在の週平均は21人。ちなみに東京の解除基準は10人以下。
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 一方 病床や検査の拡充は政府や自治体のやることですが、こちらは情報公開も含めて全く心もとない。

 保健所からファックス!で報告を受けていた東京都が感染者数を間違えていたことが発覚していましたが、空き病床数の増加具合、再生産数など大事な情報は依然 殆ど公開されない。

 マスコミの能力不足、特に御用放送と化したNHK夜7時、夜9時のニュースの罪は重いとしても、日本の為政者は国民に説明しようという概念が甚だ薄いのでしょう。例の大阪モデル(笑)もそうですが、根拠も論理的に説明せず、ただ『こうやれ』の方が楽ですからね。国民もそれを受け入れてしまっている。

 無能な政治家、知事、マスコミだけでなく、それを選ぶ国民の民度や社会のレベルも含めて、日本は既に発展途上国に転落しました。
 仕事でもアメリカの人は勿論、中国や東南アジアの取引先にも『ファックス』と言うと笑われるどころか、マジで驚かれます。『日本はまだ、本当にファックスなんか使ってるのかって』(笑)
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 ワクチンの開発だって日米英中の感染症関連の研究開発予算(2018年)は米国は75億ドル(8000億円)、中国は53億ドル(5600億円)、英国は5億8000万ドル(620億円)、日本は5億3000万ドル(560億円)だそうです。
 日本の研究開発費はちょうど中国の10分の1です(笑)。経済規模が日本の半分のイギリスより少ない。日本のレベルなんか、実はこんなもんです。
 研究開発に占める感染症関連の割合の推移を示すこのグラフを見ると、10年代以降の日本の凋落とまさに重なっています。
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新型コロナ:待たれるワクチン開発 未来への投資、今こそ (写真=ロイター) :日本経済新聞

 きっとこれから感染は2波、3波と来るのでしょうから、そう思って自分で自分の身を守らなくてはいけません。ったく何のために税金を払ってるんだか。


 ということで、読書の感想です。『ツーカとゼーキン 知りたくなかった日本の未来

 著者の明石氏は労働争議ブラック企業問題を専門とする弁護士。ですが、以前話題になった『アベノミクスによろしく』という著書で経済政策の失敗=「アベノミクスの大失敗」を指摘していた人です。その本はボクの意見と全く同じだったので、この人の著書は今まで敢えて読んでなかった(自分と同じ意見を追いかけても仕方ありません)。

 しかしアベノミクスが失敗したことが明確になり、しかも昨今のコロナ危機で財政再建をどうするということがこれからはどうしても問題になります。

 ということで、これからやばくなる日本の財政の事を考えてみよう、と思って読んでみました。著者はtwitterでは中々良いことをいってますし。

 本の要旨はこんな感じです。
 前半部は通貨の歴史やその性質が簡単に述べられます。後半でMMTの批判をするためです。通貨の歴史については『へー、そうなんだ』と思いましたが、個人的には興味ないのでスルー(笑)。

 後半は日本の財政について以下のようなことが述べられます。
●現在、日本の国と地方を合わせた国債発行額は約1100兆円(GDPの2倍超)と最悪の状態。一方 アベノミクスの異次元の金融緩和にもかかわらず、需要は増えないから企業の投資(借入)も増えず、以前に比べて経済も成長しなかった。反面アベノミクス以降の6年間で物価は6.6%も上昇。2013年から‘16年にかけて実質民間最終支出は3年連続で減少している。

●一方 2018年から2025年までの間に、日本の生産年齢人口は345万7000人も減少する。これは第二次世界大戦の日本の犠牲者数〈約310万人〉を超える人数。

●したがって今後も経済(税収)の拡大は難しいが、その一方 高齢化で社会保障費は増え続ける。

●「MMT(現代貨幣理論)」は為替を全く無視しているし、インフレのリスクも考慮していない。通貨は無限に作り出すことができるかもしれないが、価値を無限に維持することはできない。通貨を増やしすぎると為替の変動で、その価値が下がってしまう。そして通貨の価値が下がると物価は急上昇し、国民の生活は苦しくなる。MMTは根本的に間違っている。

 改めて指摘されると、18年から25年までに生産年齢人口が第二次大戦の犠牲者なみに減るってすごい話ですね。
 著者は『財政あきらめ論者』で『日本経済はどこかの時点で、インフレや円安のような形で破綻せざるを得ない』。日本人はそれを直視した上で、増税など経済の再建を考えるべきだ、としています。

 具体的には「税は権力者に取られるものという認識を変えていかなければならない
 つまり、『国家を運営するにはお金が必要で、お金は主権者である我々が出し合うもの。お金をたくさん使うのなら、それに応じて負担が増えるのは当然。』
『どれだけみんなでお金を出し合うのか、それを何に使うのか、決めるのが政治であり、みんなで支え合う政治にしていかなければならない。』

 政治と経済は不可分、というわけです。

 ボク自身は日本の将来についてはこう思っています。
 積みあがった世界最悪の莫大な財政赤字は経済成長と増税で再建できれば良いのですが、コロナ危機でより一層難しくなりました。
 もはや取れる手段は2つでしょう。

 一つは『増税に加えて国債の棚上げで破局(超円安&インフレ)を避けながら数十年単位の長期不況に甘んじて更に貧乏国になっていく』、もう一つは『相続税100%で財政再建&景気回復&機会の平等で社会活性化』。

 画期的なイノベーションとか、GAFAみたいな企業が日本に出てきて経済成長していけば話は別ですが、自粛警察を生み出したように、他人の足を引っ張る事しか能がない今の日本の社畜教育じゃムリムリ(笑)。
president.jp

 まずは前者、マイルドな方から(笑)。
 第2次大戦の戦費で莫大な財政赤字を抱えたイギリスは戦後 国債の棚上げをしました。永久公債コンスルと言って、国債は利払いのみで元金は償還しないことにしたそうです。その代わり利払いという負担が永遠に残り、経済成長の足を引っ張ります。それだけが原因ではないにしろ、イギリスは約30年 経済の低成長が続きました。

 今後の日本は金融や資産などへの課税で再配分を目指すにしろ、消費税も含めた増税は考えざるをえないと思います。
 累進課税強化や法人税を上げるのは当然ですけど、それで増える税収は数兆円程度ですから、借金を減らし、今後増えていく社会福祉の財源にするにはとても足りません。消費税も安定した税源として有用です。著者も指摘するように『高福祉国で消費税が低い国はない

 増税しないで何とかする方法はないのでしょうか。それがMMTなんでしょう。
 MMTのように通貨を無限に発行すれば極端な円安になります。つまり円の価値が下がる。
 昭和のように国内で生産して輸出する時代なら円安で良かった。しかも石油は安かった。
 これからは少子高齢化が進み生産力が減っていく反面、資源が乏しい日本は輸入に頼らざるをえないのだから、日本にとって円安は著しく不利です。
 アベノミクスの金融緩和と同様、MMTなんかやれば円安が進み食料品などの物価が上がり、庶民の生活は破壊される。外国の資産に投資できる富裕層はもしかしたら儲かるかも(笑)。アベノミクスがもっと極端な形になるんです。
 MMTは結果として庶民の生活を外資と富裕層に叩き売ることになる。サイアクでしょう。


 本当は相続税100%にするのがベストです。
 今だったら世界最悪の財政赤字にも充分対応できる。1100兆の国債残高に対して、個人の金融資産はまだ1800兆円もある。現実的には遺族への控除は一人5000万とか若干は残すにしても、それ以外は高齢者の死亡に合わせて、少しずつ遺産を召し上げればいい(笑)。

 相続税100%を導入するなら所得税累進課税もやめて簡素なフラット税率にしてもいい。その方が導入への抵抗も和らぐし、もしかしたら新自由主義者が言うように)労働意欲が湧いて生産性もあがるかもしれない。最後は相続税で取り上げるのなら結果は一緒ですからね(笑)。


個人金融資産1835兆円=10年連続増、国債は4割日銀-18年度末:時事ドットコム

 更に相続税100%にすればお金を持っている高年齢者がお金を使いだすから、景気も回復する、ついでに機会の均等が実現して人材の有効活用、社会の活性化につながる、更に若年層への資産移転につながりますから少子化対策にもなる。万々歳じゃないですか。今の日本に足りないものって、若い人への希望ですよ。

 しかし、ボクは政治家も国民も今の日本人にそれを受け入れるだけの知性があるとは思わない。だったら、こんな低投票率にはならないでしょ(笑)。

 この本は通貨と税金、そして日本の財政状況や今話題のMMTなどの問題を問答形式で専門用語を使わずに、易しく解説してくれます。それだけでなく『通貨はお金ではなく、価値である』という著者の言は偏狭な経済学者にはとても及ばない、本質をついていると思います。
 『日本の財政はいつか破綻せざるを得ない』という結論は厳しいですが、民主的な政治を取り戻さなければ経済の面でも日本の将来はお先真っ暗、ということが良くわかる本です。面白かったです。

●今月も金曜官邸前抗議はお休みです。