特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ポピュリズムと物語』と『0607再稼働反対!首相官邸前抗議』

 この前 銀座で、松江の名物という鯛めしを食べに行ってきました。
f:id:SPYBOY:20190430185031j:plain

 普通は鯛ごと炊きこんで仲居さんにほぐしてもらうんでしょうけど、ここの店は炊立てのご飯に鯛のそぼろ等の具を載せ、鯛の骨の出汁をかけて食べる。

 ま、味はフツ―(笑)、です。まずくはないけど、すごく美味しいというわけでもない。出汁は良かったから、まあ、美味しい、そんな感じです(笑)。

 その鯛めしを食べに行ったのは、それを出す松江の旅館『皆美』が、戦前の自由主義ジャーナリストで戦中に亡くなった清沢洌が名著『暗黒日記』を書いたところだからです。

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)


sbc21.co.jp

 戦前 東洋経済などで外交や経済で自由主義的な言論を発表していた清沢は、治安維持法の成立後 軍部の弾圧で執筆活動を封じられました。雑誌側も本人も抵抗しましたが、配給制になった紙の供給まで止められてはどうしようもなかった。
 仕方なく清沢は東京を離れ松江の旅館『皆美』に長期逗留、そこで日本の敗色が濃くなっていく日々を綴った『暗黒日記』には『当時の軍部や政治家が如何に腐っていたか、国民が如何にアホだったか』が如実に書かれています。
●暗黒日記を引用して呟く『暗黒日記bot』より


 この本を読むたびに、今と比べてどうなんだろう、と思ってしまうんです。政治家や国民のアホさ、無関心、フェイクニュースまで、今とあまり変わらないんじゃないでしょうか。


今週末は『安倍辞めろ』デモもあります。様子は月曜日の更新で。



 少し前 311以降のさまざまな抗議に参加している社会学者の木下ちがや氏(こたつぬこ)が

「社会を変えよう」といわれたら

「社会を変えよう」といわれたら

こう言っているのを見て、なるほど~と思ったんです。

 『実現できないことを掲げないとつかめない層』簡単に言えばアホってことですが(笑)、BREXITやトランプに投票したり、小泉改革アベノミクスを支持した庶民はまさにそうだと思います。自分で自分の首を絞めているのですから。フランスの黄色いベスト運動もそうですよね。次第にただ暴れるだけの連中が増えて、それを極右・極左が煽ってた。

 前回の参院選では、ボクは東京地方区は山本太郎に投票しました。自民の武見と山本太郎が最後の議席を巡って競り合っていたからです。ボクの投票基準は、どちらがマシか、ですから(笑)。

 しかし判っていたこととは言え、当選後 山本太郎や周りの連中三宅洋平とか岩上安見とか田中龍作、中核派もどきも居た)はアホとデマばかりで流石にうんざりしました。
 山本太郎はたまには良いことをやっているとは思うけれど、原発即時ゼロ等の非現実的な発言はかねがね、嫌だなーと思ってました。自民候補を当選させるよりはマシですが、功罪を考えれば罪の方が大きい
 実現できないことを掲げるのは、むしろ現実の変革の足を引っ張ります。総理大臣当時の鳩山の『(米軍基地は)最低でも沖縄県外』が良い例です。

 山本は最近は『MMT』や『反緊縮』『財務省潰せ』とか言ってるらしい安倍晋三は史上最大の予算を執行して財政赤字が拡大してるのに何が反緊縮だよ(笑)。こいつは本当にバカだと思います。
 

 過激なことを言って大衆受けしても、まともな人には笑われるだけです(笑)。それでは現実的な力を持つことは絶対にできない。民主党政権がダメだったのは最初は官僚を排除するばかり、後半は官僚に頼りきり、結局 コントロールできなかったのが大きな理由の一つです。
 世の中を動かしているのはデマや空理空論ではない。実務の出来る『まともな人』です。少なくとも官僚は実務は出来る(はず)。腐りきった1割くらいは捨てなきゃいけないかもしれませんが、残りは使いこなさなきゃ。それが頭を使うってことです(笑)。


 しかし、国民の中には現実に理屈じゃなく判り易い信仰を求めている人も一定数 存在しています(笑)。一定数どころか、少なからずいるのかもしれない。ポピュリズムとも呼んでもいい。木下氏は『そういう層を取り込むには山本太郎は有効じゃないか』というのです。

 もし山本太郎が居なければ、信仰を求めている人は『維新』や『NHKから国民を守る党』、『日本第一党』などの極右に行く可能性は高い(笑)。信仰を求めている連中は自分の憂さを晴らせれば何でもいいんです。リベラルとか左とか言ってても、脳味噌が足りないところはネトウヨと大して変わらない。


 そういう層には、なかなか理屈は通じにくい。それだったらバカの票は山本太郎に吸い込んでもらうのもいいんじゃないか。確かに合理的な判断ではあります。ただボク自身はバカは嫌いだし、時間がもったいないので関わり合いになりたくないですけどね。

 世の中の常として、考えることができない層は一定量居るのは間違いないので、山本太郎のようにゴキブリホイホイの役割を果たす存在は当面 仕方がないことかもしれません。毒を持って毒を制す、アホを持ってアホを制す(笑)。ゴキブリホイホイは使い捨てですしね(笑)。
 ただゴキブリホイホイもマトモな人が副作用は極力抑えないといけないとは思います。



 もう一つ、関連する話題です。
 前々から書いている通り、元号というものは不便且つ不愉快な存在です。日本の伝統でも何でもない。日本人の井の中の蛙意識を増長させ、日本人の頭を悪くするだけの邪習でしかありません。勤務先でもボクが音頭を取って元号を社内の書類から完全追放したくらいです。

 その元号について、今週水曜日 作家の池澤夏樹が朝日朝刊でコラムを書いていました。
f:id:SPYBOY:20190606063617j:plain
www.asahi.com


 元号について述べた、以下の書き出しは当然として、

今回の皇位継承は諒闇(りょうあん)なき祝祭だったから世間がはしゃいだのは当然としても、お祭り総理の音頭取りでメディアをはじめ みなよく踊ったものだ。制定の過程を見ていてわかったのは、元号とは天皇制の権威を背景に官邸が国民に下賜するものだ、ということだ。

 末尾のこれはその通り、と思いました。

数ある祝日の中で最も無意味に思われるのが二月十一日
 中略
国民統合のためにどうしても必要と言うのなら、やはり今の「国体」ができた日本国憲法施行の五月三日がよかったと思う。
 いくたび元号を変えようとも、変わらない陰の元号がある。 「戦後」。


 池澤の言うとおり、日本国憲法施行の日が建国記念日だったら、我々の日本という国に対する意識もだいぶ違ったと思うんです。

 国家の成立には、国民の間で共有できる何らかの『物語』があります。イギリスの名誉革命フランス革命アメリカの独立戦争中国共産党の長征、ボクの知る限り、国民国家というものの存在には全て何らかの『物語』がある。国民の意識を統合するための物語、象徴です。それを具現化したものが『憲法』なんでしょうか。


 ところが戦後の日本は、国民の間で共有できる『物語』がはっきりしない。そこに不満を持つ人は左右を問わず、居るわけです。
『太平洋戦争敗戦による民主化』というのは戦後しばらくの間は国民の間で膾炙するものになっていましたが、GHQの力を借りたものですから、物語の力としてはどうしても弱い。『(日本人自ら)敗北を抱きしめた(ジョン・ダワー先生)で納得できない連中というのはどうしても、出てくる。

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

 そういう連中が、大日本帝国を持ち出す。連中の、美化や歪曲した歴史修正主義は最初は常識ある大人には笑われるだけでしたが、戦争の記憶が薄れるとともに多少は力を持ってくるのも理由がある。また自称保守派や丸山穂高のような連中が国家とか道徳とか家族観とか、実態は自分たちの私生活と相反するような規範を持ち出したがるのも(笑)、国民統合の物語がはっきりしないからです。

 嫌韓とか嫌中とか言ってるネトウヨ連中も物語を求めている。実生活が惨めだからこそ、それを忘れさせてくれる、自分のアイデンティティとなるような大きな物語が欲しいんです。ちなみに元事務次官に殺されたひきこもりの息子もゲームのドラクエ廃人であるだけでなく、ネトウヨでした(笑)。




 特に最近は戦争の記憶が薄れ、新自由主義の大波がやってきて格差が広がり、将来の不確実性が拡大し、日本経済は沈没しつつある。それに対する不安から、右左関係なく、国民統合の物語への欲求が高まっているのではないでしょうか。ナショナリズムですね。

 元々ボクは『ナショナリズムは愚か者の最後の隠れ家サミュエル・ジョンソンと思ってますけど、日本の場合は物語がはっきりしていない分だけ、ナショナリズムは不健全なポピュリズムに転化しやすい。だから、他国のものより悪質です。
f:id:SPYBOY:20190605164752j:plain


 そして、池澤が言うとおり、1945年以降 日本の元号はずっと『戦後』でした。昭和でも平成でもない。

 白井聡流に言えば、『アメリカ従属』という新たな天皇を戴く国体がずっと続いていた。安倍晋三などがやろうとしているのは『アメリカ従属という国体を守りながら、新たな国民統合の物語を作ろうとしている』です。それが改憲の意義です。まあ、アメリカに従属しながら国民統合をしようなんてもともと矛盾していますから、ムリ筋の笑い話かもしれないんですが(笑)。

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

 
 だけど、それに反対する側も厳しい。
『9条守れ』じゃ、物語としては全然ダメ。統合の物語が欲しいという人々の潜在欲求に応えることができない。立憲主義』じゃ意味がわかんない(笑)、統合の物語としては全くムリ(笑)。あとアメリカ従属反対』も物語としてはダメ(笑)。それだけでは別に何か建設的な話、新しい物を創るような話ではありません。アメリカ反対もいいけど、じゃ、どうするの?ってことになる。
 沖縄のように地域のアイデンティティを前面に出せば統合の物語に成り得ますが、日本全体ではありえない。そもそも『××反対』っていうのは、ワクワクしない。

 国民統合の物語なんか要らない、というのも一つの考え方です。ボクはそう思っています。日本なんかアメリ51番目の州になって解散しちまえばいい(笑)。経済でも政治でも安全保障でもその方がメリット大きいからです。天皇はどこかの神主にでもして、神棚の上で飾っておけばいい。


 でも大勢の人がサッカーやオリンピックに熱狂するのを見ていても、右左に関わらず統合の物語、シンボルを持ちたいと言う欲求に耐えられる人はそれほど多くないと思うんです。


 だとしたら民主主義を守ろうとする側も、改憲に代わる『物語』を提示していくことが必要になります。唯一可能性があるとしたら、『経済』、『福祉』でヴィジョンを作り出すということでしょうか。しつこいけど、立憲主義や9条守れ、アメリカ従属、じゃ全然だめ(笑)。コンセプトがずれてる。
 現状のかなりお寒い状況を考えると、いよいよ『戦後』という元号が終わろうとしているのかもしれません



 ということで、今週も官邸前へ
 今日は生憎の雨。西の方は大雨のところもあったみたいですね。でも抗議が始まる頃には殆ど止みました。
今日の午後6時の気温は18度、参加者は100〜200人くらい?。今までで一番少なかったかも😁
●抗議風景

 今週は原発関連で驚くべきニュースが2つ、ありました。
 一つ目は『横浜市でこの4月、放射能汚染土を敷地内に埋設している保育園で園児2人が白血病に罹患していることが判明』したという恐ろしいニュースです。
headlines.yahoo.co.jp
headlines.yahoo.co.jp
www.kanaloco.jp

 こういうのはガセネタが多いものですが、朝日、神奈川新聞と複数のマスコミが報道しているし、白血病が出た保育園で市が説明会を実施していますので、事実です。
 依然 横浜市は『安全性』を強調しているようです。もちろん、園児の白血病と汚染土の科学的な因果関係を証明するのは困難です。そんなことはできないと思う。だけど、安全という証明も難しい。だとしたら予防原則で対処するしかないと思います。
 そもそも横浜市が保育園や小中学校に汚染土を埋めているのか全く理解できないです。うーん。もともと中学校の給食を拒否する野蛮な自治体です- - -。横浜なんか、絶対住みたくないな。


 もうひとつ。こっちの方が大問題。日経産業が今週3回にわたって記事を載せた『サイクル政策の蹉跌』です。内容は11年の原発事故後、核燃料の再処理を見直そうとしながらも事実上、撤回した民主党政権を振り返ったもの
www.nikkei.com
www.nikkei.com
www.nikkei.com

 これが非常に面白い。勉強になりました。長くなりますが大事なことばかりなので、内容をご紹介します。

1.民主党は12年末の総選挙で原発ゼロを本気で公約に掲げる方針で核燃サイクルもやめるつもりだったが、青森県の反発で核燃サイクルを止めることが出来なかった。当時 ちょうどイギリスから再処理後のガラス固化体が輸送中で、核燃サイクルを止めるならガラス固化体を受け入れないと青森県に拒否されるとガラス固化体の行き場が無くなってしまう、のが理由だった。

2.米原子力協定に関する協議で、民主党アメリカに『原発ゼロ、核燃サイクル継続』と方針を説明したが、アメリカには『日本は核兵器の原料となるプルトニウムを作り続けるのか』と拒否された。同時に、『アメリカの原子力産業は日米合弁であり、日本が原発から撤退すれば米国の技術も衰退する恐れがある』、『日本が原発から撤退すれば、中東での資源獲得競争が激しくなる』との理由も提示された。

3.11年の事故直後 原子力委員会(当時)は『コストが高すぎる』として再処理を止める案を提案しようとした。しかし、その検討内容が『何故か』新聞やTVに漏れて『原子力委員会の秘密会議』として非難され、民主党政権は再処理放棄の案を採用しなかった。


 どれも非常に考えさせられる問題です。当時『電力労連がいるから民主党脱原発に本気ではない』とボクは思っていたので、民主党が本気で原発を止めるつもりだったが、出来なかったと言うのは意外でした。また、バリバリの保守派の長島昭久アメリカへ説得に行った、というのも意外でした。だから失敗したのかもしれませんが。

 民主党脱原発が果たせなかったのは、直接的には『1のように政治的手腕の拙劣さや運の無さ』、『2のように理論武装の不足』、『3のように原発村のリーク』などが理由です。が、原発を止めるということは困難だし、時間もかかることが良く判ります。間違っても山本太郎のように『原発即時廃棄』なんて、簡単に言えるわけがない。アホというだけでなく、鳩山元首相より無責任です。

 と、同時にこれらの事柄は解決できる問題でもあります。アメリカの言い分だって当時と今とでは事情は全く変わったし(シェールや東芝壊滅、自然エネ)、少なくとも理論的にはクリアできる。もちろんエネルギー安全保障や地元への補償など他の問題もあります。でも、時間と意志、知恵を持てば、我々は原発から脱却できる、改めてボクはそう、思いました。
 

 

紺色の女:映画『コレット』

 6月になって、そろそろ梅雨の足音が聞こえてきました。雨が降るのも良いんですが、ズボンの筋が消えちゃうのが嫌なんだよなあ(笑)。
 
 今度はトランプはイギリスに行ってるそうですね。それに対してロンドンでは大勢の人が抗議しています。BREXITでは今のイギリス人はバカの集まりかと思いましたが、流石 腐っても鯛、国民の知性も日本とはえらい違いです。

www.bbc.co.uk

 こういうのを見ていると彼我の違いはさすがに考えさせられます。国民の意識、だけではありません。日本では警察がトランプへの抗議を無理やり排除しました。もちろんマスコミも報じない。一方 イギリスでは白昼堂々と抗議が目抜き通りを埋め尽くす。BBCはこうやって抗議を世界に発信する。
 イギリス人と日本人、やっぱりレベルの差は想像以上に大きいようです。
●動画

●代わりと言ってはなんですが。今週末は忙しそう。




 ということで、新宿で映画『コレット

colette-movie.jp

舞台は19世紀末のフランス。ブルゴーニュ地方の農村で生まれたコレットキーラ・ナイトレイ)は14歳年上の作家ウィリー(ドミニク・ウェスト)と結婚、パリの社交界にデビューする。当初は戸惑うものの、芸術家たちの集うサロンでの華やかな生活になじんでいく。派手な生活で借金に苦しむウィリーは彼女に文才があることに気づき、彼女の幼少時のことをつづった小説『クロディーヌ』シリーズを執筆させ、ウィリー自身の名前で出版する。小説は大ヒット、パリで大きなブームとなるが、コレットは度重なる夫の浮気と自分が小説を書いたことが認められないことに悩みを持つようになる。さらに彼女は自分は男も女も愛せることを発見する- - -

 フランスの代表的な女性作家、シドニー=ガブリエル・コレットの生涯を描いた作品。
 読んだことがありませんが、性の解放を主張し、男女を問わず多くの恋愛を続けながら数々のベストセラーやオペラの台本を出し、自ら女優としても舞台に立ち、死後は国葬で送られた人だそうです。
 また無名時代のオードリー・ヘップバーンを見出し、自作のオペラの主役に抜擢、彼女をスターダムに登らせるきっかけを作った人でもあるそうです。
 監督は認知症をテーマにした『アリスのままで』のワッシュ・ウェストモアランド、主役はキーラ・ナイトレイ
●画面はまるで印象派の絵画の一コマのようです。

 お話はブルゴーニュの農園から始まります。そこで父母に育てられる美しい田舎娘、コレット。彼女の下に田舎にはそぐわない都会的な男が通ってきます。コレットの父の軍隊時代の友人の息子でパリで作家兼編集プロダクションをやっています。どうみても場違いですが、コレットに気があるようです。
ブルゴーニュの田舎娘、コレット

 やがて農園を辞す男。コレットの父母は嫁にやるべきかどうか相談を始めます。その一方 庭に行くと言って外出したコレット、実は納屋で男の上にまたがっていました。冒頭から自分の欲求のままに生きる女性の姿が示されます。
●都会の男(左)はブルゴーニュの農園には場違いに見えます。しかしコレットにとっては、それが憧れでもありました。


 都会の作家 ウィリーと結婚し、パリへでた田舎娘コレット。当初は華やかな文壇のサロンになじめませんが、次第に打ち解けていきます。一方 ウィリーは表面上は優しいけれど、金遣いも女遊びも荒く、家計は火の車。
金が回らなくなったウィリーは彼の手紙を代筆していたコレットの文才に気が付くと、彼女にブルゴーニュでの生活を小説にするよう勧めます。はたして小説は大ヒット。パリ中でブームが巻き起こります。

 いっぽう コレットはウィリーのやまない女遊びに加えて、自分自身が社会的に認められないことに不満を募らせます。

 そんなコレットは自分が女性も愛せることに気が付く。そしてサロンで出会った既婚のアメリカ人女性と愛人関係になります。一方 ウィリーはその女性とも愛人関係を結んでいました。なんと奇妙な三角関係が始まります。
コレットアメリカ人実業家の妻(左)と愛人関係になります。

 ベル・エポックからアール・デコへ移り変わっていく時代。画面に映るインテリアや雰囲気は見ていて楽しいです。これと同時代の朝香宮邸をそのまま使った庭園美術館を見ているみたい(笑)。元来 保守的な時代です。同性愛を隠そうともしないコレットのような女性の居る場所は無かったはずです。それをものともせず、コレットは時代を切り開いて行く。

 
 ここでのコレットは奔放で欲望のままに生きているというより、思慮深く、懸命に自分という存在を探しているように描かれています。やはり女性監督が撮っているからでしょうか。
●圧倒的な美しさ。紺色が良く似合います。

 コレットはしょうもないクソ男を中々切り捨てることが出来ない。ボク自身は『こんなゴミ男なんかさっさと放りだせ!』と思いながら見ていたのですが(笑)、こういう描き方も共感できます。人それぞれではあるけれど、たいていの人は迷いながら生きていると思いますから。

 それでもコレットはクソ男に愛想を尽かして自立、自分の名前で小説を描くようになります。と、同時に新しい愛人と舞台を始めます。舞台の上で同性の愛人と共演することでスキャンダルが巻き起こりますが、もう彼女は動じません。


 奔放な女性ですが、キーラ・ナイトレイが演じるとやっぱり品よく見えます。あと、やたらと紺が似合う。美しい!この人のファッションを見ているだけでも目の保養です。いいなあ。
 波乱万丈の人生を送ったコレットという作家の前半生に焦点をあてたお話は弱冠 尻切れトンボのような気もしましたが、一人の女性が精神的にも経済的にも自分を確立させる過程に絞ったのでしょう。
 美しい映像と美しいキーラ・ナイトレイを見ているだけでも充分 元が取れました。

キーラ・ナイトレイが自由奔放な女流作家に「コレット」予告編

『日本の競争力』と『0531再稼働反対!首相官邸前抗議』

 もう5月もオシマイです。
毎度のことですが月日の経つのは早い。会社にいる時間が過ぎるのが早いのなら良いんだけど、それ以外の時間はゆっくり過ぎて欲しい。でも逆なんですよねー(泣)。
●桜並木の根元のアジサイが咲き始めました。
f:id:SPYBOY:20190530173848j:plain


 トランプだの、通り魔だの、今週も酷いニュースが続きましたが、そっちは無視。どっちも似たようなものですが、その話題になるとTVは消しちゃいました。内容がない同じ話を延々と垂れ流している、あんなニュースを真面目に見ている人って本当に居るんでしょうか??居るんだろうなあ(笑)。痴呆症(笑)。
●1枚目、この人は元NHKのディレクター


 ただ、今朝のこれは面白かったです。

 
www.jiji.com

 トランプが来日時、横須賀で修理中のイージス艦『ジョン・S・マケイン』の艦名をトランプの目に触れないよう、ホワイトハウスが隠させた、というのです。艦名の由来になった上院議員マケイン氏は昨年亡くなりましたが、共和党タカ派の重鎮にも関わらずトランプと対立していた人です。

 マケイン氏は『MARVERICK』(一匹狼)のあだ名の通り、筋の通らないことには一人になっても平気で反対していました。トランプがオバマケアを廃止させようとした際、脳腫瘍の大手術直後にも関わらず病院から議場にかけつけて共和党に造反、彼の一票がオバマケアを守ったのは有名です。

 艦名が見えようが見えまいがどうでもいいと思いますが、ホワイトハウスにも忖度の小役人がいるわけです(笑)。トランプ政権からどんどん高官が辞めているわけですが、ホワイトハウスに残っているのが、こういうゴミのような人材ばかりだとしたら、アメリカの行く末も明るくない。

 もちろん、忖度役人が揃った日本はそれ以上に危うい。以前も書きましたが、忖度役人や経団連老害ジジイを見ていたら、東大や京大の学生が外資企業を志望するようになったのも当然です。優秀な人間ほど、ああはなりたくないと考えるのは当然。しかも日本企業は給料安い(笑)。

 東大・京大生なんかどうでもいいけれど、優秀な?人材が自国をどんどん離れていくって長期的には国家の存亡にかかわる相当深刻な危機、と思いますよ。
●以前は昨年版を挙げましたが、これは今年の東大・京大生の就職希望ランキング。相変わらず外資やコンサルばかり、特に上位30社中13社がコンサル、国内製造業はゼロ(笑)。日本は物作り大国と言う割には、もはや優秀な学生はモノを作ろうとはしない(笑)。

【永久保存版:東大京大就活ランキング】今、本当に「受ける価値のある企業」はベイン、伊藤忠、サイバー…そして意外な企業が。|就活サイト【ONE CAREER】


 それを如実に表しているのが今週水曜日に発表された、毎年公表されている国際競争力ランキングで日本が30位に転落したというニュースです。




www.nikkei.com
japan.cnet.com

 30位という順位は今までで最下位。東アジアを見ても世界ランキング1位のシンガポール、香港は勿論、中国、韓国、台湾にも日本の国際競争力は劣っています。経済の停滞、政府の債務に加えビジネスの効率性「生産性と効率性」「経営慣行」「姿勢と価値観」などが問題だそうです。

 この順位はスイスの有名ビジネススクールが毎年発表しているもので、定量的なものだけでなく経営者へのアンケートなど定性的、主観的要素も含まれているそうです。だから順位自体は別に気にする必要はないと思いますが、昨年の日本の一人当たり名目GDPは26位、39千ドルですから、競争力が30位というのはほぼ実力でしょう。
www.globalnote.jp

 競争力の順位を傾向値で見ると日本の現状がより一層 表れてきます。


 日本の地位はずっと低下しつづけている。負け続けた平成の30年間、それに輪をかけたアベノミクスの6年間と言ったところでしょうか。

 もちろん国際競争力1位、別名『明るい北朝鮮』と言われる開発独裁シンガポールのような国が良いとは思いません。相続税ゼロ、優秀な人間を早期選抜しエリート教育する反面、汚れ仕事は低賃金の外国人労働者に押し付ける格差社会です。野蛮なムチウチ刑が年間2000~3000件行われるような国でもあります。
 前にも書きましたが、ボクはあの国の外交官と話をしたことがあります。彼らは小国として常に危急存亡の危機感を抱いている。何らかの理由で国が存亡の危機に陥った場合、対岸のマレーシアと合併するプログラムまで準備している。自国を軍事では守れないことは判っていますから。


 一方 日本はどうでしょうか。日本の問題は競争力の低下だけではありません。一番大きな問題は多くの政治家、経営者、国民が危機感を持っていないこと
 昨年来 政治家や経営者は口を開けば『生産性向上』と言いますが、それは利益率の問題です。『日本企業はROE8%を目指せ』という経産省肝いりの伊藤リポート
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/itoreport.pdf
によれば、日本企業のROEが欧米に比べて低いのは売上総利益率が低いためです。売上総利益率は経営者が決めたビジネスモデルの問題です。つまり日本企業の生産性が低いのは経営者の責任です。
 要するに日本の生産性が低いのは経営者がバカだから
●大企業は勿論、中小企業と言えども、まともな給料も払えない経営者なんか要りません。ここがポイント。


 それがいつの間にか 残業止めろ、とか終身雇用はムリ、等のセコい話にすり替わっている。真の原因が放置されたままで生産性なんか上がるはずはありません経団連の歴代会長は電子メールも出来なかったわけですけど、そんなレベルで生産性も減ったくれもない。
 でもマスコミも学者も国民も踊らされるまま。きっと太平洋戦争の直前もこんな感じだったのだと思います。

 国民も呑気すぎ。街中に外国の観光客が溢れているのを見たって、日本がかっての香港みたいな買い物天国になっているのが判ります。●●人が多くてとか偉そうに眉を顰めるバカが居るけれど、今の日本はもう、発展途上国です。
それでもぜーんぜん危機感がない。政治家やマスコミが国民を政治に興味をもたせないように提供する、くだらないイベントや話題ばかりにかまけている。

 いつも書いていることですけど、日本は『バカなくせにプライドだけ高いネトウヨ老人ばかりの活気のない貧乏国』にどんどん向かっています。
経済と政治は劣化し、優秀な人材は他国の企業に逃げ出し、残ったアホ国民の多くは現実を直視しようとしない。日本の将来はせいぜい『中国や台湾、それにこれから発展していくインドネシアやタイ、ベトナムなどの下請け』くらいじゃないですか(笑)。
●昨日 ソニー東芝、日立の液晶部門を国が音頭を取って統合した、いわば国策会社、ジャパン・ディスプレイ(JDI)が中国・台湾資本の傘下になることが発表されました。日本の液晶事業の消滅です。既にJDIには公的資金4000億超がつぎ込まれています。三菱電機NEC、日立の半導体を統合したエルピーダが売られたのに続いて2度目です。
[:W600]



 とにかくボクはアホからの巻き添えを最小限にすべく、極力他人に関わらないように生きていきたいと思います。将来 東京が焼け野原になるのに備えて老後は山籠もりでもした方がいいかも?と思わないではないですが、第2次大戦と同じような破局の仕方は起きないでしょうし、難しいところです。(笑)


ということで、今週も官邸前へ
先週までの猛暑!も何処へやら、今日は曇り空でも過ごし易い陽気でした。午後6時の気温は22度、参加者も300〜400人くらいでしょうか。
●抗議風景



 今週 原子力規制委が関電に高浜、大飯、美浜原発について大山の大規模噴火の影響の想定を従来の2倍、20センチの降灰に引き上げるよう命令を出す方針を決めました。過去の噴火で20センチもの降灰があったことが確認されたからだそうです。

f:id:SPYBOY:20190531150200j:plain

 内閣府の火山噴火の想定では、もとの10センチの降灰でも水道、電気、道路は使用不能になる可能性が高いのに
http://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/pdf/20180911siryo3.pdf
20センチなんて対策を取れるのでしょうか(笑)。地震だけでなく、火山や津波だって多い日本で原発を動かすのはやっぱり、ムリ筋としか思えません。


 先日も関電は原発のテロ対策の遅れで収益に大きな影響を受けることが報じられたばかりです。今回の件でもまだ金額は明らかになっていませんが大きな影響があるでしょう。
●関電の株価 激下がりです
f:id:SPYBOY:20190531150950j:plain

 自業自得ですが、これでもまだ関電は原発固執するのか、不思議でなりません。まるで日本軍のカミカゼ特攻隊みたいです。というか、首脳陣は自分たちだけは大丈夫、と思っているんでしょうね。こういうところもまた、日本の危機感の無さの表れなのでしょう。