特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『平成と大正』と映画『麻雀放浪記2020』

 あああああ~、夢のようだった10連休も今日で終わりです。
 就職して以来、こんなに長く休めたのは初めてかもしれません。楽しかった連休ですが、終わると一層 寂しさが募ります。

 明日からは、まるでタイムスリップのように日常へ逆戻り。何もしなかった自分が悪いんですけど、もう30日くらい休めれば、自分の人生を取り戻せるような気がするんだけどなあ(笑)。
●G.W.の自由が丘の駅前では本物のお菓子の家が飾られていました。
f:id:SPYBOY:20190505005004j:plain

f:id:SPYBOY:20190503161948j:plain


 さて、5月4日の土曜日に東京MXTV田村淳の訊きたい放題』という番組で『元号であらためて考える憲法改正より重要な日米地位協定改定』という特集が放送されました。
 古谷経衡氏と白井聡氏を起用して『日米地位協定』を取り上げるのは、ボクの通っている床屋の主人が客で来ているMXTVのディレクターに企画を提案したものです。本人は『スタジオに収録を見に行きたい』と言い張ったけど、それは却下されたそうです(笑)。
s.mxtv.jp
f:id:SPYBOY:20190506081022j:plain

 番組の内容は白井聡の著書『国体論』を基に、

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

国体論 菊と星条旗 (集英社新書)

現在は日米安保体制が戦前の国体と同じように神聖不可侵のものになってしまっている』、
フィリピンやイタリア、ドイツは地位協定を改定できているのになぜ日本はできないのか』、
日米安保を神聖不可侵にしているのは国民の無知・無関心と政治家・官僚・マスコミの忖度』、
戦後の日本はジャイアンにペコぺコするくせに隣国など自分より力の弱い国にあたり散らす、金持ちの息子スネ夫みたいなものだったが、今の日本は既に金持ちでもなくなっており、スネ夫ですらなくなっている

という議論が行われました。まあ、ごく普通、当たり前のお話です。
●番組の中で取り上げられたフリップは良くまとまっています、番組のホームページにも載ってます。

 番組の中でも触れられていましたが、こんな普通の内容がMX以外の放送局や新聞で、どうして放送されないのか、不思議ですよね。それが『忖度』ということなんでしょうけど、実際 放送しても何の問題もないわけです(笑)。
 
 別に大して難しい話でもなく、街場の床屋で世間話をしながら生まれた企画ですからね。もちろんネトウヨが直ぐ言うように、中国や韓国の資金なんか入ってません(笑)(大ヒット中の映画『主戦場』はネトウヨの間でそう言われているそうです)(笑)
●普通に放送して意見を募れば、そりゃあ、こうなります。

鈴木奈々にこう言われて、官僚や政治家は恥ずかしくないのか?

 1時間弱の番組は司会の田村淳が『また同じ企画をやりましょう。ディレクター頑張って(笑)』と締めて終わりました。他のTV局は元号だの即位だのくだらない話を朝から晩まで繰り返し放送しているくせに、こんなごく普通の内容が放送されない。MXだけでなく、他のマスコミも真面目に仕事をしてほしいものです。

●G.W.の駒沢公園スマホをいじる人の上で寝る犬(笑)。日本とアメリカの関係に似ているかもしれませんが、少なくとも犬は可愛いから、こっちの勝ち(笑)
f:id:SPYBOY:20190505123932j:plain



 さて、新天皇も新元号も『くだらない』以外の感想はないんですが、一つだけ、気になることがあります。

平成という時代は大正という時代に似ていたんじゃないか

 そんな気がするんです。あくまでも印象論で、ロジカルな話ではありませんが。

 平成期の前半は今よりは民主的だったし、経済も良かった。それがバブル崩壊地震などの災害、とどめに原発の大事故で打撃を受けると同時に、格差は確実に拡大した。

 平成期の日本は確実に貧しくなりました。登場人物の冷蔵庫がビールでいっぱいだった20年前の漫画(エヴァンゲリオン)の描写が今では夢のように思えるくらい。


 それを何とかする筈の政治はひたすら劣化。以前から二世や三世の議員にはうんざりでしたが、今はそれより酷い杉田水脈青山繁晴のようにデマやヘイトのような汚物をまき散らすクズが国会議員をやっている有様。


 それでも選挙の投票率は下がり続け国民の多くはくだらないマスコミに煽られて呑気なまんま。右も左もくだらないデマに踊らされている。

 この連休 新天皇の挨拶を見るために皇居に集まったのが14万人なんですって?? ゴミ国民、アホか(笑) ボクだって他人のことを言えた義理ではありませんが、さすがにここまでは酷くない(笑)。


 一方 大正期に起きたのは大正デモクラシー第一次大戦後の好景気。でも、そのあとは世界大恐慌の不景気、農村の困窮、そして関東大震災
 次第に朝鮮や中国の人への流言やデマなどのヘイトが世の中にあふれます。それが関東大震災での朝鮮人虐殺に結び付く。更にマスコミは部数のために中国への侵略を囃したて、バカな国民は熱狂する。時代は次第に排他的な、息苦しい雰囲気になってくる。外国への敵意の次は自国民の少数派に矛先が向くのは相場が決まってます。
 それでも政党政治小沢一郎ばりの政争に明け暮れ、流石に国民は政治に愛想をつかす。その隙をついて視野が狭い低能な軍人や政治家は自分の権力のために国民の無関心を利用し、刹那的な熱狂を煽る。

 ボクは大正時代に生きていたわけじゃありませんが(笑)それでも現在との奇妙な符合を感じるのはボクだけでしょうか。


 昨年見た、大正期のアナキストを描いた映画『菊とギロチン』が印象に残ったからじゃありませんが、今の時代は『大丈夫かなー』という想いがしないでもありません。

 歴史がそのまま繰り返すことはありえない。仮に将来の日本がもう一度 焼け野原になるにしても、70年前とは違う形になるでしょう。それでも新元号で浮かれている頭がおかしい連中がこれだけ居ると暗槓とした気持ちになります。こりゃ、ダメだ(笑)。



 ということで、丸の内で映画『麻雀放浪記2020

www.mahjongg2020.jp

 終戦直後の1945年から2020年にタイムスリップしてきたギャンブラーの坊や哲(斎藤工)は自分が知っている戦後とはあまりにも違う日本を目の当たりにする。社会には大々的にAIが導入される一方、人々は人口減少と再度の敗戦で窮乏している。2020年、共謀罪による言論統制軍国主義化が進む日本。何故か 麻雀が人気を集めている(笑)。
 そんな日本で、クラシックな昭和の打ち筋を買われた坊や哲は、戦争で中止になった東京オリンピックの代わりに国威発揚のために行われる麻雀オリンピックに出場することになるが


 昨年の素晴らしかった映画『止められるか、俺たちを』や今春のTV東京のドラマ『フルーツ宅配便』の白石和彌監督が、阿佐田哲也色川武大の小説『麻雀放浪記』を現代にリメイクした作品。

止められるか、俺たちを [Blu-ray]

止められるか、俺たちを [Blu-ray]

ピエール瀧氏が出演したシーンをカットせずに公開したことでも話題になりました。
●映画館に貼られていたポスター。そもそも、こんなことを気にする方が頭がおかしいです。逆手に取ったプロモーションでもあるみたいですが。

 ボクより上の年代は雀荘とか行ってたみたいですが、ボクは麻雀とかは全く分からないし、やったこともない。興味ありません。色川武大氏の文章は読んだことありますが、別名義の原作小説も全く読んだことがありません。
 幾ら ノっている白石監督とは言え、この作品はスルー予定でしたが、リメイクした設定がとにかくユニークで面白い という評判でしたので、見に行ってみました。
style.nikkei.com

 主演は斎藤工、他にもベッキー竹中直人ピエール瀧的場浩司岡崎体育、そして小松政夫!など豪華な配役です。麻雀をテーマにしたアナクロな設定ですけど、客席は斎藤工を目当てであろう若い女性が多かった(笑)。
それにしても今どき麻雀なんか取り上げてもわかる人って居るんでしょうか?棺桶に片足突っ込んだジイさんだけじゃないですか??
f:id:SPYBOY:20190504224505j:plain

 お話は終戦直後 賭麻雀をやっていた主人公の『坊や哲』(変な名前)が2020年にタイムスリップしてくるところから始まります。麻雀って、終戦直後は盛んだったのでしょうか?とにかく2020年の東京は1945年とも2019年とも全く様変わりしています。
●お話は1945年の東京と2020年を行ったり来たりしながら進行します。ベッキーは1945年当時の雀荘の女主人と2020年のアンドロイドとの二役です。
f:id:SPYBOY:20190504224038j:plain 

 タイムスリップしてきた主人公は自衛隊の国軍化に反対するデモに巻き込まれます。そのデモに対して警察は有無を言わさず暴行を加えてくる。
訳が分からず逃げる主人公。街中には2020年オリンピックのポスターが貼られていますが、敗戦で中止になった、と言われます。どうやら、日本はまた戦争をやったらしい。誰も彼もが不景気そうです。
警察の暴行から逃れた坊や哲は浅草に出現したスラム街に紛れ込み、メイド姿の地下アイドルと知り合いになります。
f:id:SPYBOY:20190504223959j:plain

 さすがに話は荒唐無稽だし、ユニークな時代設定の描写もあっさりしていて悪夢の全体主義的な近未来という深刻さはあまり感じない。ただ、それなりに面白い。

 敗戦後の日本で麻雀オリンピックなるイベントを開催して国威発揚を図る独裁者のピエール瀧

 麻雀オリンピックに出場するAIで稼働する麻雀アンドロイド役のベッキー
f:id:SPYBOY:20190504223842j:plain

 いつもながらのオーバーアクションの悪徳芸能事務所社長の竹中直人
f:id:SPYBOY:20190504223944j:plain

と、登場人物の多彩さで退屈する暇がありません。

竹中直人は最初はうざかったのですが、映画のノリがそういうノリなので映画と充分マッチしてました。
f:id:SPYBOY:20190504224640j:plain

 何よりも小松政夫イカサマを駆使する雀士役の彼の深い皺と表情の変化を見ているだけでも圧倒的です。深みがあるけれど、あくまでも軽やか、そしてインチキ臭い。この人は全てを判っていると感じさせる、素晴らしい存在感です。
この人を見ただけでもこの映画を見た価値がありました。殆ど人間国宝じゃないか。小松政夫大先生、もっと映画に出ればいいのになあ。
●この表情。どうやって生きて来たら、こんな表情を出せるんだろう。
f:id:SPYBOY:20190504223520j:plain

 あ、主役の斎藤工も可愛いし、悪くありません。ふんどし姿まで披露する彼も気合入っていたと思います。
f:id:SPYBOY:20190504223629j:plain

斎藤工的場浩司ベッキー、そして小松政夫が卓を囲みます。
f:id:SPYBOY:20190504224351j:plain
f:id:SPYBOY:20190504225806j:plain

 お話がどうこういう映画じゃないし、覚悟していたとはいえ、麻雀のシーンはボクには全く理解できませんでしたが、それでも大丈夫でした。何よりも最近珍しいアナーキーさにあふれています。とにかく徹底している。その潔さは好感が持てます。
f:id:SPYBOY:20190504225748j:plain

 世の中の風潮に真っ向から喧嘩を売っている設定と言い、タブーを恐れない描写と言い、良くこんな映画をメジャー資本で作ったと思いました。アラもあるから感動したり、ゲラゲラ笑うようなものではないですが、確かに悪くない。

 『傷だらけの天使』のような昔のTVドラマのように、粗削りだけど面白いと感じるような作品です。今作がTVで放映されるような世の中だったらいいなーと思います。
 あ、今のTVで放送されるわけないか(笑)。だからダメなんだよ。表現する側が自分で自分の首を絞めているわけですが、今の状況は観客の側も自分で自分の首を絞めている。そんな状況を笑い飛ばすような怪作でした。
www.youtube.com

小松政夫大先生による作品解説
www.youtube.com

『京都の味と黒竜江の味』と『0503憲法集会』

 いやあ、改元だの、即位だの、TVも新聞もうるさいですねー。
 特に政府広報機関と化しているTVが朝から晩までずっと同じ放送をしているのは慣れっことは言え、放送している方も見てる方も頭がおかしいんじゃないか、と思いました。

 それに皇居の辺りに人が集まっていて即位だの新元号だのを真に受けている奴がいるらしい、というのにも呆れました。

 元号天皇もただ迷惑なだけで、1ミリも興味なしくっだらない
 あ、そうそう。明日の東京MXTVでこの古谷経衡氏↓と白井聡の『日米地位協定』についての対談が放送されます。ボクの通っている床屋が客として来ているMXTVのディレクターに企画を提案したそうです。一応 宣伝(笑)。



まあ、ボクはTV番組を見ない代わりに、今までハードディスクに溜まってたTVの録画がだいぶ片付きましたからよかったですけどね。特にこのドキュメンタリーが面白かった。
f:id:SPYBOY:20190503171128j:plain
www.nhk.or.jp
f:id:SPYBOY:20190503171214j:plain

 料理、特に和食は徒弟制度で調理法は従来からのやり方を踏襲するだけで、若い子などに理屈で説明できるものではなかったそうです。それではいつか和食は滅びてしまうと危機感を抱いた京都の料亭の店主たちが、自分たちの秘伝の技を科学者に分析させた、という番組です。

 具体的には料亭『菊乃井』のシマアジ、『瓢亭』の鮎、『木乃婦』の肉の味噌漬け、『なかむら』のぐじ、それぞれの焼き方をデータ化するというもので、大変興味深かった。
 2,3年前 ボクも瓢亭で鮎を食べたら異様に美味しかったので仲居さんに焼き方を聞いたら『遠くから炭火で長い時間かけて炙って、一生懸命焼いてる(笑)』という答えがかえってきました。本人たちもあまり判っていないらしい(笑)。番組はそれらの秘密に肉薄していきます。
●食感と言い、香りと言い、確かに美味しかった。骨まで食べられます。
f:id:SPYBOY:20160816123935j:plain

 材料の温度や成分の変化などかなりの部分は科学で分析できることですが、どうしても解明出来ない部分もあったのが面白かったです。
 物事は何でも細かい要素に還元して分析できる、というのが西洋科学の考え方ですが、『全体性』に代表されるように細部に分解するだけでは理解しきれないものは必ずある
 政治でも経済でも美術でも料理でも、それが世の中の理(ことわり)、現実だと思います。見ているとよだれが出てくるような料理番組ですけど、そういうことまで考えさせられたのは興味深かったです。


 そういえば この前、御徒町黒竜江料理屋(笑)へ行ってきました。何やら怪しそうですが(笑)、有名店。ボクは見てませんがドラマ『孤独のグルメ』に出てきたという羊料理店です。
www.tv-tokyo.co.jp

●これが番組で取上げられた料理。羊と長ネギの炒め物。美味しかったです。

 大人気で予約が大変なのと大人数でないと色々なものが食べられないので、中々行く機会がなかったのですが、念願の訪問です。黒竜江と言えば、ロシアとの国境ですから、ロシアと中国東北部の料理が混じっているんでしょうね。以前 シルクロードの最果ての新疆ウイグル自治区、つまり中国とカザフスタンの国境地方で食べたウイグル料理が超おいしかったので、今回も期待大、です。
●スパイスが大量に振り掛けられた羊のスペアリブは柔らかくて、さっぱりしてました。

●これが一番おいしかった。ネギと羊が入ったおから。初めての味でしたが円やかでコクがあって、考えられないくらい美味い。

●白酒3種飲み比べ。如何にも中国東北部らしい。羊には合うと思いましたが、度数が高いので真面目に付き合うと沈没します(笑)。3杯で300円(笑)

 唐辛子が効いたウイグル料理とはちょっと違うし、現地のように羊の野趣があるわけでもないけれど、美味しいです。雰囲気は居酒屋みたいですが安サラリーマンだけでなく、女性同士のグループも大勢いました。女性が多い店でまずいところは滅多にありませんよね。
●羊の小龍包。これはこれで美味しいですけど、こういう粉物は本場シルクロードの料理には一歩も二歩も譲るかな。

●ヨダレ鶏ならぬヨダレ羊、羊の腸詰。どちらもGood!


 
 中国人の店員さんに何を頼んでもお皿がすぐ出てくる、どれを食べても美味しい、そして安い、という恐ろしい店でした。連日超満員で各テーブル1時間半の制限が続いているというのが良く判りました。まったく文句がありません。やっぱり中国料理恐るべし、です。
●先週取り上げた映画『主戦場』は大ヒットしているようです。公開が全国に広がっています。

spyboy.hatenablog.com


 普段だったら 金曜日は官邸前の原発再稼働反対の抗議へ行くのですが、今日はこんな集会に行ってきました。
f:id:SPYBOY:20190503172020j:plain

kenpou2019.jp

 『総がかり』など自称市民団体や組合の集会って、スピーチは超くだらないし、やる気がない動員の人たちや組合の小汚い幟などで雰囲気が悪いし、コールのリズムや言葉は調子はずれだし、とにかく貧乏くさい。あれじゃあ、普通は他人は近寄らないと思う(笑)。今回の集会の正式名称『平和といのちと人権を!5.3憲法集会 ―許すな!安倍改憲発議―』だって、壊滅的なセンスの無さ(笑)です。

 でも、今日は天気も良かったし、久々にどんなものかなと思って行ってみました。安保法反対の際『いいな』と思った京大の高山佳奈子教授もスピーチするし、改憲される前 行けるうちに行ってみようかな、と。今日は東京だけでなく、札幌や京都など各地で同様の集会が行われたみたいですね。

 有楽町から一本の豊洲駅から東京会場の有明防災公園まで片道30分のお散歩です。広い会場には大勢の人が集まっていました。


 着いた時には小室等うじきつよしがステージに上がってたけど、それはご勘弁(笑)。流石に小室等の歌は辛い(笑)。耳のイヤホンにつないだiPodの音量を上げて、シャットアウト(笑)。

 参加者はジイさんばかりだろうと思ったのですが、組合の動員もあったのでしょう、若い人、子供連れも結構いました。お天気も良いし、場所も広いし、子供のリクレーション代わりにもなりますね。
●さすが動員もあると人が多い。

 主催者挨拶をした高田賢(『総がかり』)は相変わらず言ってることは意味不明だったけど(このジイさんは情緒的すぎて、いつも何を言ってるかわからない)、他の湯川れい子氏、元山仁士郎氏(元SEALDs、「辺野古」県民投票の会)、高山佳奈子京大教授、永田浩三氏(元NHKディレクター、現武蔵大教授)などのスピーチはまあ、良かったです。

 元山君は『憲法を守らなくて他の何を守ればいいんだ』、高山氏は『緊急事態や自衛隊の明記など自民党が挙げている改憲の理由は全て、わざわざ改憲しなくても法律で対応できる』、『選挙で棄権が半分近くあるのが問題で、そういう人たちは民主主義を拒否していると同じ』と言ってました。あと湯川氏は84歳だそうで、びっくりしました。
●順に高田氏、湯川氏、元山氏、コスプレをした高山教授(笑)


護憲派集会で湯川れい子氏「9条に自衛隊書き込むインチキ許すな」 - 産経ニュース


www.sankei.com


www.sankei.com

f:id:SPYBOY:20190503132802j:plain
www.sankei.com

 そのあとマイクを握った立憲民主の枝野、国民民主の玉木、共産党の志位、社民の又市など各野党の代表者もそれなりに気合は入っていた。話をつなぎ合わせると、問題の一人区でも候補者調整の話し合いはしているようでしたし。ただ、快晴の野外会場に揃いもそろってダークスーツは場違いだと思いましたが。

 ちなみに野党の党首たちがスピーチした、このシーンはNHK夜7時のニュースでも使われましたが、集会のことは殆ど触れられませんでした、ったく。
●順に枝野、玉木、志位

www.sankei.com


www.sankei.com


www.sankei.com


 そのあと、市民連合の広渡清吾東大名誉教授がマイクを握りました。

 『何とか安倍以外の政権選択肢を作っていきたい』と言ってましたけど、今の野党の面々を見ても中々難しい。それに無党派の人たちにどうやってアプローチするか。政治にあまり興味を持たない層にどうやって関心を持って貰うか。野党だけでなく、市民連合も含めて、その課題は相変わらず全く解決されていません。市民連合は大学の年配の先生が主なので仕方ない、とは思ってますけど。

 それでも今日の集会は旧来のバカ市民運動より市民連合色が強くて、多少はオープンな雰囲気にはなってきたのかな、と思います。組合が偉そうに真ん中に陣取ってないし、少なくとも前の方には組合の幟は出させなかったし、子供が遊びまわれるスペースも確保してましたし、関係者(笑)や動員以外の人も多少は参加しやすくすることは意識されていた。
●一斉にプラカードを上げる会場の人たち


 ただ、それでも無党派の人を引き付けるようなものではなかった。安倍に反対しているような人ばかりの集会で『安倍政治を許さない』とか『野党は共闘』とか『憲法守れ』とか言ったって、意味がありません
 そんなことより『安倍を倒すと国民生活にどういう良いことがあるか』、『安倍を倒してどういう政治を実現したいか』みたいに、一般のどういう得、メリットがあるかを訴えられたらいいんだけど(笑)。とにかく一般の人たちに届く言葉を持てる野党、市民運動じゃないとダメでしょうね。その点は自民党の方がはるかに野党や市民運動より国民を意識している、と思う。

 スピーチのあと集会は『翼をください』の合唱をやるというので、流石に逃げるように撤収しました。キモすぎる(笑)。
 今日の参加者は65000人だそうです(昨年は6万、一昨年は5.5万)。課題はまだまだあるけれど、参加人数という面では流石です。あとは政治に関心がない人たちに届く言葉をどうすれば持つことが出来るか、我々一人一人の問題でもあります。

『NHKスペシャル 平成史スクープドキュメント 第8回情報革命』と『淡々と面白い映画(笑)』:映画『ファースト・マン』と『ROMA/ローマ』

 楽しい連休が始まりました。
 でも10日続けて休める人は全体の3割にも満たないそうじゃないですか。皆で一斉に休むなんて時代遅れの発想です。A0153さんが仰ってましたけど『10連休は強者向けの政策
連休に思ったこと(1) - A0153’s diary
というのはまさにその通りだと思います。休めない人の方が多いんですからね。
 それに10連休できる側が強者か?というとそうでもない。なかには強者も居るかもしれませんが、不安を感じながら日々あくせく働き、やっと糧を得ている人たちが大多数でしょう。
 結局 そこにあるのは社会の分断であり、排除する人々を作り出す政治の貧困です。
f:id:SPYBOY:20190429182112j:plain 


 昨日 お風呂の中でNHKスペシャル平成史スクープドキュメント 第8回情報革命 ふたりの軌跡 ~インターネットは何を変えたか~』をたまたま付けたら、結構興味深い指摘がありました。
f:id:SPYBOY:20190429100751j:plain
www6.nhk.or.jp

 番組は「Yahoo! JAPAN」の元社長・井上雅博氏、そして、ファイル共有ソフトWinny」を公開し、「情報」の所有/非所有の関係を一気に変えた金子勇氏という最近亡くなった二人を中心にネット時代の情報の在り方を取り上げたものです。

 まず、金子氏、というかWinnyの件。
 ボク自身、Winnyと言うと怪しい、と思っていましたから、2004年に著作権法違反の幇助でWinnyの作者だった東大の金子氏が捕まったのも当時はなんとも思っていませんでした。
 
 しかし、今にしてみれば、アマゾンやグーグルなど中央のサーバーを経由せずユーザー同士が直接情報交換するWinnyは画期的なアイデアでした。確かに著作権違反やウィルスを媒介させるリスクもありますが、ある意味ネットを民主化する仕組みでもありました。
 
 日本は寄ってたかって、そのアイデアを社会ぐるみで潰してしまったわけです。金子氏は最高裁まで戦い続け、2011年に最終的に無実を勝ち取りました。しかし13年に心筋梗塞で亡くなったそうです。まだ42歳の若さでした。
 
 Winnyのような仕組みを平和利用することを考えていれば、アマゾンやグーグルの隆盛もまた違った形になっていたと思います。結局 日本は何か新しい芽が出てきても直ぐ、潰してしまう。
 我が身の不明も含めて、日本社会の閉塞性を改めて実感しました。
●参考記事
wired.jp


 あと、もう一つ、ネットがもたらすデマやフェイクニュースと人々の分断の件。
 番組ではネットによって人々は自分と同じ意見だけに触れがちになるため人々の分断が進む、という指摘をしていました。

 丁度 先週 朝日新聞で『SNSだけを情報源にしている人ほど内閣支持率改憲支持率が高い』という記事が出ました。
全体の5%を占める『「ネット限定層」の内閣支持率は60%で、全体の43%と比べて高かった。憲法を「変える必要がある」と答えたのは68%を占めた(全体は38%)。安倍内閣の政策で「景気・雇用」を評価する人が多かった。参院選比例区で「仮にいま、投票するとしたら」と聞くと、自民が64%(同43%)を占め、立憲民主は10%(同17%)だった。「ネット限定層」は、30代以下が半数を占めるほか、男性が6割と多めだ。』
 
 この調査自体は、この結果がネットをよく使う人たちだからなのか、若い年齢層だからなのか、その因果関係は判りません。ただ、うなずける結果ではあります。
f:id:SPYBOY:20190429093837j:plain
f:id:SPYBOY:20190429094746j:plain
f:id:SPYBOY:20190429094312j:plain
www.asahi.com


 NHKの番組では『ネットを使っていると人は自分が見たい情報だけしか見ない傾向になる一方、一般のマスコミをバカにする』することを紹介しています。
 それをエコーチェンバー効果と言いますが、自分が見たい情報にしか触れないでいると、どんどん意識が偏ってネトウヨおしどりマコを本気にするような狂った原発反対派、下手すればイスラム国の連中のように過激になっていくわけです。
 デマやフェイクに踊らされるのは右も左も関係ありません。どちらも一緒です。

 NHKはバカにされるマスコミの総本山じゃないか、ということはおいておいても、ネットの危険性をあらわにする話です。自分と同じ意見に触れている方が誰だって快適ですが、そんなことばっかりやっていると、デマと現実の区別が付かなくなってしまうシャブ中と一緒です(笑)。

 
 ただでさえ日本の教育は 知識偏重で自分の考えや意見を明確にする訓練が不足しがちです。付和雷同の奴隷人間を大量生産している。より一層 ネットの影響も受けやすいでしょう。先ほどのSNSだけが情報源の人ほど内閣支持率が高い、というのもそういうことではないでしょうか。

 
 番組では、先日行われた『東京新聞の望月記者を支持して言論の自由を守れと訴える新聞労連の官邸前デモ』に触れながら(番組では望月記者のことは全く出ませんでした)、マスコミがフェイクニュースやデマを検証する必要に触れていました。

 

 その中でなるほどと思ったのは『マスコミは取材過程をオープンにするべきだ』というデモ参加者の意見です。ボクはデマを検証するためには、『情報のソースを確認する』、『複数の記事を比較する』、『反対の立場の人の意見を読む』といった事を心がけていますが、確かに取材過程がオープンにされれば情報の信ぴょう性は増します。デマを見破りやすくなる。

 情報の量、伝達の仕方はどんどん変化しています。だとしたら情報を利用する我々も変わっていかなければなりません。情報リテラシーを高めるというか、テクノロジーを使いこなすだけの賢さを持てるかどうかが、現代人は問われていると思います。
●訪米時、赤カーペットにも立たせてもらえない安倍晋三夫妻。2つ目はクリックすると日韓双方の画像が比較できます(笑)


今回はどちらも、少し前の映画ですが何も触れないのは勿体ない映画です。 
 新宿で映画『ファースト・マン

firstman.jp

幼い娘をガンで亡くしたテストパイロット、ニール・アームストロングライアン・ゴズリング)は、NASAの宇宙飛行士に応募し、選抜される。妻と残った子供たちと一緒にヒューストンに移り住んだ彼はNASAで宇宙に飛び出す訓練を続ける。折しも冷戦の真っただ中、ソ連アメリカは宇宙開発競争にしのぎを削っていた。初めての宇宙遊泳や宇宙船とのドッキングを行うジェミニ計画、有人月飛行を実現するアポロ計画、事故で飛行士たちが亡くなっていくなか、ニールは初めての月着陸計画、アポロ11号の船長に選ばれるが

 『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングが再び組んだ作品です。
この監督の前作『セッション』、『ラ・ラ・ランド』は高い評価を得たし、実際面白かったですが、個人的には好きになれませんでした。どちらも音楽がテーマでしたが、音楽に対する愛情が感じられなかったからです。技術とか構成の面ではすごいけど、この監督、性格悪い(笑)、というのがボクの感想です。

 今作はどうでしょうか。
 取上げられたのは史上初めて月に着陸した男、宇宙飛行士のルイ・アームストロング。脚本は『スポットライト 世紀のスクープ 』、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 』のジョシュ・シンガーと言う人が担当しています。どちらも秀作でしたから期待ができる。極力 事実に近い作品にするよう心掛けたそうです。

spyboy.hatenablog.com

 アームストロングという人はとにかく沈着冷静な人だったそうです。テストパイロット時代、ジェミニ8号でも事故に遭遇しても、沈着冷静な処置で対処しました。それが買われて月着陸第1号に選ばれた。

 それとは対照的に前半の映像はカメラの揺れとか、微妙な音楽で、宇宙空間の不気味さや美しさ、事故の恐怖を表現します。観ている方を静かな不安に掻き立てます。ここいら辺の演出は素晴らしいです。でも、そんなに怖くはありませんから、ボクでも大丈夫でした(笑)。

 あと、宇宙船、特にジェミニ宇宙船はボロくて驚きました。
現在の目から見るとアナログだし、リベット止めなどがゴツゴツしているし、船内も狭くてぼろい。文字通り 棺桶のようです。その棺桶が微妙に振動で揺れたり、爆音が響いたりする。
 アポロ宇宙船も現代の目から見れば超ぼろいのですが、ジェミニと比べると立派に見える。いずれにしても、こんなボロい宇宙船で宇宙に行ったのは大冒険だったに違いありません。観客もそれを認識できる。ここいら辺の作りもこだわってるなーと思いました。

 アームストロングという人の極端な沈着冷静さはある意味 エキセントリックです。子供が死んでも他人の前では殆ど口に出さない。そのことについては何年も妻と会話をしない(笑)。月に行く時も家族に何も話そうとしない。これで最後になるかもしれないのに子供にも何も話さない(笑)。黙々と荷造りを続ける夫を妻が無理やり子供たちの前に引き出して、話をさせるのですが、やっぱり話がはずまない(笑)。この沈着冷静さは事故対応には向いていますが、家庭生活には明らかに向いていない。

 お話しのクライマックス、月面着陸も淡々と進みます。月面着陸の際 主人公の隠されていた内面が初めて吐露されますが、オチとしてはいまいちだったとボクは思います。
この映画を見ていて深く感動するとか涙するとかは有りませんが、演出は過不足なく、的確、職人芸だと思います。観ていて面白かったことははっきり言える。今までのディミアン・チャゼル作品のように意地が悪い視点もありません。機会があれば見てみる価値は十二分はある優れた映画だと思います。

映画『ファースト・マン』特報


 銀座で映画『ROMA/ローマ

www.netflix.com

舞台は1970年、メキシコシティのローマという地区。中流階級の家庭に働く、先住民出身の若い家政婦クレオ (ヤリツァ・アパリシオ) からみた世界のお話。

 ベネチア映画祭の金獅子賞、アカデミー監督賞、外国語映画賞、撮影賞、ゴールデングローブ外国語映画賞、監督賞を始め、様々な賞を総なめにしていると言っても良い映画です。

 でも有料配信のネットフリックスでの公開ということで中々見る機会がありませんでした。ネットフリックスどころか、ボクはケーブルテレビすら入ってないですから。そんなの定年になるまで見る暇があるわけない。 
 3月になってイオンの中に入っている映画館、イオン・シネマで上映が始まりましたが、イオン・シネマなんか東京にねーよ!(本当はあるのかもしれませんが、ボクの知ってる東京にはない)。3月も末になって、やっと銀座のミニシアターで公開が始まりました。

 『ゼロ・グラビティ』でアカデミー監督賞を受賞したメキシコのアルフォンソ・キュアロン監督が自分の幼少時の想い出、自分を育ててくれた女性たちへの想いをこめた、いわばキュアロン監督のラブレター、だそうです。
●主人公のお手伝いさん、クレア。メキシコ先住民出身です。監督は実際にそういう女性に育てられたそうです。

 映画はタイル?石?の床を執拗に水洗いするシーンから始まります。やがて一家の主人が帰ってくると、水洗いするものの正体が判ります。
一家は白人の子供4人に夫婦と祖母、それに先住民の若い女性お手伝いさん2人、それに犬一匹と暮らしています。中庭つきの豪奢な家です。長期出張で不在がちの父親は学者らしい。監督の父親も原子物理学者だったそうです。
●主人公の家。豪奢な家です。妻が出張する主人を惜しんでいます。異様な惜しみ方は何かを暗示しているようです。
 

 親たちは忙しく、遊び盛りの子供たちはお手伝いさんに懐いています。子供が一杯なのに加えて、家事にはあまり興味がない奥さんで家はいつも散らかっているのに加えて、犬がやたらとウンチをする。バカ犬です。中庭、ガレージはウンチだらけ。父親がでかいフォードで帰ってくると犬のウンチをふんづけるのが日課になっています。これ、洒落じゃないです(笑)。口やかましい奥さんの下で仕事は大変ですが、楽しい生活。休日にはクレアらお手伝いさんも男の子とデートすることも出来る。
●子供が4人もいると、とにかく忙しい。
 

 やがて父親は長期出張と偽って愛人と暮らしているのが発覚します。そしてクレアも妊娠していることが判る。その途端にボーイフレンドと連絡が取れなくなる。ボーイフレンドは何やら怪しい自警団に入って武道を習っています。


 平凡なクレアたちの生活も時代と深く関わりを持たざるを得ません。クレアたち先住民の土地が無理やり接収されるのが描かれます。彼らは抵抗の術すらない。また1968年秋には平和的な学生運動を政府が武力で弾圧して数百人の死者を出した『トラテロルコ事件』という虐殺事件が起きています。映画の中でもそれを模した騒乱にクレアたちも巻き込まれる。ボーイフレンドが属していた自警団もそれに一枚噛んでいた。白色テロです。
●お母さんの脇を軍隊が威圧するかのように行進していきます。

 白黒の映像が美しいです。専門のカメラマンではなく、iPhoneを使って監督が撮ったそうですが、深い陰影はまるで彫像を撮っているかのようです。その中で時にはユーモラスに、時には深刻な話が展開される。淡々と、それも言葉少なに語られますから、非常に印象に残ります。音も非常に気を使って撮られている。映画館では前後左右から自然の音や話し声が聞こえてくる。なんども、実際の音かと勘違いした位です。
●とにかく画面が美しい。陰影が深い白黒の映像は情報量が多く、見ていて全く飽きません。

 監督は、商業性が全くない映画なので配給先に有料配信のネットフリックスを選んだそうです。それは判らないでもない。だけどホームシアターの設備があるならともかく、自宅のTVやPCの小さい画面、音響でこういう空間が再現できるのかどうかは疑問です。特に画面の大きさで受ける印象は全然違うと思います。でも監督がいう様に既存の映画配給会社がこういう映画をまともに配給できるのか、観客が入るのか、それも難しいところです。

 高品質で完成度が高い映画であることは間違いありません。万引き家族アカデミー賞でこれとぶつかったのは確かに運が悪かった。監督の過去への思い、お手伝いさんや家族への愛慕や追憶、それに時代への贖罪の気持ちまで伝わってきます。観客に想像力を要求する、余韻の残る映画です。ただ、ボクがこの映画で一番印象に残ったのは犬のウンチ(笑)。ウンチに始まってウンチに終わる。そんな映画です(笑)。

ROMA | Teaser Trailer [HD] | Netflix