特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『日本社会のしくみ』と『0906再稼働反対!首相官邸前抗議』

 まだまだ湿気が多いですが、このところ気温が下がり始めて、多少身体が楽になりました。この前は自由ヶ丘駅前でもお神輿が出てました。もうそんな季節です。
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 各地でお神輿の担ぎ手が減って、大抵プロの担ぎ屋さん?が担ぎに来ているんでしょ。好きな人は担げばいいと思うし、地域にもよると思いますが、『地元』というコミュニティ意識は形骸化しつつありますよね。自由ヶ丘はどうなんだろ。

 そういう地元意識ってイベントや街の美化活動など良い点もあるでしょうけど、ボクは何か気持ち悪い。『地元』でも『企業』でも、何かしらの『市民団体』でも、いったんその輪の中に入ってしまえば心地良いものはある、と思う。でもボクは子供の時から現在に至るまで、そのようなコミュニティには何かしら排他的な、異論を許さない窮屈さを感じるんです。キモいオヤジが威張ってることも多いし。
団体行動って気持ち悪ーい(笑)。そう思うのはボクが、世の中から孤立した変わり者だからでしょうか(笑)。
●この夏の美味しい思い出(笑)。1枚目は岩牡蠣のサラダ。2枚目は穴子とからすみのパスタ
 


 さて、経済は失敗、外交も失敗、と失政続きの安倍晋三が唯一成功しているかもしれないのが嫌韓です。いや、こんな無能な外交で成功していると言えるのでしょうか❓

 それを援護する、このところのマスコミの韓国へのヘイト報道は流石に目に余るものがあると感じます。ひどい。
times.abema.tv

 連日連夜のTV番組、ニュースにワイドショーにバラエティ、それに週刊ポストと目を覆いたくなるようなものばかり並んでいます。TVなんか殆ど見ないボクですら、こう思うんです。TV局はこんなゴミを放送して、視聴者はこんなくだらないものを視聴して、恥ずかしくないのか。

 韓国の高官候補の疑惑は面白おかしくワイドショーにまで報道されるのに、自国の上野政務官の賄賂口利きはニュースですら殆ど報道されない。観ている側はおかしいと思わないのでしょうか?放送する側も番組を見ている奴も恥を知れ!

 日本人がここまでバカになってしまったのには、さすがに憤りに耐えません。日中戦争や太平洋戦争も、国民の間にこうやって空気が醸成されて始まったのでしょう。あ、そうか、もともとバカだったのか(笑)。
●これが日本人の本質でしょう



 さて、読書の感想です。今夏に出た小熊英二慶大教授の新著です。
「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

 本屋では平積みになってたし、結構売れているんじゃないでしょうか。新書にもかかわらず、小熊教授らしい600ページ近くの大冊ですが、中々重要なことを言っている本だと思いました。少し前に読み終わって、長くなるので感想を書こうか迷っていたのですが、内容は充実しているのでご紹介します。

 この本では以下のようなことが資料の論証とともに述べられています。
1.現代の日本社会は、終身雇用で右肩上がりに給与が上昇する『大企業型』26%、農業や自営など地域ネットワークの中で生きる『地元型』36%、それ以外の非正規社員や中小企業などに勤務する『残余型』38%で構成されている。
 大企業型は収入は比較的高いがローンで家を買うなど支出も多い。『地元型』は投票率も高く政治力も強い。したがって行政や地域のサポートを受けやすく支出が少ない、など一長一短である。かっての日本は農業など地元型が過半を占めていたが、特に90年代以降 地元型が大きく減少し『残余型』に移動した。一方 大企業型の人数は殆ど変わっていない。

2.従って長期雇用や厚生年金などを受けられる層はもともと人口の3分の1程度しかいなかった。例えば地元型は支出も少ないし公的サポートも手厚く、定年もないため国民年金でやっていけたが、地元型が残余型に移動するにつれて年金など従来からの日本社会の仕組みのゆがみが目立つようになった。

3.新卒一括採用、定期人事異動、定年制、年功序列などの日本的雇用の原型は明治期の官庁、軍隊がベースである。日本は官庁の近代化が突出していたため、強い影響力を持った。それでも戦前は幹部職員だけが対象だったが、戦後の民主化、労働運動でそのような制度が現場まで含んだ大企業の現場作業員にまで対象が広がり、『大企業型』が成立すると同時に、その恩恵に浴さなかった『地元型』、『残余型』と分化するようになった。

4.日本には学歴以外の社会的な能力評価基準がなく、大学院卒などが多い欧米と比べて社員の低学歴化や企業秩序の固定化が進んだ。欧米型の職務給を目指す動きも一部にはあったが、むしろ労組の側が生活給を反映した、年功序列や人物で評価する職能制を望んだ
アメリカは同一労働同一賃金などの『職務の平等』を志向し、日本は長期雇用や昇進のチャンスの現場への拡大など『社員の平等』を志向した。このような日本社会の『しくみ』は労働者の合意を得て成立したものと言える。一方 高学歴女性が不利になったり、地元型や残余型との格差拡大などのマイナス面もあった

5.しかし90年代以降、このような日本社会の『しくみ』は不利に働くようになる。コンピュータや生産機械の高性能化で熟練労働は価値が相対的に下がり、非正規労働者や途上国の低賃金労働に置き換えられるようになった。女性の大学進学率も高まった現在、従来の日本社会のしくみはマイナス面をしのぐだけのメリットがあるのか疑われるようになっている。

6.この本は政策提言書でないので対策は深堀しないが、少なくとも日本は公開性、透明性の向上は必要ではないか。採用や昇進の基準を公開、透明化するだけでも男女差別も減るし、外国人材の活用、横断的労働市場に繋がる筈である。


 いつもどおり小熊は莫大な資料を読み込んで論理的に考証を進めています。彼の専門分野ではないし、特に労働問題などはこれが全ての議論とは思わないけれど、納得できるだけのロジックにはなっています。

 それに『大企業型』、『地元型』、『残余型』の3類型日本的雇用が戦前からの連なりで労働運動も一躍買っていた点、何よりも日本が落ち目になりつつある原因を鮮やかなロジックで読み解いているなどの点はとても面白いです。


 過去の自民党政治は最も人数が多い『地元型』中心でした。政治家だって殆ど『地元型』の出身でした。
 しかしテクノロジーの発達とグローバリゼーションで地元型は衰退、日本の社会は90年代以降 構造が変化しつつあります

 『大企業型』の人数はほぼ変わらず、『地元型』の人数が減って、もともと政策的にもあまり目が向けられていなかった非正規など『残余型』の人数が増えるにつれて、社会のゆがみが拡大しつつある、それが現在の我々の社会です。


 現在の自民の政策は『地元型+大企業型』にシフトしましたが、それは『大企業型(労組)+地元型』の旧民主と重なりますだから対立軸がはっきりしないんです。

 野党は大企業型(労組、公務員)からシフトして、残余型=非正規や中小企業に勤める人たちの観点から政策を組み立て直してみる、という視点が必要です。もちろん残余型だけでは全体の3分の1、しかも彼らは投票率が低い。それでは選挙に勝てません。『残余型+大企業型や地元型の中のリベラルな人たちの同盟』というのが現実的でしょう。

 『日本社会のしくみ』を読み解くこの本はそれだけでなく、こうやって視座を広げていく材料にもなります。長いけど記述は平易だし、読む価値があります。


 最後に著者はこんな問答を挙げています。
 スーパーで10年間働くシングルマザーの女性と昨日入った女子高生、同じ仕事を担当している二人に給与の差をつけるべきか?。

それに対して3つの答えがあります。 
 1つ目の考え方は『シングルマザーの年齢、環境を考慮して給与に差をつけるべき』=年齢給や家族手当など従来の日本的雇用慣行です。

 2つ目の考え方は『同じ仕事なのだからシングルマザーも女子高生も同じ給与にすべき』=同一労働同一賃金です。ある意味 新自由主義的でもある。

 3つ目の考え方は『賃金は同一労働同一賃金にすべきだが、社会的観点からシングルマザーに公的なサポートを行うべき。』=ただし税や保険料の負担は高まります。

 つまり、すべてが良いという解決策はありません。どれかを選択するしかない。こういう社会的な議論と選択が行われないまま、日本では、政治家や役人のスキャンダル探しや揚げ足取り、最近では他国へのヘイトや生活保護などの弱い者虐めに血道をあげているわけです。
 『日本社会のしくみ』は偶然や過去の慣習などが束になったものであり、それほど長い時間が経ったものではない。だから変えることが出来る。そのために、著者は『社会の一員である読者一人一人が議論を深めていってほしい』と書いて筆をおいています。


 


 ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
 今日の東京は真夏のような陽気、久しぶりの日差しが肌に痛い(笑)。午後6時の気温も30度。参加者は200人くらい?

●抗議風景

 今日のオンライン版週刊ダイヤモンドに面白い記事がありました。膨れ上がる一方の廃炉費用を捻出するために東電が小売部門を売却する話がでている=東電解体、と言うのです。
diamond.jp

 東電の経営計画では『19年から柏崎刈羽の再稼働を見込んでいた』が、今のところ、再稼働の見込みはありません。
 一方 『廃炉に8兆円、賠償に8兆円、除染・中間貯蔵に6兆円の計22兆円が必要』としていますが、『廃炉が8兆円で済むはずがない』そうです。
 そこで電力自由化以降 売上が下がり続けている東電の小売部門(東電エナジーパートナーズ)を2000億円で売却という話がでているそうです。売却先として名が挙がっているのは石油元売り最大手のJXTG、それに関西電力大阪ガス東京ガスなど。

 実現すればいい話じゃないですか(笑)。東電が今以上に柏崎刈羽の再稼働にやっきになるリスクはありますが、電力村最大の東電が解体された、という実績ができる。
 既に日立も東芝も重工もメーカーはもう、原発はやばい、と判っている(笑)。あとは地域独占に守られた電力会社、それに経産省だけです。現実には、脱原発はもう少しなんです(笑)。東電が解体すれば、原発がない未来に向けて大きな一歩になるでしょう。

感涙・感涙・また感涙(笑)。映画『シークレット・スーパースター』

 もう、9月じゃないですか。今月を抜かせば、今年もあと、たった3か月ですよ。
 まだまだ暑さも、特に湿度は高くて蒸し暑いですけど、秋の足音は聞こえてきた気もします。
 
 先週は久しぶりの出張で熊本へ行ってきました。昔 営業の仕事をしていた時は日本全国を駆け回っていたのですが、熊本にはまだ行ったことがありませんでした。初めての街です。
 と言っても、今回は仕事なので特に楽しいこともありません(笑)、想像していた以上に大きな都市なのでびっくりしました。 
●否定はしませんけど、空港にはロボット、街にはくまモン


 
 ご存知の通り、先週 隣県の佐賀は災害級の大雨で、多少は緊張して出かけたのですが、目と鼻の先の熊本ではそれほど被害もありませんでした。やっぱり日本は熱帯化、スコールのような局地的な雨が降るようになっているんでしょう。日本だけが温暖化ガスを減らしても効果は?かもしれませんが、それでも、このままでいいのでしょうか。
●ご接待後(泣)、寝る前に水を買いに行ったコンビニにて。商店街の空き店舗も比較的少なかった。
 

 今や、地方都市はどこも衰退していますから、熊本もそうだろうと想像していたのですが、街の人通りも多いし、震災復興もあるのでしょうけど新しいビル建設など資本も投下されている。ちょっとイメージが違う。中心市街地には億ションまで作られているそうです。
●お城の復興工事は進んでいますが、石垣を組みなおすのはパズルのような作業なので10年単位の時間がかかると聞きました。
 

 ちなみに熊本に限らず、今 億ションは色々な地方の中心市街地で作られているらしく、金融緩和のバブルはそういうところへ流れている、と思いました。那覇にできた億ションは沖縄出身の某女優さんが買ったという噂です(笑)。
 それはそれで構わないし億ションで潤っている人も居るんでしょうけど、最も儲かるのは中央のゼネコンだし、買うのは転売目的の外国人が多いのだろうし、地価の問題もあるし、そもそも億ションができるのは街の住人にとって良いことなんでしょうか。アベノミクスやMMTってこういうことなんですよ。少しは頭を使わないと。
●街中で見かけた映画館のラインナップ。『嵐電』に『工作』、『新聞記者』。こういう映画館は特殊なんでしょうけど、熊本にも文化的な人たちが住んでいることが判ります。
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 ということで、新宿で映画『シークレット・スーパースター
secret-superstar.com

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 インドの地方都市に暮らすインシア(ザイラー・ワシーム)は両親と祖母、弟と暮らしている。技術者で出張で不在がちの父は、家にいるときは横暴で時には母親に骨折するまでの暴力をふるうこともしばしばです。インシアも女性と言うことで、父親は弟ばかり大事にしています。
 唄が上手いインシアは歌手を夢見て、ギターで歌を作っていましたが、父親からはそれを禁止されます。母は内緒でノートパソコンを買い与え、インシアはブルカで顔を隠してYouTubeで歌をアップしたところ、大ヒット。新聞やTVまでも''シークレット・スーパースター''として騒ぐようになります。
 しかし、そのことによって父親はインシアが歌を歌っていることに気づき、パソコンを壊してしまいます。一方 その歌に惚れ込んだ、かっては有名だったが、その傲慢振りで今は落ち目の音楽プロデューサー、シャクティアーミル・カーン)がインシアに連絡してきますが。

 インドの大スター、アーミル・カーンが出演、制作してインド映画世界興収3位の大ヒットを飛ばした作品です。アーミル・カーンの元マネージャーが脚本、監督を務め、前作『ダンガル、きっと強くなる』で幼少期の主人公役として出演したザイラー・ワシームが主演を務めています。

 近年公開された『きっと、うまくいく』、『PK』という映画はボクがインド映画に目覚めるきっかけになった作品です。歌と笑い、涙と感動の娯楽作でありながら、教育や宗教と言った社会的なテーマを扱った、この2つの作品は生涯で何回 出逢えるかというレベルの作品でした。その二つの作品を主演・プロデュースしたのがアーミル・カーン。2013年にタイム誌で『世界で最も影響力のある100人』に選ばれたそうですが、マジで尊敬に値する人、とボクも思ってます。

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 ちなみにインド映画の歴代興収1位がアーミル・カーン主演の『ダンガル きっと強くなる』、2位が『バーフバリ』、3位がこの『シークレット・スーパースター』、4位、5位、6位が今年の超大傑作『バジュランギおじさんと小さな迷子、それにアーミル・カーンの『PK』、『きっと、うまく行く』。『シークレット・スーパースター』以外は全部見てますが、名画のオンパレードです。

 だから、この映画は期待のハードルはめちゃめちゃ高かったのですが、それを軽やかに飛び越えた作品でした。
●ポスターは日本版より現地版の方が100倍的確です。
んえ

 唄が上手な14歳の中学生、インシアは学校でも有名です。本人もいつか歌手になることを夢見ています。
●主人公のインシア

 家には教育は受けてないけれど優しいお母さんと可愛い弟がいます。

 しかし父親は女の子なんかどうでもいい、仕事も教育もどうでもいい、さっさと結婚して嫁に行け、という態度です。母親に対しても気に入らないことがあれば、どなる、殴る、けがをさせる。酷い物です。
●インシアのゴミ親父。エンジニアですが家父長として独裁的にふるまっています。

 これはこのゴミオヤジだけの問題ではなく、程度の差こそあれ、インドの女性が置かれている立場を表しています。前作の『ダンガル』でもインドの女性問題を取り上げていましたが、アーミル・カーンはそこに問題意識を持っているのでしょう。

 しかし、こういう映画で難しいのは、歌がある程度うまくなくてはお話しに説得力がでないことです。ところが、主役のインシアを演じるザイラー・ワシームの歌、結構良い。すごくうまい訳ではありませんが心を打つ、切々とした声です。前作ではレスラーとして驚くような運動神経を発揮して闘っていた子ですよ。今度は歌で説得力を発揮している。すごいです。


 娘を見かねた母親は自分の母の形見のネックレスを売ってノートパソコンを購入します。なんと優しい母親でしょう。インシアは顔をブルカで隠したまま、歌をYouTubeに載せたところ大ヒット。

 
 最近は映画でもネット絡みの話が増えてきましたが、因習や差別を受ける女性やマイノリティこそテクノロジーの恩恵を受ける場合もある、ということが非常にうまく表現されたくだりです。観ていてワクワクする。
●一見 和やかなシーンですが、母親(右)の眼の周りはクソ親父の暴力であざができています(怒)。

 しかし、それもつかの間、新聞にまで取り上げられた彼女を見つけたクソオヤジがなけなしのパソコンをぶち壊して、インシアに歌を止めるよう言い渡します。

 ここで現れるのがアーミル・カーン演じる音楽プロデューサー。かっては大ヒットを飛ばしたものの、傲慢な性格が嫌われて、落ち目になっている彼は、インシアの歌を聞いて、歌手になりたいなら連絡して来い、と 電話をかけてきます。
●今回 アーミル・カーンは脇役に徹しています。存在感はありすぎですが。

 アーミル・カーンはいつもとは打って変わって、派手で傲慢な芸能関係者を演じています。これがまた、うまい(笑)。表情の変化だけで観客を納得させてしまう演技は健在です。

 遠いムンバイでのレコーディングに誘われたインシア、勿論親も学校も許さない。それどころか、彼女は飛行機にすら乗ったことがありません。迷うインシアを、気が弱いけどお茶目な同級生チャンランが背中を押します。
●インシアを陰から助けるボーイフレンドのチャンラン。最初は頼りなげに描かれていたこの子の存在感がだんだんと大きくなっています。この映画はこれからの女性像だけでなく、男性像も明確に提示しているところもすばらしい。

 彼女のレコーディングシーンはこの映画の中盤のクライマックス。ここで最初の号泣(笑)。このシーンは本当に素晴らしい。撮影や脚本だけでなく、声そのものが良いからなんです。これは天賦の才能としか言いようがない。

 時を同じくして、クソバカオヤジはサウジへの転勤話が持ち上がり、家族についてくることを強要します。しかも、まだ15歳になるかならないかのインシアには中学校を卒業後、お見合い相手と結婚することも命令します。

 そんなこともあってインシアは母に父親と離婚することを勧めます。
 ですが、今まで味方をしてくれた母親は、今度はインシアに一緒にサウジへ行き、結婚することを勧めます。祖母も母も、今まで女性たちはそうやってきた。家族は皆そうやってきた。それが幸せじゃないのか。 母はそう言うのです。

 インドの女性たちを取り巻く因習、社会的な偏見が女性たちをも強く縛っていることには愕然とします。でも程度の差こそあれ、自縄自縛する社会の壁、因習の存在は日本の我々だってかわりませんよね。賃金の差だって、社会進出度だって、女性差別社会と言うことでは日本はインドに引けを取らないのですから。

 インシアは優しい母の言葉に背くことはできません。彼女は自分の夢を、自分の人生を諦めてしまわざるをえないのでしょうか。
 

 お話しはアップダウンを繰り返しながら進んでいきます。ここいら辺の展開はインド映画ならでは、ですが、とってもうまい。3時間近い長編映画でも全く退屈しません。ここいら辺の娯楽映画としての完成度の高さはハリウッドにも全然負けてないと思う。日本映画なんかお呼びでないのは言うまでもありません。


 笑って、泣いて、はらはらする、そしてとびきりの感動が待っています
 『きっと、うまく行く』、『PK』、『ダンガル』、それにこの『シークレット・スーパースター』と超高次元でエンタメと社会性を両立させた作品群は、まさにアーミル・カーン最強伝説としか言いようがない。
 

 最後は感涙・感涙・また感涙。客席では多くの人が鼻をすすっているのが判りました。客席で観客がこれだけ泣いている映画は『この世界の片隅に』以来です。それくらい、いや、それ以上に素晴らしい。

 ところが、主演の女の子はこの作品と続いて撮影された『ダンガル』で俳優業を引退してしまったそうです。理由は『宗教的な生活が送れなくなったから』と言っています。真意は判りません。映画が2本も世界的に大ヒットし、演技を絶賛された彼女自身も数々の賞を受賞しても、女性に対する宗教的、因習というプレッシャーがあるらしい。

 まだまだ、我々は戦い続けなくてはいけない。そういうことも含め、多くの女性と一部のまともな男性、それにチャンランのような男の子に勇気と希望をもたらす、見ないと損する映画です。

『シークレット・スーパースター』予告編

『後進国と認める勇気(笑)』と『0830再稼働反対!首相官邸前抗議』、『#0830文科省前抗議』

 いやいや、もう8月も終わりじゃないですか。今年も3分の2が過ぎてしまいました。
 誰もが言うことですが、歳を取ると時間の進み方が早い。それに1年の後半は前半より駆け足になるように思えます。寒くなってきたら、余計に他人と関わりたくなくなります。布団から出たくなくなる(笑)。
●以前行って、すっかり気に入ってしまった神宮前のチョコ&アイス。2種類のチョコにオレンジピールが入った、まさにダイエットの敵(笑)ですが、2か月に1回だけ誘惑に身を委ねています。オーナーの親戚の牧場の牛乳で作っているというアイスクリームはコクがあって美味しいんです。


 今週 丸の内を歩いていたら異様な煙が上がっていました。

 オリンピックの暑さ対策のテストで霧を噴出させているようです。が、湿っぽいだけで全然涼しくない。こんな天候と判っていながら、嘘や賄賂まで使って立候補したんですから、精々日本の恥をさらせばいいと思います。


 
 さて、今週 日本版ニューズウィークに共感できる記事がありましたので、皆さんとシェアします。題して『日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう
www.newsweekjapan.jp

 内容を要約するとこんな感じです。
日本の平均賃金はOECD加盟35カ国中18位でしかなく、相対的貧困率は38カ国中27位、教育に対する公的支出のGDP比は43カ国中40位、年金の所得代替率は50カ国中41位、障害者への公的支出のGDP費は37カ国中32位、失業に対する公的支出のGDP比は34カ国中31位

日本は後進国に転落したという事実を謙虚に受け止め、これを逆手に取って、もっと狡猾に立ち回る企業が増えてくれば、袋小路に入った日本経済にも光明が差してくるのではないだろうか。

 こういうことはいつも書いていますけど、1000%賛成です。下には下があるから(笑)後進国かどうかはともかく、今の日本は衰退国です。現実を直視しなければ、明日はない。

 まだ日本のGDPは世界3位だし、貿易黒字も山ほどある という反論もあるでしょう。しかし、現実に相対的貧困率は高いし、既に一人あたりのGDPは世界20位にも入っていない。今でも、もう、日本は相対的には豊かではないんです。外国人がいっぱい買い物に来てることを考えれば、当然理解できるはず。


 もっと問題なのは日本の将来性です。
 例えば、これからはサイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学)、マスマティックス(数学)の頭文字を取った「STEM(ステム)」教育が重要、と言われています。ボクはSTEMより哲学や歴史の方が重要とは思いますが、STEMが重要であることは間違いないですよね(笑)。
 ちょっと前のもの(2016年)ですが、各国の卒業生数の比較がありました。人から教えてもらって、『え~』と驚いたんです。
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forbesjapan.com


 少なくとも、この分野では日本の将来性は明確です(笑)。中国やアメリカに負けているのは当然としても、イランやインドネシアにも負けているんです。だいぶ前 ゴールドマン・サックスが2040年か50年にはインドネシアが日本のGDPを超えると予想してましたが、こういうことなんでしょう。

 これは一例に過ぎません。今週火曜日に報じられた年金検証に現れているように、少子高齢化や経済の低成長が見込まれている日本の将来は厳しい。しかも新興国を中心に他国はどんどん成長していくのですから、いずれ日本が後進国に転落する確率はかなり高い、はず。
 だったら、後進国なら後進国なりのプライドを持たなくちゃ(笑)。

 今は税金にしろ、働き方にしろ、国も我々もやり方そのものを考え直すタイミングじゃないでしょうか。


 それでは 今の日本の政界はどうなっているのでしょう。定期的にブリーフィングをしてもらっている大臣の元政策秘書氏から聞いた最近のお話をします。

 まず、これから安倍晋三憲法改正へ向けてアクセルを踏むそうです。国内も海外も日本はそれどころじゃないはずなんですけど。
 そのために内閣改造人事で永田町は持ちきり、だそうです。

 失言が多い外務大臣の河野は交替して茂木が横滑り、憲法改正に慎重な大島衆院議長は同年代の二階とセットで交代させる予定だったが、安倍側近の荻生田が7月末に『大島変えろ』と失言してしまったために揉めている(笑)、と聞きました。

 憲法を変えるためには今後10年は消費税を上げない、と安倍晋三は断言しているそうです。もちろん将来の財政がどうとか、社会福祉をどうするとかの構想はなし。それで総理大臣が務まるんですから呑気なものです。

 米中の貿易戦争は今後も長引くようですが、今 ささやかれている最悪のシナリオは、『対中関係がうまく行かない、支持率も上がらないとトランプは選挙のためにイランに軍事介入する恐れがある。そうなると日本も一気に危機モードに陥る』というものだそうです。

 ブッシュのインチキなイラク戦争が良い例で、あれだけペテンそのものの戦争でも戦争となれば、現職の大統領の立場は強まります。いかにもトランプがやりそうなことです。

 一方 憲法改悪の動きが強まるにつれて野党は共闘の機運は高まってきましたが、政策の方向性ははっきりしないし、現実に支持率は全く上がっていない。唯一 れいわだけは支持率が上がっているけれど、これは野党共闘に加わるかどうかは判らない。


 そんなところだそうです。与野党ともに政治家は全然先のことを考えてないですよね。社会をどうしていったら良いか考えてない。
 役人に言えば何か出してくるでしょうけど、自分たちに不利になるようなことや抜本的な事は当然しない、ですから、やっぱり、それが国民大多数にとっての解決策になるかどうかは判らない。

 そうだとしたら我々一人一人が自分の将来を考えるしかありません。
 例えば年金が足りないのは困る~とか寝ぼけたことを言ってるヒマがあったら、年金の税負担を高めることにして一人一人に増税をするか(消費税)、金持ちから税金を取るか(相続税所得税、金融課税)、それが嫌なら、年金受け取り年齢を後ずらし/年金を減らすか、そういうことから選ぶしかない。勿論、自分は自分で貯金しながら(笑)。

 野党はそういうことを含めて、トータルの方向性を出していかなければ、いつまで経っても安倍は倒せないと思う。今のままではヤバいということはゴミウヨはともかく、普通の国民なら判っているのですから。山本太郎のようなバカが言ってるように消費税を無くしたって、根本の問題は解決しない。むしろ安倍晋三が喜ぶだけ。


 下の表は以前にもあげましたけど、これからは社会民主主義の西欧型(独仏伊)をめざすのか、経済的にも政治的にも自由な北欧型を目指すのか、新自由主義アングロサクソンを目指すのか、開発独裁の中国・シンガポールを目指すのか、それとも北朝鮮を目指すのか(笑)。
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 このような大きな方向性を議論すれば与野党の対立軸ははっきりするし、国民も多少は考える、と思います。野党はそういう方向性、構想を出すべきだと思うんです。

目指すべき方向性がハッキリしないから アベノミクスという新自由主義(政治的&経済的自由大)と金融緩和(経済的自由大)と大きな政府(政治的自由小)が入り混じったキメラのような経済政策を止められないんです。本来野党が唱えるべき賃上げなどの政策をパクられて延命に手を貸しているんですよ(笑)。
*キメラ=『異質同体』のこと。ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つギリシア神話に登場する怪物「キマイラ」に由来する。

 だいたい、今の日本に韓国がどうとか言ってる余裕なんかないじゃん😁。支持率や視聴率の為に他国へのヘイトを利用する政治家、マスコミ、タレントは文字通り、『恥を知れ』だけど、それに乗せられる国民はバカだけでなく下等だわ。さすが後進国!😁



ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
今週は久しぶりに地方出張で空港から官邸前へ直行です。5時羽田着なら官邸前へ行くのは丁度のタイミングです。お土産の馬肉の刺身を抱えて😁官邸前へ。午後6時の気温は28度。今日も参加者は200人くらい?

●抗議風景

 今週木曜、かねてから報じられていた東電、中電、東芝、日立が原発の共同事業化に向けた基本合意が行われたことが報じられました。
www.nikkei.com
 
 新聞によればメーカー(東芝、日立)は『原発事業者の賠償額に上限を設けない「無限責任」を定めた原子力損害賠償法の見直しがなければ、踏み込んだ連携はできない』としているそうです。恐ろしいと思いません?連中は『事故が起きても、全ての責任を取ることはできない』と言っているんです。本音では彼らは原発事業をやりたくない、と思います。
 今のところ政府は『これ以上の原発優遇は国民の理解が得られない』として、法律の見直しは否定しています。原子力損害賠償法の見直しなんか絶対に許してはいけません。
 この『事故が起きても、責任を取ることができない』というのは原発の本質を表しています。デマでもなんでもなく、原発事業者が自分で言ってるんです(笑)。国民は良く理解した方がいいですよ(笑)。

 今日はもう一つ『ヤジの権利は保障されない』と言う驚くべき文科大臣、柴山への抗議です。#0830文科省前抗議
 ビルの谷間に怒りのコールと太鼓がこだましてました。『詳細もまだ決まってないのに民間業者のテストを大学入試に使う』ことに講演会で抗議した慶應の学生は柴山の取り巻きにベルトをちぎられたっていうんでしょ。柴山、マジ、中国共産党じゃん。
●抗議風景2

柴山昌彦、恫喝やめろ』

柴山昌彦 勉強し直せ、幼稚園から勉強し直せ!』

『国民脅す大臣やめろ!』

『民間業者の声を聞くより学生の声聞け!』